DoCoMo2.0

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Orataw (会話 | 投稿記録) による 2016年3月27日 (日) 22:01個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (日経パソコンで「ドコモに移転ゼロ」に関する言及があった)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

DoCoMo2.0(ドコモ にいてんれい、ドコモ にいてんゼロ)はNTTドコモグループ2007年4月23日に発表した新テーマ、およびブランドマーケティング戦略の典型的失敗例としてしばしば話題に上る。

概要

NTTドコモは営業開始15周年[1]記念事業として、2007年4月23日に904iシリーズを5機種発表し、同時に様々な新機能を発表した。そのとき「ケータイが次のステージに進化するシンボル」としてDoCoMo2.0のロゴが掲げられ、変化をアピールした。2000年代に入ってから使われているインターネット用語のWeb 2.0を意識している。

このCMが作成された時代背景として、TSUBAKIのCMが挙げられる。1人でも十分CMが成立する女優・タレントを7 - 8名前後起用し「贅沢感」を演出したCMであった。その「贅沢感」を、そのまま携帯電話業界に導入しようとした意識が見て取れる。

主なキャッチコピーは、CMでも使われた「さて、そろそろ反撃してもいいですか?」や「他社さまはご覚悟ください」。CMに起用されたのは、浅野忠信D904iP704iμN905i)、長瀬智也N904iD704iSH905i)、妻夫木聡F904iP704iP905i)、瑛太P904iF704iF905i[2]吹石一恵P904iSO905iN905i)、土屋アンナSH904iSO905i)、蒼井優D904iSH905i)、北川景子SH904iD905i)の8名(カッコ内はCMなどの広告で扱っていた端末)。一部は、かつて他社のCMの出演者であり、キャッチコピーと共に露骨なまでの他社への対抗意識を強調している。

この「DoCoMo2.0」キャッチコピーは現在のロゴマークに変更された2008年5月に終了となり、新たに「Answer」と銘打った広告戦略を展開している[3]

なお、当キャッチコピーが使用された期間内に放送されていた一社提供番組[4]における提供アナウンスは「バージョンアップ! 進化するDoCoMoグループ」であった。

CM

上記8人のタレントが出演する様々なCMを展開している。また、ホームページでは上記のメイキングなども公開している。8人が主な配役であったが、脇役であった木村祐一が妻夫木の先輩役としてセットで9人目の出演者として登場するCMが数本ある。

テレビCM

  • ティザー篇
  • 宣言篇
  • 904i DEBUT篇
    • ロングバージョン
  • 直感!!コロリンパ篇
    • ロングバージョン
  • THE 直感ボウリング篇
    • ロングバージョン
  • 2 in 1(人物)篇
  • 直感☆ボクシング篇
  • ワンセグ(焼肉)篇
    • ロングバージョン
  • DCMX(タクシー)篇
    • ロングバージョン
  • DCMX(コンビニ)篇
    • ロングバージョン
  • 704i DEBUT篇
    • ロングバージョン
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇
    • ロングバージョン
    • 初めて木村祐一が出演したバージョン。
  • うた・ホーダイ(告白)篇
    • ロングバージョン
  • 基本料いきなり半額篇
    • ロングバージョン
  • 魔法の箱(debut)篇
  • 国境を越えて篇
    • ロングバージョン
  • サクサクダウンロード篇
    • ロングバージョン
    • 再び木村祐一が出演したバージョン。
  • 変身篇
  • 漢字検定篇

メイキング

  • ティザー篇
    • 浅野忠信
    • 長瀬智也
    • 妻夫木聡
    • 瑛太
    • 吹石一恵
    • 土屋アンナ
    • 蒼井優
    • 北川景子
  • 904i DEBUT篇
  • 直感!!コロリンパ篇
  • THE 直感ボウリング篇
  • ワンセグ(焼肉)篇
  • DCMX(タクシー)篇
  • DCMX(コンビニ)篇
  • 704i DEBUT篇
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇
  • うた・ホーダイ(告白)篇
  • 魔法の箱(debut)篇
  • 国境を越えて篇
  • サクサクダウンロード篇
  • 変身篇
  • 漢字検定篇

プレミアムムービー

  • 奇跡の出会い篇
  • 直感!!コロリンパ篇
  • デコメール(考えられへんぞ!!)篇


問題点

新サービス「2in1」において、2つ目の番号を1契約とカウントする事により、契約数の増加に多少なりとも貢献したが、「1台で2契約と数えるのはおかしい。契約数の指標としての信頼性がなくなる」と競合他社から反発の声が上がり、総務省電気通信事業者協会も「1契約と数えるのが妥当」と判断、その結果純増数トップとなったソフトバンクモバイルとは対照的に2007年8月には約2万件の純減となった[5]

サービス開始から7か月時点で、「反撃」「他社さまご覚悟」という挑発的なキャッチコピーに反し、番号ポータビリティ(以下MNP)制度においては(2007年11月末現在)3社中(イー・モバイルを除く)唯一契約者数減。8名もの人気芸能人を起用した鳴り物入りの広告を展開したものの、MNP制度での契約数の減少が増加を上回り、差し引きでみれば意味をなしていない。

なお、2007年冬商戦において、905iシリーズ導入によって急速に勢いを取り戻していることから、年末向けのキャッチフレーズを先出ししたことで、実体を伴っていないという批判を受ける結果となってしまったという戦略ミスも指摘されている[誰?]

その後au(KDDI / 沖縄セルラー電話)が、端末の発売の遅れやドコモやソフトバンクよりも(特にミドルレンジ機種の)平均端末価格が上がったために2007年冬商戦以降の苦戦が指摘されており[6]、悲願の「反撃」を達成できるかが注目されていた。2009 - 2010年にかけては一定の効果を見せ、2008年12月には初のMNP転入超過を記録、2010年・2011年には顧客満足度No.1を獲得したが、2011年末以降はiPhone不在の影響などから苦戦が続いている。

評価点

上記のような問題点や批判は見られるものの、ドコモとしては通常の広告料の3倍をかけてこのDoCoMo2.0を街頭やCMなどでPRしたこともあり、あるアンケートでは人々の8割もの人がDoCoMo2.0の存在を知っている[7]。また、CM好感度は好調に推移しておりCM総合研究所が毎月行っている調査で、在京キーで放送されたCM好感度部門で2007年5月から7月にかけて3か月連続で好感度1位となっている。

また、インターネット上では「DoCoMo2.0」が「ドコモに移転ゼロ」と読めるとして話題になっていた[5]

一方では、movaユーザーのFOMA転換を促進させる契機ともなった。電気通信事業者協会のまとめによると、2007年8月時点では、ドコモグループの全ユーザーに占めるFOMAユーザーの割合が4分の3近くに達している[8]。FOMAユーザーが過半数となったのがこの前年だったこともあり、「2in1」の問題があったとしても、ドコモにとって長年の懸案となっていた次世代への移行に、貢献したことは間違いない。協会の公表資料によると、2007年9月29日には、FOMA契約者数が第三世代携帯電話初の4,000万契約を突破した。

脚注

  1. ^ 1992年にNTTの移動通信部門を分社化し、同年7月1日より営業を開始した。
  2. ^ 約2年後にF-08A以降のドコモ向け富士通製携帯電話のCMキャラクターとして起用された。
  3. ^ “ドコモ、ブランドロゴを「赤」に刷新・既存顧客重視の戦略へ” (日本語). 日本経済新聞(IT-PLUS) (日本経済新聞社). (2008年4月18日). オリジナルの2008年4月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080420142005/http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=MMITfe000018042008 2016年3月28日閲覧。 
  4. ^ BS-i恋する日曜日』『ケータイ刑事 銭形海』、TBS夢の扉 〜NEXT DOOR〜』など。
  5. ^ a b 金子寛人 (2007年11月1日). “苦境脱却への第一歩となるか、905i・705i一斉発表に賭けるドコモ” (日本語). 日経パソコン(ITpro) (日経BP). http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20071101/286218/ 2016年3月28日閲覧。 
  6. ^ 田中聡 (2007年12月28日). “台頭か、反撃か、失速か―キャリアの“勢い”が変わった1年”. ITmedia Mobile. アイティメディア. 2016年3月28日閲覧。
  7. ^ 浅賀美東江 (2007年7月2日). “ドコモの新戦略「DoCoMo 2.0」、ユーザーには好印象―料金にはまだまだ要望も”. CNET Japan. 朝日インタラクティブ. 2016年3月28日閲覧。
  8. ^ (携帯電話の)2007年8月末現在における事業者別契約数”. 社団法人電気通信事業者協会 (2007年8月31日). 2007年9月9日閲覧。

関連項目