天使にラブ・ソングを…

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天使にラブ・ソングを…
Sister Act
本作の舞台となる修道院の外観として撮影に使用された、サンフランシスコセント・ポール・カトリック教会英語版
監督 エミール・アルドリーノ[1]
脚本 ジョセフ・ハワード
製作 テリー・シュワルツ
製作総指揮 スコット・ルーディン
出演者 ウーピー・ゴールドバーグ
マギー・スミス
ハーヴェイ・カイテル
音楽 マーク・シャイマン
撮影 アダム・グリーンベルグ
編集 コリーン・ハルシー
リチャード・ハルシー
製作会社 タッチストーン・ピクチャーズ
タッチウッド・パシフィック・パートナーズⅠ
配給 アメリカ合衆国の旗 ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ
日本の旗 ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
公開 アメリカ合衆国の旗 1992年5月29日
日本の旗 1993年4月17日
上映時間 100分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
興行収入 アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $139,605,150[2]
世界の旗 $231,605,150[2]
次作 天使にラブ・ソングを2
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天使にラブ・ソングを…』(てんしにラブソングを、原題: Sister Act)は、1992年に公開されたアメリカ映画

ギャングの愛人であり、殺人事件の現場を目撃した、しがないクラブ歌手が、かくまわれた修道院で巻き起こす騒動を描いたコメディー[3]。アメリカでは6か月を記録する大ヒットロングランとなり、主演のウーピー・ゴールドバーグの人気を不動のものにした。1993年には続編の『天使にラブ・ソングを2』も公開されている。

あらすじ

ネバダ州リノのナイトクラブ「ムーンライトラウンジ」のクラブ歌手デロリスは、ネバダ一帯に縄張りを持つ大物マフィアのボス、ヴィンスの愛人。だがある日、ヴィンスが裏切り者を始末する現場を目撃したため命を狙われる。重要参考人として警察に保護された彼女は、ヴィンスの裁判の日までカトリック系の聖キャサリン修道院に匿われることになる。尼僧として振舞うことを余儀なくされたデロリスは堅苦しい生活に辟易するものの、やがて聖歌隊の指揮者を任され、歌手としての本領を発揮する。自身のノウハウから下手な聖歌隊を鍛え上げ、退屈な聖歌をモータウンの楽曲の替え歌にアレンジして派手なパフォーマンスを繰り広げ、保守的で厳格な修道院長との対立をよそに、一躍町中の人気者になる。そして、最初は疎んじていた修道院のシスターたちと、歌を通じて徐々に友情を育み、固い絆で結ばれていく。

しかし、平穏な日々も束の間、警察内部の情報が漏れたことでローマ法王を迎えたミサの前日にデロリスがさらわれる。誘拐の現場に居合わせたために巻き添えでさらわれ、デロリスの機転で逃げ出したシスター・ロバートの報告でデロリスの素性に対する疑いが持ち上がる。修道院長の口から彼女の本当の素性を知らされた修道院のシスターたちは動揺するが、シスター・ロバートの勇気ある進言をきっかけに、たとえ本物の尼僧でなくとも自分たちを教え導き、歌うことの楽しさや素晴らしさを教えたデロリスを救うべく、一丸となってヴィンスのアジトであるリノのムーンライトラウンジへ乗り込んでいく。

仲間たちの活躍によりデロリスは無事救い出され、ヴィンスは逮捕される。デロリスは仲間たちに心からの感謝の意を述べて修道院長とも和解し、ローマ法王の御前でのコンサートを大成功に導く。

登場人物

キャラクターの名前のMaryは名前であればメアリー[注 1]またはマリー[注 2]であるが、シスターの場合も基本的にはメアリーと読む。なお、字幕や吹き替えでは「マリア」とされるが、Mariaは聖母マリアに由来する[注 3]

デロリス・ヴァン・カルティエ / シスター・メアリー・クラレンス(Deloris van Cartier / sister mary Clarence)
演:ウーピー・ゴールドバーグ / 幼少時代:アイシス・カーメン・ジョーンズ
本作の主人公。リノのクラブ「ムーンライトラウンジ」で歌うしがない黒人クラブ歌手。幼少時代はカトリック系の学校に通っていたが、当時から反抗的な性格で担任のシスターに将来を危ぶまれ見放されるほどの問題児であった。
ギャングである愛人ヴィンスが裏切り者を始末する現場を目撃して命を狙われるはめになり、シスター・メアリー・クラレンスと名乗ってカトリックの修道院にかくまわれることになる。
型破りな気質の持ち主で、堅苦しいことが何よりも大嫌い。少々ひねくれているが根は優しくて面倒見がよく、明るく茶目っ気のある性格。そのため、当初は修道院の堅苦しい生活に辟易しながらも、やがて閉塞感の漂う修道院に改革の嵐を巻き起こし、修道院のシスターたちと固い絆で結ばれていくことになる。
彼女の行動が周囲に影響を与えていき、彼女自身もまた、周囲の人々が変わるにつれて心情や心境が少しずつ変化してゆく。
この映画のためにゴールドバーグは歌唱訓練を受けており、コメンタリーでは「バスタブで歌う鼻歌がどれだけ気楽か思い知った」と答えている。ゴールドバーグによると歌は「周りが思ってるよりはイケた(上手く歌えた)」という。本人はボイストレーニングのきつさに「歌いたくない」とも発言した。他には修道服の下にジーパンを履いていることや、修道服が複雑かつ暑いことを話している。
なお、ゴールドバーグの歌について、アルドリーノ監督は「歌えないと思ったよ」、パトリック役のナジミーはデロリスについては「異質なシスター」と語り、ゴールドバーグの歌について「共演した舞台では歌わずに語っていたの」「(前述から)歌はマズいと思ったわ」と心配していた旨を語ったが「(ウーピーは歌ったら)凄く上手だったわ」と語った。
ヴィンス・ラ・ロッカ(Vince La Rocca)
演:ハーヴェイ・カイテル
ネバダ州一帯に縄張りを持つマフィアのボス。
本人は愛人関係にあるデロリスに歌の仕事を与え贈り物を与えるなどして愛情を注いでやっていると主張しているが、正妻の使用済みの私物をプレゼントとして贈るなど扱いはぞんざいであり、デロリスには快く思われてはいなかった。そのあげく、デロリスに殺人現場を目撃されたため、多少躊躇する様子を見せつつ部下に抹殺を命じ、執拗に付け狙うようになる。
裏切り者を容赦なく始末する冷酷さを持つにもかかわらず、浮気を神父に告白する、尼僧姿のデロリスを撃つことに躊躇するなど、信仰に篤い面があるが、デロリスには小心者呼ばわりされる。
最終的にデロリスたちを追い詰めるものの、駆けつけてきたサウザー警部補に肩を撃たれ、怯んだ隙をつかれて逮捕される。連行される際に腹立ちまぎれの暴言を吐き捨て、デロリスに「神のご加護を」と返された際には投げキッスをする。
修道院長
演:マギー・スミス
聖キャサリン修道院の院長
修道院の規律にかなり厳格で、筋金入りの堅く生真面目な性格。かなりの毒舌家でもあり、丁寧な口調のなかに一見わかりづらい毒舌を混ぜる。
デロリスとは聖歌隊の一件をきっかけに頑固なまでに対立することになり、シスターたちが彼女の行動に賛同している様子を見て失望し、よその修道院へ異動しようとまで考える。その後、シスターたちが心から彼女に信頼を寄せていることを知り、閉鎖寸前だった修道院を蘇らせた功績や、シスターたちが歌う喜びを通じて活き活きと変わっていく過程を見て彼女を立派な尼僧の精神の持ち主として認め、和解する。
なお、コメンタリーではデロリスを演じたゴールドバーグやラザラスを演じたウィックス、アルドリーノ監督などに「プロ意識の塊」「素晴らしい女優」などと称され、さらにアルドリーノ監督は「彼女は笑いのセンスも良い」とも称した。ロバートを演じたマッケナは「(ゴールドバーグとの)二人の掛け合いが面白い」「(2人が)修道衣の姿を見るだけで笑っちゃう」とも語っている。
メアリー・パトリック(Mary Patrick)
演:キャシー・ナジミー
大柄でふくよかな体型の陽気な若いシスター。
踊りがうまく、動きも身軽。性格は非常に陽気でマイペースで優しく、茶目っ気もあり歌やダンスなど楽しいことが大好き。楽しさが行き過ぎて暴走することもある。好物はアイスクリーム。
歌うことが好きなものの、声が大きいばかりで周囲と協調がとれず、デロリスの指導で周りの歌声を聴いて合わせることを覚え、上達していく。
性格の明るさは本人によれば「昔からの性分」であり、母に「将来は尼さんかスチュワーデスね」と言われたと語る。
修道女仲間のなかではメアリー・ロバート、メアリー・ラザラスと特に親しい。
コメンタリーにおいて、演じたナジミーは「パトリックはデロリス同様に『形だけの』シスターって感じよ」と話し「パトリックの歌い方はずっと(ハイトーンを出す)なの。スタッフたちのなかに耳を痛めた人がいたら、私のせいだわ」と笑って話している。
なお、ナジミーはパトリックを演じるにあたり、脚本には「唯一の特徴は『明るさ』と書いてあったの」と語り、偶然つけたテレビに写った元気で明るく陽気なシスター「シスター・ハート」を見て、彼女がパトリックのモデルだと思い、彼女をモチーフにパトリックのキャラクターを作ったとも話した。
メアリー・ロバート(Mary Robert)
演:ウェンディ・マッケナ / 歌唱シーン吹き替え:アンドレア・ロビンソン
最年少のシスター。シスター仲間の内で唯一、服装が他のシスターたちと異なる[注 4]
内気で非常におとなしい性格だが、修道院に溶け込めずにいたデロリスのことを誰よりも先に気遣う優しさと思いやりを持つ。兄がいる。
奉仕の人生こそが自分の使命だと考えて修道女を志願したものの、引っ込み思案で不器用な性格からくる劣等感ゆえに自信が持てず、「自分にしかできないことで力を発揮したい」と願いつつも、それが虚栄心にすぎないのではないかと思い込んで落ち込む繊細な性根の持ち主。
デロリスと出会い歌う楽しさや喜びを知ってからは徐々に明るく積極的な性格に変化するとともに、勇敢さと毅然さも併せ持つようにもなり、デロリスが誘拐された際にはみんなで救出しに行こうと真っ先に院長に進言する。また、ちょっとした規則違反程度なら犯すことも平気になっていき、コンサート前日の夜、パトリック、ラザラスとともにこっそりアイスクリームを買ってきてデロリスにふるまう。
聖歌隊では最初は弱々しくか細い声しか出せなかったが、特訓のすえに大きな声を出すことが出来るようになり、ソロパートを務めあげるまでに上達する。その歌唱力はかなりハイレベルである。
なお、劇中での歌唱はアンドレア・ロビンソンによる吹き替えであり、作中で唯一の吹き替えである。理由は歌声が監督のイメージとは違ったため。
演じたマッケナはコメンタリーにおいて「『もちろん歌えるわ』と言って(披露したら)恥をかいた」「口パクなら任せてよ」と発言しており、ロバートについては「最初はかなり内気であまり話さないけれど、デロリスのお陰で自信がつき、解放されて声に出せるようになるのよ」と語った。
メアリー・ラザラス(吹き替え版ではメアリー・ラザロ)(Mary Razarus)
演:メアリー・ウィックス
聖キャサリン修道院のシスターで、聖歌隊の指揮者。
シスター内でも年はかなり年長で、本人によると法王4人分の年月をシスターとして人生を捧げているという。好物はシロップをかけたアイスクリームとピーカン味[注 5]のアイスクリーム。
やや気難しい性格で、成り行きから聖歌隊の指揮をすることになった(彼女自身は院長直々にデロリスが指名されたと思い込んでいた)デロリスを煙たがるが、彼女の指導を見てからはその指導力からデロリスを認め、パトリックやロバートともに最も親しい友人となる。
表情にも気難しさが目立つが、歌唱シーンが増えていくにつれて笑顔が増えていき、性格も茶目っ気が見えはじめる。
やや低い中間音の声域でパートはアルト。ロバートやパトリックとともにソロパートが多い。
ラザラスを演じたメアリー・ウィックスはコメンタリーでラザラスについて「ラザラスは最初、固定観念を持っているけれど、それを覆される。そしてデロリスに歌の楽しさを教えて貰い、楽しく歌うことを知って、彼女(ラザラス)は変わっていくのよ」と語り、次に修道服の着用が複雑、かつ着ていて暑いなどの理由から「尼僧の役はごめんだわ」と笑って話した。「my god」のサビ直前にシスターたちが横を向くシーンでラザラスが逆に向くシーンは、もとはNGシーンである。
なお、ウィックスはコメンタリーで「シスター役は全部で15人はいたと思うわ」と話しているが、実際は17人いる。
ウィックスは当時の演者のなかで最年長の81歳である。
メアリー・アルマ(Mary Alma)[注 6]
演:ローズ・パーレンティイタリア語版
聖キャサリン修道院のシスターのひとりで、ピアノを弾く担当で補聴器をつけた、比較的小柄な年配のシスター。補聴器は片一方のイヤホン部分に本体が繋がり、それを胸元に付けるタイプのものを左耳につけている。デロリスには最初以外、アルマと呼ばれる。
ピアノ伴奏の担当だが、耳が遠いために補聴器が必須であるが、たびたびスイッチを入れ忘れる[注 7]
デロリスのアレンジした聖歌を気に入り、デロリスが指揮者になる以前よりも活き活きとしたピアノ演奏を披露するようになる。
ピアノは長年弾いているだけはある巧さで、弾いている際は可愛らしく楽しげな笑顔である[注 8]。初期段階から楽しくピアノを弾きたいという考えと今の聖歌隊を嫌う部分があったため、最初から終わりの部分をテンポ良く奏でたうえで最初の少しと最後以外、弾くのを放棄していた。デロリスとそのアレンジした曲を非常に気に入り、普通に弾くときよりもより楽しげで良い笑顔になる。修道院長に「通常の賛美歌と(デロリスがアレンジした)前衛的な賛美歌」の多数決の際には、「前衛的な賛美歌」で真っ先に手を挙げる。
I will follow Him 内では、数秒ながらも手元を見ずにピアノを弾きながらリズムをとり横にステップを踏むという高等技術を見せる(演じた当時のパーレンティの年齢はラザラス役のウィックスに次ぐ80歳)。
エディー・サウザー(サウザー警部補)(Eddie Souther / Lieutenant Souther)
演:ビル・ナン
事件の捜査とデロリスの警護を担当する警部補。優しく曲がったことが嫌いで正義感にあふれる一方、かなりの猪突猛進型。内通者を見抜く頭の回転と勘の良さをもつ。職務に忠実な性格で、保護を担当した人物を守り抜こうとする意志が強く、その思いから強い口調になったり、度がすぎて暴言を吐くこともある。
デロリスは鏡張りの壁を拳銃でぶち抜き、壁越しにヴィンスを狙撃するという強引な手段で駆けつけてきたエディーに対し「人を警護するよりも攻撃の方が得意ね」と皮肉る。
サウザー警部補を演じたナンはコメンタリーで「演じたサウザーの台詞に面白い台詞がなかったのが不満だったんだ」と笑って話した。
オハラ司教(Bishop O'Hara)
演:ジョゼフ・メイハー
聖キャサリン修道院の司教。性格は穏やかで優しく、保守的な考え方に固執しない柔軟さも持ちあわせており、賛美歌をモータウン風(ゴスペル風)に勝手にアレンジしたデロリスに対して怒ることなく「こんな楽しい礼拝は何年ぶりでしょう、とても新鮮で胸が震えました」「次の礼拝が待ち遠しい」と嬉しそうに褒める。
法王が聖歌隊の評判を聞きつけ、日曜夜の御閲覧を行なう際には、かなり嬉しそうに落ち着かない様子を見せ、その話をもったいぶったため、ラザラスに「焦らさないで」と言われる。
ジョーイ(Joey)
演:ロバート・ミランダ
ヴィンスの部下。
裏切り者を容赦なく始末する非情さをもつが、小心で信心深い一面もあり、追い詰めたデロリスに対し「尼僧は撃てない」と躊躇する。
死を前に自分たちの行いの罪深さを許すよう必死で神に祈るデロリスの様子に感化され、一緒に祈った隙に股間を殴られて逃げられる。
ウィリー(Willy)
演:リチャード・ポートナウ
ヴィンスの部下。
ジョーイ同様、小心かつ敬虔で、尼僧に対し銃を向けられない。
聖キャサリン修道院聖歌隊のシスターたち[注 9]
演:スーザン・ジョンソン英語版スーザン・ブロウニング英語版エディス・ディアス英語版ダーリーン・コルデンホーヴェン英語版ベス・ファウラー英語版プルーデンス・ライト・ホームズカルメン・サパタパット・クロフォード・ブラウン英語版エレン・アルバーティーニ・ダウ英語版、シェリ・イザード、ジョージア・クレイトン、ルース・コバルト英語版
聖キャサリン修道院における聖歌隊のシスターたち。年齢層は中年から老年くらい。
最初こそ生真面目で固い雰囲気だが、デロリスが指揮者として着任してからは、みな見違えるように活き活きとした姿を見せるようになる。
ルース・コバルト演じる、ベースパートの白枠眼鏡のラザラスと同じぐらいに長身の年老いたシスターがシスター・メアリー・イグネイシャス(Sister Mary Ignatius)[注 10]、カルメン・サパタ演じる、ソプラノパートのイグネイシャスに少し似た顔立ちの、度の強いふちなし丸眼鏡をかけた比較的長身の落ち着いたシスターがシスター・メアリー・エマニエル(Sister Mary Emmanue)と名前がそれぞれ出る[注 11]
聖歌隊の初期段階ではパートごとに並ぶ基本すらできないうえ、それぞれが音程やテンポすら取れず[注 12]、さらには好き放題に歌っていて、ソロまでいるという(おもにパトリック[注 13])、自分たちでもはっきり自覚できるほどかなり酷い状況[注 14]だったが、ロバートのささやきからパトリックがデロリスに聖歌隊への助けを求めたのちに、全員がデロリスに期待を寄せて助けを求め、みるみるうちに聖歌隊が成長していくにつれ、歌う楽しさや喜び、素晴らしさを知り、より心から信頼を置くようになる。ロバートやパトリック、ラザラス同様にデロリスと親友となり固い絆で結ばれて心を開いていき、デロリスなしでは歌えないほどに心の支えにする[注 15]法王が観覧に際した際はそれぞれが多少葛藤するものの皆がデロリス側に恐る恐る挙手し[注 16]、全員が修道院長の方を見られなくなる。その後デロリスが誘拐され、修道院長の口から語られたデロリスの素性を知った際は全員が動揺し、エマニエルが「彼女は嘘を?」と話したりするが、デロリスとの今までの経緯に加えてロバートやパトリック、ラザラスの言葉にさらに感化され、デロリスへの強い絆から助けに行こうと修道院長にそれぞれが言葉を発する。パトリックはもとより、デロリスに近い思考のイグネイシャスや、ネバダ州のリノが好きだと話すエディス・ディアス演じるシスターなどもいる。
ジョージア・クレイトン演じる底抜けに明るい笑顔が魅力的なこぶしを回すような歌声のソプラノパートの年老いたシスター、スーザン・B演じるアルトパートの少し厳しそうにも見えるふくよかな中年シスター、エレン・アルバーティーニ・ダウ演じる一番小柄だが非常に身軽な可愛い声のソプラノパートの年長シスター(エレンは当時79歳で、ラザラス役のウィックス、アルマ役のパーレンティに次ぐ年齢)、パット・クロフォード・ブラウン演じる三番目に小柄で胴縁の楕円眼鏡のベースパートの車が修理出来るハイスペックな左利きの年老いたシスター(なお、オイルが顔にクリーンヒットする方)、プルーデンス・ライト・ホルムズ演じるソプラノパートの若めだが暗めに見える比較的に小柄で一際小顔な銀の腕時計をつけている可愛い声の左利きの中年シスター、シェリ・イザード演じる表情がパトリックに負けないほど豊かなアルトパートの左利きで丸眼鏡に丸顔のシスター内では若めのシスターなど、台詞が少ないまたはないにもかかわらず、非常に個性豊かである。
なお、シスターたちを演じたキャストはバランスと、何よりも「個性」を最重視して選ばれ、アルドリーノ監督やラザラス役のウィックスはシスター役の彼女たちを「それぞれが際立った個性の持ち主」と話している。
シスターを演じたキャストは女優が多いが、ずらして眼鏡をかけた車修理ができる器用なベースパートの2列目右端のシスターを演じたスーザン・ジョンソンや、シスター1の長身でタンバリン担当シスターを演じたダーリーン・コルデンホーヴェン、2列目右から三番目のポジションのシスターのベス・ファウラー、シスター・メアリー・イグナティウス役のルース・コバルト(コバルトはオペラ経験もある)など、女優と歌手を両立しているキャストも多い。
タンバリンのシスターことダーリーン・コルデンホーヴェンは声楽教師でもあるため、作中の歌のコーチを請け負っており、エンディングクレジットにも表記されている。
二番目に小柄で丸っこい体格のシスターを演じたエディス・ディアスは歌手ではないが、シスター内での歌唱力は高い。また、エディス演じるシスターは初期段階ではアルトパートで挙手していたが、歌う時にはソプラノパートに変わっている。ディアス演じるシスターはネバダ州のリノが大好き(字幕では憧れのリノ)。
ベス・ファウラーが演じたチャーミングなシスターは Hail Holy Queen の楽曲のなかにおいて、賛美歌部分ではアルトパートを、アレンジされた賛美歌ではベースパートを歌っている(ほかにも、腕時計が現れたり消えたりしている)。
ローマ法王(聖ヨハネ・パウロ2世
演:ジーン・グレイタック
聖キャサリン修道院の聖歌隊の話題を耳にし、サンフランシスコに来るついでに礼拝に臨席する。聖歌隊の素晴らしさについリズムに乗り、あまりの素晴らしさに観覧客らとともにスタンディングオベーションをする。
演じたジーン・グレイタックは法王に似ていることで有名で、ラザラスを演じたウィックスは「本当にそっくりだったわ」「仕草や手つきなどが堂に入っていたわ」と話している。
グレイタック本人は「見た時に自分と瓜二つだと思ったんだ」と話し、「法衣を着ると皆が僕に『お会いできて光栄です』と言うんだ」という。グレイタックはこの作品以外でも法王の役を演じている。

製作

日本語吹替

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 日本テレビ[注 17]
デロリス・ヴァン・カルティエ
シスター・マリア・クラレンス
ウーピー・ゴールドバーグ 後藤加代 中村晃子
ヴィンス・ラ・ロッカ ハーヴェイ・カイテル 堀勝之祐
修道院長 マギー・スミス 京田尚子 藤波京子
メアリー・パトリック キャシー・ナジミー 信沢三恵子 さとうあい
メアリー・ロバート ウェンディ・マッケナ 石川悦子 矢島晶子
メアリー・ラザラス メアリー・ウィックス 牧野和子 河村久子
エディー・サウザー ビル・ナン 西村知道 玄田哲章
ジョーイ ロバート・ミランダ 山下啓介 西村知道
ウィリー リチャード・ポートナウ 曽我部和恭 千田光男
オハラ牧師 ジョセフ・マーハー 小林修
テイト ガイ・ボイド 筈見純
デロリス(幼少時代) アイシス・カーメン・ジョーンズ 押谷芽衣
日本語版スタッフ
演出 谷清次 木村絵理子
翻訳 いずみつかさ 徐賀世子
調整 伊藤恭介 山田均
録音 スタジオ・エコー セントラル録音
監修 岡本企美子
担当 稲毛弘之
プロデューサー 大塚恭司
プロデューサー補 小林三紀子
制作 DISNEY CHARACTER
VOICES INTERNATIONAL, INC.
東北新社
初回放送 2012年2月11日
BS日テレ
『プレシャスタイム』
1996年4月26日
金曜ロードショー

地上波放送履歴

回数 テレビ局 番組名 放送日 視聴率 吹替版 出典
初回 日本テレビ 金曜ロードショー
金曜ロードSHOW!
1996年4月26日 日本テレビ版
2回目 1998年9月11日 18.1%
3回目 2000年7月21日 16.7%
4回目 2004年8月6日 12.5%
5回目 2010年1月22日 13.5% [4]
6回目 2020年5月15日 15.2% ソフト版 [5]

挿入曲

ミュージカル版

映画公開から19年後の2011年に本作がブロードウェイミュージカル化された。プロデューサーは映画版の主演を務めたウーピー・ゴールドバーグが、音楽は『リトル・マーメイド』や『アラジン』などのディズニーミュージカルアニメ作品を作曲したアラン・メンケンが担当している。ストーリーの大筋と登場人物は映画版を踏襲してはいるが、楽曲はすべて書き下ろしであり、映画版での挿入曲は使用されていない。

2014年6月1日[6]、日本上演[7]。2014年8月3日、千秋楽。2016年5月22日 - 6月20日再演[7]。2019年11月~12月再演。

脚注

注釈

  1. ^ メアリ、メアリーと読むが伸ばすかどうかは好みなどで変わる。
  2. ^ マリーにおいてもmarryやMarie、Marrieなどいくつか綴りがある。
  3. ^ なお、Mary(メアリー)はこの聖母マリアの名前から派生した名前となる。
  4. ^ 修道会によって違いはあるものの、誓願を受ける前の修練者・志願者がほかのシスターと違う服装をしていることが多い。
  5. ^ ピーカンは胡桃(クルミ)の1種。
  6. ^ サウンドトラックの歌詞カード内における収録曲「shout」の歌詞中では「Sister Allen(シスター・アレン)」と誤記されている。
  7. ^ 初期の練習ではパトリックのハイパワーボイスを聞かないように自分で切って補聴器をいじっているシーンがある。
  8. ^ ただし、初期段階の調律されていない状態のピアノを弾いている際は苦い、嫌そうな表情をして補聴器を塞ぐようなそぶりをする。
  9. ^ 和訳では聖歌隊の修道女、英語ではChoir Nun。
  10. ^ Ignatiusはもとはラテン語の名前であるために読み方がふたつあり、修道院長はイグネイシャスと呼ぶが、字幕ではイグナティウスになっている。
  11. ^ イグネイシャス(イグナティウス)はデロリスを助けに行った際にリノのカジノでいつの間にかスロットをし、修道院長がそれを叱った際に名前を呼ばれる。エマニエルの名前は修道院長が神父の修道院長に助けに行く旨を伝えるよう指示した際に名前を(早口に)呼ぶが、字幕には出ない。
  12. ^ ジョージア・クレイトン演じる底抜けに明るい笑顔の中年シスターはあまりにもリズムが取れず、2回も歌詞を先走る。
  13. ^ パトリックのあまりの声量とハイトーンに、シスター・エマニエルは顔を苦みばしらせ、シスター・イグネイシャスさ顔をかなりしかめて空いている手で耳を塞ぐ仕草をする。
  14. ^ デロリスが言葉巧みに言いくるめながら、なんとか彼女たちの音感音程を矯正して、やっと和音で歌えるようになったとパトリックが言う。
  15. ^ ロバートの「彼女無しじゃ歌えない!」という言葉に全員が「無理よ!」という表情になり強く首を横に振る。
  16. ^ エマニエルは修道院長を慮って修道院長側にも挙手する。
  17. ^ ただし、2020年5月15日の『金曜ロードSHOW!』ではソフト版の吹替が放送された。

出典

外部リンク