みなもと太郎
みなもと 太郎 | |
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本名 |
浦 源太郎 (うら げんたろう) |
生誕 |
1947年3月2日(77歳) 日本、京都府京都市、現北区 |
国籍 | 日本 |
職業 | 漫画家 |
活動期間 | 1967年 - |
代表作 |
『ホモホモ7』 『風雲児たち』 |
受賞 | 『風雲児たち』で 2004年第8回「手塚治虫文化賞・特別賞」を受賞。『風雲児たち』で2020年第49回日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞。 |
みなもと 太郎(みなもと たろう、1947年(昭和22年)3月2日[1] - )は、日本の漫画家。京都府[1]京都市出身。本名は浦 源太郎(うら げんたろう)。ペンネームは本名の「源」を読み替えたもの。代表作は『ホモホモ7』『風雲児たち』。
来歴
京都市の現・北区(当時は上京区から分区以前)に生まれる。常に走り回っていたような落ち着きがない子供であったが、2歳の頃にマンガに触れて絵を描き始め[2][3]、中学校では3年間授業中ほとんど漫画を描いていた[2]。京都市立日吉ヶ丘高校美術課程に入学。当時漫画家になる事を反対していた姉から大学への進学を強硬に勧められたものの、当時マンガ家デビューは20歳までと相場が決まっていた他、美術大学では漫画への理解がないと知り絶望視していたが、高校1年の頃に姉が死去。当時の心境を「悲しいけれども、『マンガ家への道はこれで拓けるかもしれない』と思った」と回顧している[2]。また在学中、京都の撮影所で映画の仕出しのアルバイトで時代劇や『アゴン』[注 1]等に出演している。
卒業後[1]、呉服商の悉皆屋でデザイナーとして勤務するも、3か月で退職し東京へ転居。偶然知り合った平塚らいてうの孫の自宅に居候しながら、出版社との契約や写植など漫画家になるための方法を尋ねるため、各出版社や白土三平、一峰大二、貝塚ひろし、水野英子、石ノ森章太郎、あすなひろし、ちばてつや、藤子不二雄、つのだじろう、赤塚不二夫、水木しげるなどの漫画家の自宅を1か月間訪問して回った。ただし、手塚治虫の自宅へは怖くて行けなかったという[2]。1967年9月、『別冊りぼん秋の号』に掲載された『兄貴かんぱい』でメジャーデビュー[1]。
1970年、『週刊少年マガジン』(講談社)で連載が始まった前衛的ギャグ漫画『ホモホモ7』が高い人気を得る。1979年、『コミックトム』(潮出版社)連載『風雲児たち』で歴史漫画家としての作風を確立し、以降、歴史漫画を主に執筆する。
デビュー当初から商業誌で活躍するかたわら、創作集団「作画グループ」のメンバーとして、作品を発表し続けている。
2020年、『風雲児たち』が第49回日本漫画家協会賞コミック部門大賞受賞[5]。
人物
絵柄は基本的には典型的なギャグ漫画家らしいディフォルメ、かつ単純化されたものであるが、劇画調や少女漫画調、アニメ絵調の作画もでき、それらを同一漫画内で描き分ける。特に女性登場人物については少女漫画調に描くのが普通であり「女性を描く際は男性よりも10倍時間をかける」との事である。また、男性キャラについては、外見が同一のキャラクターが複数作品に登場する「スターシステム」と呼ばれる手法を採用している。具体的には、『レ・ミゼラブル』のマリウスと『風雲児たち』の吉田松陰や『ホモホモ7』の主人公と坂本龍馬などがその例である。
「おたく文化は世界に通じる」との持論から、50歳を過ぎてコミックマーケットに参加。アニメ絵のきわどい女性イラストを雑誌に載せたり自費出版するなどしている。
彼が惚れ込んでいた漫画家・あすなひろし作品の再評価と普及に力を注いでいる。ながやす巧のファンでもあり、ながやすの画業45周年を記念した作品集には解説を寄稿し、ながやすの執筆する『壬生義士伝』では新選組隊士に「源太郎」の名前が出るシーンがある。
『人類み〜んな「十界論」』(第三文明社)では、創価学会員である事を語り、同著含む複数の著書に教義を解説する漫画を書いていたが、解説漫画のために教義を調べるうちに、創価学会や公明党の活動と日蓮宗の教義に矛盾を感じるようになり、現在は創価学会関係の創作は行っていない。
和田誠の映画の名ゼリフについての作品『お楽しみはこれからだ 映画の名セリフ』をもじった「お楽しみはこれもなのじゃ 漫画の名セリフ」を『月刊マンガ少年』(朝日ソノラマ)に連載した。
2004年第8回「手塚治虫文化賞・特別賞」を受賞。受賞内容は『歴史マンガの新境地開拓とマンガ文化への貢献に対して』のものであり、代表作『風雲児たち』の業績を評価された故の受賞である。2010年には『風雲児たち 幕末編』で第14回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。2020年、『風雲児たち』で第49回日本漫画家協会賞大賞を受賞[6]。
『VOW』の常連投稿人としても知られる。
歌手の加橋かつみ(元ザ・タイガース)とは幼馴染。また俳優の遠藤憲一とは近所で親交がある[7][8]。
祖父に漆原松吉という人物がおり、明石元二郎の部下として様々な諜報活動に従事し、若かりし頃の甘粕正彦を部下に持ち、親交を持つなどしていたらしいが、詳しい資料等はなく、みなもと太郎の母も高齢のため取材出来ず、真偽は不明となっている。のちに、この事を題材とした『松吉伝』を執筆している。
作品リスト
漫画
- 風雲児たち(1979年 - 、初出:潮出版社『月刊 コミックトム(廃刊)』→新版はリイド社でワイド版)
- 幕末を語るため、あえて関ヶ原合戦より描き始めた歴史ギャグ大長編。幕末直前まで長期連載された。
- ホモホモ7(1970年 - 1971年、初出:講談社『週刊少年マガジン』、ブッキングで新版刊行、2003年)
- どろぼうちゃんシリーズ(講談社『なかよし』)
- ハムレット(1972年、『希望の友』(潮出版社)[1972年冬号増刊]、原作:シェークスピア)
- シラノ・ド・ベルジュラック(潮出版社)(原作:エドモン・ロスタン)、世界名作劇場
- 乞食王子(潮出版社)(原作:マーク・トゥエイン)、世界名作劇場
- レ・ミゼラブル(1973年 - 1974年、『希望の友』(潮出版社)、ブッキングで新版、2004年)、原作:ヴィクトル・ユーゴー)
- モンテ・クリスト伯(1972年、講談社『週刊少年マガジン』)、原作:アレクサンドル=デュマ)
- 冗談新選組(1972年、講談社『週刊少年マガジン』 単行本はイースト・プレス)[注 2]。復刊ドットコムで新版(2015年)
- 男の劇場(平凡出版『平凡パンチ』)
- むこうきずのチョンボ(講談社『月刊少年マガジン』)
- 未来ケンジくん(聖教新聞社)
- 「豊くんの仏法セミナー」シリーズ(第三文明社、1992年)
- 天魔3000年
- 修羅の正体!!
- 人類み〜んな「十界論」
- 「仏法おじさん」(聖教新聞社)
- 「教学博士」(聖教新聞社)
- とんでも先生(学習研究社『五年の学習』)
- じたばたばーちゃん(学習研究社『五年の学習』)
- こちらダイヤル100交番(小学館『小学五年生』)
- 挑戦者たち(少年画報社『斬鬼』)
- 風雲戦国伝 風雲児たち外伝(PHP研究所)
- 戦国武将を扱った複数の短編を一冊にまとめたもの。
- 松吉伝(少年画報社『斬鬼』)
- 『挑戦者たち』の続編として執筆された作品。作者の祖父である漆原松吉を題材にしている。単行本化する前に掲載誌が廃刊となってしまったが、同人誌として自費出版され、コミックマーケット等のイベントや通販で販売している。
- 風雲児外外伝 松吉伝(復刻ドットコム)
- 『松吉伝』の復刻単行本。1巻・2巻を一冊に合本し商業誌として刊行された。
- 元祖日本漫画大辞典(SG企画『GROUP』)
- あどべんちゃあ(モーターマガジン社『ホリデーオート』)
- 老け顔の「フケタ先輩」とカールおじさんのような風貌の「大口後輩」がナンパをしては失敗するという話がメインの一話完結方式の漫画。
- さすらいのむこうきず
- きゃんぱす伝
- 極悪伝(1981 - 1985年、辰巳出版『漫画ピラニア』、単行本はマガジン・ファイブ)
作画グループ合作
- アキラ・ミオ大漂流(『週刊少年マガジン』、単行本は新書館『超人ロック 新世界戦隊』との合本)
- 合作第1弾。主要人物ハヤトおよび脚本・監修を担当。ハヤトの作画は劇画調のリアルタイプ。
- ダリウスの風(『少女コミック』、単行本は新書館)
- 高地族部下および監修を担当。
- 1000万人の2人(週刊少年キング、少年画報社)
- 怪盗スカイラーク -華麗な冒険- (SF漫画競作大全集、東京三世社)
- 合作リレー漫画。主要人物のスカイラークとヘルパーパタパタに、終盤を担当したみなもとは「お前達二人は合作のガンじゃ」[注 3]と苦言を浴びせている。
- ベレヌスのロビン(SG企画『GROUP』)
- じいやを担当。第一部『炎の伝説』、第二部『炎の戦士』ともに参加。
- 炎のじいや(SG企画『GROUP』)
- 『ベレヌスのロビン 炎の伝説』の外伝。
イラスト
評論
- お楽しみはこれもなのじゃ
- 仁義なき忠臣蔵(新人物往来社 1999年) イースト・プレス。新版は『冗談新選組』に収録
- まんが学特講 目からウロコの戦後まんが史(角川学芸出版、2010年)、大塚英志との共著
- マンガの歴史(1)(岩崎書店〈岩崎調べる学習新書〉、2017年) 。続刊予定
アニメ
出演
- 風雲児たち〜蘭学革命(れぼりゅうし)篇〜(2018年) - 寛三 役[10]
関連人物
- 坂本ハヤト
- 弟子。コミックマーケットの参加にあたっては、みなもとの方が坂本に色々と教わっている。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e 『冗談新選組』(イースト・プレス)著者紹介より。
- ^ a b c d “みなもと太郎先生ロングインタビュー〜悲しくはあったけれども、姉が亡くならなければマンガ家にはなれていなかったかもしれない〜”. 岩崎書店のブログ. 2018年3月30日閲覧。
- ^ “コミケ大好き70歳大御所漫画家 代表作ドラマ化で出演も、悩み事が…”. Aera. 2018年3月30日閲覧。
- ^ 『挑戦者たち 増補改訂版』P.42。
- ^ 2020年度 第49回日本漫画家協会賞 発表 日本漫画家協会、2020年9月17日
- ^ “日本漫画家協会賞、みなもと太郎さんらに大賞”. SANSPO.COM (産経デジタル). (2020年9月18日) 2020年9月18日閲覧。
- ^ “遠藤憲一が告白「29歳の頃の月給は8万円だった」”. NewsWalker. (2016年2月15日) 2018年3月31日閲覧。
- ^ “遠藤憲一“強面”なのにプライベートではめちゃ優しい 公園で戸惑う家族救う”. エキサイトニュース. (2017年8月8日) 2018年3月31日閲覧。
- ^ “大江戸ロケット”. マッドハウス. 2016年5月22日閲覧。
- ^ “正月時代劇『風雲児たち』クランクインしました。実は...この方も登場します。”. NHK (2017年11月10日). 2017年11月11日閲覧。