嘉数送信所
嘉数送信所(かかずそうしんじょ)は、沖縄県豊見城市字嘉数にある、県内の民間放送局である琉球放送(RBC)のテレビ放送とAMラジオ放送、並びに琉球朝日放送(QAB)のテレビ放送の送信所である。
概要
元々はRBCが、前身となる「琉球の声」時代の1953年ラジオ送信所として開設(当時は英語放送も併設)、1960年にアナログテレビ・AMラジオ兼用の放送所として設けたもの[1]だったが、RBCは1985年6月、アナログテレビの送信所を当時のNHK沖縄放送局[2]に移し、以後10年間はAMラジオのみの送信所だった。
しかし1995年10月、AMラジオが5kWから10kWに増力されたのに加え、RBCも支援したQABが開局したことから、再びテレビ・AMラジオ兼用の送信所となった(全国のテレビ・AMラジオ兼用の送信所では唯一、AM波とUHF波の一体型)[3][4]。その際、AMラジオの送信塔は全国的にも珍しい自立鉄塔式に変更された[5][6][7]。そして、デジタルテレビ放送の開局に際しては、すでにアナログテレビ放送を行っているQABのUHFアンテナ[8]と既存のRBCiラジオ・QABアナログテレビの送信局舎をそのまま使用して、QABのデジタルテレビ放送に加え、RBCも21年ぶりにテレビ送信所をここに戻した(デジタルのみ。アナログは2011年7月24日の放送終了までNHKの施設のまま残存していた)。ちなみにAMラジオと地上アナログ・デジタルテレビジョン放送を一括して同じ送信所から出しているのは全国的に見ても親局ではここだけである。そのため、2011年7月24日のアナログテレビ放送終了以降は親局としては全国で唯一のテレビ・AMラジオ兼用の送信所となる(中継局も含めるとRSK山陽放送の笠岡中継局や南海放送の大洲中継局もあてはまる)。また2017年にはRBCiラジオのFM補完中継局(ワイドFM)の送信所も設けられた。
送信所の保守管理はRBCのデジタルテレビ・AMラジオ放送だけでなく、QABのアナログ・デジタルテレビ放送もRBCで受け持っている。これはQABがコスト削減の目的などからアナウンス・報道取材・一部の営業関係以外の放送業務をすべてRBCに委託しているためである。
地上デジタルテレビ放送に先駆けて、1999年〜2004年には沖縄地上デジタル放送研究開発支援センターが放送実験用の送信所として使用した(中継局は今帰仁テレビ・FM中継局と久米島中継局)。その実験用に使用していたUHFアンテナは後にRBC・QABのデジタルテレビ送信用として使用していたが、デジタル完全移行後はQABのアナログ放送を行っていたUHFアンテナをそのまま転用する形でRBC・QAB共用の地上デジタル放送の送信アンテナとして使用し、それまで使用していた放送実験用時代からのUHFアンテナは撤去された。
テレビジョン放送送信設備
地上デジタルテレビジョン放送送信設備
ID | 放送局名 | コールサイン | 物理 チャンネル |
空中線 電力 |
ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3 | RBC 琉球放送 |
JORR-DTV | 14 | 1kW | 18.5kW | 沖縄県 | 約38万世帯 |
5 | QAB 琉球朝日放送 |
JORY-DTV | 16 | 18kW | |||
地上 D238 |
RBC Gガイド |
なし | 14 | 18.5kW |
- NHK沖縄放送局(ID 1,2)とOTV沖縄テレビ放送(8)は豊見城市字高安にある豊見城高安テレビ・FM放送所(NHK沖縄放送局跡地)から送信している。
歴史
地上アナログテレビジョン放送送信設備
チャンネル | 放送局名 | コールサイン | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
---|---|---|---|---|---|---|
28 | QAB 琉球朝日放送 |
JORY-TV | 映像10kW/ 音声2.5kW |
映像200kW/ 音声50kW |
沖縄県 | 不明 |
ラジオ放送送信設備
AMラジオ放送送信設備
周波数 (kHz) |
放送局名 | コールサイン | 空中線電力 | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
---|---|---|---|---|---|
738 | RBC琉球放送 (RBCiラジオ) |
JORR | 10kW | 沖縄県 | 不明 |
FMラジオ放送送信設備
周波数 (MHz) |
放送局名 | コールサイン | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域 内世帯数 |
開局日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
92.1 | RBC琉球放送 (RBCiラジオ) |
(RBC那覇FM) | 1kW | 7.4kW | 沖縄県 | 46万6623世帯 | 2017年12月16日 |
脚注
- ^ 当時、支線式を採用していたNHK金沢放送局と北陸放送(MRO)が、ラジオアンテナの上にテレビアンテナを併設する方式だったため、それを真似たものであった。なお、当初那覇市首里崎山町にあった沖縄テレビ放送(OTV)の送信所にテレビ単独で併設の案もあった。
- ^ 現在放送会館は那覇市おもろまち(那覇新都心)に移転し、送信所機能のみ残る。
- ^ 落成は1995年9月16日。当初はRBCのAMラジオ放送(RBCiラジオ)とQABのアナログテレビ放送の兼用送信所として運用開始。
- ^ テレビ・AMラジオ兼用の送信所は全国的に見ても数少なく、同地以外では北海道の北海道放送の旭川(東旭川送信所)、帯広(設置場所は幕別町)、釧路、網走各局。札幌テレビ放送・STVラジオの旭川(東旭川送信所)、名寄、釧路、網走各局、NHK釧路放送局親局(FMも含む)、石川県のNHK金沢放送局親局、北陸放送(MRO)・エフエム石川共同使用の親局、静岡放送の浜松中継局、岡山県のRSK山陽放送の笠岡中継局、愛媛県の南海放送の大洲中継局に存在するのみ。山陽放送の笠岡中継局と南海放送の大洲中継局を除き、地上デジタルテレビジョン放送の電波発射は行われていないため2011年7月24日のアナログテレビ放送終了後はAMラジオ単独の送信所となる。
- ^ 本来月曜未明2:00〜5:00(日曜深夜26:00〜29:00)のみ放送休止をしているRBCiラジオは、鉄塔改良工事期間中の1995年3月(1回のみ)と6月下旬〜8月に限り土曜の24時間放送と土曜・日曜の深夜放送を休止、放送終了を25:00(深夜1:00)に繰り上げた(平日の24時間放送は継続、開始時間は通常通り5:00)。
- ^ また1998年に移転したラジオ沖縄(ROK)の大里放送所も自立鉄塔式である(移転前の送信所も元々沖縄テレビ放送(OTV)の送信所だったため自立式だった)。近年建設された沖縄県内のラジオ送信所が自立式になっているのは、台風銀座であることが大きな要因。
- ^ このような送信所は、北陸放送(MRO)金沢ラジオ送信所・山梨放送(YBS)甲府ラジオ送信所・京都放送(KBS京都)京都ラジオ送信所・ラジオ関西(CRK)神戸送信所・中国放送(RCC)広島ラジオ送信所・ラジオ沖縄(ROK)那覇送信所などがある。
- ^ 実際は沖縄地上デジタル放送研究開発支援センターが放送実験用に使用していたもの。
関連項目
外部リンク
- 県内全民放局の地上デジタルテレビジョン放送局に予備免許を交付 - 総務省沖縄総合通信事務所(2005年11月15日プレスリリース・平成17年度報道資料)(2009年10月21日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- 民放3社に地上デジタル放送局の免許 - 12月1日から放送開始予定 - 総務省沖縄総合通信事務所(2006年11月29日プレスリリース・平成18年度報道資料)(2009年10月21日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
- AMラジオ放送のFM補完中継局に免許~ いよいよ ワイドFM開局 ~ - 総務省沖縄総合通信事務所・2017年12月15日リリース
- 免許の概要 (PDF) - 上記リリースの別紙
座標: 北緯26度11分9.5秒 東経127度42分4.3秒 / 北緯26.185972度 東経127.701194度