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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ハングル字母
基本字母
合成字母
古字母

は、ハングルを構成する子音字母のひとつ。現在は使用されない古いハングル字母であり、の下にを加えることで作られている。呼称はギョンビウ경비읍、軽ビウ)、スンギョンウムビウ순경음 비읍、唇軽音のビウ)もしくはガビョウンビウ가벼운비읍、軽いビウ)である。唇軽音と呼ばれる音を表す字母の一つであり、他に があるが、朝鮮語固有の音韻表記に用いられたのはこの字母のみである。音韻変化により世祖15世紀中葉)以降には使われなくなった。

音韻

この字母は訓民正音初声体系の字母に入れられていないものの実質上、朝鮮語固有の子音を表すものとして初声に用いられた。ただし、その現れる条件が決まっており、必ず有声音と有声音の間に置かれた。その音価は[β]であったと推定されている[1]

この音はその後、[w](すなわち오, 우)へと変化した。例えば現在の韓国の首都「서울ソウル)」も「셔ᄫᅳᆯ(ショブル)」から変化したものである。また現代文法で不規則動詞が母音の前で/w/系の音になるのも、当時、語幹の母音に挟まれてとなっていたことに由来している。(곱+아고ᄫᅡ고와)。[2]

字形

訓民正音』本文では唇音字(すなわち )の下に喉音を組み合わせることを連書と呼び、連書によって作られた字母ㅸ ㆄ ㅹ ㅱは唇軽音を表すとしている。これは『訓民正音解例』制字解によると唇同士は軽くさっと触れるだけで喉音の要素が多い音であるからという。このうち実際の朝鮮語の表記に用いられたのはのみで、あとは漢字音や中国語音表記に用いられた。そのほかの連書として『解例』合字解に半舌音に対する半舌軽音が設けられているが、実際に使われた用例はない。

復活

2009年インドネシアチアチア族の言語チアチア語を表記するときにハングルが使用されることが決定した。その時の[v]の音節を表すときに、このが用いられることとなった。だが、バウバウ市長のアミルル・タミン (Amirul Tamim) がハングルの普及に十分努めなかったため、チアチア語に公式に採用されているとは言えない。

文字コード

Unicodeにおける文字コード
名称 種類 コード HTML実体参照コード 表示
HANGUL LETTER GABYEOUNBIEUP 単体字 U+3178 ㅸ
HANGUL CHOSEONG GABYEOUNBIEUP 初声用 U+112B ᄫ
HANGUL JONGSEONG GABYEOUNBIEUP 終声用 U+11E6 ᇦ

脚注

  1. ^ 小学館・金星出版社 編『朝鮮語辞典』(初版第16刷)小学館、2005年。ISBN 4095157011。「『가벼운-비읍』の項」 
  2. ^ 石橋道秀 訳『中世韓国語文法 —15世紀語を主として—花書院、福岡市〈比較社会文化叢書II〉、2006年(原著1981年)、9-12頁。ISBN 4938910861。「【15】また、‘ㅸ’音の変化状態から、副詞のみを除きほぼ次の公式が成り立つ。
    (1) ᄫᅡ>: 例: 고ᄫᅡ(麗)>고와  도ᄫᅡ(助)>도와  갓가ᄫᅡ(近)>갓가와
    (2) ᄫᅥ>: 例: 더ᄫᅥ(暑)>더워  어드ᄫᅥ(暗)>어드워  어려ᄫᅥ(難)>어려워
    (3) ᄫᅩ>: 例: 도ᄫᅩᆷ(助)>도옴  듣ᄌᆞᄫᅩ미(聞)>듣ᄌᆞ오미  ᄂᆞᆺ가ᄫᅩᆷ(低,賎)>ᄂᆞᆺ가옴
    (4) ᄫᅮ>: 例: 누ᄫᅮᆷ(臥)>누움  더러ᄫᅮᆷ(汚)>더러움  부드러ᄫᅮᆯ(柔)>부드러울
    (5) ᄫᅳ>우: 例: 셔ᄫᅳᆯ(京)>셔울  더ᄫᅳᆫ(暑)>더운  입시ᄫᅳᆯ(唇)>입시울 〔後略〕