コンテンツにスキップ

イッツ・オールライト・マ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。122.196.85.119 (会話) による 2021年4月9日 (金) 12:54個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (概要)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

イッツ・オールライト・マ
ボブ・ディラン楽曲
収録アルバムブリンギング・イット・オール・バック・ホーム
リリース1965年3月22日
録音ニューヨーク、コロムビア・レコーディング・スタジオ(1965年1月15日)
ジャンルフォーク
時間7分29秒
レーベルコロムビア・レコード
作詞者ボブ・ディラン
作曲者ボブ・ディラン
プロデューストム・ウィルソン
ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム 収録曲
Side 1
  1. サブタレニアン・ホームシック・ブルース
  2. シー・ビロングズ・トゥ・ミー
  3. 「マギーズ・ファーム」
  4. 「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」
  5. 「アウトロー・ブルース」
  6. 「オン・ザ・ロード・アゲイン」
  7. 「ボブ・ディランの115番目の夢」
Side 2
  1. ミスター・タンブリン・マン
  2. 「エデンの門」
  3. イッツ・オールライト・マ
  4. イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー
ミュージックビデオ
「It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)」 - YouTube

イッツ・オールライト・マ」(It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding))は、ボブ・ディランが1965年に発表した楽曲。

概要

1964年夏に本作品は書かれた[1]。同年9月1日にフィラデルフィアのタウン・ホールで行ったコンサートで初めて披露された[2]

ミスター・タンブリン・マン」とともに時間をかけて練り直す予定でいたが、アルバム『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』の収録に間に合わせるため、1965年1月15日、ディランはニューヨークのコロムビア・レコーディング・スタジオに入った[3]。演奏は彼のアコースティックギターのみ。テイク1はミスをしたため1分ほどで録音を中止するが(このテイクは『The Bootleg Series Vol. 12: The Cutting Edge 1965–1966』に収録されている)、そのあと一回のテイクでディランはレコーディングを完成させた。『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』は同年3月22日に発売。

ディランの作品の中でも傑作の一つとされ、聴く者は歌い出しから、黙示録的なイメージの奔流にのみ込まれる[4]

Darkness at the break of noon
Shadows even the silver spoon
The handmade blade, the child's balloon
Eclipses both the sun and moon
To understand you know too soon
There is no sense in trying

— Bob Dylan, It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)[5]

批評家のアンディ・ギルは、モスクワ裁判スターリンの粛清を題材にしたアーサー・ケストラーの小説『真昼の暗黒』のタイトル(英題は「Darkness at Noon」)との関連性を指摘している[6]。また、「Although the masters make the rules / For the wise man and the fools」の一節は『旧約聖書』の「コヘレトの言葉」第2章の言葉と呼応している[7]

「大丈夫だよ、おふくろさん。僕はため息をついているだけさ」と歌われるが、タイトルの「僕は血を流しているだけだ(I'm Only Bleeding)」という言葉は歌詞には登場しない。

数多くのライブ・バージョンが存在する。『偉大なる復活』、『武道館』、『30〜トリビュート・コンサート』、『アット・フィルハーモニック・ホール』、『Bob Dylan – The Rolling Thunder Revue: The 1975 Live Recordings』などのアルバムで聴くことができる。また、ドキュメンタリー映画『ドント・ルック・バック』に演奏の場面がある。『偉大なる復活』に収録された1974年のライブ音源では、当時アメリカがウォーターゲート事件で揺れていた最中ということもあり、曲中の「アメリカ合衆国の大統領でさえ、時には裸で立たねばならない」の部分で大歓声が沸き起こる様子が確認される。

カバー・バージョン

脚注

  1. ^ Heylin, Clinton (2003). Bob Dylan: Behind the Shades Revisited. New York: HarperCollins Publishers Inc. pp. 169–170, 717. ISBN 0-06-052569-X 
  2. ^ Sep 1, 1964. Philadelphia, PA. Town Hall | The Official Bob Dylan Site
  3. ^ Still On The Road - Studio A Columbia Recording Studios New York City, New York 15 January 1965
  4. ^ Ruhlmann, William. “It's Alright, Ma (I'm Only Bleeding)”. AllMusic. 2010年7月17日閲覧。
  5. ^ It’s Alright, Ma (I’m Only Bleeding) | The Official Bob Dylan Site
  6. ^ Gill, Andy (1998). Don't Think Twice, It's All Right. Thunder Mountain Press. p. 76. ISBN 1-56025-185-9 
  7. ^ Rogovoy, Seth (2009). Bob Dylan: Prophet, Mystic, Poet. Scribner. pp. 84–86. ISBN 978-1-4165-5915-3 
  8. ^ Rogan, Johnny. (1998). The Byrds: Timeless Flight Revisited (2nd ed.). Rogan House. pp. 290–291. ISBN 0-9529540-1-X