コンテンツにスキップ

非協力ゲーム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

非協力ゲーム(ひきょうりょくゲーム、: noncooperative game)とは、プレイヤー間で拘束力のある合意が不可能なゲームを指す。

協力ゲームと非協力ゲームとの区別は「制度的なもの」であり、プレイヤーが拘束力のある合意を形成する制度的な枠組みがない場合、そのゲームは非協力ゲームである。

概要

[編集]

例えば、繰り返しゲームの場合には、このような制度的枠組みがなくても、暗黙の協力が生じることがあるが、このようなゲームも非協力ゲームに含まれる。

また、ゲームの中には2人以上のプレイヤーが同時に戦略を決定する戦略形ゲームと、2人以上のプレイヤーが交互に戦略を決定する展開形ゲームが存在する。展開形ゲームの中でプレイヤーが合意やコミットメントを形成することも非協力ゲームの中に含まれる。このように、協力行動も非協力ゲームの対象となり得る。

非協力ゲームでは、それぞれのプレイヤーは独立して戦略を形成する。非協力ゲームの解には2つの意味があり、1つはプレイヤーがいかに行動すべきかという指針を与える「規範的意味」、もう1つはプレイヤーが実際にどのように行動しているかを示す「記述的意味」である。

非協力ゲームにおける重要な均衡概念の1つに、ナッシュ均衡がある。

自己拘束的合意

[編集]

自己拘束的合意じここうそくてきごうい: self-enforcing agreementは合理的なプレイヤー間で一度結ばれると全プレイヤーが自発的に遵守し続けるという特性をもった合意である[1]。この特性を自己拘束的じここうそくてき: self-enforcingという[1]

合理的なプレイヤーは一度結んだ合意から逸脱することが自己利得の最大化に資するとき、外的拘束力が無ければ(= 協力ゲームでの拘束付き合意でなければ)合理的に判断して必ず逸脱する。すなわち非協力ゲームでは合意は一般に遵守されない。

しかし非協力ゲームでも遵守される合意が存在する。それは、合理的なプレイヤー間で一度結ばれるとそれらプレイヤーが「この合意を遵守し続けることが自己利得の最大化に資する」と合理的に判断するケースである。これは合意が外的拘束力ではなく合意内容自体の(自己的な)拘束力によって支えられていると言え、このようなタイプの合意を自己拘束的合意という。

自己拘束力の源は合意自体が合意を遵守するインセンティブを与える・合意から逸脱することへのディスインセンティブを与えるといった形が多い。

例えば二人・非協力・非零和戦略型ゲームではナッシュ均衡が自己拘束的になる(詳細は ナッシュ均衡#自己拘束的[2]

脚注

[編集]

注釈

[編集]

出典

[編集]
  1. 1 2 ひとたびその解が予測として与えられたならば,すべてのプレーヤーが自発的にその解によって与えられた戦略を選択するような状況 ... 自己拘束的 (self-enforcing) な状況(玉田 1996, pp. 9–10)
  2. 戦略型ゲームにおいて ... ナッシュ均衡は自己拘束的 ... な状況である.(玉田 1996, p. 10)

参考文献

[編集]
  • 「非協力ゲーム理論」,グレーヴァ香子(著),知泉書館,ISBN:978-4862851079, (2011).
  • 玉田, 康成 (1996). “情報とゲームの理論”. 三菱経済研究所 経済研究書. 三菱経済研究所. 1996 (36): 1–162.

関連項目

[編集]