クープマンモデル

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クープマンモデルとは、コロンビア大学の数学教授B・O・クープマンらがランチェスター法則に着眼し、これを研究して開発した軍事シミュレーションモデルのことである。

ランチェスター法則[編集]

ランチェスターの1次法則[編集]

のグラフ

初期条件:

は、A軍の武器性能
は、B軍の武器性能
はA軍の初期の兵員数
はB軍の初期の兵員数

上記の連立微分方程式の両辺にdtを掛けて、それぞれ積分して時間tでのA軍とB軍の残存戦力は以下のようになる。

tを消去すると ランチェスターの法則#一次法則の式になる。

ランチェスターの2次法則[編集]

のグラフ

初期条件:

は、A軍の武器性能
は、B軍の武器性能
はA軍の初期の兵員数
はB軍の初期の兵員数

上記の連立微分方程式を解析的に解くと、時間tでのA軍とB軍の残存戦力は以下のようになる

戦力の分割[編集]

敵の武器性能が互角()のとき、では、B軍が有利。
そこで、A軍が上手くB軍を分割させたとき、
B軍 =
分割割合
ランチェスターの法則#二次法則を利用して整理すると、 の時、A軍の勝利を納める事ができる。

ランチェスターの法則の一般化[編集]

a=2 b=2 c=1 d=1 P=2 Q=6 のグラフ

初期条件:

は、敵の攻撃によるA軍の戦闘要員減少
は、敵の攻撃によるB軍の戦闘要員減少
は、兵力の分割によるA軍の戦闘要員減少
は、兵力の分割によるB軍の戦闘要員減少
は、A軍の戦力増加(補給率)
は、B軍の戦力増加(補給率)
はA軍の初期の兵員数
はB軍の初期の兵員数

上記の連立微分方程式を解析的に解くと

ただし、

クープマンモデル(=ランチェスター戦略方程式)[編集]

戦力を戦術力と戦略力に分けている。戦術力とは、直接的な戦闘力のことである。戦略力とは、敵軍の後方にある敵国の軍事基地、軍需工場、物資や燃料の補給拠点などを攻撃し敵軍の戦争継続を困難にしてしまう間接的な戦闘力のことである。

ならば、戦術力:戦略力=1:2の配分が、戦力を最大化する

は、A軍の武器性能
は、B軍の武器性能
は、敵の攻撃によるA軍の戦闘要員減少
は、敵の攻撃によるB軍の戦闘要員減少
は、兵力の分割によるA軍の戦闘要員減少
は、兵力の分割によるB軍の戦闘要員減少
は、A軍の戦力増加(補給率)
は、B軍の戦力増加(補給率)
は、A軍の戦術用
は、A軍の戦略用
は、B軍の戦術用
は、B軍の戦略用

上の式から下の式を引き、A軍にゲーム理論のマクシミン原理、B軍にミニマックス原理をあてはめ、式を整理すると

ただし、

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]