阪急4050形電車

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正雀車庫に配置される4052

阪急4050形電車(はんきゅう4050がたでんしゃ)は、阪急電鉄1982年に導入した救援用の制御車である。

本項ではブレーキシステムと連結器を改造した4250形電車車両番号変更なし)についても記述する。

概要[編集]

1982年に登場した救援車で、老朽化した救援用電動貨車(420342084501)の代替[1]、また救援車の車種統一のため[2]、廃車となった920系969 - 972の車体を改造した両運転台式の制御貨車である[1]。出動の際は他の電車と連結する[2]

車両番号は4050 - 4053となり、西宮平井正雀の各車庫に配置された[3][2]

導入時の改造[編集]

種車は付随車だったため、運転台が新たに設置された。屋根上機器は全て撤去され、廃車発生品の前照灯パトライトが設置された。製造当初は黒一色の塗装だったが、各車庫への配属前に黄色の警戒帯が追加塗装された。

高架区間や橋梁上などでの作業の容易化を図るため、妻面には大型の内開き戸を設け、天井に設置されたレール式のチェーンブロックによる機材積み降ろしが可能な構造となっている[1]

導入以後の変遷[編集]

台車は種車のH50を装着していたが、後に全車ともアルストーム式のFS324Aへ換装され[3]方向幕を設置する改造も行われている[2]

当初は全車とも電磁直通ブレーキ(HSC)車で自動連結器を使用していたが、一部の車両は併結車両の関係から電気指令式ブレーキへの改造と密着連結器への交換が実施された[1]。この改造車は4250形に区分され、2012年時点で4050・4051・4053の3両が改造されているが、車両番号に変更はない[4]

1997年4月に車両としては除籍され[3][5]、各車庫の機材扱いとなった。

2023年10月1日終車後(10月2日未明)に桂車庫所属の4053が線路閉鎖のうえで、京都線所属の8300系8312F(6連)に牽引され、正雀に廃車のため回送された[要出典]。 その後4052・4053は廃車となり、正雀工場から解体場所まで輸送された。

配置[編集]

車番の「*」は4250形[4]

番号 配置 種車
4050* 西宮 969
4051* 平井 970
4052 正雀 971
4053* 972

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 『日本の私鉄 阪急』1998年、100頁。
  2. ^ a b c d 『私鉄の車両5 阪急電鉄』123頁。
  3. ^ a b c 山口益生『阪急電車』58頁。
  4. ^ a b 山口益生『阪急電車』235頁。
  5. ^ 篠原丞「阪急電鉄 現有車両プロフィール2010」『鉄道ピクトリアル』2010年8月号増刊、鉄道図書刊行会。279頁。

参考文献[編集]

  • 阪急電鉄・諸河久『カラーブックス 日本の私鉄 阪急』保育社、1998年。
  • 飯島巌『復刻版・私鉄の車両5 阪急電鉄』ネコ・パブリッシング、2002年。
  • 山口益生『阪急電車』JTBパブリッシング、2012年。