閖上

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閖上の東北地方太平洋沖地震前後の変化。
出典:『国土交通省「国土画像情報(カラー空中写真)」(配布元:国土地理院地図・空中写真閲覧サービス)

閖上(ゆりあげ)は、宮城県名取市海岸付近、名取川南岸の地名。旧・名取郡閖上町の一部。難読で知られ、閖は国字である。

由来[編集]

1697年仙台藩主・伊達綱村大年寺の落慶に参拝しての帰途、山門内からはるか東方に見えた波打つ浜を「あれは何というところか」と問うたところ、近侍のものが「『ゆりあげはま』にございます」と答えた。重ねて「文字はどう書くのか」と問うたところ、「文字はありません」と答えた。これを受けて綱村は、「門の内から水が見える故に、今後は門の中に水と書いて閖上と呼ぶように」と言い、仙台藩専用の「閖」という国字が出来た。また閖は、「揺れる(ゆれる)」に同じで、龍龕手鑑に同字がある[1][2]

歴史と文化[編集]

江戸時代には仙台藩直轄の港で、貞山運河を使って仙台に魚介類を売り、栄えた。半農半漁の地帯で、農民漁師の風習・言葉遣いが混在する地域だった。2011年の東日本大震災では、東北地方太平洋側の他地区と同様、津波で大きな被害を受けた。以前から閖上の文化などを調べていた郷土史家の大脇兵七が、避難した古老への聞き取りを継続。閖上地区の年中行事方言を『好きです閖上 ゆりあげの歳時記』『好きです閖上 なとりの言霊(名取の方言・訛語)』として自費出版した[3][4]

また閖上漁港で朝市が再開されるなど、復興や防災対策が進められている。

出典[編集]

  1. ^ 国字の字典、飛田良文監修、菅原義三編、東京堂出版、ISBN 978-4490102796
  2. ^ 名取市史、名取市役所庶務課
  3. ^ 津波犠牲者との誓い本に 閖上歳時記出版 - 『河北新報』2016年7月28日
  4. ^ 大脇兵七「閖上の文化 約束守り本に◇宮城・名取の被災漁村に残る方言や行事記録◇『日本経済新聞』朝刊2017年7月7日(文化面)