名取市

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なとりし
名取市
Natori montage.JPG
Flag of Natori Miyagi.JPG
名取市旗
Symbol of Natori, Miyagi.svg
名取市章
1959年昭和34年)10月1日制定
日本の旗 日本
地方 東北地方
都道府県 宮城県
団体コード 04207-2
面積 98.17km2
総人口 77,178
推計人口、2016年6月1日)
人口密度 786人/km2
隣接自治体 仙台市岩沼市柴田郡村田町
市の木 クロマツ
市の花 ハナモモ
名取市役所
所在地 981-1292
宮城県名取市増田字柳田80
北緯38度10分17.5秒東経140度53分30.5秒
Natori City Office.jpg
外部リンク 名取市役所

名取市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村

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名取市(なとりし)は、宮城県の中央南部の太平洋沿岸に位置する都市である。仙台市の南東に隣接しており、市内には仙台空港がある。

地理[編集]

上空から見た名取市沿岸部(2013年8月)。仙台湾沿いに貞山運河、写真右下に名取川河口と右岸の閖上市街地跡、右上に仙台東部道路名取IC、左上の仙台空港鉄道仙台空港線沿いになとりりんくうタウンなどが見える。

宮城県の南部に位置し、太平洋に面する。市の西部は陸前丘陵の一部を成す高舘丘陵、東部は仙台平野(名取平野)である。北に接する仙台市との境に名取川が流れ、河口部に閖上港がある。また、東北自動車道国道4号線、東北新幹線東北本線が縦貫している。市の中心部は愛島丘陵北側の名取駅周辺に広がる。

名取市北部の下余田原田が、仙台市太白区内に浮かぶ飛び地のように存在しているが、太白区袋原字定野を突っ切って名取市・原田地区に至る名取市道門ノ目線(北端で仙台市道定野街道線[1]と接続)が幅員数m、長さ280mの細長い名取市域として接続しているため、原田地区は飛び地とはなっていない。

西が高く東が低い地勢にそって、市内の河川は西から東に下る。奥羽山脈から流れるのは名取川だけで、あとは丘陵に源を持つ小河川である。増田川と川内沢川は名取市内から、志賀沢川は岩沼市内の丘陵から流れ出る。平野部にはこれら河川から水を引いた水路が縦横に巡らされ、海岸線に沿って掘削された貞山堀に流れこむ。

  • 河川: 名取川増田川、川内沢川、志賀沢川、
  • 湖沼: 広浦、樽水ダム(増田川)

歴史[編集]

当市から仙台市南部にかけては、4世紀後半の古墳時代前期から多数の古墳が造営された。中でも最大のものが愛島丘陵東端に築かれた東北地方最大の雷神山古墳である。大型前方後円墳はこれ一つだが、多数の中小古墳が作られ、7-8世紀の横穴墓に続いた。

名取に国造は置かれなかったようだが、(後の郡)は7世紀から建てられたと推定される。名取郡は現在の仙台市南部と当市・岩沼市にまたがり、文献史料に名取郡とだけあるものから場所を現在の名取市域に絞り込めることはあまりない。

平安時代高舘丘陵北東麓に紀伊国熊野神社の本宮・新宮・那智社が勧請され、名取熊野三山を形成した。熊野社の分社は多いが、三社を合祀せず別々に設けて三山を引き写したのは全国的にみても珍しい[2]。名取の熊野別当は奥州合戦で敗れた藤原氏にくみしたが、降って赦された。

中世の名取郡は細分され、郡全体を支配する荘園武士も生まれなかった。戦国時代には14世紀後半に相馬氏の影響が及び、15世紀には伊達氏の覇権に服し、最終的に伊達領に組み込まれた。以後、近世を通じて仙台藩に属した。仙台藩は新しく奥州街道を開き、増田宿を置いた。仙台藩は陸奥国領内を南・北・中奥・奥の4つに分割して各々郡奉行を置き、その下を19の代官区に細分して支配したが、後に名取市にまとまる地域、すなわち増田村など22の村と1つの浜(閖上浜)は、全域が南郡奉行の下に置かれ、高柳村・大曲村・牛野村・小塚原村・閖上浜の4村1浜(明治以降に東多賀村→閖上町)が名取郡北方の長町代官所に、残りの18村が名取郡南方の増田代官所に統治された[3]。増田には三と七がつく日に市が立った[4]

1900年(明治33年)における現・名取市にあたる地域の町村別戸数



高舘村
(431戸)
増田町
580戸
東多賀村
(570戸)


愛島村
(373戸)
館腰村
(461戸)
下増田村
(277戸)

明治時代に入ると、藩政時代の村を基本単位として数か村を様々な組み合わせでまとめて行政単位が置かれた。後の名取市やその前身となる町村の境界をまたぐ形で区画されたことも多く、後に名取市となる区域が意識されることはなかった。

旧・奥州街道沿いに敷設された「日本鉄道」(現・JR東北本線)が1887年(明治20年)に仙台区(現・仙台市)の仙台駅を経て塩竈(現・塩竈市)の塩竈駅(後の塩釜埠頭駅)まで開通すると翌年、増田にも増田駅(後の名取駅)が置かれた。

1889年明治22年)の町村制施行で、現・名取市の市域には高舘丘陵東麓の高舘村愛島村、現・東北線沿いの増田村と館腰村、沿岸の東多賀村と下増田村の合計6ヶ村が生まれた。当地で人口が多かったのは、旧・増田宿を中心とする増田村と、閖上浜を中心とする東多賀村だった。1926年大正15年)には田村と多賀村とを結ぶ軽便鉄道増東軌道」が開通するが、バスとの競合により10年余りで廃止された。

1955年(昭和30年)3月末の現・名取市にあたる地域の町村別人口



高舘村
(4,673人)
増田町
(6,519人)
閖上町
9,325人


愛島村
(4,029人)
館腰村
(4,648人)
下増田村
(3,049人)

1953年(昭和28年)制定の町村合併促進法を受け当地でも昭和の大合併の動きが生まれたが、増田町以外は仙台市との合併に傾きがちとなっていたところ、宮城県の働きかけによって6町村での合併となり、1955年(昭和30年)に名取町が成立した[5]。港町の閖上は、合併時の人口が9325人で、6519人の増田より多かったが[6]、町役場は増田町のものを継承し、3年後に市になったとき増田に市役所を新築した[7]

1964年(昭和39年)、仙台湾地区が新産業都市に指定されたため、根拠法である新産業都市建設促進法の第23条に基いて、当市や仙台市を含む8市町村での「仙塩合併」が議論されたが不調に終わった。

当市は仙台市のベッドタウンとしての機能も持っているが、宅地開発は1980年代後半から大規模に始まった[8]。宅地開発はそれまで市内では人口が少なかった地域で行われ、20世紀中は旧・高舘村や旧・愛島村の村域だった西部の丘陵地帯(高館丘陵および愛島丘陵)、21世紀になってからは旧・下増田村の仙台空港鉄道仙台空港線沿線で活発となっている。

2010年(平成22年)9月末の名取市内の旧町村別人口[9]



旧・高舘村
(18,539人)
旧・増田町
24,121人
旧・閖上町
07,105人)


旧・愛島村
(10,864人)
旧・館腰村
07,627人)
旧・下増田村
04,490人)

1989年平成元年)、仙台市が泉市等を合併して政令指定都市に移行し、1990年(平成2年)に仙台空港初の国際定期便が就航すると、仙台空港の滑走路延長や仙台空港アクセス鉄道の整備促進などを理由に、1991年(平成3年)12月24日に県選出の国会議員から当市と仙台市との合併を促す発言があった[10]。また、仙台東部道路県道仙台館腰線の開通を控えた1994年(平成6年)2月27日、当市の住民有志が「仙台名取合併推進協議会」を設立したことで再び当市と仙台市との合併論議が沸き起こった[10]。このとき、旧住民が多い旧・増田町や旧・閖上町と、宅地開発で新住民が急増していた西部の旧・高舘村や旧・愛島村という対立軸が形成された。しかし、1996年(平成8年)7月14日の名取市長選挙で合併反対派の現職候補が勝利し、合併論議は収束した[10]

2011年(平成23年)3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生し、旧・閖上町の中心部や旧・下増田村の沿岸地域が津波の被害を受けて、多数の犠牲者を出した。

年表[編集]

行政[編集]

歴代町長および市長[編集]

歴代町長
氏名 就任 退任 備考
鹿又峯治 昭和30年(1955年)4月1日 昭和30年(1955年)4月30日 元・増田町長。職務代執行者
1 高橋秀松 昭和30年(1955年)5月1日 昭和33年(1958年)9月30日
歴代市長
氏名 就任 退任 備考
1〜2 高橋秀松 昭和33年(1958年)10月1日 昭和38年(1963年)5月16日 町長より留任
3〜6 荘司庄九郎 昭和38年(1963年)5月17日 昭和51年(1976年)
7 大友安治 昭和51年(1976年)7月 昭和55年(1980年)7月
8〜13 石川次夫 昭和55年(1980年)7月 平成16年(2004年)7月
14〜16 佐々木一十郎
(ささきいそお)
平成16年(2004年)7月25日 現職

経済[編集]

産業[編集]

JR名取駅西口駅前にあるサッポロビール仙台工場(2012年4月25日)

姉妹都市・提携都市[編集]

市内にある金融機関[編集]

地域[編集]

人口[編集]

Demography04207.svg
名取市と全国の年齢別人口分布(2005年) 名取市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 名取市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性
名取市(に相当する地域)の人口の推移
1970年 40,845人
1975年 46,730人
1980年 49,715人
1985年 50,897人
1990年 53,732人
1995年 61,993人
2000年 67,216人
2005年 68,662人
2010年 73,140人
総務省統計局 国勢調査より

隣接する自治体・行政区[編集]

健康[編集]

  • 平均年齢
    • 41.1歳(2005年国勢調査のデータによる)
  • 病院

教育・文化[編集]

  • 教育施設
    • 市内には、私立大学1校、国立高専1校、県立専修学校2校、県立高校2校、市立中学校5校、市立小学校11校がある。(後述)
    • また、特別支援学校が県立1校、幼稚園が市立4園、私立5園、市立保育所が7ヶ所、児童センターが8ヶ所(分館1ヶ所を含む)に設置されている。そのほか、宮城県警察学校1999年(平成11年)に仙台市青葉区台原より愛島笠島に移転している。
  • 文化施設
    • 図書館
      • 市立図書館は名取市図書館1館で、蔵書数は約14万8千冊。建物は旧市庁舎である。このほか自動車図書館「なかよし号」、公民館図書室(10ヶ所)があり、それらを合わせると蔵書数は約17万3千冊(市民1人あたり約2.5冊、2007年)となる。
      • 1976年(昭和51年)の開設時より視聴覚教育教材センターが併設されていた。1995年(平成7年)に分離独立したが図書館法の改正に伴い2010年(平成22年)4月に図書館に業務統合される。
    • 文化会館
      • 大中小の各ホールと練習室、楽屋、展示ギャラリー等をそなえた文化施設。プロの演奏会、演劇をはじめ、アマチュア演奏家の発表会や地元の学校の卒業式等、様々な用途に使われている。
  • 体育施設
  • 青少年教育団体

学校一覧[編集]

大学

高等専門学校

専修学校

高等学校

中学校

小学校

特別支援学校

郵便[編集]

郵便番号は大半の地域で981-12xxであるが、仙台空港関係施設(下増田字南原)および南部の本郷、堀内地区は岩沼郵便局が担当することを示す989-24xxである。

郵便局

  • 名取増田郵便局
  • 館腰郵便局
  • 名取大手町郵便局
  • 名取ニュータウン郵便局
  • 高館郵便局
  • 名取ゆりが丘郵便局
  • 閖上郵便局


簡易郵便局

  • 広浦簡易郵便局
  • 愛島簡易郵便局

 

 


交通[編集]

空港[編集]

仙台空港

鉄道路線[編集]

路線バス[編集]

道路[編集]

中世までの街道は、丘陵寄りで仙台平野の縁を通っていた。おおよそ現在の宮城県道39号仙台岩沼線にあたる道である。江戸時代に奥州街道が設定されたとき、平野を南北にまっすぐ縦貫する道が開かれた。かつての国道4号(陸羽街道)で、街道に置かれた増田宿は現在の市街中心部にあたる。

名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事[編集]

閖上の「あんどん松」
  • 実方中将の墓(さねかたちゅうじょうのはか)
    • 愛島の道祖神から1kmほど北にある。実方は道祖神を下馬せず通過したところ落馬し落命したと伝えられている。
    • 墓のそばには西行歌碑松尾芭蕉の句碑がある。西行は現地を訪れ「朽ちもせぬ其の名ばかりを留めおきて、枯野のすゝきかたみにぞ見る」と詠んでいるが、芭蕉は悪路のため訪ねることができず「笠島はいずこ五月のぬかり道」と詠んだ。芭蕉の句碑は実際にこの句を詠んだ奥州街道沿いの植松にもある。
  • ゆりあげ港朝市(ゆりあげみなとあさいち)
    • 毎週日曜・祝日に閖上港近くで行なわれる朝市。閖上港で水揚げされた新鮮な魚介類が豊富。
  • ゆりあげビーチ
    • 名取川河口南側の砂浜に2005年(平成17年)開設された海水浴場。波が荒い。
  • 東北電力名取スポーツパーク
    • 東北電力が建設した総合運動公園。各種スポーツ大会やフリーマーケットが催される。しかし、東日本大震災のため施設の損壊が相次ぎ、一部では利用再開されるも、完全復旧のめどが立たなくなったため2012年6月の閉鎖が決定[14]
  • 貞山運河(ていざんうんが)
    • 「貞山堀」とも呼ばれる。阿武隈川松島湾を結ぶ運河。江戸時代初めに伊達政宗が作った運河を端緒として、次々に作られた運河が連結・延長して長くなった。政宗の法名にちなんで命名された。
  • あんどん松
    • 名取川の堤防に沿った松並木。樹齢は300年を超えており、伊達政宗が植えたものであるといわれる。
  • なとり夏まつり
    • 毎年8月上旬に催される。名取川河口での花火大会など。
  • サッポロビールまつり
    • 毎年6月に名取駅に隣接するサッポロビール仙台工場で行われていたお祭り(2010年現在再開されていない)。工場を開放し、見学や各種イベント等がある。ビールの無料試飲あり。

文化財[編集]

名取市は文化財が豊富である。国および宮城県指定の文化財は以下のとおり。

  • 雷神山古墳(らいじんやまこふん)
    東北最大級の前方後円墳で、4世紀末 - 5世紀初頭にかけて作られたものと考えられる。国の記念物史跡)に指定され、史跡公園として整備されている。
  • 飯野坂古墳群
    国の記念物(史跡)に指定。前方後方墳5基と方墳2基からなる。
  • 旧中澤家住宅
    国の重要文化財に指定。江戸時代の農家。十三塚公園に移築されている。
  • 洞口家住宅
    国の重要文化財に指定。江戸時代の農家。農家レストランとして利用されている。
  • 熊野那智神社
    懸仏(かけぼとけ)・銅鏡が国の重要文化財および県の有形文化財に指定されている(国指定41点、県指定114点)。
  • 熊野新宮寺
    所蔵の一切経(2,568巻)が国の重要文化財に指定。
  • 熊野神社
    本殿は県指定の有形文化財。熊野堂神楽、熊野堂舞楽が県指定の無形民俗文化財
  • 道祖神神楽
    県指定の無形民俗文化財。

名産・特産品、お土産[編集]

  • 笹かまぼこ
  • ビーテラ
    市内のビール工場のビール酵母を使ったカステラ。ビールの香りがする。
  • 焼き鰈
    その昔、閖上で採れたに塩をふって焼き、日持ちのする状態にして仙台方面へ出荷したという。

出身有名人[編集]

電話番号[編集]

名取市で利用されている市内局番は次のとおり。

  • 増田収容局…381-1〜3、382〜384、784
  • 閖上収容局…381-9、385-2
  • 高舘第2収容局…381-6、386
  • 岩沼桜収容局…(0223)22〜25(岩沼MA)
  • ひかり電話(仙台MA)…仙台市と同一
  • ひかり電話(岩沼MA)…(0223)36

岩沼MAは、市南端の堀内地区などが該当する。

脚注[編集]

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  1. ^ 仙台市道太白922号・定野街道線
  2. ^ 『名取市史』145頁。
  3. ^ 『名取市史』775頁。
  4. ^ 『名取市史』297頁。
  5. ^ 『名取市史』389-391頁
  6. ^ 『名取市史』379-381頁。
  7. ^ 『名取市史』396頁。
  8. ^ 名取の宅地開発(名取市)
  9. ^ 名取市統計書(名取市)
  10. ^ a b c (参考)名取市と仙台市の合併論議の経過 (PDF) (宮城県)
  11. ^ 図典 日本の市町村章 p37
  12. ^ 学力向上フロンティアスクール一覧 【宮城県:38校】 - 文部科学省
  13. ^ 東北本線名取駅から分岐する仙台空港線仙台空港アクセス線)が2007年(平成19年)3月18日開業した。これにより、仙台空港 - 仙台駅間が、最速で17分で移動することが可能になり利便性が格段に向上した。以前は、仙台駅まで直通バスで約40分かかり、更には交通渋滞等の影響を受けやすいため、鉄道開通を懇願していた経緯がある。
  14. ^ 施設閉鎖について(東北電力名取スポーツパーク公式)

参考文献[編集]

  • 名取市史編纂委員会『名取市史』、宮城県名取市、1977年

関連項目[編集]

外部リンク[編集]