真珠の首飾り戦略

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真珠の首飾り作戦の関連地図。赤丸が中国の、青丸がアメリカのプレゼンスや基地を表している。

真珠の首飾り戦略(しんじゅのくびかざりせんりゃく、英語: String of Pearls)とは、香港からポートスーダンまで延びる、中華人民共和国海上交通路戦略である。海路は、海軍が戦略的な関心を持っているパキスタンスリランカバングラデシュモルディブソマリアだけでなく、戦略的チョークポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡マラッカ海峡ホルムズ海峡ロンボク海峡などを通っている。この表現はアメリカ国防総省部内報告書の"Energy Futures in Asia"で使われていた[1]

"真珠の首飾り"は中国の南シナ海、マラッカ海峡、インド洋、ペルシャ湾までの港と空港へのアクセスの増加のための努力、特殊な外交関係の構築、近代化した軍事力の伸張を通した地勢的な影響力の向上の兆候を表している。

Christopher Pehrson、[2]

中国の国家主席胡錦濤は中国の海軍戦略のゴールを「調和の海」、「中国は覇権を求めないし、他国との軍事力拡大や軍拡競争も求めない」としている[3] 。しかし、いくらかのインド人は真珠の首飾りはインドを軍事的な不利益に押し込めると感じており[4]、これに対するインドの大戦略の喪失は中国にインド洋沿岸諸国との関係の拡大を許していると考えている[5]

エネルギー安全保障[編集]

香港からポートスーダンまでの海上交通路は中国の未来のエネルギー安全保障に関する論争の原因となっている。中国は世界第2位の石油消費国であり、世界第3位の石油輸入国である。 西部アフリカから15%の石油を輸入しており[6]、スーダンにとっては石油の最大輸出相手国であり[7]、イランで油田開発するために長期契約を行っている[8]

2008年終わりごろからのソマリア沖の海賊[9]、継続中のダルフール紛争ジンバブエロバート・ムガベの断続的な弾圧 [10]などの敵対行為に対して、中国の外交方針は現在より直接的なアプローチへとシフトしている。

軍事施設[編集]

南シナ海[編集]

ダビッド・エシェルは中国の海南島の海軍基地を真珠の首飾りの最初の地点としている[11]。また、永興島には航空基地も存在する。

中央アジア[編集]

中央アジアでは新グレート・ゲームと呼ばれる、NATO諸国と、陣営が中央アジアの油田やガス田の利権をめぐる争いがある。中央アジアの地形が険しく、アクセスしにくい領域やアルカイダなどのテロリストの存在は石油やガスのパイプライン輸送に障害となっている。9・11以降、中央アジアには米軍が駐留する一方で中央アジアは上海協力機構加盟国でもあり、アフガニスタンでの米軍の数の増強は中露にとって安全保障上懸念材料であり、ロシアとグルジアの南オセチア紛争バクー・トビリシ・ジェイハンパイプラインを危機に陥らせている。

中央アジアの軍事的成長の障壁に対抗するために、中国はパキスタンのグワーダルに大規模深水港の建設を始めており[12]、これは中国がインド洋やペルシャ湾での海軍作戦の戦略的な足がかりを得るために期待されている。この港はアフガニスタンを通る中央アジアのガス田へのパイプラインの下流ハブとしても働く。

中国は2009年にカザフスタン・中国間石油パイプライン英語版の建設を完了している。このパイプラインは中国カザフスタン国境から北カスピ海まで伸びている。このパイプラインの建設によってテンギス油田から石油が送られるようになった。

インド洋[編集]

モルディブのマラオ、パキスタンのグワーダル、バングラデシュのチッタゴン、ミャンマーのシットウェ、ケニアのラム、スリランカのハンバントタに港を持つ[13]

ヘリテージ財団のDean Chengはアメリカはインド洋での中国の影響に対抗するためにインドと協力する必要があると述べている[14][15]

学術誌Asian Securityの2011年の夏の記事で、海軍分析センター英語版のNilanthi Samaranayakeは初めて中国とスリランカの経済、軍事、外交の体系的な分析を実施した。スリランカのハンバントタ港も議論された[16]

Daniel Kosteckaはインド洋の基地は軍事インフラがなく、戦時に守りにくいため純粋に商業的なものであると主張している[17]

関連項目[編集]

脚注[編集]