百年シリーズ

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百年シリーズ』(ひゃくねんシリーズ、M&R series)は、森博嗣小説シリーズである。1作目の『女王の百年密室』と2作目の『迷宮百年の睡魔』がスズキユカ作画で漫画化され、また、NHK-FM放送の『青春アドベンチャー』で両作品がラジオドラマ化された。

概要[編集]

作者の著作やホームページでは、主人公の名前に基づき「M&R series」と表記される場合もある。森博嗣の多くの作品と同じく推理小説的な要素はあるが、森博嗣の作品としては珍しくSF的なガジェットが登場する。2作目までの各章タイトルはすべて「~か」といった疑問系で統一されている。

森博嗣の著作を読んだことがない初心者でも違和感なく読めるシリーズだが、作中では「S&Mシリーズ」「Gシリーズ」「四季シリーズ」「Wシリーズ」との関わりが示唆されており、森博嗣の著作において重要なシリーズでもある。2008年12月31日、森博嗣は「最後のご挨拶」にて百年シリーズが最終巻は森博嗣の長編小説最終作になる予定であるとしていた[1]

ストーリー[編集]

エネルギー技術の革新により都市国家のような形態の国が点在する世界。エンジニアリング・ライタのサエバ・ミチルとパートナーのロイディは、異国の街へと取材へ出かけ、その度に不可解な事件に巻き込まれる。

主な登場人物[編集]

サエバ・ミチル
エンジニアリング・ライタ。日本人。片目は義眼。左利きだが、右手の方が少し大きく握力も強い。小柄で十代に見える。
頭の回転が速く、優れた頭脳を持つ反面、感情の起伏が激しくやや精神不安定。ロイディを人間と同じように扱い、事件の関係者に感情移入するなど、時に極度の優しさを見せる。思考の一部が暴走する癖がある。平均的な人間に比べ、生に対する執着が弱い。凄惨な過去の記憶にしばしば苦しめられる。
ロイディ
ミチルのパートナでウォーカロン。最初は丁寧語だったが、ミチルに命令されくだけた口調で話しかけるようになる。
背が高い。旧式のため、走る事が苦手だったり、階段の昇降に手間取ったりと、運動性能はあまり良くない。天気はぴたりと言い当てる。
動作には充電を要する。補助的な発電装置を搭載しているため、長期間充電が出来なくてもスタンバイ状態を維持することが出来る。
ミチルとの対話により短期間で急速に知能が発達しており、メグツシュカ女王からは「変わったウォーカロン」として興味を持たれている。ロイディは構築された回路を自身の財産だと自負している。
クジ・アキラ
ミチルの恋人。ある事件に巻き込まれ、作中ではすでに故人となっている。

設定[編集]

ウォーカロン
自律型のヒューマノイド。名前は「ウォーク・アローン(Walk Alone)」が由来であるような台詞が登場する。人間と遜色ない会話が可能で、見分けが付かないこともあるという。また制御ソフトの設定で酩酊状態にも出来る。
ロイディの動力源はバッテリーだが、「高炉」と呼ばれる原始的な動力源も存在するようである。
作者オリジナルの用語で、この作品が初出となるが、書籍として出版されたブログや土屋賢二との共著では、この用語を説明無しに使っている。
作者は2015年に、ウォーカロンを主題とするWシリーズを刊行し、作中で『単独歩行者』という訳を当てている。
ミチルのゴーグル
ゴーグル型のヘッドマウントディスプレイ。地図やウォーカロンの見た映像を映し出したり、銃器の照準を表示することもできる。
正式名称は「ビジュアル・ブースター」で、それを略した「ヴィーブ」という言い方もあるようだが、一度しか出ていない。
防護服
ジャケットのような形をしており、エアバッグを内蔵しているなど、安全面にも注意が払われている。
銃器
上位機種には、自動照準や目標の記録、反動抑制などの高度な電子制御が施されている。
国家
国際関係などの詳細は不明だが、小規模な都市国家が珍しくないようである。また発電所を併設することで、ほぼ鎖国状態の国家も存在する。
エナジィ
エネルギーのこと。作中では主に電力の意味として使うことが多い。詳細は語られていないが、電力の供給を受けることが、供給先に所属する事と同意義のようである。
文化
現実の世界とさほど違いはないが、ミチルの文化圏では人種性別個人情報に含まれるため、それらを問うことは好ましくないようである。またスピーカーで音を鳴らしたり、紙媒体で本を読むのは既にクラシカルな方式になっている。
言語
登場人物は主に英語で会話している。また若干の方言も存在する。

各巻あらすじ[編集]

女王の百年密室
西暦2113年。原野を彷徨っていたミチルとロイディは、不思議な老人に導かれ、森の中に聳え立つ宮殿へと辿り着く。周囲を高い壁で囲まれたそこは、外界から完全に隔離された小都市ルナティック・シティだった。ミチルたち理想郷とも言えるこの都市の社会システムと、その奇妙な深部に足を踏み入れていく事になる。
やがてミチルの脳裏を過ぎる残酷な光景。物語はミチルの凄惨な過去とリンクし、そのベールを解き明かしていく。
迷宮百年の睡魔
ミチルとロイディは、一夜にして森が消え周囲が海になったというイル・サン・ジャックという島を訪れる。これまでマスコミをシャットアウトしていた島が何故ミチルを迎え入れたのか?女王メグツシュカの真意とは?そして、ミチルたちが島を訪れた夜、殺人事件が発生する。
赤目姫の潮解
黒い髪白い肌の赤目姫、緑目王子、紫王と、彼らが見る人形世界…。奔放なイメージで構築された異色の哲学的幻想小説。

書籍情報[編集]

シリーズ作だが、単行本やノベルス、文庫、漫画版が幻冬舎新潮社講談社の3社から出版されている。

単行本[編集]

漫画[編集]

  • 迷宮百年の睡魔 Labyrinth in Arm of Morpheus

その他[編集]

ラジオドラマ[編集]

  • 迷宮百年の睡魔 Labyrinth in Arm of Morpheus
    • 放送 - NHK-FM放送 青春アドベンチャー
    • サエバ・ミチル - 高山みなみ
    • ロイディ - 高戸靖広
    • メグツシュカ - 島本須美

関連項目[編集]


  1. ^ 浮遊工作室 (近況報告)「最後のご挨拶」