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:;3番打者
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:[[本塁打]]よりも[[打率]]に重点を置く。役割は1・2番の[[出塁]]走者を[[本塁]]へ返す、或いは進塁させる。走者がいなければ、出塁する。ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、など。3番打者は'''必ず初回に打順が回ってくる'''ので、先制する確率をあげるために4番より優秀な打者を置く(または結果的にそうすることになる)こともある。そのため球界トップやチームNo.1の選手が多い。
:[[本塁打]]よりも[[打率]]に重点を置く。役割は1・2番の[[出塁]]走者を[[本塁]]へ返す、或いは進塁させる。走者がいなければ、出塁する。ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、など。3番打者は'''必ず初回に打順が回ってくる'''ので、先制する確率をあげるために4番より優秀な打者を置く(または結果的にそうすることになる)こともある。そのため球界トップやチームNo.1の選手が多い。
::代表的選手:[[小笠原道大]]([[北海道日本ハムファイターズ|北海道日本ハム]][[読売ジャイアンツ|巨人]])、[[新井貴浩]]([[広島東洋カープ|広島]][[阪神タイガース|阪神]])、[[稲葉篤紀]]([[東京ヤクルトスワローズ|ヤクルト]]北海道日本ハム)、[[多村仁]]([[福岡ソフトバンクホークス|ソフトバンク]])など。
::代表的選手:[[小笠原道大]]([[北海道日本ハムファイターズ|北海道日本ハム]][[読売ジャイアンツ|巨人]])、[[新井貴浩]]([[広島東洋カープ|広島]][[阪神タイガース|阪神]])、[[稲葉篤紀]]([[東京ヤクルトスワローズ|ヤクルト]]北海道日本ハム)、[[多村仁]]([[福岡ソフトバンクホークス|ソフトバンク]])など。
:;4番打者
:;4番打者
:打率・本塁打の両方に於いて最高であることを求められるが、どちらかと言えば本塁打等の長打に重点が置かれる。出塁している走者を返す、ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、終盤に試合を決める、など[[チーム]]の[[主砲]]として[[ナイン]]を引っ張ることが求められる。そのため、チーム1のパワーヒッターや総合的な能力が高い選手が務める事が多い。また、外国人選手の割合が比較的高い。
:打率・本塁打の両方に於いて最高であることを求められるが、どちらかと言えば本塁打等の長打に重点が置かれる。出塁している走者を返す、ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、終盤に試合を決める、など[[チーム]]の[[主砲]]として[[ナイン]]を引っ張ることが求められる。そのため、チーム1のパワーヒッターや総合的な能力が高い選手が務める事が多い。また、外国人選手の割合が比較的高い。
::代表的選手:[[金本知憲]]([[広島東洋カープ|広島]][[阪神タイガース|阪神]])、[[タイロン・ウッズ]]([[横浜ベイスターズ|横浜]][[中日ドラゴンズ|中日]])、[[松中信彦]](ソフトバンク)、[[タフィ・ローズ]]([[オリックス・バファローズ|オリックス]])など
::代表的選手:[[金本知憲]]([[広島東洋カープ|広島]][[阪神タイガース|阪神]])、[[タイロン・ウッズ]]([[横浜ベイスターズ|横浜]][[中日ドラゴンズ|中日]])、[[松中信彦]](ソフトバンク)、[[タフィ・ローズ]]([[オリックス・バファローズ|オリックス]])など
:;5番打者
:;5番打者
:クリーンナップのトリとして打点を量産することが求められる。確実性で劣っても長打力に重点を置き、4番が残した走者を返す事を求められる。出塁している走者を、さらに返す。長打を打ち、相手[[投手]]に留めを刺すのが役目。適切な打者として、打順の構造がジグザグになるように4番打者とは逆打ちの打者が置かれることが多い。
:クリーンナップのトリとして打点を量産することが求められる。確実性で劣っても長打力に重点を置き、4番が残した走者を返す事を求められる。出塁している走者を、さらに返す。長打を打ち、相手[[投手]]に留めを刺すのが役目。適切な打者として、打順の構造がジグザグになるように4番打者とは逆打ちの打者が置かれることが多い。
::代表的選手:[[今岡誠]](阪神タイガース)、[[前田智徳]](広島)、[[小久保裕紀]](福岡ダイエー巨人ソフトバンク)、[[和田一浩]]([[埼玉西武ライオンズ|西武]]中日)など
::代表的選手:[[今岡誠]](阪神タイガース)、[[前田智徳]](広島)、[[小久保裕紀]](福岡ダイエー巨人ソフトバンク)、[[和田一浩]]([[埼玉西武ライオンズ|西武]]中日)など


もちろん、それぞれの打者への役割付けはチーム状況によって千差万別である。近年では2003年の[[福岡ソフトバンクホークス]]が、3・4・5番ではなく、4・5・6番(松中、[[城島健司|城島]]、[[ペドロ・バルデス|バルデス]])をクリーンナップと位置づけていた例もある。1996年の[[中日ドラゴンズ]]は、6・7番に座った[[山崎武司]]・[[大豊泰昭]]が本塁打王争いを繰り広げる活躍で、二人で計77本を量産し「脅威の下位打線」、「ダブル・クリーンナップ」と他球団に恐れられた。
もちろん、それぞれの打者への役割付けはチーム状況によって千差万別である。近年では2003年の[[福岡ソフトバンクホークス]]が、3・4・5番ではなく、4・5・6番(松中、[[城島健司|城島]]、[[ペドロ・バルデス|バルデス]])をクリーンナップと位置づけていた例もある。1996年の[[中日ドラゴンズ]]は、6・7番に座った[[山崎武司]]・[[大豊泰昭]]が本塁打王争いを繰り広げる活躍で、二人で計77本を量産し「脅威の下位打線」、「ダブル・クリーンナップ」と他球団に恐れられた。
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*3番[[秋山幸二]]・4番[[清原和博]]・5番[[オレステス・デストラーデ]](西武ライオンズ)
*3番[[秋山幸二]]・4番[[清原和博]]・5番[[オレステス・デストラーデ]](西武ライオンズ)
**[[AK砲|AKD砲]]と呼ばれた西武黄金時代の中軸。
**[[AK砲|AKD砲]]と呼ばれた西武黄金時代の中軸。
*3番[[古田敦也]]・4番[[広澤克実]]・5番[[ジャック・ハウエル]]・6番[[池山隆寛]]((ヤクルトスワローズ)
*3番[[古田敦也]]・4番[[広澤克実]]・5番[[ジャック・ハウエル]]・6番[[池山隆寛]]ヤクルトスワローズ)
**ハウエル離脱後から監督の理念によりホームラン制の打線から巧打者打線に変化した。
**ハウエル離脱後から監督の理念によりホームラン制の打線から巧打者打線に変化した。
*3番[[鈴木尚典]]・4番[[ロバート・ローズ]]・5番[[駒田徳広]]([[横浜ベイスターズ]])
*3番[[鈴木尚典]]・4番[[ロバート・ローズ]]・5番[[駒田徳広]]([[横浜ベイスターズ]])
**[[マシンガン打線]]の中軸。1999年は3・4番で計370安打245打点を記録した。
**[[マシンガン打線]]の中軸。1999年は3・4番で計370安打245打点を記録した。
*3番[[松井秀喜]]・4番[[清原和博]]・5番[[高橋由伸]]([[読売ジャイアンツ]])
*3番[[松井秀喜]]・4番[[清原和博]]・5番[[高橋由伸]]([[読売ジャイアンツ]])
**清原の打順の拘り、番打者を揃えすぎなど物議をよんだ。
**清原の打順の拘り、4番打者を揃えすぎなど物議をよんだ。
*3番[[タフィ・ローズ]]・4番[[中村紀洋]]・5番[[礒部公一]]([[大阪近鉄バファローズ]])
*3番[[タフィ・ローズ]]・4番[[中村紀洋]]・5番[[礒部公一]]([[大阪近鉄バファローズ]])
**パリーグ優勝を果たした2001年の[[いてまえ打線]]の中軸 。ローズ・中村の二人で合計101本塁打を記録、3人で354点は当時の日本記録。
**パリーグ優勝を果たした2001年の[[いてまえ打線]]の中軸。ローズ・中村の二人で合計101本塁打を記録、3人で354点は当時の日本記録。
*3番[[井口資仁]]・4番[[松中信彦]]・5番[[城島健司]](福岡ダイエーホークス)
*3番[[井口資仁]]・4番[[松中信彦]]・5番[[城島健司]](福岡ダイエーホークス)
**2003年、史上初の100打点カルテットを形成した[[ダイハード打線]]の中軸。
**2003年、史上初の100打点カルテットを形成した[[ダイハード打線]]の中軸。
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クリーンナップを3・4・5番の打者として位置づけるのは和製用法であり、英語では4番打者のみを指す。
クリーンナップを3・4・5番の打者として位置づけるのは和製用法であり、英語では4番打者のみを指す。


[[アメリカ合衆国]]の[[メジャーリーグ]]では、最強打者は3番打者である事が多い。これは、精神論を重視して伝統的な4番打者最強説を採用している日本に対し、アメリカ合衆国では、合理主義に基づいて得点期待値の最も高い打順を組むためである。[[コンピュータ]]による[[シミュレーション]]によって、最も効率的な[[打順]]を求めた結果、チームの主力打者のタイプや相性などの様々な要素によって結果は変わるが、最強打者の打順については、メジャーリーグの殆どのチームで3番であった。なお、わずかながら2番や4番というケースも存在した。アメリカ合衆国においては、最強打者は3番という固定観念があるのではなく、効率的な打順を追求した結果、最強打者が3番になる事が多いということである。[[1960年代]]は日本でも「3番最強説」と「4番最強説」どちらが最強なのかとの議論も出ていた(「[[月刊ホームラン]]」[[1988年]][[8月]]臨時増刊号内の[[記事]]より)。
[[アメリカ合衆国]]の[[メジャーリーグ]]では、最強打者は3番打者である事が多い。これは、精神論を重視して伝統的な4番打者最強説を採用している日本に対し、アメリカ合衆国では、合理主義に基づいて得点期待値の最も高い打順を組むためである。[[コンピュータ]]による[[シミュレーション]]によって、最も効率的な[[打順]]を求めた結果、チームの主力打者のタイプや相性などの様々な要素によって結果は変わるが、最強打者の打順については、メジャーリーグの殆どのチームで3番であった。なお、わずかながら2番や4番というケースも存在した。アメリカ合衆国においては、最強打者は3番という固定観念があるのではなく、効率的な打順を追求した結果、最強打者が3番になる事が多いということである。[[1960年代]]は日本でも「3番最強説」と「4番最強説」どちらが最強なのかとの議論も出ていた(「[[月刊ホームラン]]」[[1988年]]8月臨時増刊号内の[[記事]]より)。


また日本国内では、[[イチロー]]のメジャーリーグ移籍以後は、走者を生還させるためのクリーンナップよりも、チャンスメイクを任される1番打者を重視する考えに比重が移ってきている傾向も一部あるが、アメリカ合衆国においてはそのような考え方をする者は極めて少ない。むしろ、1番打者はクリーンナップと違い、「足が速く、[[出塁率]]が高い」ことが求められるので、どちらが最強かを議論することはあまり意味がないという考えが支配的である。
また日本国内では、[[イチロー]]のメジャーリーグ移籍以後は、走者を生還させるためのクリーンナップよりも、チャンスメイクを任される1番打者を重視する考えに比重が移ってきている傾向も一部あるが、アメリカ合衆国においてはそのような考え方をする者は極めて少ない。むしろ、1番打者はクリーンナップと違い、「足が速く、[[出塁率]]が高い」ことが求められるので、どちらが最強かを議論することはあまり意味がないという考えが支配的である。
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*[[逆転イッパツマン]] - 悪役トリオの名前がクリーンナップトリオを捩った「クリーン悪トリオ」であった。
*[[逆転イッパツマン]] - 悪役トリオの名前がクリーンナップトリオを捩った「クリーン悪トリオ」であった。


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2008年11月5日 (水) 03:59時点における版

クリーンナップクリーンアップ (Clean up) とは野球に於いて、の上にいる走者を生還させることが期待される打順のことである。走者を掃除すると言う意味からクリーンナップと呼ばれる。クリーンナップには、そのチームに於いて打率本塁打数などの成績が最も良い選手が置かれるのが普通である。

日本における伝統的な役割付け

日本では3・4・5番を打つ3人の打者を指し、クリーンナップトリオとも呼ばれる。以下のようなセオリーで選手を配置する。

3番打者
本塁打よりも打率に重点を置く。役割は1・2番の出塁走者を本塁へ返す、或いは進塁させる。走者がいなければ、出塁する。ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、など。3番打者は必ず初回に打順が回ってくるので、先制する確率をあげるために4番より優秀な打者を置く(または結果的にそうすることになる)こともある。そのため球界トップやチームNo.1の選手が多い。
代表的選手:小笠原道大北海道日本ハム巨人)、新井貴浩広島阪神)、稲葉篤紀ヤクルト〜北海道日本ハム)、多村仁ソフトバンク)など。
4番打者
打率・本塁打の両方に於いて最高であることを求められるが、どちらかと言えば本塁打等の長打に重点が置かれる。出塁している走者を返す、ここ一番のチャンスで本塁打を狙う、終盤に試合を決める、などチーム主砲としてナインを引っ張ることが求められる。そのため、チーム1のパワーヒッターや総合的な能力が高い選手が務める事が多い。また、外国人選手の割合が比較的高い。
代表的選手:金本知憲広島阪神)、タイロン・ウッズ横浜中日)、松中信彦(ソフトバンク)、タフィ・ローズオリックス)など
5番打者
クリーンナップのトリとして打点を量産することが求められる。確実性で劣っても長打力に重点を置き、4番が残した走者を返す事を求められる。出塁している走者を、さらに返す。長打を打ち、相手投手に留めを刺すのが役目。適切な打者として、打順の構造がジグザグになるように4番打者とは逆打ちの打者が置かれることが多い。
代表的選手:今岡誠(阪神タイガース)、前田智徳(広島)、小久保裕紀(福岡ダイエー〜巨人〜ソフトバンク)、和田一浩西武〜中日)など

もちろん、それぞれの打者への役割付けはチーム状況によって千差万別である。近年では2003年の福岡ソフトバンクホークスが、3・4・5番ではなく、4・5・6番(松中、城島バルデス)をクリーンナップと位置づけていた例もある。1996年の中日ドラゴンズは、6・7番に座った山崎武司大豊泰昭が本塁打王争いを繰り広げる活躍で、二人で計77本を量産し「脅威の下位打線」、「ダブル・クリーンナップ」と他球団に恐れられた。

4番打者はチームの中で最強の打者が置かれることが多く、そのチームの看板打者となることが多い。特に読売ジャイアンツではこれに拘り、「第○代巨人軍4番打者」などと呼ばれる。しかしバレンタイン監督率いる千葉ロッテのように、あくまで「四番目の打者」として位置づける考えもある。

日本球界における代表的なクリーンナップの例

メジャーリーグにおける本来の位置付け

クリーンナップを3・4・5番の打者として位置づけるのは和製用法であり、英語では4番打者のみを指す。

アメリカ合衆国メジャーリーグでは、最強打者は3番打者である事が多い。これは、精神論を重視して伝統的な4番打者最強説を採用している日本に対し、アメリカ合衆国では、合理主義に基づいて得点期待値の最も高い打順を組むためである。コンピュータによるシミュレーションによって、最も効率的な打順を求めた結果、チームの主力打者のタイプや相性などの様々な要素によって結果は変わるが、最強打者の打順については、メジャーリーグの殆どのチームで3番であった。なお、わずかながら2番や4番というケースも存在した。アメリカ合衆国においては、最強打者は3番という固定観念があるのではなく、効率的な打順を追求した結果、最強打者が3番になる事が多いということである。1960年代は日本でも「3番最強説」と「4番最強説」どちらが最強なのかとの議論も出ていた(「月刊ホームラン1988年8月臨時増刊号内の記事より)。

また日本国内では、イチローのメジャーリーグ移籍以後は、走者を生還させるためのクリーンナップよりも、チャンスメイクを任される1番打者を重視する考えに比重が移ってきている傾向も一部あるが、アメリカ合衆国においてはそのような考え方をする者は極めて少ない。むしろ、1番打者はクリーンナップと違い、「足が速く、出塁率が高い」ことが求められるので、どちらが最強かを議論することはあまり意味がないという考えが支配的である。

関連項目