沈埋トンネル
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沈埋トンネル(ちんまいトンネル)とは、予め海底や川底などに溝を掘っておき、そこにケーソン(沈埋函)を沈めて土をかぶせる、沈埋工法(ちんまいこうほう)で作られたトンネルである。
工法[編集]
- ケーソン製作 - ケーソンを地上で構築する。
- 基礎工事 - 水底のケーソンを設置する位置に、底が平らな穴を掘り、ケーソンを安置する部分を作る。
- 曳航 - ケーソンの両端をバルクヘッドと言う蓋で閉塞して浮上させた後、船舶で目的の位置まで曳航する。
- 埋設・埋め戻し - アンカーワイヤーで位置の調整をしながら、所定の位置でケーソンに注水して沈め、水底に予め掘った穴の中にケーソンを設置する。
- 内部構築 - 内部の仕切り壁などを構築し、トンネルとして機能するようにしてゆく。
- 完成 - ケーソンの側部と上部を埋め戻すことによって、ケーソンを安定させれば完成する。
特色[編集]

沈埋トンネルに用いるケーソン。沈埋函とも呼ばれる。
利点[編集]
沈埋トンネルは、海底や川底などにトンネルを作る際に、開削トンネルやシールドトンネルと比べて、浅い位置にトンネルを作ることができる。浅い分だけ、トンネルへの勾配も少なくなるので、建設費が高額なトンネル部分の長さを短くすることが可能である。
欠点[編集]
沈埋トンネルを作成するための沈埋工法は、特に水底に溝を掘る工事の際に、海や川に少なからぬ影響が出ることがある。
主な沈埋トンネル[編集]

新潟みなとトンネルの入口と換気塔。2005年完成。
- 道路トンネル
- 安治川トンネル - 1944年完成。
- 衣浦海底トンネル - 1973年完成。
- 首都高速羽田線
- 羽田トンネル - 1964年完成。
- 首都高速湾岸線
- 第二航路トンネル - 1986年頃に限定供用が開始され、2002年に一般供用が開始された。
- 川崎港海底トンネル - 1979年に限定供用が開始され、1992年に一般供用が開始された。
- 大阪港咲洲トンネル - 1997年完成。
- 道路と鉄道(Osaka Metro中央線)が一体構造になっている。
- 神戸港港島トンネル - 1999年完成。
- 東京港臨海道路臨海トンネル - 2002年完成。
- 夢咲トンネル - 2009年完成。
- 道路と鉄道(準備工事のみ)が一体構造になっている。
- 新潟みなとトンネル - 2002年に暫定供用が開始され、2005年に全面供用が開始された。
- 那覇うみそらトンネル - 2011年に一般供用が開始された。
- 新若戸道路海底トンネル- 2012年に一般供用が開始された。
- 鉄道トンネル
- ミシガン・セントラル鉄道トンネル - 1910年完成。
- Osaka Metro堺筋線の堂島川・土佐堀川・道頓堀川の沈埋トンネル - 1969年完成。
- 総武快速線隅田川トンネル - 1972年完成。
- 東海道貨物線羽田トンネル - 1973年完成。
- 都営地下鉄新宿線隅田川沈埋トンネル - 1978年完成。
- 東京臨海高速鉄道りんかい線東京港トンネル - 1990年完成。
- ボスポラス海峡トンネル(マルマライ) - 2013年完成。
参考文献[編集]
- 土門 剛、三浦 基弘 『トコトンやさしい トンネルの本』 p.92、p.93 日刊工業新聞社 ISBN 978-4-526-07811-8
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
映像外部リンク | |
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- 埋立浚渫協会 沈埋トンネル
- 工事を学ぼう -沖縄初の海底トンネルの整備(沈埋トンネル) - 那覇港湾・空港整備事務所
- 『沈埋トンネル』 - コトバンク
- 多摩川をわたる 沈埋トンネル【JRTT鉄道・運輸機構】 JRTT鉄道・運輸機構