武蔵浦和ラーメンアカデミー

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武蔵浦和ラーメンアカデミー
地図
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武蔵浦和ラーメンアカデミー(むさしうらわラーメンアカデミー)は、さいたま市南区武蔵浦和駅JR埼京線武蔵野線)前にあるラーメンに関する入場料無料のフードテーマパーク

武蔵浦和駅西口を出たペデストリアンデッキ沿いにあるが、接続はされていないので、1度デッキを降りて入館する。2020年現在、ラーメン店は1店も入居していない状態となっている(後述)。

概要[編集]

新横浜ラーメン博物館の成功を受けて[1][2]浦和の地場ゼネコンであるユーディケーが社有地を利用して2003年11月19日にオープンした[2][3][4]。オープン当時の新聞記事では「全国的にも例のない、先進的なラーメン店を集結させたテーマ型ラーメン特化施設」「⾸都圏に新しいラーメン⽂化の殿堂の実現を⽬指す」[3]「新しい埼玉の顔として人気を呼びそう」[2]などと報じられ、オープン式典には埼玉県知事の上田清司、さいたま市長の相川宗一(いずれも当時)が出席した[3]。再開発地区内にあり、新事業が立ち上がるまで5年から10年程度の期間限定営業を見込んでいるとしており[3]、オープン当時は住宅地であった武蔵浦和駅前を5年以内に商業地域化させる目的で話題性の高いラーメン集合施設の建設を決めた点や[2]、都内からのアクセスの良さ、県内にテーマ型飲食施設が少ないため話題性になる点が報じられた[2]。企画は商業施設のコンサルタント会社であるヴィジュアル・ジャパンが担当した[1][2]

全国各地のラーメン店など5 - 6店舗が出店[注 1]校舎をイメージした[4][6]2階建てビルの2階部分にラーメン店が入居し[6]、1店舗につき面積は約70平方メートル、席数は21席[4]、出店契約期間は1年となっていた[6][7]。ラーメン店同士の競争を促し施設の新鮮さを常に保つために店舗間で年間売上などを競わせ[1]、下位の2店舗は毎年新規店舗との入れ替えを行う「サバイバル方式」[6]を特徴としており[1][2][6]日経ビジネスではこれを「常連客を飽きさせないための新たな趣向」と報じていた[1]。オープン時に出店した6店舗は全国から応募した40店から選ばれ[2]、翌年の入替えを狙って選考に漏れた店舗が出店の打診や順番待ちをする所もあったという[2][6]。激しい店舗入替えに対応すべく、厨房一式は備え付けで、参加店側は鍋、釜、スタッフを用意するだけでよく、店舗の大規模改装は禁止となっていた[6]。各店舗には2ヶ月毎に新メニューを追加することが義務付けられていたほか[2][6][7]、評論家や一般客で評価委員会を作り、新作メニューや接客対応など複数の評価項目から「通信簿」[7]を作成、各店舗の評価を行うイベントも行われていた[6][7]。退店(撤退)の際は「卒業」という表現を使用していた[8]。初年度来場者は125万人、年商10億円を見込んでいたが[2][3][4]、実際の入場者は約70万人に留まった[4]。当初は出店店舗について「有名でも多店舗展開している店は避ける」[6]「ラーメンファンの間では有名だがチェーン店化されていないこと」[4]を基本理念としていたが、実際の入場者数を鑑みて方針を転換、オープン1年後の2004年11月にはリニューアルを実施した[4]2009年3月より施設名を「ラーメン館銘店めぐり」に変更していた[9]

経営面については、住宅新報に掲載された日本不動産鑑定士協会連合会広報委員の談として「店舗を入れ替えて新陳代謝を良くして成功している」との評価もあった[8]。その後閉店が相次ぎ、2020年現在は居酒屋カラオケ店が入居するのみでラーメン店が1店舗も出店していない状態となっている[注 2]。当施設は都市再生機構が施行する再開発事業「武蔵浦和駅第1街区第一種市街地再開発事業」にて、隣接するケーズデンキ武蔵浦和店(2012年閉店)と共に「第1-A地区」を形成するが、2006年発表の都市計画案では当地区は再開発地域から外れた[14]。その後、2019年に「武蔵浦和駅前計画」としてケーズデンキ跡地に18階建て高層マンションが建設されること(2021年着工、2024年完成予定)が明らかとなった[15]

館内施設一覧[編集]

過去に出店した店舗[編集]

その他[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ オープン当時の報道によれば「北海道から鹿児島までの有名ラーメン店6店舗とアイスクリーム店1店舗」が出店[3]、2007年当時の公式サイトによれば「ラーメン店4店舗と本格中華料理店1店舗」が出店[5]していた。
  2. ^ a b 2020年現在、2階部分はモンテローザ運営の居酒屋3店舗[10][11][12]と、浦和区の企業が運営するカラオケ店[13]のみでラーメン店は出店していない。また、カラオケ店の店舗案内では「武蔵浦和ラーメンアカデミー跡地」との表記がある[13]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 飯泉梓「時流超流・トレンド 売れ筋読み筋〜全国に広がるラーメン・テーマパーク『安価な娯楽』で抜群の集客⼒」『日経ビジネス』第1236号、日経BP、2004年4月5日、24頁。  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 野⼝美恵 (2003年11月6日). “[Saitama経済メール]建設会社が「ラーメンアカデミー」/埼⽟”. 毎日新聞(地方版、埼玉) (毎日新聞社): p. 24  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  3. ^ a b c d e f “ユーディケー/さいたま市武蔵浦和にラーメンアカデミー、社有地利⽤し街活性化”. 日刊建設工業新聞 (日刊建設工業新聞社): p. 5. (2003年11月19日)  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 酒井圭吾 (2004年10月14日). “[プロに聞く・彩の国流⾏事情]ラーメンテーマパーク 集客⼒が課題=埼⽟”. 読売新聞(東京朝刊) (読売新聞東京本社): p. 33  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  5. ^ a b 校舎紹介”. ラーメンアカデミー. 2007年8月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月21日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k “武蔵浦和に「ラーメンアカデミー」 全国から味な6店 /埼⽟”. 朝日新聞(東京地方版、埼玉) (朝日新聞社): p. 31. (2003年11月19日)  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  7. ^ a b c d 鈴木裕美 (2003年11月14日). “お客次第で去就が決まる―実力主義のラーメン施設が相次いで登場”. Nikkei BP Network BizTech(日経レストラン. 日経BP. 2003年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月21日閲覧。
  8. ^ a b 富永伸⼆ (2012年12月18日). “鑑定⼠協連レター ラーメンテーマパークの今 施設づくり、⾼度な戦略必要”. 住宅新報 (住宅新報): p. 9  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  9. ^ ラーメンアカデミーから「ラーメン館銘店めぐり」へ”. ラーメン館銘店めぐり (2009年3月1日). 2009年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月21日閲覧。
  10. ^ 魚民 武蔵浦和駅前店”. イザポ 居酒屋ポータル. モンテローザ. 2020年5月3日閲覧。
  11. ^ 笑笑 武蔵浦和駅前店”. イザポ 居酒屋ポータル. モンテローザ. 2020年5月3日閲覧。
  12. ^ 丹波黒どり農場 武蔵浦和西口駅前店”. イザポ 居酒屋ポータル. モンテローザ. 2020年5月3日閲覧。
  13. ^ a b カラオケALL武蔵浦和”. 店舗紹介. メロ・ワークス. 2020年5月3日閲覧。
  14. ^ “駅広・施設2ha,再開発に1ha/都市機構施⾏の武蔵浦和第1再開発”. 建設通信新聞 (⽇刊建設通信新聞社). (2006年12月5日)  - G-Searchにて2020年4月21日閲覧。
  15. ^ 令和元年度 標識設置届出状況・説明報告書閲覧期間確認表” (PDF). さいたま市. p. 4 (2020年4月21日). 2020年5月4日閲覧。
  16. ^ ラーメンオールスターズ”. ラーメンアカデミー. 2008年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月9日閲覧。

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度50分41.4秒 東経139度38分47.1秒 / 北緯35.844833度 東経139.646417度 / 35.844833; 139.646417