春に散る

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春に散る
著者 沢木耕太郎
イラスト 中田春彌
発行日 2016年12月31日
発行元 朝日新聞出版
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判上製
ページ数 432(上)
424(下)
コード ISBN 978-4-02-251441-7(上)
ISBN 978-4-02-251442-4(下)
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春に散る』(はるにちる)は、沢木耕太郎による日本小説。2015年4月1日から2016年8月31日まで、朝日新聞紙上にて連載された[1][2]。連載および単行本のイラストは中田春彌が手掛けている[1][3]

その後、2016年12月31日に朝日新聞出版より単行本が上・下巻で同時刊行され、2020年2月7日には朝日文庫にて文庫化された。

あらすじ[編集]

広岡仁一は40年ぶりに日本の地に降り立つ。彼はアメリカに渡った元ボクサーであり、引退後はホテル経営を行い、成功を収めていた。しかし心臓に持病を抱えてしまう。日本に戻ってきた彼が最初に行ったことは後楽園ホールでボクシングの試合を見ることだった。会場でかつて所属していたボクシングジム「真田拳闘倶楽部(真拳ジム)」の会長の娘で現会長である真田令子に偶然会い、後日真拳ジムを訪ねる。そこでかつての同期である仲間の近況を聞き、唯一所在の分かる藤原から尋ねることにした。 進藤不動産の土井佳菜子の協力で良い部屋を借り、藤原を始めとした同期を順々に尋ねる。皆、人生が上手く行かず、傷心しきっていた。そんな同期達に昔の仲間で共同生活を提案すると、やがて一人、また一人と集まってくる。 そして、佳菜子も参加した新生活を祝う飲み会後に、チンピラたちに絡まれるが難なく撃退する。その中にはある理由から引退を考えていたボクサー黒木翔吾がいた。

登場人物[編集]

広岡仁一
ボクシングジム「真田拳闘倶楽部(真拳ジム)」に所属していた元プロボクサー。後にアメリカに渡り、ホテル経営で財を成すが、心臓に持病を抱える。そして思うところがあり、40年振りに日本の地を踏む。
黒木翔吾
連勝しているが、ある判定勝ちから戦意を消失しており、引退を考えている若手ボクサー。
藤原次郎
「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はインサイド・アッパーを得意としていた。結婚したが、妻子とは別れている。冒頭の時点では、傷害事件で服役中。
佐瀬健三
「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はジャブの3段打ちを得意としていた。引退後にジムを開いたが事業に失敗。冒頭の時点では一人で暮らしている。
星弘
「真田拳闘倶楽部」に所属していた元プロボクサー。現役時代はボディー・フックを得意としていた。飲み屋のママと一緒になっていたらしいが、相手の女性は亡くなっている。
土井佳菜子
進藤不動産の事務員。不思議な力を持つ。
真田令子
広岡がかつて所属していたジムの会長の娘。現在は彼女が会長を務めている。
大塚俊
真拳ジムで世界挑戦が近いジム期待の星。

書誌情報[編集]

  • 単行本:朝日新聞出版、2016年12月31日発売[4][5]
    • 上巻 ISBN 978-4-02-251441-7 / 下巻 ISBN 978-4-02-251442-4
  • 文庫本:朝日文庫、2020年2月7日発売[6][7]

ラジオドラマ[編集]

2021年3月20日と27日にNHK-FMの「FMシアター」枠で前・後編形式で放送された[8]

キャスト(ラジオドラマ)[編集]

スタッフ(ラジオドラマ)[編集]

映画[編集]

春に散る
ONE LAST BLOOM
監督 瀬々敬久
脚本 瀬々敬久
星航
原作 沢木耕太郎
製作 鷲見貴彦
園田憲
依田巽
益田祐美子
河内真人
出演者 佐藤浩市
横浜流星
橋本環奈
坂東龍汰
松浦慎一郎
尚玄
奥野瑛太
坂井真紀
小澤征悦
片岡鶴太郎
哀川翔
窪田正孝
山口智子
音楽 田中拓人
主題歌 AI「Life Goes On」
撮影 加藤航平
編集 早野亮
制作会社 ツインズジャパン
製作会社 映画『春に散る』製作委員会
配給 ギャガ
公開 日本の旗 2023年8月25日
上映時間 133分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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2023年8月25日に公開された日本映画。監督は瀬々敬久、主演は佐藤浩市横浜流星[9]

主演の横浜は2022年4月に本作の役作りのためボクシングを始め、2023年6月12日、プロテスト(日本ボクシングコミッション(JBC)のC級(4回戦))に合格した[10]

2023年12月20日、動画配信サービス「Lemino」での独占配信が開始された。

あらすじ(映画)[編集]

キャスト(映画)[編集]

主要人物[編集]

広岡仁一
演 - 佐藤浩市
黒木翔吾
演 - 横浜流星

周辺人物[編集]

広岡佳菜子
演 - 橋本環奈[11]
大塚俊
演 - 坂東龍汰[11]
佐瀬健三
演 - 片岡鶴太郎[11]
藤原次郎
演 - 哀川翔[11]
中西利男
演 - 窪田正孝[12]
真田令子
演 - 山口智子[11]
山下裕二
演 - 松浦慎一郎
郡司
演 - 尚玄
原田
演 - 奥野瑛太
黒木和美
演 - 坂井真紀
ラウンドガール
演 - 清瀬汐希[13]
巽会長
小澤征悦[14]

スタッフ(映画)[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 「Levius」の中田春彌が挿絵手がける沢木耕太郎の連載小説、朝日新聞で”. コミックナタリー. ナターシャ (2015年3月25日). 2023年6月2日閲覧。
  2. ^ 春に散る:最終回 沢木耕太郎”. 朝日新聞デジタル. 朝日新聞社 (2016年8月31日). 2016年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月2日閲覧。
  3. ^ 沢木耕太郎(インタビュー)「沢木耕太郎『春に散る』年配女性に異例の反響となった理由」『AERA dot.』、朝日新聞出版、3頁、2017年1月29日https://dot.asahi.com/articles/-/111182?page=32023年6月2日閲覧 
  4. ^ 春に散る 上”. 朝日新聞出版. 2023年6月2日閲覧。
  5. ^ 春に散る 下”. 朝日新聞出版. 2023年6月2日閲覧。
  6. ^ 文庫版春に散る 上”. 朝日新聞出版. 2023年6月2日閲覧。
  7. ^ 文庫版春に散る 下”. 朝日新聞出版. 2023年6月2日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j 春に散る(前・後編)”. NHK オーディオドラマ. 日本放送協会. 2023年6月2日閲覧。
  9. ^ a b 佐藤浩市×横浜流星のW主演、沢木耕太郎『春に散る』映画化 監督は瀬々敬久”. ORICON NEWS. oricon ME (2022年10月5日). 2023年6月2日閲覧。
  10. ^ “横浜流星がプロボクシングC級ライセンス合格「心が燃えました」主演映画の役作りでテスト受験”. 日刊スポーツ (日刊スポーツNEWS). (2023年6月12日). https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202306120001075.html 2023年6月12日閲覧。 
  11. ^ a b c d e 山口智子、27年ぶりの実写映画出演「本気で我が命を生きる覚悟で」 佐藤浩市×横浜流星W主演作『春に散る』”. ORICON NEWS. oricon ME (2022年11月29日). 2023年6月2日閲覧。
  12. ^ 窪田正孝、横浜流星と初共演で“最大のライバル”天才ボクサーに「春に散る」出演決定”. モデルプレス. ネットネイティブ (2022年12月23日). 2023年6月2日閲覧。
  13. ^ 清瀬汐希「春に散る」出演で貴重な体験 女優業邁進中の本音を語る<モデルプレスインタビュー>”. modelpress (2023年8月29日). 2023年10月3日閲覧。
  14. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab AI、佐藤浩市×横浜流星『春に散る』に主題歌「Life Goes On」書き下ろし”. BARKS. ジャパンミュージックネットワーク (2023年5月31日). 2023年6月2日閲覧。
  15. ^ 佐藤浩市×横浜流星、映画『春に散る』AIの書き下ろし主題歌流れる予告映像解禁”. ORICON NEWS. oricon ME (2023年5月31日). 2023年6月2日閲覧。

外部リンク[編集]