入学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

入学(にゅうがく)とは、学校に入ること。幼稚園に入ることは入園(にゅうえん)という。対義語は退学卒業など。

試験[編集]

大部分の公立小学校中学校には入学試験はないが、私立国立とごく一部の公立の小学校・中学校・中等教育学校には入学試験がある。また国公私立の高等学校大学学部大学院短期大学)などにも入学試験がある。ただし通信制の場合は入学試験がない場合も多い。

入学の学齢・種類[編集]

学校教育法及び学校保健安全法の定めにより、4月1日時点で6歳である日本国籍児童は、就学時健診を受けて異常がなければ小学校に入学する制度になっている(外国籍の学齢児童も就学は可能)。障害があったり、未熟児などで発達度合いが低い場合、特別支援学校に入学したり、就学猶予や就学免除などの制度を受けることになる。義務教育制度のため、建前上は健康な学齢児童は全員が正規の学校に就学するものとされるが、インターナショナル・スクールなどの未認可の学校に入学することや、どの学校にも入学しないことも可能である。ただしこの場合でも学籍が地元学校に存在する場合がある。

入学の時期[編集]

入学は、日本では一般にが咲く4月、の行事と考えられているが、欧米諸国や中華人民共和国では、入学は9月、の行事であり、また2学期制が一般的である(前期と後期に分かれていて冬休みと夏休みが長めに取られていて春休みはない)[1]。欧米の大学は、夏冬学期制で、春からでも秋からでも始められるのだが、初めの入学は9月というのが一般的である。暖かい時期に試験などが行なわれるため、体調を崩して困るようなことが少ないといわれる。

本来、明治から大正初期の日本では、大学は9月入学であった。実際、明治後期に夏目漱石が著した小説『三四郎』では、主人公が夏に九州から上京したことや、9月における帝国大学の授業の開始など、明治における9月入学の光景が描かれている。

現在、4月入学となった経緯は次のとおりである。

  • 明治19年(1886年)4月から酒造税に「4月-3月制」が導入され、明治22年(1889年)の会計法制定により「4月-3月制」が法制化されると、市制及び町村制の施行に合わせて、同年4月より市町村でも実施され、翌年5月より道府県(後に都も)でも実施されることになった。[2][3]
  • また、明治20年(1887年)3月9日徴兵事務条例が改正され、徴兵対象者(満20歳の男子)の届出日がそれまでの9月から4月に変更され、4月が士官学校等軍関係学校の新学期になった。[1][4]
  • これにともない、学校運営資金を政府から調達するためには、国の会計年度の始まりに合わせないと不便ということから、明治19年(1886年)高等師範学校が4月入学となった。[5][6]
  • その後、明治21年(1888年)に文部省の指示で全国の師範学校や小・中学校でも4月入学が広がり、大正10年(1921年)に各帝国大学が4月入学に変更したことにより全ての学校が4月入学になり現在に至っている。[7]

9月入学の議論[編集]

  • 大学においては2008年学校教育法施行規則の一部改正により、学年の始期及び終期は学長が定めることとなり、2011年に東京大学を中心とした国立大学で9月入学への移行が議論されたが、高校卒業後の空白期間や、多くの企業の採用時期とずれるため断念された[8]。現在、海外の学校に合わせて中間期に入学可能な大学もある。
  • 2019年11月に中国武漢市から広まった新型コロナウイルス感染症の日本国内での流行及びそれに伴う緊急事態宣言の影響を受け、全国およそ9割の小学校・中学校・高等学校などで休校措置がとられた[9]。2020年4月初頭、高校生のTwitter投稿がきっかけで「9月入学」への賛否議論が起き、様々な議論が交わされたが、「9月入学」を検討する自民党のワーキングチームが「今年度・来年度のような直近の導入は困難」などとする政府への提言書を6月2日に提出し、同日記者会見をした安倍首相は今年度や来年度の導入はないとの意向を示した[10]
各国・地域の入学時期[1][5][11]
時期
1月 シンガポール[12]、マレーシア[13]、フィジー、バングラデシュ、南アフリカ
2月 オーストラリア[注釈 1]、ニュージーランド[注釈 2]、ブラジル[16]
3月 韓国[17]、北朝鮮[18]、アルゼンチン[19]、ペルー、チリ
4月 日本、インド、パキスタン
5月 タイ[20]
6月 フィリピン[21]、ミャンマー[22]
7月 インドネシア[23]、アメリカ合衆国[注釈 3]
8月 ドイツ[25]、スイス[26]、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、台湾[27]
9月 イギリス、フランス[28]、イタリア[29]、スペイン、ロシア[30]、カナダ、中国、ベトナム
10月 セネガル[31]、カンボジア[32]

その他[編集]

一般的に、入学や卒業の時期(毎年3-4月)は人生の節目になりやすく、学習机などの学習用具の購入や、ランドセル制服の購入などで何かと忙しく出費もかさむ時期であり、これに乗じたビジネスも多い。

裏口入学[編集]

縁故者(または縁故があると名乗る者)の口利きやその者に対して資金提供し、試験の結果を改ざんするなどの方法により不正に試験を通過して入学することを裏口入学(うらぐちにゅうがく)と称することがある。 特に私立大学に多い。(例早稲田大学商学部入試問題漏洩事件)

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 1月下旬から2月。[14]
  2. ^ 1月下旬から2月。[15]
  3. ^ 州によって異なる。[24]

出典[編集]

  1. ^ a b c 中村亮一 (2019年5月7日). “日本の学校はなぜ4月に新しい学年がスタートするのか? 諸外国はどうか?”. ニッセイ基礎研究所. 株式会社ニッセイ基礎研究所. 2020年5月8日閲覧。
  2. ^ 中村亮一 (2019年4月5日). “国の会計年度はなぜ4月から3月までなのか? 諸外国はどうか?”. ニッセイ基礎研究所. 株式会社ニッセイ基礎研究所. 2020年5月8日閲覧。
  3. ^ 柏崎敏義「会計年度と財政立憲法主義の可能性-松方正義の決断-」『法律論叢』第83巻2-3、明治大学法律研究所、2011年2月8日、 111-116頁、 ISSN 03895947NAID 400188393782020年5月8日閲覧。
  4. ^ 古屋哲夫「近代日本における徴兵制度の形成過程」『人文學報』第66巻、京都大学人文科学研究所、1990年3月、 125頁、 doi:10.14989/483292020年5月8日閲覧。
  5. ^ a b 三浦康子 (2020年5月4日). “4月入学の国って他にある?日本の新学期・入学式が4月始まりの理由”. All About. 株式会社オールアバウト. 2020年5月8日閲覧。
  6. ^ 佐藤秀夫『学校ことはじめ事典』小学館、1987年11月、32-33頁。ISBN 4098370913
  7. ^ 大橋正也 (2017年2月18日). “桜の季節の入学式、明治初期は9月が主流 英独手本に”. NIKKEIプラス1. 株式会社日本経済新聞社、株式会社日経BP. 2020年5月8日閲覧。
  8. ^ 【襲来!コロナウイルス】急浮上「9月入学・新学期」に戸惑う受験生や教育現場 「安倍政権に明治以来の大改革ができるの?」の声が殺到する理由”. J-CASTニュース. 株式会社ジェイ・キャスト (2020年4月29日). 2020年5月8日閲覧。
  9. ^ “新型コロナ 小中高9割休校 文科省調査”. 毎日新聞. (2020年5月14日). https://mainichi.jp/articles/20200514/ddm/041/040/064000c 2020年6月12日閲覧。 
  10. ^ 鈴木款 (2020年6月3日). “きっかけは都立高校生のツイッター投稿だった 9月入学事実上見送りの舞台裏を検証した”. FNNプライムオンライン. 株式会社フジテレビジョン. 2020年6月12日閲覧。
  11. ^ 9月入学は「世界標準」の大ウソ。独も豪も「9月以外」の現実”. MAG2NEWS (2020年6月4日). 2020年6月6日閲覧。
  12. ^ 諸外国・地域の学校情報:シンガポール”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  13. ^ 諸外国・地域の学校情報:マレーシア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  14. ^ 諸外国・地域の学校情報:オーストラリア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  15. ^ 諸外国・地域の学校情報:ニュージーランド”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  16. ^ 諸外国・地域の学校情報:ブラジル”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  17. ^ 諸外国・地域の学校情報:大韓民国”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  18. ^ 高英起 (2019年3月24日). “北朝鮮の名門幼稚園「汚れたお受験」に見るあの国の本当の姿”. デイリーNKジャパン. 株式会社ブラスト. 2020年6月12日閲覧。
  19. ^ 諸外国・地域の学校情報:アルゼンチン”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  20. ^ 諸外国・地域の学校情報:タイ”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  21. ^ 諸外国・地域の学校情報:フィリピン”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  22. ^ 諸外国・地域の学校情報:ミャンマー”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  23. ^ 諸外国・地域の学校情報:インドネシア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  24. ^ 世界の学校体系 (PDF)”. 文部科学省. 2020年6月12日閲覧。
  25. ^ 諸外国・地域の学校情報:ドイツ”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  26. ^ 諸外国・地域の学校情報:スイス”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  27. ^ 諸外国・地域の学校情報:台湾”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  28. ^ 諸外国・地域の学校情報:フランス”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  29. ^ 諸外国・地域の学校情報:イタリア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  30. ^ 諸外国・地域の学校情報:ロシア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  31. ^ 諸外国・地域の学校情報:セネガル”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。
  32. ^ 諸外国・地域の学校情報:カンボジア”. 外務省. 2020年6月12日閲覧。

関連項目[編集]