ロバート・プルチック

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ロバート・プルチック(Robert Plutchik、1927年10月21日 - 2006年4月29日)は、アメリカ合衆国心理学者である。アルベルト・アインシュタイン医学校名誉教授サウスフロリダ大学の非常勤教授。コロンビア大学博士号を取得した。[1]

プルチックの感情の輪[編集]

詳細は「感情の一覧#プルチックの感情の輪」を参照。

プルチックの感情の輪

プルチックの感情の輪とは[編集]

プルチックは1980年感情の分類について、「プルチックの感情の輪」を提唱した。これは、円錐を逆さまにしたような色彩立体の感情モデルである。プルチックの感情の輪は、8つの基本感情と16の強弱派生、24の混同感情から成り立つ。[2]

基本感情と対極感情・強弱派生[編集]

プルチックの感情の輪における基本感情は、喜び(Joy)・期待(Anticipation)[3]怒り(Anger)・嫌悪(Disgust)・悲しみ(Sadness)・驚き(Surprise)・恐れ(Fear)[4]信頼(Trust)の計8つの感情を基本感情としている。[1]

基本感情にはそれぞれポジティブ感情ネガティブ感情中立感情に分かれており、喜び・信頼はポジティブ感情、怒り・嫌悪・悲しみ・恐れはネガティブ感情、期待・驚きは中立感情である。[1]

8つの基本感情にはそれぞれ対極感情があり、プルチックの感情の輪における反対側の感情である。それぞれ、喜び と 悲しみ、信頼 と 嫌悪、恐れ と 怒り、驚き と 期待が反対感情である。[1][2]

反対感情はその感情と同時に抱きにくい表している。例えば、嫌悪の感情を抱いているときには信頼の感情は同時に抱きにくい。[2]

また、8つの基本感情にはそれぞれ強弱派生強い感情弱い感情)があり、プルチックの感情の輪では色のグラデーションで表している。[1]

基本感情と強弱派生・対極感情[2]
基本感情 強い感情 弱い感情 対極感情
喜び 恍惚 平穏 悲しみ
期待 警戒 関心[5] 驚き
怒り 激怒 苛立ち[6] 恐れ
嫌悪 憎悪 退屈[7] 信頼
悲しみ 悲嘆[8] 哀愁[9] 喜び
驚き 驚嘆 放心[10] 期待
恐れ 恐怖 不安[11] 怒り
信頼 敬愛 容認 嫌悪
混同感情の関係

混同感情[編集]

2つの基本感情が混ざり合う(ダイアド)とき、人間特有の高度な感情である混同感情が発生するとしている。隣り合う2つの感情による混同感情のことを特に隣接混同感情という。また、混同感情は隣接混同感情(隣り合った感情)のほかに、一つおき・二つおきの感情でも発生する。[2]

混同感情の一覧は「感情の一覧#プルチックの感情の輪」を参照。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e プルチックの感情の輪とは?わかりやすく解説!”. 2024年3月29日閲覧。
  2. ^ a b c d e プルチックの感情の輪から、本当の感情を突き止める”. 2024年3月29日閲覧。
  3. ^ 「期待」は「予期」と訳されている場合もある。
  4. ^ 「恐れ」と「恐怖」は日本語においては同意だが、英語(プルチックの感情の輪)においては、「Fear」と「Terror」であり異なる。 ※便宜上、「恐れ」のリンクとして「恐怖」を挿入しています。
  5. ^ 「関心」は「興味」と訳されている場合もある。
  6. ^ 「苛立ち」は「煩さ」と訳されている場合もある。
  7. ^ 「退屈」は「嫌気」と訳されている場合もある。
  8. ^ 「悲嘆」と「悲しみ」は日本語においては同意だが、英語(プルチックの感情の輪)においては、「grief」と「Sadness」であり異なる。↵↵※便宜上、「悲嘆」のリンクとして「悲しみ」を挿入しています。
  9. ^ 「退屈」は「憂い」と訳されている場合もある。
  10. ^ 「放心」は「動揺」と訳されている場合もある。
  11. ^ 「不安」は「心配」と訳されている場合もある。

関連項目[編集]