シャーデンフロイデ

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シャーデンフロイデ: Schadenfreude)とは、他者の不幸悲しみ苦しみ、失敗を見聞きした時に生じる、喜び、嬉しさといった快い感情ドイツ語で「他人の不幸(失敗)を喜ぶ気持ち」を意味する。日本語で言う「ざまあみろ」の感情であり、日本でのシャーデンフロイデの類義語としては「隣(他人)の不幸は)の味」、同義の「メシウマ(他人の不幸で飯が美味い)」という俗語が近い物として挙げられる。

シャーデンフロイデに関する考察[編集]

ベン・ゼェヴ英語版はシャーデンフロイデが生じる状況の典型的特徴について、以下の3点を挙げている[1]

他者の不幸が相応と知覚されている
不幸の責任の所在によってシャーデンフロイデの生じやすさは変化する。その不幸が他者自身の落ち度であればシャーデンフロイデが生じやすいが、不可抗力な事態であればシャーデンフロイデは生じにくい。
他者の不幸が深刻では無い
相対的に小さい不幸に対してシャーデンフロイデは生じやすい。誰かが死亡するなど、深刻な不幸に対してはシャーデンフロイデは生じにくい。
他者の不幸に対して受動的である
意図的に相手を不幸に陥らせる訳ではなく、たまたま見聞きして幸福感を得る点で、攻撃行動サディズムとは異なる。

シャーデンフロイデが喚起される重要な要因に復讐心があると想定されている[1]fMRIを使った実証実験では、女性の復讐心が妬みに分散するのに対し、男性は自分に不利益や不正を働いたものに降りかかる不幸はシャーデンフロイデに直結することを示している。ニーチェはシャーデンフロイデについて「平等性の勝利と回復についての最も卑俗な表現」と述べている。シャーデンフロイデとは何らかの不公正や不平等を感じていた者が、他者が見舞われた不幸によって果たされる消極的な復讐といえる[1]

社会的比較とシャーデンフロイデ[編集]

シャーデンフロイデを、自分と不幸に見舞われる他者を社会的比較を経て生じる感情の一種として捉える立場もある[1]

スミス(Rachel A. Smith)は社会的比較によって生じるさまざまな感情について、他者に生じた出来事が自分と他者にもたらす結果という観点で、自分と他者の社会的優劣による上・下比較と、自分と他者の感情が類似していれば同化的、その逆なら対比的というパラメータに分け、4象限マトリクスで整理した。スミスの分析では、シャーデンフロイデは対象を自分より劣った者と見なす下方比較によって生じる感情であり、不幸によって悲しむ他者の状況に自分は喜んでいる点で対比的といえる[1]

他者に対してあらかじめ抱いていた感情がシャーデンフロイデを促すという仮説がある[1]。とりわけ妬みはシャーデンフロイデと表裏一体の感情と捉えられている。妬みとは自分には無いものを持つ他者を見て、自分が劣った存在であると自覚する自己意識である。上記のマトリクスで言えば上方比較となり、妬みとシャーデンフロイデは対極的位置にある。架空の人物による仮想場面を用いた実証実験によって、妬みがシャーデンフロイデを促すこと、異性より同性に対してその傾向が強くなること、妬みがシャーデンフロイデに変化する脳内プロセスが明らかにされている[1]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 澤田 2011, pp. 80-83.

参考文献[編集]

  • 中野信子、澤田匡人『正しい恨みの晴らし方』2015年、ポプラ社、32頁。
  • 澤田匡人、二宮克美、子安増生(編)、2011、「シャーデンフロイデ」、『社会心理学』、新曜社〈キーワードコレクション〉 ISBN 9784788512368

関連項目[編集]