ラウダー・ザン・ラヴ

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ラウダー・ザン・ラヴ
サウンドガーデンスタジオ・アルバム
リリース
録音 1988年12月 - 1989年1月 ワシントン州シアトル ロンドン・ブリッジ・スタジオ[1]
ジャンル グランジオルタナティヴ・メタル
時間
レーベル A&Mレコード
プロデュース テリー・デイト、サウンドガーデン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 108位(アメリカ[2]
  • サウンドガーデン アルバム 年表
    ウルトラメガ・OK
    (1988年)
    ラウダー・ザン・ラヴ
    (1989年)
    バッドモーターフィンガー
    (1991年)
    ミュージックビデオ
    「Hands All Over」 - YouTube
    「Loud Love」 - YouTube
    テンプレートを表示

    ラウダー・ザン・ラヴ』(Louder Than Love)は、サウンドガーデン1989年に発表した2作目のスタジオ・アルバムA&Mレコード移籍第1弾アルバムとして発表され、バンドのメジャー・デビュー作というだけでなく、グランジというジャンルでは初のメジャー・レーベルからリリースされたアルバムとしても知られる[3]

    背景[編集]

    バンドの地元シアトルのラジオ局KCMUは、サウンドガーデンも含むメジャー未契約のバンドの音源が収録されたコンピレーション・テープをA&Mに送り、それがきっかけでバンドはA&Mとの契約を得た[4]。共同プロデューサーのテリー・デイトは、過去にメタル・チャーチフィフス・エンジェル英語版といったヘヴィメタル・バンドの作品を手掛け、サウンドガーデンの次作『バッドモーターフィンガー』(1991年)も引き続きプロデュースしている[5]

    キム・セイルは1989年10月18日付の『シカゴ・トリビューン』紙に掲載された記事において「俺達の音楽は、ヘヴィメタルと同様キリング・ジョークバウハウスといったイギリスのバンドからも影響を受けている」とコメントした[6]。また、「ゲット・オン・ザ・スネーク」では9分の4拍子のリズムが取り入れられており、セイルはこの曲について「この曲では踊れないけど、それでもジワジワと迫ってくるような感じだ」と語っている[6]

    本作発表後、ヒロ・ヤマモトがバンドを脱退して復学する[7]。ヤマモトの後任としてサウンドガーデンに参加したジェイソン・エヴァーマン英語版によれば、バンドのロード・マネージャーはヤマモトについて「彼は生粋のパンク・ロックだった。当時はA&Mの連中とミーティングがあって、バンの中での生活は終わっていた。彼は本当に『オー、ノー、ノー、ノー! こんなの俺に合わない』って感じだったよ」と語っていたという[8]。なお、エヴァーマンの在籍は短期間に終わり、1990年4月にはベン・シェパードが加入する[4]

    反響・評価[編集]

    母国アメリカでは自身初のBillboard 200入りを果たし、108位に達した[2]。ただし、クリス・コーネルが2011年に『ギター・ワールド』誌のインタビューで語ったところによれば、総売り上げは前作『ウルトラメガ・OK』の方が上だという[9]

    Steve Hueyはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け、本作の音楽性を「スローで軋むような低音チューニングの、サバス/ツェッペリンリフの山と、クリス・コーネルの叫び」と形容している[10]

    メタリカカーク・ハメットは、本作に影響を受けて「エンター・サンドマン」のリフを作った[11]

    収録曲[編集]

    特記なき楽曲はクリス・コーネル作詞・作曲。

    1. アグリィ・トゥルース - "Ugly Truth" - 5:26
    2. ハンズ・オール・オーヴァー - "Hands All Over" (Chris Cornell, Kim Thayil) - 6:00
    3. ガン - "Gun" - 4:42
    4. パワー・トリップ - "Power Trip" (C. Cornell, Hiro Yamamoto) - 4:09
    5. ゲット・オン・ザ・スネーク - "Get on the Snake" (C. Cornell, K. Thayil) - 3:44
    6. ケビンズ・マム - "Full on Kevin's Mom" - 3:37
    7. ラウド・ラヴ - "Loud Love" - 4:57
    8. アイ・アウェイク - "I Awake" (Kate McDonald, H. Yamamoto) - 4:21
    9. ノー・ロング・ノー・ライト - "No Wrong No Right" (C. Cornell, H. Yamamoto) - 4:47
    10. アンカヴァード - "Uncovered" - 4:30
    11. ビッグ・ダム・セックス - "Big Dumb Sex" - 4:11
    12. フル・オン - "Full On (Reprise)" - 2:42

    他メディアでの使用例[編集]

    「ハンズ・オール・オーヴァー」はアメリカ映画『パシフィック・ハイツ』(1990年公開)のサウンドトラックで使用された[12]。また、「ラウド・ラヴ」はアメリカ映画『ウェインズ・ワールド』(1992年公開)のサウンドトラックで使用された[13]

    参加ミュージシャン[編集]

    脚注[編集]

    1. ^ CD英文ブックレット内クレジット
    2. ^ a b Soundgarden - Awards”. AllMusic. 2015年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月27日閲覧。
    3. ^ Chris Cornell, Kim Thayil Discuss Soundgarden's Future - Page 2 | Guitar World - 2014年9月4日閲覧
    4. ^ a b POP MUSIC: Fertile Ground: Blending heavy-metal power and melodic intelligence, Soundgarden is cultivating both art-rock and mainstream fans - Los Angeles Times - article by Richard Cromelin - 2014年9月4日閲覧
    5. ^ Terry Date | Credits | AllMusic
    6. ^ a b Seattle's Big Noise - Chicago Tribune - article by Greg Kot - 2014年9月4日閲覧
    7. ^ Soundgarden Biography | Rolling Stone - 2014年9月4日閲覧
    8. ^ The Rock 'n' Roll Casualty Who Became a War Hero - NYTimes.com - article by Clay Tarver - 2014年9月4日閲覧
    9. ^ Chris Cornell, Kim Thayil Discuss Soundgarden's Future - Page 4 | Guitar World - 2014年9月4日閲覧
    10. ^ Louder Than Love - Soundgarden | AllMusic - Review by Steve Huey
    11. ^ 10 Things You Might Not Know About Metallica's Kirk Hammett”. Gibson. 2018年12月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月27日閲覧。
    12. ^ Pacific Heights (1990) - Soundtracks - IMDb
    13. ^ Wayne's World (1992) - Soundtracks - IMDb