ハクキンカイロ (企業)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
ハクキンカイロ株式会社
Hakukin Corporation.
Pocket body warmer.jpg
ハクキンカイロ
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
550-0003
大阪府大阪市西区京町堀1丁目12番10号
設立 1949年昭和24年)1月
業種 その他製品
法人番号 2120001057686
事業内容 ハクキンカイロ及び医療健康関連製品の製造販売
代表者 代表取締役 的場恒夫
資本金 1000万円
関係する人物 的場恒市(創業者)
外部リンク http://www.hakukin.co.jp/
テンプレートを表示

ハクキンカイロ株式会社Hakukin Corporation.)は、大阪府大阪市西区に本社を置く懐炉医療健康関連製品などの製品を製造販売する企業である。1923年(大正12年)創業。

会社概要[編集]

創業から今日まで80年以上にわたって発売され続ける「ハクキンカイロ」の発売元としてその名を広く知られる。またその技術力の高さ(後述)から、海外へも広く輸出されており、フタに開けられた孔雀の型の通気孔のカタチから「Peacock Pocket Warmer」の名で販売されている。

その他にも、「プラチナ絹」なる人体の関節用ウォーマーも製造販売している。

「ハクキンカイロ」は注油したベンジンを、プラチナ(白金)触媒で「触媒燃焼」させる事で発熱保温させる原理であるため、クリーンな発熱システムと省エネルギー・再利用ができ、エコの観点から注目されている。

また使い捨てカイロの13倍の熱量を発生するので、雪山登山やウインタースポーツに適している。

ハクキンカイロの歴史[編集]

大正末期、創業者の的場仁市イギリスプラチナ触媒式ライターを参考に、プラチナの触媒作用を利用して気化したベンジンをゆっくりと酸化発熱させる懐炉を独自に発明し、1923年(大正12年)に「ハクキンカイロ(白金懐炉)」の商品名で発売した。ジッポーライターの登場(1932年)より9年先駆けた登場で、富裕層向けのカイロ(当時の庶民は桐灰カイロが主流であった)や、北支・満州など寒冷地帯に駐留する兵士の慰問品、南極観測隊の常備品などとして広くその名が知られた[1]

ハクキンカイロの発熱作用は燃焼とは異なる為、原理上は揮発油を用いる内燃機関の予熱にも利用ができる。実際に戦前に満州に駐留する日本陸軍が使用していた国産軍用トラックは、零下30度にも達する冬の朝はオイルパンの下に練炭コンロを置き、キャブレターにハクキンカイロを括り付けてエンジンの予熱を行う必要があった。一方で、同時期のフォードシボレーのトラックはそのような作業を行わなくても始動が出来たともいわれる[2]。このような背景もあり、第二次世界大戦中ハクキンカイロ社は戦闘機のエンジンの予熱機材、つまりは特大のハクキンカイロの製造にも注力した[1]水冷エンジンの冷却水経路を電熱器で予熱するブロックヒーター英語版カナダで発明されるのは1940年(昭和15年)、一般に市販されるようになるのは1949年(昭和29年)になってからであり、このような電気製品の登場まではカナダでは空冷星型エンジンを極寒の環境で始動する為には、着陸後に毎度エンジンオイルをブローポットと呼ばれる灯油コンロ付きのバケツに抜いてエンジン始動前に加熱する必要があり[3]、自動車(フォード・モデルA (1927-31年)英語版)でもオイルを抜いて夜間は暖炉の利いた室内へ保管する、始動前には暖炉の焼けた石炭をエンジンの下に敷く、インテークマニホールドに熱湯を掛けるなどの作業が必須という状況で[4][5]、極寒の地域ではどこもエンジンの冷間始動対策には苦慮していた中で、ハクキンカイロは冬季装備の軍需品としての価値を認められていたのである。

そのため物資統制下で、ハクキンカイロは「国民の健康維持に不可欠な保健用品」として当局より製造継続を許可され、本体材質を真鍮からステンレスに切り替え、敗戦直前の大阪大空襲による工場全焼まで製造された。戦中の真鍮供出に伴う材質変更(戦中モデルの存在)や、基本構造が80有余年の間ほぼ不変で現在に至るなど、後にOEM生産で提携するジッポーとも共通点が多い。

戦後は1950年代より国外輸出も開始。1964年(昭和39年)には第18回夏季オリンピック東京大会聖火リレーにて、聖火のトーチの炎が消えた場合のバックアップとして特製のハクキンカイロが用意されていた[1]

なお、ハクキンカイロの原理を応用した製品は、現在では火災報知器の動作確認用機材[6]がある。

沿革[編集]

  • 1923年大正12年) - 創業者・的場仁市がハクキンカイロの製造目的として、大阪市内に「矢満登商会」を設立。
  • 1963年(昭和38年) - 「ハクキンカイロ株式会社」に商号を変更。
  • 1988年(昭和63年) - 商号を「株式会社ハクキン」に変更。
  • 2006年平成18年) - 商号を「ハクキンカイロ株式会社」に戻す。同時に本社を現在地に移転。

主な製品[編集]

ハクキンカイロ[編集]

2017年10月現在、販売されている現行機種は「PEACOCK」「PEACOCK GIANT」「PEACOCK mini」の3機種である。

  • ハクキンカイロPEACOCK(3R)/現行機種
    • スタンダードタイプ。ポケットティッシュ大。付属の袋はマジックテープ留めのフリース製だった。カップ2杯の燃料で約24時間持続。2005年秋から#Sと同仕様の厳寒地用高温タイプに統合。
    • 2006年秋、パッケージを一新し付属の袋がきんちゃくに戻るなどリニューアルされ、名称も「3R」から「PEACOCK」となった。製品自体は格別変化が見られないようである。
    • 2015年にパッケージが再び一新され、マジックテープ留めのフリース袋に戻った。また同年にはスノーホワイト色のフリース袋付スタンダード、及びスタンダード本体に純金メッキを施した「PEACOCK GOLD」が100個限定で公式サイト通販でそれぞれ限定販売されたが、後者は現在完売である。
  • PEACOCK mini /現行機種
    • 販売終了の「BM」及び「こはる」に代わり、1989年に販売終了した『ハクキンカイロmini』以来、18年ぶりに復活した小型モデル。専用カップ1杯半の燃料で約18時間持続。2007年12月発売。
  • PEACOCK GIANT /現行機種
    • 厳寒地用高温タイプの輸出用。専用カップ4杯の燃料で約30時間持続。現在は公式サイト通販のみでの販売。「PEACOCK pocket warmer #G」の名称だったが現在は「PEACOCK GIANT」になった。また1998年長野オリンピックの聖火輸送の際に本品の空気孔一つを塞ぎ、酸素吹込みのノズルを設けると言った加工が施された事により、約48時間燃焼が可能になったものが使われた。[1]

オプション品[編集]

  • ベンジン
    • 通称:おじさんベンジン。1960年代から1970年代にかけてアンプル入りベンジン[7]やポケット瓶型の携帯用ベンジンも製造販売された。80年代までは東日本・西日本とも製造および販売ルートが異なっていた。90年代は日本鉱石→ジャパンエナジー(現:JXTGエネルギー)が製造。2017年9月を以って生産終了。以後、恵美須薬品及びタカビシ化学による製造の指定品に代替。
  • ハクキンベルト
    • 1982年発売。ハクキンカイロ2個が収納可能の腰巻用ベルトで「PEACOCK GIANT」以外のハクキンカイロで使用可能。かつては使い捨てカイロ用も製造していたが、現在は製造終了。

生産完了品[編集]

  • ハクキンカイロこはる
    • 小型。専用カップ1杯の燃料(約8cc)で約15時間持続。1983年発売。現在は販売終了。火口などの部品は公式サイトで入手可能。
  • ハクキンカイロBM
    • 1984年発売。ライター機能付きで、点火用器具の別途用意が不要。付属のフリース袋はきんちゃく様のひも留め。専用カップ一杯の燃料で約18時間持続。火口などの部品は公式サイトで入手可能。
  • ハクキンカイロPEACOCK PLATINUM(3Rプラチナム)
    • 電池式の点火器で着火する。ノーマルの3Rとは火口に違いがある。2000年10月24日発売当初、通常色より500円高価な、フューシャピンク・フォレストグリーン・ロイヤルゴールドの3色のカラーバリエーションも存在したが初期に販売終了。蓋の横に着火確認用のインジケーターがついていたが火口の性能向上を理由に2004年12月製造分から省かれた。2005年秋から#Sと同仕様の厳寒地用高温タイプに統合。2006年秋にはリニューアルされて「ハクキンカイロPEACOCK PLATINUM」になる。3R同様、パッケージなどは変わったが製品自体は特段変化がない模様。2009年9月末をもって販売終了。現在はプラチナム点火用の火口の在庫がないため、現行の火口に換装しての使用となる。また1963年頃にも「ワンタッチ火口」および「ワンタッチライター」なる同種の物がオプション品として発売されていた。
  • PEACOCK pocket warmer #S
    • 厳寒地用高温タイプ。3Rと同じ大きさだが、蓋の刻印、空気孔及び火口の刻印などに違いがあった。上記のとおり現在は3Rの方が#Sと同仕様となった。
  • ハクキンカイロ
    • 1964年発売の通称・赤函。発売当初はU火口が採用されていたが、翌年(1965年)、UU(ダブルユー)火口(のちにA火口に改称)に換装されたものにモデルチェンジされた。
  • ハクキンカイロA(エース)
    • 1966年発売の通称・青函。点火芯なしの初代「A火口」が採用されていた。1979年頃まで「ハクキンカイロ点火芯付A」と併売されていた。
  • ハクキンカイロ サンパッド
    • 1969年発売。熱伝導板が内蔵された背嚢器具に付属のカイロ本体をセットし、それを背負うことにより背中を温める「背当式強力暖房具」。付属のカイロは通常のA型の上蓋天に4つ、両サイドに2つの穴が新たに開けられたことにより高温設計となっていた。1989年頃まで在庫販売された。(当時のハクキンカイロ価格表より)
  • ハクキンカイロ点火芯付A
    • 3R登場以前に主流であったモデルで1971年から1997年にかけて製造販売。オイルライターの芯に似た「点火芯」が設けられており、この芯に点火する事で触媒加熱行程を容易にしている。元々は1968年に発売したスポーツ用S専用の「S火口」として設計されたが、1971年に「点火芯付A火口」へ名称変更された事により、同年に本製品が発売された。その他の機能は当時のハクキンカイロAとは大差はない。現在は販売終了。点火芯専用火口は既に製造されておらず、補修時は点火芯を抜去の上、3R用火口で代用することになる。
  • ハクキンカイロS(スポーツ)
    • 1968年から1989年にかけて製造販売されたウインタースポーツ向けの最高温モデルでハクキンカイロ45周年記念製品。そのため通常の使い方ではなく「ポケットでお持ちください」と箱や説明書で謳われていた。サイズも通常モデルと大幅に異なっていた。また前述の通り、発売当初から「点火芯付A火口」が採用されていた。2004年に公式サイト限定で旧3R火口に換装された在庫分が再販された。現在は販売終了。
  • ハクキンカイロmini
    • 1968年発売でハクキンカイロ45周年記念製品。女性や子供向けに作られたモデルで点火芯なしのA火口が採用されていた。1989年頃まで販売された後、事実上の後継製品である「PEACOCK mini」が発売されるまで「BM」及び「こはる」が代替製品となった。
  • ハクキンカイロ帯
    • 現行の「ハクキンベルト」の前身となった製品。

その他[編集]

  • のど飴(インターネット専売)
  • プラチナム絹姫(入浴剤、インターネット専売)
  • カイロちょっとお休み(インターネット専売、使い捨てカイロを本品に入れることによって発熱が停止され、外に出せば再び発熱を開始する仕組みの収納袋)

その他(終売品)[編集]

  • ハクキンカイロSOFT(使い捨てカイロ。ミニサイズ及び貼るタイプも併売されていた。現在生産終了)
  • アクアヒート(1983年発売。水で発熱し、水を補給する事で継続使用可能のハイテクカイロ。現在生産終了)

CMキャラクター[編集]

テレビCMやラジオCM、新聞や雑誌広告などの出演のほか、取扱店に備え付けのパンフレット「ハクキンカイロ ポケットガイド」の表紙を飾る役割を持っていた。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d ハクキンカイロ資料館 - 聖火輸送 ハクキンカイロ株式会社
  2. ^ 帝国陸海軍現存兵器一覧 - 日本自動車博物館 - 依代之譜
  3. ^ Harbour Publishing – Bent Props & Blow Pots
  4. ^ Headbolt Heaters
  5. ^ US patent 2487326, A. L. Freeman, "Electric Internal-Combustion Engine Head Bolt Heater", issued 1949-11-08 
  6. ^ 「HK-3型」用専用火口 - ハクキンカイロ非公式ファンサイト
  7. ^ 1968年発売。発売当初は2本組1ケースでの販売であったが、のちに5本組1ケースに変更された。

関連項目[編集]

日本向けおよび2006年から2009年までの米国向けのジッポーハンディーウォーマーをOEM製造。2002年モデルはハクキンカイロBM型、2003年モデル以降はハクキンカイロ3R型及びPEACOCK型の消耗品等と互換性がある。
国内におけるジッポーハンディーウォーマーの発売元。またハクキンカイロの本社と同じ大阪市西区京町堀に本社事務所を構えている。

外部リンク[編集]