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チャット (通貨)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャット
ကျပ် (ミャンマー語)
ISO 4217
コード
MMK
中央銀行ミャンマー中央銀行
 ウェブサイトwww.cbm.gov.mm
使用
国・地域
ミャンマーの旗 ミャンマー
インフレ率7%
 情報源The World Factbook, 2016 est.
補助単位
1100ピャー
事実上現金単位としては使われていない。
通貨記号K
硬貨
 流通は稀K1, K5, K10, K50, K100.
紙幣
 広く流通K50, K100, K200, K500, K1000, K5000, K10,000.
 流通は稀50ピャー, K1, K5, K10, K20

チャットビルマ語: ကျပ်発音 [tɕaʔ]英語表記Kyat)は、ミャンマー(ビルマ)の通貨単位である。国際通貨コード(ISO 4217)は、MMK補助通貨単位のピャー(ပြား, Pya)は、100分の1チャット。しかし、極度のインフレーションのため、ピャーは事実上現金単位としては用いられていない[1]

概要

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ミャンマーでは公定レート、公認市場レート、実勢レートの3種類の為替レートが存在している。

  • 下記以外の日常の経済活動においては、実勢レート(1USドル = 1,305チャット、2016年11月末時点)が用いられており、これが最も一般的である。金額が大きくなりがちなため、千チャット単位で表すことが多く、街中では10k(千)などで価格表示することが多い。
  • 公定レートはSDRにペッグしている。(1USドル = 5.2チャット、2008年2月末時点)
  • 輸入関税の算定時には1USドル = 450チャットの公認市場レートが適用される。

2012年4月1日から管理フロート制(管理変動相場制)を導入した[2][3]

硬貨・紙幣

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紙幣の種類は、50ピャー、1、5、10、20、50、100、200、500、1,000、5,000、10,000チャットの12種であるが、2015年9月現在、市中で流通しているのは50チャット以上の7種類である。各紙幣には発行機関であるミャンマー中央銀行の名と金額が、ビルマ語英語で表記されている。また、数字は金額も通番もミャンマー数字とアラビア数字が併記されている。2004年10月には偽造防止のため、200、500、1,000チャット紙幣がリニューアルされ、大きさも使いやすいように小さくされた。2009年には5000チャット紙幣が新発行され、2014年にマイナーチェンジされた。また2012年には、新たに10,000チャット紙幣が登場し、2015年にマイナーチェンジされた[4]硬貨も存在するが、市中でも既に流通していない。このほか、外貨管理を目的に1993年から2013年にかけて兌換チャットという外貨兌換券が発行されていた。

まだ銀行制度が発達していないミャンマーにおいては、決済の場で小切手ではなくキャッシュオンリーつまりチャット紙幣が多く使用される[5]。現金決済を簡略化するため[5]、2009年10月に5,000チャット紙幣、2012年6月に10,000チャット紙幣が導入された。

日本との協力関係

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2013年1月には、日本の財務省が同年にミャンマー首都ネピドーで開催される東南アジア競技大会の記念硬貨の鋳造を受託する方針を固めたと報じられたほか、チャット紙幣を日本で印刷する計画が持ち上がっている[6]。2014年11月には、日本とミャンマーの外交関係樹立から60周年となることを記念する5,000チャット銀貨幣を財務省・造幣局が受注している[7]

3度の廃貨

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1948年の独立以降、2016年現在までにミャンマーでは過去3回にわたって流通する紙幣英語版を廃止する廃貨が行われた。

1964年5月17日、闇商人撲滅の目的で最初の廃貨が実施され[8][9]、当時の高額紙幣である50チャット札と100チャット札が廃止された。政府は500チャットまで廃止された紙幣を有効な紙幣に交換することができると発表したが、わずか数日で交換を停止したため経済混乱を引き起こし、タンス預金が一般的だった多くの人々が財産を失った[5][8][10]。以降、不定期に行われる廃貨、紙幣の増刷によって起きるインフレーションへの対策として、多くのミャンマー人は米ドルを資産を保有するようになったとされる[5]

1985年11月3日、2回目の廃貨が実施され、20チャット、50チャット、100チャット札が廃止され、代わりに45チャット、90チャット札が発行された。45と90という数字は、ネ・ウィンおよびミャンマー軍のラッキーナンバー9で割り切れる数字で、市民の間では、ネ・ウィンが占星術師に頼った結果だと噂された[11][12]。ただ、20チャット、50チャット札は、1979年4月28日に発行された直後に偽札が出回り、当局が回収して以後新札発行を控えていたため、事実上、市中に出回っていなかった。ゆえにこの際の廃貨は市民生活にさほど影響を与えなかったとされる[13]

1987年9月5日、3回目の廃貨が実施され、25チャット、35チャット、75チャット札が廃止された[14]。この際、当時流通していた通貨の約80%を占めていた紙幣が廃止されることになったが、一切の補償をしなかったため、国民は多大な損害を被った[11]。この不満の高まりは1988年8888民主化運動を引き起こしたとされる[5][8]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ 「地球の歩き方」編集室・編『ミャンマー(ビルマ)(2013‐2014年版)』(地球の歩き方, ダイヤモンド社, 2012年10月)
  2. ^ ミャンマーが4月から管理変動相場制、影響は限定的”. ロイター (2012年3月28日). 2012年3月30日閲覧。
  3. ^ ミャンマーの通貨チャット、管理変動相場制に移行”. newsclip.be (2012年3月29日). 2012年3月30日閲覧。
  4. ^ Burma to issue 10,000-kyat banknote” (英語). Mizzima News. 2013年5月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月6日閲覧。
  5. ^ a b c d e 田村、松田『ミャンマーを知るための60章』、304-307頁
  6. ^ “ミャンマー記念貨幣の製造受注へ…財務省”. 読売新聞. (2013年1月5日). https://web.archive.org/web/20130109011515/http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130105-OYT1T00533.htm 2013年1月6日閲覧。  {{cite news}}: |work=|newspaper=引数が重複しています。 (説明)
  7. ^ ミャンマー中央銀行から記念銀貨幣の製造を受注しました(2014年11月4日)”. 独立行政法人造幣局. 2016年5月1日閲覧。
  8. ^ a b c 田村、根本『ビルマ』、100-102頁
  9. ^ 『もっと知りたいミャンマー』、228頁
  10. ^ The Day Myanmar Experienced the Socialist Era’s First Demonetization” (英語). The Irrawaddy. 2025年9月30日閲覧。
  11. ^ a b 『もっと知りたいミャンマー』、231頁
  12. ^ 田村、根本『ビルマ』、202頁
  13. ^ 桐生, 稔「基本路線に変更なし : 1985年のビルマ」『アジア・中東動向年報 1986年版』1986年、[415]–440。 
  14. ^ The Day Three Myanmar Banknotes Suddenly Became Worthless” (英語). The Irrawaddy. 2025年9月30日閲覧。

参考文献

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  • 田村克己、根本敬『ビルマ』(暮らしがわかるアジア読本, 河出書房新社, 1997年2月)
  • 田村克己、松田正彦『ミャンマーを知るための60章』(エリア・スタディーズ, 明石書店, 2013年10月)
  • 『もっと知りたいミャンマー』(綾部恒雄、石井米雄編, 弘文堂, 1994年12月)

関連項目

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外部リンク

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