スーパーライセンス

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スーパーライセンスSuper Licence)は、国際自動車連盟(FIA)が発給するモータースポーツライセンスのクラスの一つ。競技運転者(ドライバー)としてフォーミュラ1(F1)に参戦するためにはこのスーパーライセンスを所持していることが必須条件。モータースポーツライセンスのトップライセンスである。

FIAのF1 Sporting Regulationによれば、スーパーライセンスには「ドライバー」「チーム」(Competitor)「オフィシャル」の3種類が存在するが、本記事ではその中でも特にドライバーライセンスについて解説する。

ドライバーライセンス[編集]

ドライバーがスーパーライセンスの発給を受けるための条件は、FIA International Sporting Code Appendix L(FIA国際スポーツ規則補則L項) の中で規定されており、2017年現在は以下の条件を満たすことが必要とされている。なお、書面としての「スーパーライセンス」はない。ライセンスは12ヶ月有効であり、下記の条件を満たしていない場合は更新にあたりF1委員会の審査が必要になる。条件を満たしているが発給を受けられなかった場合を考慮し、発給資格は3年間有効とする[1]

  1. FIAの発給する国際A級ライセンスを所持する。
  2. 申請時に有効な自動車の運転免許証を取得していること。
  3. 最初のレースに参加する時点で18歳以上であること。
    2015年に、ベルギーのF1ドライバーマックス・フェルスタッペン(1997年9月30日生 - )が史上最年少となる17歳166日でF1にデビューしたことで、F1ドライバーのさらなる低年齢化や経験不足を懸念する声があったため、2016年から「18歳以上であること」「有効な運転免許証を取得していること」「下位カテゴリのレース(以下の表に示すレース)に2年以上参戦し、一定のポイントを獲得すること」が追加された。
  4. F1のスポーティングレギュレーションのうち、重要な項目に関する知識を問うテストに合格すること。
  5. 申請日までの180日以内に、現行のF1車両を用い最低2日間、300km以上の走行テストを実施する。さらにこのテストを実施国のASN(Authority Sport Nationale、自動車連盟のこと)により証明される。
  6. 以下のいずれかに該当すること。
    1. 前年のF1世界選手権に5回以上出走すること。
    2. 過去3年のF1世界選手権に15回以上出走すること。
    3. 以下の表に示すレース選手権に2年以上(開催レース数の80%)参戦し、年間順位に応じて与えられるライセンスポイントを、3年間で合計40点以上獲得する[2]
選手権 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
FIA F2 40 40 40 30 20 10 8 6 4 3
FIA F3ヨーロッパ選手権
FIA 世界耐久選手権(LMP1)
インディカー・シリーズ
フォーミュラE[3]
40 30 20 10 8 6 4 3 2 1
フォーミュラV8 3.5 35 25 20 15 10 7 5 3 2 1
GP3 30 20 15 10 7 5 3 2 1 0
スーパーフォーミュラ 25 20 15 10 7 5 3 2 1 0
世界ツーリングカー選手権
ドイツツーリングカー選手権
世界ラリー選手権
インディ・ライツ
15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
スーパーカー選手権
(旧V8スーパーカー)[3]
13 11 9 6 4 3 2 1 0 0
FIA F4 12 10 7 5 3 2 1 0 0 0
F3国内選手権
フォーミュラ・ルノー2.0各種
10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
世界カート選手権(シニアカテゴリーのみ) 5 3 2 1 0 0 0 0 0 0
  • 上記の選手権で、参戦中に大きな規約違反を犯さなかった場合、セーフティボーナスポイントとして2点が与えられる[3]
  • ポイントシステムの要件を満たさないドライバーへのライセンス発給が一切認められないというわけではなく、例えば2010年ミハエル・シューマッハのケース(一時引退により3年間のブランクがあった)では「特例としてライセンスを発給するだろう」としている[4]

2015年までの条件[編集]

  1. FIAの発給する国際A級ライセンスを所持する。
  2. 以下のいずれかに該当する。
    1. 前年のF1世界選手権に5回以上出走する。
    2. 過去3年のF1世界選手権に15回以上出走する。
    3. 過去にスーパーライセンスを取得したことがあり、前年度にF1チームのレギュラーテストドライバーを務める。
    4. 過去2年以内にGP2メインシリーズGP2アジアシリーズスーパーフォーミュラF2F3インターナショナルトロフィーのシリーズランキング3位以内に入賞する。
    5. 過去2年以内にインディカー・シリーズでシリーズランキング4位以内に入賞する。
    6. フォーミュラ・ルノー3.5(FIAの記述上は「the World Series F/Renault V6」)、F3ユーロシリーズ、もしくはイギリス・イタリア・スペイン・日本F3のシリーズチャンピオン(当該シリーズの最終戦から12ヶ月以内に限り有効)。
    7. 上記3~5のいずれにも該当しないが、一貫して一人乗りフォーミュラカーで傑出した能力を証明し続けているとFIAに判断される。この場合、関係するF1チームは、申請の90日前までに、申請者が現行のF1車両で一貫したレーシングスピードで最低300kmを最大2日間で走行し、テストを行った国のASNによる証明を受けたことを示さなければならない。

年会費[編集]

基本料 加算料 保険料 合計
~2007年 1,690ユーロ 447ユーロ/ポイント 2,615ユーロ 4,305ユーロ+ポイント加算料
2008年 10,000ユーロ 2,000ユーロ/ポイント 2,615ユーロ 12,615ユーロ+ポイント加算料
2009年 10,400ユーロ 2,100ユーロ/ポイント 2,720ユーロ 13,120ユーロ+ポイント加算料

※加算料は前年に獲得したポイントが基準となる。

上記のように、前年の獲得ポイントが多いドライバー(好成績のドライバー)ほど年会費(加算料)も高くなるが、ライセンス発給のために必要な年会費が2008年より大幅に値上げされたことで、ドライバーから不満の声が上がっている[5]。2007年度ドライバーズチャンピオンのキミ・ライコネンを例にあげると、2007年(前年は65ポイント)の会費は33,360ユーロ(約530万円)なのに対し、2008年(前年は110ポイント獲得)は約23万ユーロ(約3,600万円)の会費をFIAに納めなくてはならない計算になる。しかも内訳の9割がポイント加算料で占めている。

FIA会長のマックス・モズレーは、当時「2000万ユーロ以上を稼ぐ人間にとって、25万ユーロのライセンス料は決して無謀な支出にはならない」と語り、値上げを正当なものだと主張したが[5]、一方でドライバー側の団体であるグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)では、この値上げを不服として、同年のイギリスグランプリにおいて何らかのボイコット行動を起こすことを示唆したりもした[6](実際にはボイコットは行われなかった)。しかし2009年もさらに値上げが行われたことでGPDAからは強い不満が上がるようになったため、FIAではGPDAとの話し合いの上で2010年以降年会費を値下げする方向で見直すことを発表した[7]

ちなみに、年会費は建前上ドライバーが自ら支払うことになっているが、実態としては、大抵チームが代わりに支払っている。また、これらの年会費は「FIAによるさらなる安全確保のための資金に充てる」とされているが、具体的な使途を明らかにしていないため、これも不満の声を上げる要因になっている。

スーパーライセンスを巡る問題[編集]

スーパーライセンスの発給の是非は、最終的にFIAのF1委員会の判断で決定されるが、その意思決定プロセスは非公開であり不透明であることから、しばしばライセンスの発給を巡り問題が発生することがある。

過去にライセンス発給を巡って問題になった主な例としては以下のものがある。

ライセンスが発給されなかった例[編集]

発給対象が問題になった例[編集]

  • 2001年に、キミ・ライコネンF3000F3のカテゴリーを経験することなくザウバーと正ドライバー契約を結んだ。しかし他チームからスーパーライセンスの発給に疑問を出されたため、開幕から4戦限定の仮ライセンスを発給することとなった。開幕戦でいきなり6位入賞するなどしたため、その後正式にスーパーライセンスが発給された。
  • 2015年マックス・フェルスタッペンが史上最年少となる17歳166日でF1にデビューした。在籍国であるオランダの普通自動車免許を取得できないこと(オランダの運転免許取得年齢は18歳)、ヨーロッパF3に1年参戦しただけ(選手権3位)でF1に昇格したことなどから、後のF1ドライバーのさらなる低年齢化や経験不足を懸念する声があがった。彼のキャリアは、2016年から発給条件がより厳格化されたことにも影響を与えたとされている。なおフェルスタッペンの1年目はルーキーオブザイヤーを獲得するなどリザルト自体は良好であったが、経験不足を原因とするミスも目立った[8]

スーパーライセンス所有者に起こったトラブル[編集]

ライセンスポイント制に対する反発[編集]

2016年に導入されたライセンスポイント制に対し、ドライバーの過度の低年齢化を防ぐという意味で歓迎の声がある一方で[9]、FIA直轄のカテゴリーが必要以上に優遇されているとして、既存のジュニア・フォーミュラの主催者からは反発も出た[10]。これを受けて、FIA直轄でない選手権のポイントが増加し、対象となる選手権が追加されるなどの変更が認められた[11]

脚注[編集]

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  1. ^ WORLD MOTOR SPORT COUNCIL 2015 - MEXICO - FIA・2015年7月10日
  2. ^ WORLD MOTOR SPORT COUNCIL 2015 - MEXICO内のAppendix - Super Licence Points (PDF)- FIA・2015年7月10日
  3. ^ a b c F1のスーパーライセンスシステムに変更。“セーフティボーナス”追加 - オートスポーツ・2016年6月27日
  4. ^ F1ライセンス資格に特例あり。ミハエルはOK - オートスポーツ・2015年1月19日
  5. ^ a b 東京中日スポーツ・2008年1月30日付 19面
  6. ^ ストライキの可能性を認めるドライバーたち
  7. ^ FIA Agrees Superlicence Fee Reduction - FIAプレスリリース・2009年3月23日
  8. ^ http://ja.espnf1.com/mclaren/motorsport/story/226613.html
  9. ^ スーパーライセンスの基準厳格化をGP2王者が歓迎 - オートスポーツ・2015年1月9日
  10. ^ F1ライセンス制にルノーが抗議。政治的変更との声も - オートスポーツ・2015年1月10日
  11. ^ F1ライセンス点制度が変更。DTMも対象、FEは特例 - オートスポーツ・2015年7月11日

関連項目[編集]