ジャスミン
ソケイ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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分類(APG III) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Jasminum L. | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ソケイ Jasminum officinale L. | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ソケイ属(素馨属) | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
jasmine | ||||||||||||||||||||||||||||||
節 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ジャスミン(英語: jasmine [ˈdʒæzmɨn, ˈdʒæsmɨn])は、モクセイ科ソケイ属(素馨属、学名: Jasminum)の植物の総称。ソケイ属の植物は世界で約300種が知られている。
ジャスミン(ヤースミーン)という語はペルシャ語に由来し、中近東から欧米では女性の名前としても用いられる(ジャスミン (曖昧さ回避)参照)。
ジャスミンとソケイ属の中国名はそれぞれ「素馨」「素馨属」。サンスクリットの mallikā(マリカー)を語源とする「茉莉」(まつり)はソケイ属の数種に用いられる。ソケイ(素馨、中国名:素馨花)やマツリカ(茉莉花、中国名:双瓣茉莉)はソケイ属の一種。
いくつかの種は、香りがよいことから花が香水・ジャスミン茶に利用される。
分布・生育地[編集]
特徴[編集]
ほとんどの種は白色または黄色の花を咲かせる(色については「ジャスミン (色)」を参照)。いくつかの種では花は強い芳香を持ち、香水やジャスミン茶(茉莉花茶)の原料として使用される。オウバイ(黄梅)もこれに含まれるが、香りはない。
主な香気成分は、ジャスモン酸メチルである。ジャスミンの花にはいくつかの香気成分が含まれているが、その中でもジャスミンの香りを特徴づける独特な香気成分であるcis-ジャスモンは、未だ工業的生産法は確立されておらず、自然の花から抽出し精製するしか方法がないため、cis-ジャスモンを主原料とした香料は非常に高価である。それと比べ、工業的生産法が確立されているジャスモン酸メチル系の香料は、安価で入手可能で、香水やアロマオイルなどとして一般に広く出回っている。
利用[編集]
ほとんどの種が観賞用として栽培されている。栽培の歴史は古く、古代エジプトですでに行われていたといわれている。ソケイとマツリカの2種については、香料原料として大規模な栽培が行われている。
ソケイは16世紀中ごろからフランスのグラースで香料原料として大規模に栽培されるようになった。現在では、主な産地はエジプトやモロッコ、インドなどに移っている。花は夜間に開くので、開ききった明け方に人手により摘み取られ、有機溶媒による抽出が行われる。抽出後、溶媒を除去すると「コンクリート」と呼ばれるワックス状の芳香を持つ固体が得られる。これをエタノールで再度抽出し、エタノールを除去したものが、香料として使用される「ジャスミン・アブソリュート」である。花約700キログラムからジャスミン・アブソリュート1キログラムが得られる。ジャスミン・アブソリュートを使った香水としては、ジャン・パトゥ社の「Joy」が著名である。
マツリカは中国南部、台湾、インドネシアなどで栽培されており、ジャスミン茶の着香に使用される。マツリカも夜間に花が開くが、摘み取りはまだつぼみの状態の昼間のうちに行われる。これを夜間に花が開き始めたところで、茶葉と混合して着香する。
栽培[編集]
熱帯地方原産の植物であるため、中緯度以北では温室が必要な種が多いが、シロモッコウやハゴロモジャスミン、オウバイ(黄梅)は耐寒性があり、普通に露地栽培することができる。肥沃で水はけのよい土地を好む。ソケイやマツリカ、シロモッコウなどはつる植物であるので、支柱が必要である。支柱があると2 - 3メートル程度の高さまで伸びる。通常は挿し木で増やす。
主な種[編集]
- ナガバジャスミン Jasminum adenophyllum
- ツルジャスミン Jasminum azoricum
- ベニバナソケイ(ビージアナム) Jasminum beesianum - ジャスミンには珍しく赤色の花を咲かせる。
- ノハラジャスミン Jasminum bifarium
- リュウキュウオウバイ Jasminum floridum
- オオバナソケイ(ソケイ) Jasminum grandiflorum - 香水に使用される種。
- ヒマラヤソケイ Jasminum humile
- ウンナンソケイ Jasminum humile var. glabrum
- キソケイ Jasminum humile var. revolutum
- シマダソケイ Jasminum lanceolarium
- マリアナソケイ Jasminum marianum
- オウバイモドキ(ウンナンオウバイ) Jasminum mesnyi
- ケソケイ(ボルネオソケイ、スタージャスミン) Jasminum multiflorum
- イヌシロソケイ Jasminum nervosum
- シロソケイ Jasminum nervosum var. elegans
- オオシロソケイ(エンジェルウィングジャスミン) Jasminum nitidum
- オウバイ Jasminum nudiflorum
- ソケイ(シロモッコウ、コモンジャスミン、オオバナソケイ、ロイヤルジャスミン、黄金葉ジャスミン、ホワイトプリンセス) Jasminum officinale - 四季咲き。
- ハゴロモジャスミン Jasminum polyanthum
- シャムソケイ Jasminum rex
- マツリカ(アラビアジャスミン) Jasminum sambac - ジャスミン茶(茉莉花茶)に使用される種。
- オキナワソケイ Jasminum sinense
- ベニバナソケイ(ステファネンセ) Jasminum stephanense
- シロマツリ Jasminum subtriplinerve
- オキナワソケイ Jasminum superfluum
- シロソケイ Jasminum trinerve
- ミヤマソケイ Jasminum urophyllum
ジャスミンと呼ばれるその他の植物[編集]
ジャスミンと名のつく植物は多くの科にあり、本来のジャスミンとは系統の遠いものも多い。
- カロライナジャスミン(イエロージャスミン、ニセジャスミン、イブニングトランペット、トランペットフラワー、カロリナソケイ) Gelsemium sempervirens - マチン科ゲルセミウム属
- ランキンジャスミン(ゲルセミウム・ランキニ) Gelsemium rankinii - マチン科ゲルセミウム属
- マダガスカルジャスミン(アフリカシタキヅル) Stephanotis floribunda - ガガイモ科ステファノチス属
- アメリカジャスミン(ニオイバンマツリ) Brunfelsia latifolia - ナス科ブルンフェルシア属
- オレンジジャスミン(シルクジャスミン、ゲッキツ) Murraya paniculata - ミカン科ゲッキツ属
脚注[編集]
注釈[編集]
出典[編集]
参考文献[編集]
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- 茂木透写真「ソケイ属 Jasminum」『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年、296-297頁。ISBN 4-635-07005-0。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- Jasminum L., ITIS 2012年1月6日閲覧。 (英語)
- "Jasminum". National Center for Biotechnology Information (NCBI). (英語)
- "Jasminum" - Encyclopedia of Life (英語)