ウワミズザクラ
ウワミズザクラ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid. (1906)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ウワミズザクラ(上溝桜)、 ハハカ(波波迦)、 コンゴウザクラ(金剛桜)、ナタヅカ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Japanese Bird Cherry |
ウワミズザクラ(上溝桜[4]、学名: Padus grayana)は、バラ科ウワミズザクラ属の落葉高木。別名ハハカ[4]、コンゴウザクラ[4][5]。よく似たイヌザクラとは、花序枝に葉がつく事などで区別できる。
名称[編集]
和名「ウワミズザクラ」は、古代の亀卜(亀甲占い)で上面に溝を彫った板(波波迦)に使われた事に由来する[4][注 1]。また、葉がサクラに似ていることから「上溝桜」となり転訛したとされる[5]。中国名は「灰葉稠李」[1]。
分布・生育地[編集]
日本と中国(湖北省・四川省・広西省)に分布し[6]、日本では北海道西南部と本州、四国、九州に分布する[4][7]。暖地の山野に自生し[6][5]、日照と小川沿いなど湿潤した環境を好む。
特徴[編集]
落葉広葉樹の高木で、樹高は約20メートル (m) [4]。樹皮は暗紫褐色でイヌザクラに比べて黒っぽい色をしており、横向きに長い皮目がある[4][7]。老木になると茶褐色を帯び、縦方向にもひび割れて網目状に裂ける[7]。小枝は紫褐色で皮目が多く[7]、側枝の多くは秋の落葉後に落る[7]。
葉は互生し、長さ5 - 12センチメートル (cm) 、幅3 - 5 cm、卵形から卵状長楕円形で先が急に細くなり、縁にはとげ状の鋸歯がある[6][4]。秋に黄葉し、黄色にわずかに紅色をさす程度に色づく[8]。
花期は4 - 6月[4]。葉が芽吹いて展開したあとに[6]、本年枝の先から長さ6 - 10 cmほどの白い総状花序がでて、多数の雄蘂が目立ちブラシのように見える[4]。花は5弁花で花序に多数つく[4]。
果期は9月[4]。果実は直径約6 - 7ミリメートル (mm) の卵円形の核果をつけ、初夏から初秋にかけて赤から黒く熟す[6][4]。
冬芽は二年枝の脱落した側枝痕の横に側芽が互生し、こぶが突き出ているような様が特徴的である[7]。落枝痕は茶褐色で円形をしており、一年枝には落枝痕はない[7]。枝先には仮頂芽がつく[7]。形は卵形や円錐状[7]。葉痕は半円形や三角形で、維管束痕が3個みられる[7]。
利用[編集]
植栽もされて庭木に用いられる[6]。材は軽くねばり強い事から建材のほか[6]、彫刻細工、版木、道具の柄などに利用される。樹皮は桜皮細工に使う[6]。香りのよい、若い花穂と未熟の実を塩漬にしたものは杏仁子(あんにんご)といい[4][9]、新潟県を中心に食用とされる[6]。また、黒く熟した実は果実酒に使われる[5]。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 現在でも大嘗祭の為の斎田点定の儀では亀卜により悠紀国と主基国とが選ばれるが、その際にも亀甲を灼くために上溝桜の波波迦木が用いられる。(鎌田純一『平成大禮要話』p.74 ISBN 4764602628)
出典[編集]
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Padus grayana (Maxim.) C.K.Schneid. ウワミズザクラ(標準)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月31日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Prunus padus L. var. japonica Miq. ウワミズザクラ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月31日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Prunus grayana Maxim. ウワミズザクラ(シノニム)” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 西田尚道監修 学習研究社編 2009, p. 85.
- ^ a b c d 亀田龍吉 2014, p. 74.
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 176.
- ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 169.
- ^ 亀田龍吉 2014, p. 75.
- ^ 本山荻舟 『飲食事典』(初)平凡社、1958年12月25日、23,64,65頁。全国書誌番号:59001337。
参考文献[編集]
- 亀田龍吉 『落ち葉の呼び名事典』世界文化社、2014年10月5日、74 - 75頁。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、169頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 西田尚道監修 学習研究社編 『日本の樹木』 5巻、学習研究社〈増補改訂 ベストフィールド図鑑〉、2009年8月4日、85頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編 『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、176頁。ISBN 4-522-21557-6。