琥珀

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琥珀のペンダント
「アリ入り」琥珀
虫入り琥珀 - Arachnida,Araneae
ポーランド、グダンスク近郊の琥珀採掘場
ポーランド、グダンスク琥珀製造業者組合のパレード
古代から続く琥珀の道(古代から琥珀市場が開かれていたポーランド、カリシュ市)

琥珀またはコハク(こはく、アンバー、: Amber)とは、木の樹脂(ヤニ)が地中に埋没し、長い年月により固化した宝石である。半化石樹脂や半化石の琥珀は、コーパル: Copal)という。「琥」の文字は、中国において虎が死後に石になったものだと信じられていたことに由来する[1]鉱物ではないが、硬度は鉱物に匹敵する。色は、黄色を帯びたあめ色のものが多い。

バルト海沿岸で多く産出するため、ヨーロッパでは古くから知られ、宝飾品として珍重されてきた。

英名 amberアラビア語: عنبر‎ ('anbar)に由来する。コハクをローマでは活力石 (succinum)、 古代ギリシャではエレクトロン (elektron) と呼んでいた。英語の electricity(電気)は擦ると静電気を生じることに由来している[2]

コハクについて最初に記述したのはローマのプリニウスで、石化した樹脂であることを論じている。また、取引されているコハクはヨーロッパ北部(バルト海周辺)の産であることも知っていた[2]

虫入り琥珀[編集]

琥珀は樹脂が地中で固化してできるものであるため、石の内部に昆虫(ハエ、アブ、アリ、クモなど)や植物のなどが混入していることがある。こうしたものを一般に「虫入り琥珀」と呼ぶ[1]。 なお、小説『ジュラシックパーク』の設定のように、数千万年前に琥珀に閉じ込められた生体片のDNAを復元することは実際には不可能である[3]

なお、市販の「虫入り琥珀」については、コーパルなどを溶解させ現生の昆虫の死骸などを封入した、いわば「人造虫入り琥珀」である場合があり、これは中国で製造される[4][5][6][7]

琥珀の利用[編集]

ネックレスペンダントネクタイピンなどの装身具に利用されることが多い。人類における琥珀の利用は旧石器時代にまでさかのぼり、北海道の「湯の里4遺跡」、「柏台1遺跡」出土の琥珀玉(穴があり、加工されている)はいずれも2万年前の遺物とされ、アジア最古の出土(使用)例となっている[8](ゆえに「人類が最初に使用した宝石」とも言われる)。また、バイオリンの弓の高級なものでは、フロッグと呼ばれる部品に用いられることがある。

その他の利用法として、漢方医学で用いられることがあったという。 南北朝時代医学者陶弘景は、著書『名医別録』の中で、琥珀の効能について「一に去驚定神、二に活血散淤、三に利尿通淋」(精神を安定させ、滞る血液を流し、排尿障害を改善するとの意)と著している[1]

ポーランドグダンスク地方では琥珀を酒に浸し、琥珀を取り出して飲んでいる。

産地[編集]

主な産地はかつてのプロイセンに相当する地域である、ポーランドグダンスク沿岸と、ロシア連邦カリーニングラード州で、ポーランド・グダンスク沿岸とカリーニングラード州だけで世界の琥珀の85%を産出[9]し、そのほかでも、リトアニア共和国ラトビア共和国など大半がバルト海の南岸・東岸地域である。

ポーランドは琥珀の生産において圧倒的な世界一を誇り、世界の琥珀産業の80%がグダンスク市にあり、世界の純正琥珀製品のほとんどがこのグダンスク地方で製造される[10]

アジアでは、中国の雲南河南広西福建貴州日本においては岩手県久慈市近辺や千葉県銚子市でも産出される[1]

琥珀色[編集]

アンバー
amber
 
16進表記 #FFBF00
RGB (255, 191, 0)
HSV (45°, 100%, 100%)
表示されている色は一例です

琥珀のような色、すなわち、透明感のある黄褐色や、黄色よりの橙色を、琥珀色、または英語にならってアンバーと呼ぶ。たとえば、ウイスキーの色あいをやや詩情を込めて述べるとき、この言葉を使うことがある。また自動車関連で、方向指示器などの色は一般に「アンバー」と呼ばれる。

また、純色のうち、黄色橙色の間にあたる色を amber と呼ぶことがある[11]信号機の黄色も英語では amber と表現する場合がある[12]

なお、JIS慣用色名の中の「アンバー」や、「バーント・アンバー」「ロー・アンバー」というときの「アンバー」は、土から作る顔料の umberアンバー (顔料))に由来する、茶系の濁った色である。混同しないように注意を要する。

その他[編集]

  • 西欧語において「電気」を意味する語彙(英語: electricity など)は、古典ギリシア語で琥珀を意味する ήλεκτρον(Ēlektron)から作出された[13]。擦ると静電気を生ずることからの謂である。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 仝選甫「薬食兼用の天産物 No.34 琥珀(コハク)」『漢方医薬新聞』2010年11月25日、8面。
  2. ^ a b P.A.セルデン・J.R.ナッズ著、鎮西清高訳『世界の化石遺産 -化石生態系の進化-』 朝倉書店 2009年 132ページ
  3. ^ 生物遺体のDNA情報は521年に半分の割合で失われるという研究がある。これに基づけば、数千万年前の恐竜時代のDNA情報はほぼゼロとなる。(Matt Kaplan "DNA has a 521-year half-life : Nature News & Comment",2012年10月10日)
  4. ^ http://www.chamberofcommerce.pl/fake-amber-with-insects/
  5. ^ http://www.ambericawest.com/ragazzi.html
  6. ^ http://www.ambericawest.com/fake_amber2.html
  7. ^ http://reviews.ebay.com/Chinese-Fossils-Amber-Antiques-and-Coins_W0QQugidZ10000000002384510
  8. ^ 『日本の時代史1 白石太一郎編 倭国誕生』 吉川弘文館 2002年 ISBN 4-642-00801-2 p.118 - p.120
  9. ^ http://www.polamjournal.com/Library/APHistory/Amber_in_Poland/amber_in_poland.html
  10. ^ http://books.google.co.jp/books?id=g6NVVpqhixIC&pg=PA137&lpg=PA137&dq=amber+poland+per+cent&source=bl&ots=nzSlMk-CEB&sig=9wrGCk6cBWnH5uLDxB_274GoYvw&hl=ja&ei=7W0WTcOzDI3Qca206eEK&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=5&ved=0CEcQ6AEwBA#v=onepage&q&f=false
  11. ^ 英語版 en:Amber (color) を参照。
  12. ^ Definition of amber in Oxford Dictionaries (British & World English)”. Oxford Dictionaries. オックスフォード大学出版局. 2013年3月27日閲覧。Definition of amber in Oxford Dictionaries (US English)”. Oxford Dictionaries. オックスフォード大学出版局. 2013年3月27日閲覧。yellow, orange の語も用いられる。
  13. ^ 電気#近世を参照。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]