イエスの奇跡

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カナでの婚礼
カール・ハインリッヒ・ブロッホ(19世紀)

イエスの奇跡(イエスのきせき)は新約聖書の4福音書に記されている、イエス・キリストが行った奇跡のことである[1]

イエスはこれらの奇跡を行うことで、自然、病、罪、悪霊、死に対して支配する権威をもっていることを公に示し、自らがメシヤであることを立証するために行った[1]

奇跡[編集]

最初の奇跡[編集]

  • イエスと弟子たちも招かれたガリラヤのカナでの婚礼でイエスは六つの水がめに入った水をぶどう酒に変える(カナの婚礼)。 <ヨハネ 2:1>

自然に対する奇跡[編集]

奇跡的な大漁
ジェームズ・ティソ(19世紀)、ブルックリン美術館所蔵
  • イエスは夜通し働いて何も取れなかったシモンに、「沖に乗り出し網をおろしなさい」と命じる。そこでシモンが言葉どおりに従うと、おびただしい魚がかかり、二そうの舟が魚でいっぱいになる。(一回目の大漁の奇跡) <ルカ 5:4>
  • カファルナウムで神殿税を集める人が来たとき、ペトロを湖に釣りに行かせ、釣れた魚の口の中にある銀貨一枚でふたり分の神殿税を納めさせる。 <マタイ 17:24>
  • いちじくの木に向かって、「今から後いつまでも、お前から実を食べる者がないように」と祈ると、翌朝、いちじくの木が枯れている。 <マタイ 21:18マルコ 11:12>
  • イエスの復活後、漁をしている七人の弟子たちのもとにイエスが現れ、舟の右側に網を打ちなさいと指示をすると153匹の大きな魚が網に入る。(二回目の大漁の奇跡) <ヨハネ 21:1>

病気・悪霊つきを癒す[編集]

盲人を癒すキリスト
ユスターシュ・ル・シュール(17世紀)
  • 重い皮膚病(ハンセン病)を患っている人が近寄り、ひれ伏して癒されることを願う。イエスは深く憐れんで彼に触れ、病気をいやし清くする。 <マルコ 1:40>
  • カファルナウムで屋根をはがして吊り降ろされた中風(ちゅうぶ)の人に向かって、イエスが「わたしはあなたに言う。起き上がり、床を担いで家に帰りなさい。」と言うと、その人はすぐに床を担いで、皆の見ている前を出ていく。人々は驚く。 <マタイ 9:1マルコ 2:3ルカ 5:17>
  • おびただしい民衆がユダヤ全土から集まり、イエスから力が出て病気を癒していたので、群集は皆、イエスに触れようとする。 <ルカ 6:17>
  • 十二年間出血が止まらず苦しんでいた女が、後ろからイエスに近づきイエスの服の房に触れた途端、出血が癒える。イエスは振り返り、「あなたの信仰があなたを救った」と女をいたわる。 <マタイ 9:18マルコ 5:25ルカ 8:40>
  • 「ダビデの子よ、私たちを憐れんでください」と言いながらついてきた二人の盲人の目を見えるようにする。 <マタイ 9:27>
  • 悪霊に取り付かれて口の利けない人を癒すとしゃべり始める。 <マタイ 9:32>
  • シリア・フェニキアのギリシャ人の女の「主よ、しかし、食卓の下の子犬も、子供のパンくずはいただきます」という信仰を認め、悪霊につかれた娘を癒す。 <マタイ 15:21マルコ 7:25>
  • 十八年間、病の霊のために腰が曲がったままの婦人を癒す。 <ルカ 13:10>
  • ガリラヤで耳が聞こえず舌の回らない人をイエスは群集の中から連れ出し、指をその両耳に差し入れ、それから唾をつけてその舌に触れ、そしてその人に向かって「エッファタ(開け)」と言うと、その人の耳が開き、舌のもつれが解けてしゃべれるようになる。 <マルコ 7:32>[注釈 1]
  • イエスはベトサイダで盲人の手をとって、村の外に連れ出し、彼の目に唾をつけ、両手を彼の上においていやすと彼はおぼろげに見えるようになる。そこで、イエスが両手をその目に当てると今度ははっきりと見えるようになる。 <マルコ 8:22>
  • イエスがエルサレムにのぼる途中、ある村に入ると、重い皮膚病(ハンセン病)を患っている十人の人が出迎え、遠くの方に立ち止まったまま、「イエスさま、先生、どうか、わたしたちを憐れんでください」と声を張り上げる。イエスは彼らを見て、その体を清くする。 <ルカ 17:11>
  • エリコの近くの盲人バルティマイは、ナザレのイエスが道を通ると聞いて、「ダビデの子イエスよ、わたしを憐れんでください」と叫び続けた。イエスは彼を呼び、彼の目を見えるようにする。 <マタイ 20:29マルコ 10:46ルカ 18:35>>

人の罪を赦す[編集]

  • ファリサイ派のシモンの家でイエスの足に香油を塗る罪深い女に「あなたの罪は赦された」と告げる。 <ルカ 7:36>

死者を生き返らせる[編集]

  • イエスはナイン英語版という町の門に近づくと、ある未亡人の一人息子が死んで棺が担ぎ出されるのを見る。イエスはこの母親を見て憐れに思い、「もう泣かなくてもよい」と告げ、棺に手を触れ、「若者よ、あなたに言う。起きなさい」と言うと死人が起き上がってものを言い始める。 <ルカ 7:11>

怪我を癒す[編集]

  • 弟子のひとりが剣で切り落とした、祭司長のしもべの耳に触れ、彼を癒す。 <ルカ 22:50>

イエスの死と復活[編集]

  • 八日の後、再び弟子たちのもとにイエスが現れ、信じなかったトマスに自分の手とわき腹を見せる。 <ヨハネ 20:24>
  • 漁をしている七人の弟子たちのもとにイエスが現れ、舟の右側に網を打ちなさいと指示をすると153匹の大きな魚が網に入る。 <ヨハネ 21:1>

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ イエスがその人を群集の中から連れ出したのは、奇跡を群衆から隠さなければならなかったからだけではない。その人を群集から連れ出すことにより、いやしのときにイエスと耳が聞こえず舌の回らない人と二人だけになり、特別に親しい関係をもつことが必要だった[2]。イエスは自分の指を彼の両耳に差し入れ、自分の唾をつけて彼の舌に触れている。この場合、イエスは霊的エネルギーだけでなく、唾という物質も使って、いやしの奇跡を行っている。
  2. ^ この奇跡においてもイエスは霊的エネルギーだけでなく、唾と土という物質も使って、いやしの奇跡を行っている。

出典[編集]

  1. ^ a b 新聖書辞典
  2. ^ 教皇ベネディクト十六世の295回目の一般謁見演説 いやしの奇跡とかかわるイエスの祈り 2018年9月28日閲覧。
  3. ^ 『新約聖書』フランシスコ会聖書研究所訳注。マルコ(2:5)119-120頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]