アカネ

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アカネ
W akane1091.jpg
アカネ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asterdiae
: アカネ目 Rubiales
: アカネ科 Rubiaceae
: アカネ属 Rubia
: アカネ R. argyi
学名
Rubia argyi
(H.Lév et Vaniot) H.Hara ex Lauener
シノニム

R. akane
R. cordifolia var. mungista

英名
madder

アカネ(茜、Rubia argyi)はアカネ科つる性多年生植物。分布は中国朝鮮半島台湾日本。日本では本州四国九州に分布し、山地や野原、路傍、林の縁などでふつうによく見かけることができる[1]。和名の由来は、根を乾燥すると赤黄色から橙色となり、赤い根であることからアカネと名づけられたといわれる[1]シノニムR. akane

形態[編集]

つるは長さ1 - 3mに生長し、盛んに分岐したは四角く細かい逆刺があり、他の草木に絡まって長く伸びる[1]。春になると根から芽を出し、成長する。

は長い葉柄がついた長さ3 - 7cm、幅1 - 3cmのハート型か長卵型で先端がとがる[1]。茎に4枚輪生するが、そのうち2枚は托葉(たくよう)が変化したもので(偽輪生)、実際は対生である[2]。見分けるには枝分かれを見ればよく、枝が出ている方向の葉とその向かいの葉が本当の葉で、違う2枚が托葉の変化した葉である。葉柄や葉の縁、裏面の葉脈に逆刺がある[1]

は夏から秋の8月 - 9月にかけて、茎の先端か上部葉腋から花序を出し、多数の淡い黄緑色の目立たない小さな花が咲く[1][3]。 花冠は5裂して、雄しべが5本つく[1]。アカネの花は多数分岐した枝の先に咲く(写真参照)。

果実は球形をした液果で、晩秋のころに黒く熟して、冬にはほとんど地上部は枯れてしまう。果実は1つ、たまに2つくっついてできる。中には軟らかい果肉とやや硬い種子が一つ入っている。種子からの発芽は大体2月下旬から3月ごろ。

根は太いひげ状をしており[1]、生のときは光沢のある赤黄色で、乾燥すると暗紫色になる[3]

利用方法[編集]

アカネの名は「赤根」の意で、その根を煮出した汁にはアリザリンが含まれている。その根は染料として草木染めが古くから行われており、茜染(あかねぞめ)と呼び[1]、また、その色を茜色と呼ぶ。同じ赤系色の緋色もアカネを主材料とし、茜染の一種である[2]。このほか黒い果実も染色に使用できるという。

現在では、アカネ色素の抽出には同属別種のセイヨウアカネ(西洋茜、R. tinctorum)が用いられることがほとんどである。セイヨウアカネは常緑で、葉は細長く6枚輪生。根が太く、アカネより収量が多い。色素の構成物質がアカネとは若干異なる。

染色用途のほかには、秋に掘り起こした根を天日で十分乾燥させたものを茜草根(せんそうこん)として、生薬に用いる[3]。 止血、解熱、強壮、利尿、通経の薬効作用があるとされ、根を煎じたものを1日3回に分けて服用される[3]

アカネの文化[編集]

日本では上代から赤色の染料として用いられていた。ヨーロッパでも昆虫学者のジャン・アンリ・ファーブルがアカネ染色法の特許を取るなど、近代まで染料として重要視されていた。

和歌でも「茜さす」のように明るさを強調する枕詞に用いられて詠まれ、万葉名では茜、茜草、赤根、安可根のように書かれる[2]。アカネが登場する歌は13種あり、そのすべてが「紫」「日」「月」「照る」「昼」にかかる枕詞である[2]天智天皇の妃であった額田王が詠んだ、かつての夫あった大海人皇子に向けて詠んだ「あかねさす...」で始まる一首が良く知られる[2]

脚注[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]