銅像
銅像(どうぞう)とは、神仏、人、動物などを模して銅で作られた像、および彫刻のことである。
製法
銅像の代表的な製法は、鋳造法である。材料は主に青銅(ブロンズ)が用いられる。ここでは例として大仏の鋳造法(砂型鋳造法)について説明する。
- まず木や石、粘土などで型となる像を作り、乾燥させた後に雲母の粉を塗布する。
- その上から再び粘土を重ね、再び乾燥させる。
- 重ねた粘土を切り分けて剥がし、原型となる像の表面を5~6cm削る。このときに出来た隙間に銅が流し込まれる。
- 下から順に切り分けた粘土を戻し、戻した部分を盛り土で固める。外からは原型が徐々に土に埋まるように見える。
- 隙間に溶けた銅を流し込み、冷えて固まったら再び切り分けた粘土を重ねて土で固める。
- 上記の手順をすべての像が土の中に埋まった状態になるまで繰り返す。
- 土と表面の粘土を取り除き、表面を磨いたりして成形したら完成。仏像の場合は、さらに鍍金して金銅像(金銅仏)とすることが多い。
それ以外にも吸引鋳造法やガス型鋳造法などがある。
『日本の銅像完全名鑑』にも、計画の段階からの造り方の図解、値段の目安、取材協力した「株式会社竹中銅器」「株式会社梶原製作所」などが書かれている。[1]
歴史
銅像の歴史は古く、現存する世界最古の銅像はエジプト考古学博物館(カイロ博物館)所蔵のエジプト第6王朝ペピ1世の像。およそ4000年以上前のものと推測されている(金属製の像としても最古)。
日本では、飛鳥時代から金銅仏が制作されていた。東大寺の奈良の大仏も銅製である。しかし、人物をかたどった銅像がたてられることはなかった。江戸時代末期、アメリカにわたった遺米使節は胸像をみて「さらし首のようだ」と記録した。[2]日本初の西洋式銅像は、兼六園の明治紀念之標・日本武尊の銅像(1880年)である。この銅像が、イグノーベル化学賞(2003年) のきっかけとなる。これは西南戦争に従軍し戦死した郷土軍人を慰霊するためで、日本武尊であったのは、熊襲退治のために九州に出向いたことと西南戦争で従軍したことと重ね合わせたといわれる。[3]東京最古の西洋式銅像としては、大熊氏廣が明治26年(1893年)に靖國神社へ建立した大村益次郎像で、女性像としては瓜生岩子像(1901年、浅草寺)である。第2次世界大戦が勃発すると政府は1941年に金属類回収令を出し、板垣退助像、渋谷のハチ公像、伊達正宗騎馬像、二宮金次郎像、広瀬中佐、東郷平八郎など軍人像も例外なく再利用された。戦後復興期には次々と復元された。レジャーや観光のために続々と建てられた。今まで手が届かない場所にあった観賞用銅像から、触れることのできる銅像もできた。[4]
作られる目的
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以下のような目的が考えられる。
- 芸術的表現(オーギュスト・ロダンの「考える人」など)
- 土地に残る伝承を伝える、またはそれを題材にして町おこしをするため(熱海サンビーチの金色夜叉像)
- 偉業を成し遂げた人や動物をたたえる。(武将像、西郷隆盛像、二宮尊徳像など)。
- 待ち合わせ場所の目印(ハチ公像は待ち合わせ場所として有名だが、本来は上記の「偉業を讃える」部類の像)。
- 庭園などの装飾。
- 個人崇拝の対象。特に独裁的な国家の指導者に多く見られる(ソ連のレーニン像、北朝鮮の金日成像や、2003年4月9日に撤去されたイラクのサッダーム・フセイン像など)。
- 主義主張の表現(笹川良一の「孝子の像」や長崎市平和祈念公園の「平和祈念像」など)。ただし「孝子の像」については前記の個人崇拝の対象にも該当する面がある。
日本にある銅像
『日本の銅像 完全名鑑 全950体 オールカラー』による名作選
- 源義経対平知盛像は山口県下関市にある。
- 畠山重忠像は埼玉県深谷市にある。
- 源頼政対鵺像は兵庫県西脇市にある。
- 千葉常胤騎馬像は千葉県千葉市にある。
- 楠木正成騎馬像は東京都千代田区にある。
- 武田信玄対上杉謙信像は長野県長野市にある。
- 伊達政宗騎馬像は宮城県仙台市にある。
- 柴田勝家像は福井県福井市にある。
- 武田信玄像は山梨県甲府市にある。
- 織田信長像は愛知県清州市にある。
- 長宗我部元親像は高知県高知市にある。
- 島津義弘像は鹿児島県日置市にある。
- 宮本武蔵対佐々木小次郎像は山口県下関市にある。
- 伊能忠敬像は東京都江東区にある。
- 土方歳三像は東京都日野市にある。
- 坂本龍馬像は高知県高知市にある。
- 維新の門像は高知県譲原町にある。
- 二本松少年隊像は福島県二本松市にある。
- 西郷隆盛像は東京都台東区にある。
設置数の多さ
- 1位 松尾芭蕉 33体 2位坂本龍馬 32体 3位聖徳太子 織田信長、明治天皇12体
- あとで訂正して 二宮金次郎が1位 とあるがこれは石像が多い。
大きさ
- 1位 天草四郎像 15m 2位 日蓮上人 福岡市 10.6m 3位 西郷隆盛 鹿児島県霧島市 10.5m
外国にある銅像
外国人
- ワシントン銅像はフィラデルフィアの独立記念館にある。
- カメハメハ一世銅像はハワイ、ワイロアバー州立保養地にある。
- サン・マルティン銅像はブエノスアイレス サン・マルティン広場にある。
- マゼラン銅像はチリプンタアレーナス広場にある。
- ジンギス・カン銅像はモンゴルウランバートルの郊外にある。
- ピョートル一世銅像はサンクトペテルブルグの元老院広場にある。
- ルイ十四世銅像はヴェルサイユ宮殿にある。
- マリア・テレジア銅像はウィーン美術史博物館にある。
- ブルース・リー銅像は香港、星光大道にある。
- リヴィングストン銅像はザンビア、リヴィングストン市、ヴィクトリアの滝にある。
- サラディン銅像はシリア、ラタキア東部、サラディンにある。
日本人
関連項目
- 胸像
- 騎馬像
- パブリックアート
- アフリカ・ルネサンスの像 - 2010年にセネガルに完成した世界最大の銅像(約50m)
参考書
- かみゆ歴史編集部 『日本の銅像 完全名鑑 全950体 オールカラー』2013年 廣済堂出版 ISBN 978-4-331-80245-8