日産ディーゼル・スペースランナーRM

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日産ディーゼル・RM
ノンステップ



PB-RM360GAN 西武バス

スペースランナーRM(-アールエム、Spacerunner RM)は、UDトラックス(旧「日産ディーゼル工業」)が製造・販売を行なう、路線観光自家用向け中型バスである。

シリーズの概要

大型短尺(ショートホイールベース)車のカテゴリにおいて、かつて日産ディーゼル工業は1973年まで4R82型を、また、日産ディーゼルからエンジンの供給を受けていた日産自動車もU690型を生産・販売していた。これらに搭載されていた2ストロークUDエンジンが昭和48年排出ガス規制で使えなくなり、日産自動車も大型車部門を日産ディーゼルに集約した関係で、全長10m未満の大型バス市場からは1987年RPを発売するまで撤退していた。

その一方、1964年に日野自動車が、同社のレンジャーとパワートレインやシャシ部品を供用し、車体断面やホイール径の小さい、日本初の中型バスであるRM100(後のRL → レインボーRJ)を発表した。その後三菱重工業(現三菱ふそうトラック・バス)もこれに続き、1965年にMR620(後にB620 → MKへ発展)を発売。さらに、BA系など9mクラスの大型バスに強みを見せたいすゞ自動車も、1972年にBK(後にCCM / CDMに進化)で参入する。

当初これらは自家用が主な販路であったが、ローカル路線のダウンサイジングを図るため、路線用に起用されることが多くなった。そんな折、日産ディーゼルも1975年に富士重工業(現スバルカスタマイズ工房)製ボディを架装、4ストロークのED6型エンジンを搭載したRM90系を発表する。

5年後の1980年にはK-RM80系にモデルチェンジ(型式 = かたしきのハイフン以前は排出ガス適合記号)、そして1984年には昭和58年排出ガス規制に適合させたP-RM81系を発売、エンジンが改良型のFE6型になる。この系列のエンジンは、2005年にKK-RM252系が生産終了するまで21年間の長きに渡りRMに搭載されることになる。

1988年には西日本車体工業製ボディのRB80をラインアップ。RMと共にオプションでAT車が設定される(大阪市横浜市などが導入)。さらに、1992年10月には西日本鉄道(現西鉄バス北九州)の路面電車(西鉄北九州線)を代替することになり、西工製U-JM210のホイールベースを延長して全面的に置き換えた。これが後にJPとして市販化、新たなカテゴリーを築くに及んだ。

中型ワンステップバスは1989年からRB80に追加、JPでは国内初の車椅子乗降用スロープ板を備え、バリアフリーという言葉の認知度がまださほど高くなかった時期から「やさしさ」を追求していたことは賞賛に値する。1998年11月には国内初の中型ノンステップバスを発表。圧縮天然ガス(CNG)車との組み合わせもいち早く展開するなど、同社のバス作りのノウハウが凝縮されている。ただ、路線仕様車が着実にシェアを拡大する一方で、もともと同社は大型を含めて観光仕様車の開発・販促活動が苦手とされており、観光系の導入実績は低く、徐々にラインアップが縮小されて現在に至っている。

シリーズの変遷

富士重工業製(2003年3月まで)

RM90

1975年発売。ボディはモノコックのR14系を架装、エンジンは渦流室式のED6 (150PS)。

K-RM80

1980年、昭和54年排出ガス規制に対応して改良。エンジンが直接噴射式のFD6 (150PS)に変更される。

1982年から車体はR16系となる。

P-RM81

1984年、昭和58年排出ガス規制に対応して改良。FE6エンジン (180PS)を搭載する。

観光・自家用系にターボ付エンジンを搭載したハイデッカーが設定される。

※P-RM81以降の搭載機関等の説明は西工車体の欄を参照。

U-RM210

日産ディーゼル・RM

U-RM210GSN 富士急行

1990年、平成元年排出ガス規制に対応し、モデルチェンジ。

車体が7E,7Bに準じた8E,8Bになった。観光・自家用系はハイデッカーの設定がなくなり、スタンダードデッカー (8B) のみとなる。

トルコンAT車が後に追加される。

KC-RM211/250

1995年、平成6年排出ガス規制に対応して改良。

KK-RM252

1999年のフルモデルチェンジにより、KK-RM252系となる。車体は富士重工の8E,8Bで、8Eでは2001年中頃より、各所に改良が施されたR18系の最終型車体[1]が架装されている。ステップはワンステップとツーステップのみ選択可能。

西日本車体工業製(2003年4月から全車)

P-RB80

1988年にP-RB系として発売。西日本車体工業製車体専用のフレーム付シャシである。 1989年に日産ディーゼルと西日本車体工業の共同開発により、量産型式国産バス初のワンステップ車であるP-RB80GS(エアサス)、P-RB80GT(リーフサス)をラインナップに追加。

床高さはツーステップ、ワンステップ、ハイデッカーの3種類が選択可能。搭載機関はFE6 (180PS) とターボ付のFE6T(200PS) の2種類が選択可能。車体は、前面1枚窓が特徴的なオリジナルデザインの車体となっており、ハイデッカーは1988年度のグッドデザイン賞を受賞している。

U-JM210

1990年に平成元年排出ガス規制に対応し、フルモデルチェンジ。U-JM系となる。 路線系はツーステップ又はワンステップの2種類と観光・自家用はツーステップとハイデッカーの2種類がある。 搭載機関は、FE6 (185PS) とターボ付のFE6T (205PS) の2種類が存在し、変速機は5速マニュアルが設定されている[2]。 なお、1993年に中型トラック「ファインコンドル」において24バルブのFE6E型エンジン(195PS)およびFE6TA型エンジン(235PS)を採用しているがこのモデルには搭載されず、引き続きFE6型およびFE6T型が搭載されていた。同型エンジンは次のKC-代から搭載されることになる。

車体は西日本車体工業製のオリジナルデザインのもので、前面は1枚ガラスのウインドシールドにオーバーラップワイパーという、観光系と共通したフロントマスクが特徴。このモデルは西鉄グループ各社を中心に九州では非常に多く存在している。

また、西日本鉄道はこのJMをベースに改造し、全長を10.5mまで延長したワンステップ車を路面電車代替バスとして 多数導入している。この車両は後に発売される事となったJP系の原型となった。

KC-RM211/KC-JM250

日産ディーゼル・RM ワンステップ
西工車体・日デオリジナル


KC-RM211GSN 丸建自動車

1995年、平成6年排出ガス規制に対応して改良し、それまでRM路線系は富士重、JMは西工と車体によってモデルが分かれていたが、このフルモデルチェンジを機に統一された。

前モデルのエアサス車はリーフ併用式だったが、今回よりフルエアサスへの変更が行われた。観光・自家用系は富士重製がRM250、西工製がJM250として残る。路線系で高出力を選択する場合は改造登録となる。また、路線系の床高さはツーステップ、ワンステップ、ノンステップ(改造登録)の3種類で、観光・自家用はツーステップとハイデッカーの2種類が選択可能。

搭載機関は、ファインコンドルと同型の24バルブ化された標準出力のFE6E (195PS) と同じく24バルブ化の上インタークーラーを追加した高出力のターボ付FE6TA (235PS) の2種類で、変速機は5速(又は6速?)マニュアルが設定されている。エンジンの音もU-代とは異なり、非常に迫力あるものになった。車体は富士重製8E / 8Bと西工製が選択可能。ただし、ノンステップとハイデッカーはU-JM系と同じ西工オリジナルデザインの車体のみとなる。また、このモデルより衝撃吸収式ステアリングが装備されている。

KK-RM252/KK-JM252

1999年にフルモデルチェンジにより、KK-RM252 / KK-JM252系となる。 富士重側の車体は8E / 8Bで、8Eでは2001年中頃より上述の最終型車体を架装。西工は変わらず96MCとJMと同じデザインの車体。 搭載機関は、FE6F型 (205PS) と FE6TA型 (240PS)、FU6型 (210PS) の3種類。 なお、FU6型はCNG(圧縮天然ガス)エンジンである。 変速機は、5速マニュアルと5速オートマチックが設定されている。また、運転席周りの計器類などのデザインも変更された。

また、ノンステップは西工のみ。ワンステップは西工と富士重どちらの車体でも選択できる。 JM系は高出力のFE6TA型エンジンを搭載した最上級クラスのハイデッカー専用型式として残る。 車体はこれまでと同じ西工の日デオリジナル車体だが、KK-JM252よりフロントバンパー形状が大型観光バスの02MCに準じたデザインの物に変更された。

富士重のバス部門業務の縮小に伴い、2003年4月から、E尺(短尺・路線仕様ワンステップ)並びにE尺エアサス仕様が廃止され、同時に車体指定メーカーが西工に変更された。

PB-RM360

2004年にフルモデルチェンジにより、PB-RM系となる。搭載機関は、今回から自社開発を中止し、日野自動車からエンジン供給を受けている。平成16年短期規制75%低減を達成した、直列5気筒インタークーラーターボ装備のJ07E-TC型 (225ps) 1種類のみ。

床高さはノンステップとワンステップ仕様の2種類が存在する。エンジンルーム通気口が乗降扉側にあるのが特徴。PB-RM系から、平成18年の灯火器保安基準の改正に対応するため、リアコンビネーションランプが縦並びの物になり、先代とは全く異なるリアスタイルになった。

また、観光・自家用仕様はハイデッカーの設定が無くなり、ツーステップ標準床のみのラインナップになった。この観光・自家用仕様はホイールベースが100mm延長され、専用のH尺となっている。車体はこれまで採用されてきた日デオリジナルの車体から96MCに変更され、大型のE-IIに準じたスタイルとなっている[3]。路線用と同じく搭載機関はJ07E-TC型1種類のみで、同じく縦型リアコンビネーションランプを装備する。排出ガス規制のため2007年8月で販売を終了し、次の車種が登場するまで4ヶ月ほど空白期間となる。

PDG-RM820

スペースランナーRM ノンステップ

PDG-RM820GAN 西武バス

2007年12月25日にPDG-RM820系となった。新長期規制に適合し、基準に対してPMの10%減を達成している。排出ガス規制適合のため、前車種の販売終了から4ヶ月のブランクを置いての発表となった。

この時期、日産ディーゼルは三菱ふそうトラック・バスとバス製造事業において業務提携を開始しており、当車種は日産ディーゼルが設計を行っているため、西日本車体工業で車体が架装される一方、エンジンは排出ガス後処理装置の再生制御式DPFも含めて三菱ふそうから供給を受けており、6M60型エンジン (177kW / 240PS) を搭載する。

この車種は2008年1月31日より三菱ふそうへエアロミディ-SとしてOEM供給されている。

ラインナップは前回のPB-RM系に引き続き、ノンステップ車、ワンステップ車のPDG-RM820GANと自家用仕様のPDG-RM820HAN国土交通省の認可を受けている。三菱ふそう供給分はそれぞれPDG-AR820GAN、PDG-AR820HANとして国土交通省の認可を受けている。

この代からリアコンビネーションランプが大きく変更され、三菱ふそう・エアロミディと同様のリアバンパー内蔵タイプとなっている。

西日本車体工業での生産終了に伴い、2010年8月末をもって製造を終了した。

脚注

  1. ^ 従来の8Eボディーに、フロントガラス方向幕部分の一体ガラス化、運転席側窓の四角枠化、リア通風口の形状変更、その他屋根肩部の微細な変更などが行われ、全体的にスマートになり、新7Eボディーに近いスタイルになったマイナーチェンジモデル。
  2. ^ ロッド式標準、フィンガーコントロールトランスミッション(FCT)はオプションになっている。また、FCT搭載車にはシフトインジケーター一体型のタコメーター(液晶表示)が搭載されていて次のKC-代まで採用された。
  3. ^ ただし、大型のE-IIと違いフロントガラスの傾斜が少なく(フロントガラスは分割型が選択可能になったものの、周囲の形状ははこれまでの日デオリジナルスタイルと変わらず)、その他はバンパーまわりと灯火関係の変更にとどまっている。

関連項目

外部リンク