峡谷から星たちへ…
『峡谷から星たちへ…』(きょうこくからほしたちへ、仏: Des canyons aux étoiles…, pour Piano Solo, Cor, Xylorimba, Glockenspiel, et Orchestre )は、フランスの作曲家オリヴィエ・メシアンが、アリス・タリー(Alice Tully)の委嘱により1971年から1974年にかけて作曲した管弦楽曲。メシアンがアメリカ合衆国のユタ州を旅行した際に目にした風景や、鳥の鳴き声が着想の源となっている。
初演
1974年11月20日にニューヨークのリンカーン・センターのアリス・タリー・ホール(Alice Tully Hall)において、フレデリック・ウォルドマン(Frédéric Waldman)指揮、ムジカ・エテルナ管弦楽団(Musica Aerterna Orchestra)、ピアノ独奏イヴォンヌ・ロリオによって世界初演が行われた。その後、翌1975年にはフランス初演(10月29日、テアトル・ド・ラ・ヴィル)、イギリス初演(11月12日、ロイヤル・フェスティバル・ホール)が行われ、メシアン70歳の誕生日にあたる1978年12月10日にパリ・オペラ座で行われた記念演奏会では、中心プログラムに据えられた[1]。
楽器編成
木管楽器
金管楽器
- トランペット(C管)2
- ピッコロトランペット(D管)1
- ホルン3(1番奏者はソリスト)
- トロンボーン2
- バストロンボーン(テナーバストロンボーン)1
鍵盤楽器
弦楽器(全てソリスト扱い)
打楽器(5名)
- 第1奏者:チューブラーベル
- 第2奏者:トライアングル、アンティークシンバル、むち、マラカス、ギロ、ガラスのチャイム、貝殻のチャイム、竹のチャイム、ジェオフォーン(砂の擬音)
- 第3奏者:6テンプルブロック、クラヴェス、ウッドブロック、マラカス、タンブリン、サスペンデッドシンバル(大小2種)
- 第4奏者:4ゴング、サスペンデッドシンバル、トゥンバ(Tumba)、バスドラム
- 第5奏者:2タムタム(中音と低音の2種)、サンダーシート、エオリフォーン(風の擬音)、
演奏時間
約1時間40分
構成
12の楽章があり、3部構成になっている。 各楽章のテーマは、自然や風景、鳥の声、星の3種類にカテゴライズされる。
第1部
- 1.砂漠
- エオリフォーンが砂漠に吹く風を表現する。
- 2.ムクドリモドキ
- アメリカ北部のムクドリモドキ科の鳥の声。
- 3.星たちの上に書かれているもの
- 4.マミジロオニヒタキ
- ピアノ独奏によって、マミジロオニヒタキ(仏: Cossyphe de Heuglin )の鳴き声が表される。
- 5.シーダー・ブレークスと畏怖の贈り物
- ユタ州のシーダー・ブレークスの風景と、そこに住む鳥の声。
第2部
第3部
- 8.甦りしものとアルデバランの歌
- アルデバランはおうし座を構成する恒星。
- 9.マネシツグミ
- ピアノ独奏によってマネシツグミの歌が表現される。
- 10.モリツグミ
- モリツグミの鳴き声が表現される、
- 11.オマオ、ソウシチョウ、エレペオ、シキチョウ
- エオリフォーンとジェオフォーン(砂の擬音)が活躍する。ソウシチョウやシキチョウなどの鳴き声。
- 12.ザイオン公園と天国
- ザイオン公園の美しい風景が表現される。
脚注
- ^ 『最新名曲解説全集 補1』音楽之友社、1982年、370ページ、執筆:船山隆
参考文献
- 石田一志、CD(48DC 5083-4)ライナーノート
- アルフォンス・ルドゥック社(Alphonse Leduc)のスコア
- 『最新名曲解説全集 補1』音楽之友社、1982年、執筆:船山隆