ヴェノム (マーベル・コミック)

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ヴェノムVenom)は、マーベル・コミック社が出版するアメリカン・コミックスに登場する架空のキャラクターである。過去(少なくとも1994年[1]から2002年[2]にかけて)は、ベノムと日本語表記されていた。『アルティメット スパイダーマン』での日本語表記が「ヴェノム」だったのに合わせてか、これ以降の表記は全て「ヴェノム」となった。


本項では、関連の深いカーネイジCarnage)についても説明する。なお、ヴェノム、カーネイジとも、基本的にヴィラン(悪役)である。

ヴェノム

ヴェノムについて説明する前に、エイリアン・コスチュームについて説明する必要がある。なお、コスチューム、ヴェノム、カーネイジとも、弱点は共通して「高熱」と「ある特定の波長[3](音)」[4]

エイリアン・コスチューム

本節で特に出典のない記述は、『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 83頁による。

スパイダーマン(ピーター・パーカー)が、クロスオーバー作品シークレット・ウォーズ』に参加した際、異世界でコスチュームを破損し、修復装置[5]から黒いコスチューム(エイリアン・コスチューム)を手に入れる(1984年12月、『シークレット・ウォーズ』第8号)。「ウェブ」が無くなる心配もなく、瞬時にコスチュームを纏うこともでき、便利な存在だった[6]。ピーターは黒いコスチュームになったことを「2代目スパイダーウーマンのコスチュームが印象深かったから」と理解している[7]

地球へ戻ってからも使用を続けていたが、コスチュームは夜な夜な意識のないピーターに纏わりつきスパイダーマン化させ、行動させており、ピーターには不可解な疲労が堪っていった[8]ファンタスティック・フォーに調査を依頼したところ、コスチュームが自我を持っていることが判明、ピーターとの共生を要望するものの、彼は拒否、しかしコスチュームは離れようとしない。ミスター・ファンタスティックの協力で、エイリアン・コスチュームが「ある音波」に弱いと判り、彼の手を借りて両者は分離され、コスチュームは封印された[9]。しかし、スパイダーマンは元の「赤と青のコスチューム」には戻らず、ブラックキャットの手製の黒いコスチューム(ブラック・コスチューム)を着用することになる(1985年)。

後にコスチュームは逃走し、スパイダーマンに戻ろうとした。彼は決死の覚悟で教会に登り、その鐘の音を浴び続け、コスチュームを根負けさせた[10]。以後、コスチュームは教会で眠りについていたが、そこへエディ・ブロックが訪ね、眠りから覚めてしまう[11]

1987年メリー・ジェーン・ワトソンの前にヴェノムが姿を現し、彼女を怯えさせる。1988年、スパイダーマンとヴェノムは対決し、エイリアン・コスチュームは封印され、ピーターは「赤と青のコスチューム」(メリー・ジェーンの手製)に戻った。

なお、エイリアン・コスチューム[12][13]に関しては、以下のような別称がある。

  • 異星生物[14]
  • 宇宙生物[15]
  • 生命体[16]
  • 共生体[17]
  • シンビオート[18]
  • エイリアン・シンビオート(異星の寄生体)[19]

原作(コミック)版

アメリカン・コミックスの長期タイトル(人気キャラクター)に見られるように、ヴェノムも代替わりをしている。

初代ヴェノム

ヴェノム(Venom)の名前は「毒(猛毒)」に由来する。初代の本名はエドワード(エディ)・チャールズ・ブロックで、ニューヨーク出身[20]。デイリー・ビューグルのライバル誌であるニューヨーク・グローブの人気記者[21]であったが、スパイダーマンによって「シン・イーター」と呼ばれる連続殺人鬼の誤報記事を暴かれ、職を失い[22]、妻にも去られてしまう[23]。彼はスパイダーマンを逆恨みしていたが、その憎悪を抑えるべく、教会を次々に訪問していた。ある教会で感情を増幅させてしまい、それを休眠中だったエイリアン・コスチュームが受信し覚醒、寄生により一体化し、「もう一人のスパイダーマン」[24]であるヴェノムが誕生した。一人称は「オレたち」である[25]。なお、本人の意識では、「自らは善、スパイダーマンは悪」という信念を持っている[26]

ボディビルダーでもあるエディはピーターより体格がよく、そのパワーがコスチュームで強化された結果、パワーだけならスパイダーマンを凌いでいる[27]。もともとエディ自身は320キログラム程度の重量を持ち上げることが出来たが、ヴェノム化することでパワーは40倍になっている[28]。コスチュームは保護色に変化し、姿を隠すことが可能[29]。スパイダーマンの特性でもある「壁や天井へのへばりつき」、「クモ糸(ウェブ)の発射」という部分を受け継いでいるが、学習進化してスパイダー・センスの回避まで行うようになった[30]。このため、ヴェノムはスパイダーマンに易々と不意打ちを食らわせることができ、危険な敵となっている。新たな宿主に寄生してもその能力を使えるため、個人情報が筒抜けなのも利点となっている。

前回の敗北後、ヴェノムはスパイダーマンを南洋の島に誘き出す。スパイダーマンは死んだふりで誤魔化したが、ヴェノムは相手の死を確信し、自らの任務が終わったと思いこみ、エディとコスチュームは島で穏やかに暮らすことにした[31]

しかし、カーネイジ誕生の責任を取る形でスパイダーマンと共闘し[32]、以後は「弱者の庇護者」を自称する[33]。一時期は「庇護者」としてサンフランシスコに居住していた。悪に戻った後は、シニスター・シックスに参加したこともある。この時はサンドマンと仲違いし、その命を奪う原因となった。

後にの悪化のため、シンビオートはエディから離れることを希望する。

二代目ヴェノム

エディはシンビオートを競売に掛け、ドン・フォルトゥナートが1億ドルで落札。ギャングの親玉である彼は息子のアンジェロに与えるものの、その臆病さに呆れ、シンビオートはアンジェロを見放し、空中で分離、アンジェロは落下し死亡した[34]

なお、ヴェノム・シンビオートから派生した存在は次の通り(一部はカーネイジから)。スクリーム、トキシン、ライオット、ファージ、ラッシャー、アゴニー、など[35]

三代目ヴェノム

本節で特に出典のない記述は、『マーベル・キャラクター大事典』 351頁による。

アンジェロの後、スコーピオンことマック・ガーガンはシンビオートのパワーを渇望し、寄生が実施され、新しいヴェノムとなった。ガーガンと一体化した新ヴェノム[36]はさらに凶暴化し、犠牲者をむさぼり喰うという面も見せた。

シニスター・トゥエルブと共闘してスパイダーマンを倒そうとして失敗した後、シビル・ウォーではサンダーボルツ軍に協力し、登録拒否をした超能力者の追跡に参加。シークレット・インベージョンでスクラル人たちと戦った後、ノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)が、彼の指揮下にある新アベンジャーズへ移籍させた。凶暴性を抑える薬を与えられ、ノーマンの指示でスパイダーマンに成りすました。

『マーベル・アベンジャーズ事典』では、「パワーレベル」という項目があり、新ヴェノムの腕力は5となっている[37]。スパイダーマンは4[38]、マーベル最強クラスのヒーローたち、ハルク[39]マイティ・ソー[40]、セントリーは7[41]である。

四代目ヴェノム

ユージン・トンプソンは植物状態から回復し、両脚を失い車椅子生活を送っていたが、「Siege」でシンビオートをガーガンから奪取したアメリカ軍から「両脚が戻る」事を条件に出されシンビオートの宿主となる。まる2日以内にシンビオートの凶暴性を抑制する薬を飲み、監視下に置かれる条件下でシンビオートが新たな両脚を作り、ユージンは軍のもとで最初は働き始めシークレットアベンジャーズとエージェント・ヴェノムとして共闘。

アンチ・ヴェノム

本節は『マーベル・キャラクター大事典』 15頁による。

シンビオートと分離したはずのエディ・ブロックが変化した姿。その色は、ヴェノムの黒に対し、白である。能力はヴェノムに準じる他、放射線を浴びた者に対して治療する能力がある。その名の通り、ヴェノムと敵対している。

エディは癌の治療法を見つけるためにシンビオートを売却したのだが、結局、癌は悪化し、死を待つのみとなってしまう。しかし、マーティン・リー(ミスター・ネガティブ)のパワーにより、癌は一掃される。ところが、その影響で、エディの体内に微量ながら残留していたシンビオートが、彼の免疫系と融合してしまう。そして、ガーガンとエディが対決した時、ガーガンのシンビオート(ヴェノム)がエディに戻ろうとするも、彼の肌に接触した途端、燃焼してしまう。それに触発されるかのように、エディの体内のシンビオートが活性化し、彼を包み込んでアンチ・ヴェノムと化していた。

その他の漫画では

  • 『アルティメット スパイダーマン』では宇宙からのシンビオートではなく、ピーターの父親がガンの特効薬として作ったゲル状のスーツであった。ピーターはそのスーツの管理者であるエディに黙ってゲルスーツを持ち出し能力を試そうとするが、ゲルの一部に触れてしまい共生されてしまう(その姿はブラックコスチュームそのものである)。その力に歓喜する中、ベン・パーカーを殺した犯人が逃走しているのを発見、犯人を捕まえるが怒りの感情を抑えることが出来なくなり、ピーターは危うく犯人を殺しかけてしまう。ピーターはスーツを焼却炉に破棄したが、スーツの力に魅了されたエディはスーツを別の保管場所から取り出してスーツと共生しヴェノムと化してしまう。

アニメ版

スパイダーマン』(1994年から1998年)や、その後に製作された『スパイダーマン・アンリミテッド』(1999年)、『スペクタキュラー・スパイダーマン』(2008年~)では、正体はエディ・ブロックである。

上記の内、『スパイダーマン』、『スペクタキュラー~』にはファンタスティック・フォーが登場しない[42]ため、初戦からスパイダーマンは独力でエイリアン・コスチュームを剥ぎ取る試練に見舞われる。また、オリジンも「異世界で入手」ではなく「スペースシャトルに付着して地球に来た」、「隕石」などという設定になっている。どちらとも、スパイダーマンは「エイリアン・コスチュームによる利点」であるパワー・アップと、マイナス面である「自我を乗っ取られそうになる(怒りっぽくなり、友人と疎遠になる等)」を体験する。『スペクタキュラー・スパイダーマン』の13話では最終的にピーターがヴェノムの力には勝らないと諦め、シンビオートに自分のところへ戻ってくるよう呼びかける。その後シンビオートはエディの体を離れピーターの方へ寄生しに近づく(この状況でシンビオートがまだピーターの方がエディよりホストとして気に入っていることが分かる)が、ピーターの強靭な精神力によって体から取り外され、エディの元へ戻ろうとするところを始末される(シーズン2にて2度目の登場がある)。

『~アンリミテッド』では、リード・リチャーズがスパイダーマンに新コスチュームを贈る、という展開が基になっているが、既にヴェノム(とカーネイジ)は誕生しており、彼らとファンタスティック・フォーが絡むシーンはない。

スパイダーマン
1990年代版の『スパイダーマン』(ただし、シーズン5は日本未放映)に登場。一人称は「オレたち」と、複数形である。コスチュームはパワーを増大させる効果を持っており、また瞬時に姿を変える(違う衣装になる)ことも可能である。
エディは第1話「闇に消えるリザード」からデイリ・ビューグルの記者として登場するが、せっかく掴んだリザードの正体(カート・コナーズ博士)をスパイダーマンによって邪魔され、結果「ガセネタ」をオーナーのジェイムスンに披露してしまう。以後、エディの人生は躓き通しとなり、ジェイムスンの息子・ジョンの乗るスペース・シャトルの一件でスパイダーマンを悪人に仕立てたことが決定打となり失職、憎悪を募らせていく。そのため、コスチュームと一体化しピーターの個人情報を得てからは、自宅へ訪問しメイおばさんに取り入る、メリー・ジェーン・ワトソンにも会いに行く、など、ピーターにとってのストーカー行為を繰り返し、精神的に追い詰めた。
第8話「エイリアン・コスチューム パート1」(The Alien Costume, Part One)から第10話「エイリアン・コスチューム パート3」(The Alien Costume, Part Three)まで3部作として描かれ、スパイダーマンへの寄生・剥離を経てエディと一体化し、スパイダーマンと対決した。エイリアン・コスチュームは分離され、ロケットで地球外に追放、エディは収監され、精神療養を受けることになる。
第37話「復活のヴェノム」(Chapter X: "Venom Returns")と第38話「ヴェノム VS. カーネイジ」(Chapter XI: "Carnage")では、異次元の存在であるマスター・ドマームーによりコスチュームが地球に戻され、エディと一体化する。初期はカーネイジと共闘し、ドマームーに協力したものの、エディの療養を担当していたアシュレイ・カフカのためにスパイダーマンと手を組む。ドマームーの「こちら側」への進出は挫いたものの、ヴェノムは異次元に飛ばされてしまった。
  • 上記5話分については、「スパイダーマン:ザ・ヴェノム・サガ」としてDVD販売されている。
なお、第37話ではウォーマシーン(とジェイムス(ジム)・ローズ)が、第38話ではアイアンマンが、スパイダーマンと共闘している。トニー・スターク自身は第37話にも登場、また続く第39話「スポットのテクノロジー」冒頭にも登場している。
スパイダーマン・アンリミテッド
カーネイジとコンビを組んでおり、ジョン・ジェイムソンの操縦するスペースシャトルに密航し、カウンターアース(地球の公転軌道の反対側にある惑星)へ移住している。こちらでは出番が少ないながら、メインとなるエピソード(第11話「人間に戻ったブロック」(One is the Lonliest Number))もある。
スペクタキュラー・スパイダーマン
ピーターの先輩としてエディが第1話から登場、実質、義兄弟のような関係にあった(エディは大学生となっており、高校に残った年下のピーターを心配していた。フラッシュ・トンプソンのイジメから)。同時にカート・コナーズ博士の研究を手伝っていたが、ヴィランの台頭で、徐々に不利な立場に追い込まれていく。
第11話「悪の6人組 シニスター・シックス」において、ピーターがエイリアン・コスチュームの脅威(自分の意識のない間に、強大な敵シニスター・シックスを倒していた。その自我と強大なパワー)に恐怖し、コスチュームを封印する。
第12話「宇宙生命体 ヴェノム パート1」(Intervention)と、その後半である第13話「宇宙生命体 ヴェノム パート2」(Nature vs. Nurture、シーズン1最終回)において、エディがエイリアン・コスチュームと一体化し、ヴェノムが誕生したが、敗北し、コスチュームは工事現場のコンクリートの下に封印されてしまう。
第2シーズンでは、エディが黒の衣服でスパイダーマンの注意を喚起、あるいは霍乱した結果、エイリアン・コスチュームを探り当て、再びヴェノムとなる。しかし、第20話「宿敵再び ヴェノム パート3」(Identity Crisis)での対決の結果、コスチュームはエディよりピーターを選び、結局ヴェノムとコスチュームは敗北する。
アルティメット・スパイダーマン
第4話「寄生生物 ヴェノム」に登場。スパイダーマンや、彼のチームメイトであるノヴァらに同化しようとするものの、失敗し、封印される。
しかし、その一部をハリー・オズボーンが隠匿し、ハリーはヴェノムと化した。
第55話「エージェント・ヴェノム」ではフラッシュ・トンプソンに寄生し、エージェント・ヴェノムとなった。

映画版

スパイダーマン3』に登場。当初は地球に落下した流星の中にいた黒い共生生命体が、ピーターに取り付いてブラックスパイダーマンへと変貌させたが、次第に凶暴化し、MJまで傷付けてしまった事を後悔したピーター自らの意志で、教会の鐘が鳴り響く中で引き剥がされる。しかしその真下では、スパイダーマンのでっち上げ記事を書いた事実をピーターに暴露され、彼を逆恨みして復讐しようと思っているエディ・ブロックがいて、そのエディに取り付き、ヴェノムが誕生した。原作とは違い、一人称は「I(俺)」で映画内では終始「スーツ」と呼ばれる。

サンドマンを唆してスパイダーマンに襲い掛かり、彼を助けに来たニューゴブリンことハリーにも致命傷を負わせるが、金属音が弱点である事を知られた結果、鉄パイプの檻に閉じ込められ、エディはヴェノムから引き剥がされる。それでも生きており巨大化し襲い掛かり鉄パイプの音で怯まされ、そしてトドメとしてニューゴブリンのグライダーに仕込まれていた爆弾「パンプキン・ボム」を投げ込まれるも、その際ヴェノムを守ろうとして自ら飛び込んでしまったエディと共に爆発、消滅する末路を迎えた。  

カーネイジ

カーネイジ(Carnage)の名前は「大虐殺」に由来する[43]。「もう一人のヴェノム」と呼べる存在である。他に、「さらにもうひとりのスパイダーマン」[44]、「狂気のスパイダーマン」[45]とも呼ばれている。ヴェノム同様、スパイダーマンの特性を持っており、スパイダー・センスを無効化する[46]。本体はクリータス・キャサディ[47]だが、日本語表記には「クレタス・キャサディ」[48][49]の表記ゆれがある。本項では、出典のうち最も新しい『マーベル・キャラクター大事典』での「クリータス・キャサディ」を使用する。ニューヨーク出身[50]

エディ・ブロックは、超人犯罪者用のレイブンクロフト監獄に収監され、クリータス・キャサディと同じ房に入れられる。ある夜、エイリアン・コスチューム(シンビオート)が侵入し、エディと一体化してヴェノムとなり逃走。同じ房に残されたクリータス・キャサディに、残されたシンビオートの一部が取り付き、カーネイジが生まれた[51][52]。ヴェノムよりも、さらにシンビオートとの融合が進んでおり、一人称は「オレ」である[53]。50トンの重量を持ち上げることができる[54]。スタミナは衰えることを知らないように見える[55]

キャサディは連続殺人鬼であり、非常に攻撃的な性格である。その一端がスパイダー・ウェブ(クモ糸)に現れており、といった形状が頻発する(スパイダーマンは「糸」として放出し、場合によっては網やボール、果てはパラシュートに変化させている。ヴェノムも糸としての使用がメイン)。また、としても使用する[56]

看守を殺害し、マンハッタンに戻ったカーネイジは、殺人を繰り返す[57]。カーネイジはヴェノムより力強く、初戦でスパイダーマンは苦戦し、ヒューマン・トーチとヴェノムの協力を得て、やっと倒すことできた[58]

この他、カーネイジはシュリーク(ソニックブラストを使う女性殺人鬼)[59]や、スパイダーマンの悪の分身であるスパイダーマン・ドッペルゲンガー等を仲間に引き入れ、ヴェノム、スパイダーマン、ブラックキャットモービウスらと戦いを繰り広げた[60]

カーネイジと組んだヴィラン(悪役)は、他にデモゴブリン、キャリオンがいる。また、取りついたことのある相手は、ベン・ライリー(ピーターのクローンで、一時期は「本物の」スパイダーマンだった)、シルバーサーファー、ジョン・ジェイムスン(J・ジョナ・ジェイムスンの息子)がいる。さらに、カーネイジのシンビオートは、パトリック・マリガンという警官に取りつき、トクシン、となった[61]

セントリーがシンビオートをバラバラにした後も、キャサディ自身は逃亡を続けている[62]。過去には、シンビオートがキャサディの血液に潜伏していたこともある[63][64]

アニメ版

スパイダーマン1994年から1998年
1990年代版の『スパイダーマン』では、第37話「復活のヴェノム」(Chapter X: "Venom Returns")と第38話「ヴェノム VS. カーネイジ」(Chapter XI: "Carnage")で誕生から追放までが描かれている(ただし、シーズン5は日本未放映)。
クリータス・キャサディとして暴れ、スパイダーマンの協力で収監されるシーンからであり、その精神状態の不安定さが描かれていた。一人称はヴェノムと同じく「オレたち」と複数形である。
異次元の存在であるマスター・ドマームーの命令に嬉々として従い、争いを楽しんでいた。
なお、第37話ではウォーマシーン(とジェイムス(ジム)・ローズ)が、第38話ではアイアンマンが、スパイダーマンと共闘している。トニー・スターク自身は第37話にも登場、また続く第39話「スポットのテクノロジー」冒頭にも登場している。
スパイダーマン・アンリミテッド1999年
ヴェノムとコンビを組んでおり、ジョン・ジェイムソンの操縦するスペースシャトルに密航し、カウンターアース(地球の公転軌道の反対側にある惑星)へ移住している。こちらでも出番が少ない。

トキシン

カーネイジのシンビオートが産んだ新たなシンビオートがニューヨーク市警パトリック・ムリガンにとりついた姿。ムリガンが死んだ後エディ・ブロックがトキシンとなる。 

池上遼一・平井和正による先行例

スパイダーマン(池上遼一版)
池上遼一が担当した『スパイダーマン』(「月刊別冊少年マガジン」(講談社)、1970年1月号から1971年9月号)において、ヴェノムに先がけて「もう一人のスパイダーマン」(オリジナルからの能力の移動、正体がバレる)が登場している。
  • 本来は翻案漫画として描かれ、ニューヨークが東京に、ピーター・パーカーが小森ユウに、J・ジョナ・ジェイムスンが情報新聞社の社長に置き換えられ、連載が開始された。途中でオリジナル展開となり、さらに原作者として平井和正を迎えている。
平井参加後の第12話「スパイダーマンの影」において、小森ユウの輸血を受けた青年・北野光夫がスパイダーマンの能力をも受け継ぎ、悪事を働いている。一度はスパイダーマンによって捕まえられたが、「改心する」という言葉を信じ、また北野の姉のことを考慮し、その時は官憲の手に委ねることなく釈放された。しかし、すぐにコスチュームを盗み、スパイダーマンに成りすまして売名行為を行う。小森ユウの心の中では「スパイダーマン2」と呼称されていた(本人はスパイダーマン1)。後に平井はアダルト・ウルフガイシリーズの一編「人狼、暁に死す」に、このプロットを使っている(こちらは狼男が主役)。
なお、池上版では、第4話「にせスパイダーマン」においてニセモノが登場しているが、これはユウが捨てたコスチュームを拾った者で、能力の移動はない。また、ニセモノは小森ユウと面識があったものの、彼がスパイダーマンだとは知らないまま終わった。
ウルフガイ(狼の怨歌)
平井が原作を担当した漫画『ウルフガイ』(作画:坂口尚、「週刊ぼくらマガジン」(講談社)、1970年(43号)から1971年(23号))の終盤において、「主人公(狼男)の血を輸血された看護婦が、悪鬼のように暴走する」という展開がある(小説版は『狼の怨歌』)。

出典

書籍の基本情報に関しては、以下の通り。

  • 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 小学館プロダクション1994年
  • トム・デファルコ著、小林等、高橋早苗、矢口悟、大島豊 訳『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 小学館プロダクション、2002年
  • トム・デファルコ、ピータ・サンダーソン、トム・ブレブールド、マイケル・タイデムバウム、ダニエル・ウォレス、アンドリュー・ダーリング、マット・フォーベック共著『マーベル・キャラクター大事典』 小学館集英社プロダクション、2010年
  • アラン・カウシル著、高木亮訳『マーベル・アベンジャーズ事典』 小学館集英社プロダクション、2011年
  1. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁、他。
  2. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁、他。
  3. ^ 同書 109頁。
  4. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  5. ^ 同書 108頁。
  6. ^ 同上。
  7. ^ 同上。
  8. ^ 同書 109頁。
  9. ^ 同上。
  10. ^ 同上。
  11. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁。
  12. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  13. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 108頁。
  14. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  15. ^ 同書 83頁。
  16. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  17. ^ 同書 120頁。
  18. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁、351頁。
  19. ^ 同書 351頁。
  20. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  21. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  22. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  23. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  24. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  25. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  26. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁。
  27. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 4頁。
  28. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁。
  29. ^ 同上。
  30. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 351頁。
  31. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 121頁。
  32. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  33. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 351頁。
  34. ^ 同上。
  35. ^ 同上。
  36. ^ 『マーベル・アベンジャーズ事典』 193頁。
  37. ^ 同書 193頁。
  38. ^ 同書 164頁。
  39. ^ 同書 75頁。
  40. ^ 同書 178頁。
  41. ^ 同書 153頁。
  42. ^ 厳密には、『スパイダーマン』では、第1話の段階でファンタスティック・フォーの名前がスパイダーマン自身の口から出ている。また、実際に登場するのだが、それは日本未放映のシーズン5である。
  43. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  44. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  45. ^ 同上。
  46. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  47. ^ 同上。
  48. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  49. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁。
  50. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  51. ^ 同上。
  52. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁では、この時、シンビオートはエディではなくキャサディを選んだ、としているが、『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁では、本文と同じ展開が図入りで紹介されている。
  53. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  54. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  55. ^ 同上。
  56. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 7頁。
  57. ^ 同書 6頁。
  58. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  59. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁。
  60. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  61. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  62. ^ 同上。
  63. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 25頁。
  64. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。