ヴェノム (マーベル・コミック)

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ヴェノム (Venom) は、マーベル・コミック社が出版するアメリカン・コミックスに登場する架空のキャラクターである。過去(少なくとも1994年[1]から2002年[2]にかけて)は、日本ではベノムと表記されていたが、『アルティメット スパイダーマン』以降は「ヴェノム」と表記されるようになった。

本項では、関連の深いカーネイジ (Carnage) についても説明する。なお、ヴェノム、カーネイジとも、基本的にヴィラン(悪役)である。

概要[編集]

ヴェノムについて説明する前に、エイリアン・コスチュームについて説明する必要がある。なお、コスチューム、ヴェノム、カーネイジとも、弱点は共通して「高熱」と「ある特定の波長[3](音)」[4]

エイリアン・コスチューム[編集]

本節で特に出典のない記述は、『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 83頁による。

スパイダーマン(ピーター・パーカー)が、クロスオーバー作品シークレット・ウォーズ』に参加した際、異世界でコスチュームを破損し、修復装置[5]から黒いコスチューム(エイリアン・コスチューム)を手に入れる(1984年12月、『シークレット・ウォーズ』第8号)。「ウェブ」が無くなる心配もなく、瞬時にコスチュームを纏うこともでき、便利な存在だった[6]。ピーターは黒いコスチュームになったことを「2代目スパイダーウーマンのコスチュームが印象深かったから」と理解している[7]

地球へ戻ってからも使用を続けていたが、コスチュームは夜な夜な意識のないピーターに纏わりつきスパイダーマン化させ、行動させており、ピーターには不可解な疲労が堪っていった[8]リード・リチャーズに調査を依頼したらコスチュームが自我を持っていると判明し、ピーターはコスチュームを脱ごうとするがコスチュームは離れようとしない。コスチュームが「ある音波」に弱いと判り、音波で両者は分離され、コスチュームは封印された[9]。しかし、スパイダーマンは元の「赤と青のコスチューム」には戻らず、ブラックキャットの手製の黒いコスチューム(ブラック・コスチューム)を着用することになる(1985年)。

後にコスチュームは逃走し、ピーターの下に戻ろうとした。ピーターは教会に行き、教会の鐘の音をコスチュームに聞かせ、コスチュームはピーターの体から離れる[10]

一連のブラック・コスチューム化は、当時のマーベルの方針で、既存のキャラクターのコスチューム・チェンジを計ったものである。アイアンマンの他、キャプテン・アメリカも影響を受けたが、キャップの場合はコスチュームを合衆国へ返上したばかりか、名称も返上させられ、「ザ・キャプテン」に改名している(結局、この新コスチュームは不評で、設定改変の末、元の名前・コスチュームに戻っている)。ザ・キャプテンのコスチュームはスーパーパトリオットが引継ぎ、USエージェントと改名した。-->

なお、エイリアン・コスチューム[11][12]に関しては、以下のような別称がある。

  • 異星生物[13]
  • 宇宙生物[14]
  • 生命体[15]
  • 共生体[16]
  • シンビオート[17]
  • エイリアン・シンビオート(異星の寄生体)[18]

原作(コミック)版[編集]

アメリカン・コミックスの長期タイトル(人気キャラクター)に見られるように、ヴェノムも代替わりをしている。

初代ヴェノム[編集]

ヴェノム (Venom) の名前は「毒(猛毒)」に由来する。初代の本名はエドワード・チャールズ・アラン・ブロック(エディ・ブロック)で、ニューヨーク出身[19]。デイリー・ビューグルのライバル誌であるニューヨーク・グローブの人気記者[20]であったが、スパイダーマンによって「シン・イーター」と呼ばれる連続殺人鬼の誤報記事を暴かれ、職を失い[21]、妻にも去られてしまう[22]。彼はスパイダーマンを逆恨みしていたが、その憎悪を抑えるべく、教会を次々に訪問していた。共生体が休眠していた教会にエディが来て、起きた共生体が寄生してヴェノムが誕生した。一人称は「We(俺たち)」である[23]。本人は「自らは善、スパイダーマンは悪」という信念を持っている[24]

ボディビルダーでもあるエディはピーターより体格が良いため、ヴェノムはスパイダーマンと比べて体が大きい。そのパワーがコスチュームで強化された結果、パワーだけならスパイダーマンを凌いでいる[25]。もともとエディ自身は320キログラム程度の重量を持ち上げることが出来たが、ヴェノム化することでパワーは40倍になっている[26]。コスチュームは保護色に変化し、姿を隠すことが可能[27]。スパイダーマンの特性でもある「壁や天井へのへばりつき」、「クモ糸(ウェブ)の発射」という部分を受け継いでいるが、学習進化してスパイダー・センスの回避まで行うようになった[28]。このため、ヴェノムはスパイダーマンに易々と不意打ちを食らわせることができ、危険な敵となっている。新たな宿主に寄生してもその能力を使えるため、個人情報が筒抜けなのも利点となっている。

1987年メリー・ジェーン・ワトソンの前にヴェノムが姿を現し、彼女を怯えさせる。1988年、スパイダーマンとヴェノムは対決し、エイリアン・コスチュームは封印され、ピーターは「赤と青のコスチューム」(メリー・ジェーンの手製)に戻った。

前回の敗北後、ヴェノムはスパイダーマンを南洋の島に誘き出す。スパイダーマンは死んだふりで誤魔化したが、ヴェノムは相手の死を確信し、自らの任務が終わったと思いこみ、エディとコスチュームは島で穏やかに暮らすことにした[29]

しかし、カーネイジ誕生の責任を取る形でスパイダーマンと共闘し[30]、以後は「弱者の庇護者」を自称する[31]。一時期は「庇護者」としてサンフランシスコに居住していた。悪に戻った後は、シニスター・シックスに参加したこともある。この時はサンドマンと仲違いし、その命を奪う原因となった。

後にの悪化のため、共生体はエディから離れることを希望する。

二代目ヴェノム[編集]

エディは共生体を競売に掛け、ドン・フォルトゥナートが1億ドルで落札。ギャングの親玉である彼は息子のアンジェロに与えるものの、その臆病さに呆れ、共生体はアンジェロを見放し、空中で分離、アンジェロは落下し死亡した[32]

なお、ライフ財団が共生体から作り出した人造共生体はスクリーム、ライオット、ファージ、ラッシャー、アゴニーの五体[33]

三代目ヴェノム[編集]

本節で特に出典のない記述は、『マーベル・キャラクター大事典』 351頁による。

アンジェロの後、スコーピオンことマック・ガーガンは共生体の能力を渇望し、寄生が実施され、新しいヴェノムとなった。ガーガンと一体化した共生体[34]はさらに凶暴化し、犠牲者をむさぼり喰う事もあった。

シニスター・トゥエルブと共闘してスパイダーマンを倒そうとして失敗した後、シビル・ウォーではサンダーボルツ軍に協力し、登録拒否をした超能力者の追跡に参加。シークレット・インベージョンでスクラル人たちと戦った後、ノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリン)が、彼の指揮下にある新アベンジャーズへ移籍させた。凶暴性を抑える薬を与えられ、ノーマンの指示でスパイダーマンに成りすました。

『マーベル・アベンジャーズ事典』では、「パワーレベル」という項目があり、新ヴェノムの腕力は5となっている[35]。スパイダーマンは4[36]、マーベル最強クラスのヒーローたち、ハルク[37]マイティ・ソー[38]、セントリーは7[39]である。

四代目ヴェノム[編集]

ユージン"フラッシュ"・トンプソンはイラク戦争に参加した際、仲間を救う為に行動した結果、両脚を失い車椅子生活を送っていたが、共生体をマック・ガーガンから奪取したアメリカ軍から「両脚が戻る」事を条件に共生体の宿主となり、それ以降は「エージェント・ヴェノム」として活動している。共生体が寄生している間、共生体が両脚を形成するが、共生体が宿主を凶暴化させる危険性から、軍に「共生体と融合できるのは一度につき48時間まで」という条件を出され、監視下に置かれている。怒りは共生体の破壊衝動に取り込まれる可能性があるため、フラッシュは常に冷静さを保たなくてはいけない。 もしもフラッシュが共生体を制御することができなくなれば、軍が"キルスイッチ”を押し、フラッシュが命を落とすよう仕向けられている。

アンチ・ヴェノム[編集]

本節は『マーベル・キャラクター大事典』 15頁による。

シンビオートと分離したはずのエディ・ブロックが変化した姿。その色は、ヴェノムの黒に対し白である。能力はヴェノムに準じる他、放射線を浴びた者に対して治療する能力がある。その名の通り、ヴェノムと敵対している。

エディは癌の治療法を見つけるためにシンビオートを売却したのだが、結局、癌は悪化し、死を待つのみとなってしまう。しかし、マーティン・リー(ミスター・ネガティブ)のパワーにより、癌は一掃される。その影響でエディの体内に微量ながら残留していたシンビオートが、彼の免疫系と融合してしまう。そして、ガーガンとエディが対決した時、ガーガンのシンビオート(ヴェノム)がエディに戻ろうとするも、彼の肌に接触した途端、燃焼してしまう。それに触発されるかのように、エディの体内のシンビオートが活性化し、彼を包み込んでアンチ・ヴェノムと化していた。

その他[編集]

『アルティメット スパイダーマン』では宇宙からのシンビオートではなく、ピーターの父親がガンの特効薬として作ったゲル状のスーツであった。ピーターはそのスーツの管理者であるエディに黙ってゲルスーツを持ち出し能力を試そうとするが、ゲルの一部に触れてしまい共生されてしまう(その姿はブラックコスチュームそのものである)。その力に歓喜する中、ベン・パーカーを殺した犯人が逃走しているのを発見、犯人を捕まえるが怒りの感情を抑えることが出来なくなり、ピーターは危うく犯人を殺しかけてしまう。ピーターはスーツを焼却炉に破棄したが、スーツの力に魅了されたエディはスーツを別の保管場所から取り出してスーツと共生しヴェノムと化してしまう。

メディア[編集]

アニメ版[編集]

スパイダーマン』(1994年から1998年)や、その後に製作された『スパイダーマン・アンリミテッド』(1999年)、『スペクタキュラー・スパイダーマン』(2008年~)では、正体はエディ・ブロックである。

上記の内、『スパイダーマン』、『スペクタキュラー~』にはファンタスティック・フォーが登場しない[40]ため、初戦からスパイダーマンは独力でエイリアン・コスチュームを剥ぎ取る試練に見舞われる。また、オリジンも「異世界で入手」ではなく「スペースシャトルに付着して地球に来た」、「隕石」などという設定になっている。どちらとも、スパイダーマンは「エイリアン・コスチュームによる利点」であるパワー・アップと、マイナス面である「自我を乗っ取られそうになる(怒りっぽくなり、友人と疎遠になる等)」を体験する。『スペクタキュラー・スパイダーマン』の13話では最終的にピーターがヴェノムの力には勝らないと諦め、シンビオートに自分のところへ戻ってくるよう呼びかける。その後シンビオートはエディの体を離れピーターの方へ寄生しに近づく(この状況でシンビオートがまだピーターの方がエディよりホストとして気に入っていることが分かる)が、ピーターの強靭な精神力によって体から取り外され、エディの元へ戻ろうとするところを始末される(シーズン2にて2度目の登場がある)。

『~アンリミテッド』では、リード・リチャーズがスパイダーマンに新コスチュームを贈る、という展開が基になっているが、既にヴェノム(とカーネイジ)は誕生しており、彼らとファンタスティック・フォーが絡むシーンはない。

スパイダーマン
1990年代版の『スパイダーマン』(ただし、シーズン5は日本未放映)に登場。一人称は「オレたち」と、複数形である。コスチュームはパワーを増大させる効果を持っており、また瞬時に姿を変える(違う衣装になる)ことも可能である。
エディは第1話「闇に消えるリザード」からデイリ・ビューグルの記者として登場するが、せっかく掴んだリザードの正体(カート・コナーズ博士)をスパイダーマンによって邪魔され、結果「ガセネタ」をオーナーのジェイムスンに披露してしまう。以後、エディの人生は躓き通しとなり、ジェイムスンの息子・ジョンの乗るスペース・シャトルの一件でスパイダーマンを悪人に仕立てたことが決定打となり失職、憎悪を募らせていく。そのため、コスチュームと一体化しピーターの個人情報を得てからは、自宅へ訪問しメイおばさんに取り入る、メリー・ジェーン・ワトソンにも会いに行く、など、ピーターにとってのストーカー行為を繰り返し、精神的に追い詰めた。
第8話「エイリアン・コスチューム パート1」(The Alien Costume, Part One)から第10話「エイリアン・コスチューム パート3」(The Alien Costume, Part Three)まで3部作として描かれ、スパイダーマンへの寄生・剥離を経てエディと一体化し、スパイダーマンと対決した。エイリアン・コスチュームは分離され、ロケットで地球外に追放、エディは収監され、精神療養を受けることになる。
第37話「復活のヴェノム」(Chapter X: "Venom Returns")と第38話「ヴェノム VS. カーネイジ」(Chapter XI: "Carnage")では、異次元の存在であるマスター・ドマームーによりコスチュームが地球に戻され、エディと一体化する。初期はカーネイジと共闘し、ドマームーに協力したものの、エディの療養を担当していたアシュレイ・カフカのためにスパイダーマンと手を組む。ドマームーの「こちら側」への進出は挫いたものの、ヴェノムは異次元に飛ばされてしまった。
  • 上記5話分については、「スパイダーマン:ザ・ヴェノム・サガ」としてDVD販売されている。
なお、第37話ではウォーマシーン(とジェイムス(ジム)・ローズ)が、第38話ではアイアンマンが、スパイダーマンと共闘している。トニー・スターク自身は第37話にも登場、また続く第39話「スポットのテクノロジー」冒頭にも登場している。
スパイダーマン・アンリミテッド
カーネイジとコンビを組んでおり、ジョン・ジェイムソンの操縦するスペースシャトルに密航し、カウンターアース(地球の公転軌道の反対側にある惑星)へ移住している。こちらでは出番が少ないながら、メインとなるエピソード(第11話「人間に戻ったブロック」(One is the Lonliest Number))もある。
スペクタキュラー・スパイダーマン
ピーターの先輩としてエディが第1話から登場、実質、義兄弟のような関係にあった(エディは大学生となっており、高校に残った年下のピーターを心配していた。フラッシュ・トンプソンのイジメから)。同時にカート・コナーズ博士の研究を手伝っていたが、ヴィランの台頭で、徐々に不利な立場に追い込まれていく。
第11話「悪の6人組 シニスター・シックス」において、ピーターがエイリアン・コスチュームの脅威(自分の意識のない間に、強大な敵シニスター・シックスを倒していた。その自我と強大なパワー)に恐怖し、コスチュームを封印する。
第12話「宇宙生命体 ヴェノム パート1」(Intervention)と、その後半である第13話「宇宙生命体 ヴェノム パート2」(Nature vs. Nurture、シーズン1最終回)において、エディがエイリアン・コスチュームと一体化し、ヴェノムが誕生したが、敗北し、コスチュームは工事現場のコンクリートの下に封印されてしまう。
第2シーズンでは、エディが黒の衣服でスパイダーマンの注意を喚起、あるいは霍乱した結果、エイリアン・コスチュームを探り当て、再びヴェノムとなる。しかし、第20話「宿敵再び ヴェノム パート3」(Identity Crisis)での対決の結果、コスチュームはエディよりピーターを選び、結局ヴェノムとコスチュームは敗北する。
アルティメット・スパイダーマン
第4話「寄生生物 ヴェノム」に登場。スパイダーマンや、彼のチームメイトであるノヴァらに同化しようとするものの、失敗し、封印される。
しかし、その一部をハリー・オズボーンが隠匿し、ハリーはヴェノムと化した。
第55話「エージェント・ヴェノム」ではフラッシュ・トンプソンに寄生し、エージェント・ヴェノムとなった。

映画版[編集]

スパイダーマン3』および主役映画『ヴェノム』に登場。

スパイダーマン3
トファー・グレイスが演じる。
当初は地球に落下した流星の中にいた黒い共生生命体が、ピーターに取り付いてブラックスパイダーマンへと変貌させたが、次第に凶暴化し、MJまで傷付けてしまった事を後悔したピーター自らの意志で、教会の鐘が鳴り響く中で引き剥がされる。しかしその真下には、スパイダーマンのでっち上げ記事を書いた事実をピーターに暴露され、彼を逆恨みしているエディ・ブロックJr.がいて、そのエディに取り付き、ヴェノムが誕生した。原作とは違い、エディが筋肉質でなかったこともあり、体格はカーネイジに近い。一人称は「I(俺)」で映画内では終始「スーツ」と呼ばれる。
サンドマンを唆してスパイダーマンに襲い掛かり、彼を助けに来たニューゴブリンことハリーにも致命傷を負わせるが、金属音が弱点である事を知られた結果、鉄パイプの檻に閉じ込められ、エディはヴェノムから引き剥がされる。それでも生きており巨大化して襲い掛かるが、鉄パイプの音で怯まされ、トドメとしてニューゴブリンのグライダーに仕込まれていた爆弾「パンプキン・ボム」を投げ込まれ、その際ヴェノムを守ろうとして自ら飛び込んでしまったエディと共に爆発、消滅する末路を迎えた。
ヴェノム
トム・ハーディが演じる。
原作同様、筋肉質で体が大きいが、今作においては誕生にスパイダーマンは関与していないため胸と背中には蜘蛛の模様が無く[41]、代わりに全身に白い血管のような模様が浮かび上がっている。一人称は「We(俺たち)」で、弱点は高熱と4000~6000Hzの音。
カリフォルニア州のサンフランシスコで記者として働いていたエディ・ブロックは、ライフ財団が死者を出すほど危険な人体実験をホームレスを利用して行っていることを知り、恋人であるアン・ウェイングのパソコンから得た情報を基にライフ財団のリーダーであるカールトン・ドレイクに実験のことを問い詰めるが、ライフ財団の根回しにより会社をクビになり、それに巻き込まれる形でアンも職を追われたため、仕事と恋人の両方を失う。エディはその後、ライフ財団のドーラ・スカース博士の力を借りてライフ財団に侵入し、そこで被験者として捕まっていた友人マリアに襲われ、同時にタールのような地球外生命体・シンビオートに寄生されてしまう。
それ以来、頭の中で声が聞こえるようになり、凶暴性や空腹感が強くなったエディは、アンの新しい恋人であり医者であるダン・ルイスの病院で検査を受けようとするが、MRIの音に体が拒絶反応を起こす。その日の夜にライフ財団の刺客に襲われたエディはシンビオートに体を操られ、刺客を撃退する。自らをヴェノムと名乗ったシンビオートはドレイクの所有しているロケットに行くまでの間、エディを宿主とすることを宣言した。

カーネイジ[編集]

カーネイジ (Carnage) の名前は「大虐殺」に由来する[42]。「もう一人のヴェノム」と呼べる存在である。他に、「さらにもうひとりのスパイダーマン」[43]、「狂気のスパイダーマン」[44]とも呼ばれている。体の色は赤で、全身に黒い血管のような模様が浮かび上がっている。ヴェノムと比べて体格は細め。ヴェノム同様、スパイダーマンの特性を持っており、スパイダー・センスを無効化する[45]。本体はクリータス・キャサディ[46]だが、日本語表記には「クレタス・キャサディ」[47][48]の表記ゆれがある。本項では、出典のうち最も新しい『マーベル・キャラクター大事典』での「クリータス・キャサディ」を使用する。ニューヨーク出身[49]

エディ・ブロックは、超人犯罪者用のレイブンクロフト監獄に収監され、クリータス・キャサディと同じ房に入れられる。ある夜、エイリアン・コスチューム(シンビオート)が侵入し、エディと一体化してヴェノムとなり逃走。同じ房に残されたキャサディに、残されたシンビオートの一部が取り付き、カーネイジが生まれた[50][51]。ヴェノムよりも、さらにシンビオートとの融合が進んでおり、一人称は「オレ」である[52]。50トンの重量を持ち上げることができる[53]。スタミナは衰えることを知らないように見える[54]

キャサディは連続殺人鬼であり、非常に攻撃的な性格である。その一端がスパイダー・ウェブ(クモ糸)に現れており、といった形状が頻出する(スパイダーマンは「糸」として放出し、場合によっては網やボール、果てはパラシュートに変化させている。ヴェノムも糸としての使用がメイン)。また、としても使用する[55]

看守を殺害し、マンハッタンに戻ったカーネイジは、殺人を繰り返す[56]。カーネイジはヴェノムより力強く、初戦でスパイダーマンは苦戦し、ヒューマン・トーチとヴェノムの協力を得て、やっと倒すことできた[57]

この他、カーネイジはシュリーク(ソニックブラストを使う女性殺人鬼)[58]や、スパイダーマンの悪の分身であるスパイダーマン・ドッペルゲンガー等を仲間に引き入れ、ヴェノム、スパイダーマン、ブラックキャットモービウスらと戦いを繰り広げた[59]

カーネイジと組んだヴィラン(悪役)は、他にデモゴブリン、キャリオンがいる。また、取りついたことのある相手は、ベン・ライリー(ピーターのクローンで、一時期は「本物の」スパイダーマンだった)、シルバーサーファー、ジョン・ジェイムスン(J・ジョナ・ジェイムスンの息子)がいる。さらに、カーネイジのシンビオートは、パトリック・マリガンという警官に卵を産み付け、彼をトキシンにした[60]

セントリーがシンビオートをバラバラにした後も、キャサディ自身は逃亡を続けている[61]。過去には、シンビオートがキャサディの血液に潜伏していたこともある[62][63]

アニメ版(カーネイジ)[編集]

スパイダーマン1994年から1998年
1990年代版の『スパイダーマン』では、第37話「復活のヴェノム」(Chapter X: "Venom Returns")と第38話「ヴェノム VS. カーネイジ」(Chapter XI: "Carnage")で誕生から追放までが描かれている(ただし、シーズン5は日本未放映)。
クリータス・キャサディとして暴れ、スパイダーマンの協力で収監されるシーンからであり、その精神状態の不安定さが描かれていた。一人称はヴェノムと同じく「オレたち」と複数形である。
異次元の存在であるマスター・ドマームーの命令に嬉々として従い、争いを楽しんでいた。
なお、第37話ではウォーマシーン(とジェイムス(ジム)・ローズ)が、第38話ではアイアンマンが、スパイダーマンと共闘している。トニー・スターク自身は第37話にも登場、また続く第39話「スポットのテクノロジー」冒頭にも登場している。
スパイダーマン・アンリミテッド1999年
ヴェノムとコンビを組んでおり、ジョン・ジェイムソンの操縦するスペースシャトルに密航し、カウンターアース(地球の公転軌道の反対側にある惑星)へ移住している。こちらでも出番が少ない。

トキシン[編集]

トキシン (Toxin) の名前は「毒素」に由来する。

体の色は上半身は茶色に近い赤で、下半身は紺色のようなグレー。体格はヴェノムのように筋肉質。他のシンビオート共生体と同様の能力を持つが、戦闘力は一人でヴェノムとカーネイジのコンビを圧倒できるほど。 壁に貼り付き、蔓を伸ばしてスパイダーマンのようにビルの間を「スイング」する。 カーネイジと同じく伸ばした爪を射出できる。 また、シンビオートが変形し、あらゆる形状の衣類に変化する。 カーネイジやヴェノムなど他のシンビオートと比べて、炎や音波攻撃には耐性がある。

カーネイジのシンビオートが産んだ新たなシンビオートがニューヨーク市警巡査パトリック・マリガンにとりついた姿。パトリックが正義感の強い警官であったために、トキシンはヴィランになることは無かった。トキシン自体は本能のせいか変身して暴れたがるが、パトリックが抑えている。逆に納得できる理由がなければ、パトリックが変身したいと思っても力を貸さないこともある。トキシンは言語などは完全に理解しているものの、人間の感情や正義や道徳面においては産まれたばかりの子供と変わらない。人間の倫理をパトリックに教えられ、徐々に学び取ってはいる[64]。トキシン自身は「人を傷つけない」というパトリックの約束を守っているつもりなので、日記の中で「モンスター」と呼ばれてショックを受けることも。また、それに怒ってノートパソコンを壊してしまい、後で我に返って「パトリックが怒る」から代替品を盗むという殊勝な面も見せた。

パトリックはアイルランド系で代々ニューヨーク市警に務める家系に産まれた。ジーナという愛する女性と結婚し、子供も生まれ、何の問題もない幸せな暮らしを送っていた。だが、その生活もサイコパスでシンビオート共生体のカーネイジと出会うことで一変する。シンビオートは無性生殖で卵を産むという特性を持っており、パトリックはちょうどカーネイジの出産に出くわしてしまったのだ。カーネイジが体内に子供を産みつけたことで、パトリックはシンビオート共生体になってしまった。カーネイジに付け狙われることになり、妻のジーナを殺されかけたが、スパイダーマンとブラックキャットの共闘により助けられた。

パトリックはすぐに自分の身体能力が向上していることに気付く。そしてカーネイジの襲撃をきっかけにトキシンの姿へと変化したが、その力を否定するのではなく、善のために使うことを決めた。しかし、シンビオートが持つ凶暴さをコントロールするために四苦八苦することになる。その後はクライムファイターとして活躍し、スパイダーマンと組むこともあった。カーネイジが妻と子供を襲撃したため、彼は自分の存在が家族を危険に晒すことになると思い、理由を告げずに離別する道を選んだ。

パトリックとトキシンが分離した後、トキシンのシンビオートはクライムマスターが所有。 元ヴェノムのエディ・ブロックと無理矢理融合させられた。

単独シリーズ "toxin: the Devil you know"[編集]

本作は、ニューアベンジャーズ『ブレイクアウト』のタイ・イン。

パトリックとトキシンは超人刑務所ラフトからの脱走者を発見する手伝いをするようになった。 そしてキングコブラやレイザーフィストらの強敵と闘うためにはトキシンの力が必要不可欠になり、その存在が大きくなりはじめる。その結果、パトリックは徐々にシンビオートをコントロールするのが難しくなっていく。精神的に追い詰められたパトリックはいっそ自殺してしまおうと地下鉄に飛び込んだが、トキシン・シンビオートが抵抗したために生き延びてしまった。

この出来事からパトリックとトキシンは、ある協定を結んだ。「パトリックは1日に2時間、トキシンの力でラリーと名乗る中年の男に変身して家族に会う」「トキシンは1日に2時間深夜の自由なプレイタイムを得る」「ただし放火、泥棒、殺人などの犯罪行為には手を染めてはいけない」である。

池上遼一・平井和正による先行例[編集]

スパイダーマン(池上遼一版)
池上遼一が担当した『スパイダーマン』(「月刊別冊少年マガジン」(講談社)、1970年1月号から1971年9月号)において、ヴェノムに先がけて「もう一人のスパイダーマン」(オリジナルからの能力の移動、正体がバレる)が登場している。
  • 本来は翻案漫画として描かれ、ニューヨークが東京に、ピーター・パーカーが小森ユウに、J・ジョナ・ジェイムスンが情報新聞社の社長に置き換えられ、連載が開始された。途中でオリジナル展開となり、さらに原作者として平井和正を迎えている。
平井参加後の第12話「スパイダーマンの影」において、小森ユウの輸血を受けた青年・北野光夫がスパイダーマンの能力をも受け継ぎ、悪事を働いている。一度はスパイダーマンによって捕まえられたが、「改心する」という言葉を信じ、また北野の姉のことを考慮し、その時は官憲の手に委ねることなく釈放された。しかし、すぐにコスチュームを盗み、スパイダーマンに成りすまして売名行為を行う。小森ユウの心の中では「スパイダーマン2」と呼称されていた(本人はスパイダーマン1)。後に平井はアダルト・ウルフガイシリーズの一編「人狼、暁に死す」に、このプロットを使っている(こちらは狼男が主役)。
なお、池上版では、第4話「にせスパイダーマン」においてニセモノが登場しているが、これはユウが捨てたコスチュームを拾った者で、能力の移動はない。また、ニセモノは小森ユウと面識があったものの、彼がスパイダーマンだとは知らないまま終わった。
ウルフガイ(狼の怨歌)
平井が原作を担当した漫画『ウルフガイ』(作画:坂口尚、「週刊ぼくらマガジン」(講談社)、1970年(43号)から1971年(23号))の終盤において、「主人公(狼男)の血を輸血された看護婦が、悪鬼のように暴走する」という展開がある(小説版は『狼の怨歌』)。

出典[編集]

書籍の基本情報に関しては、以下の通り。

  • 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 小学館プロダクション1994年
  • トム・デファルコ著、小林等、高橋早苗、矢口悟、大島豊 訳『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 小学館プロダクション、2002年
  • トム・デファルコ、ピータ・サンダーソン、トム・ブレブールド、マイケル・タイデムバウム、ダニエル・ウォレス、アンドリュー・ダーリング、マット・フォーベック共著『マーベル・キャラクター大事典』 小学館集英社プロダクション、2010年
  • アラン・カウシル著、高木亮訳『マーベル・アベンジャーズ事典』 小学館集英社プロダクション、2011年
  1. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁、他。
  2. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁、他。
  3. ^ 同書 109頁。
  4. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  5. ^ 同書 108頁。
  6. ^ 同上。
  7. ^ 同上。
  8. ^ 同書 109頁。
  9. ^ 同上。
  10. ^ 同上。
  11. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  12. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 108頁。
  13. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  14. ^ 同書 83頁。
  15. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  16. ^ 同書 120頁。
  17. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁、351頁。
  18. ^ 同書 351頁。
  19. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  20. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  21. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 5頁。
  22. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 109頁。
  23. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  24. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁。
  25. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 4頁。
  26. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 120頁。
  27. ^ 同上。
  28. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 351頁。
  29. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 121頁。
  30. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  31. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 351頁。
  32. ^ 同上。
  33. ^ 同上。
  34. ^ 『マーベル・アベンジャーズ事典』 193頁。
  35. ^ 同書 193頁。
  36. ^ 同書 164頁。
  37. ^ 同書 75頁。
  38. ^ 同書 178頁。
  39. ^ 同書 153頁。
  40. ^ 厳密には、『スパイダーマン』では、第1話の段階でファンタスティック・フォーの名前がスパイダーマン自身の口から出ている。また、実際に登場するのだが、それは日本未放映のシーズン5である。
  41. ^ Corrigan, Hope (2018年7月21日). “Why Venom is Missing His White Spider Chest Symbol - Comic-Con 2018”. IGN. 2018年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年7月24日閲覧。
  42. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  43. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  44. ^ 同上。
  45. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  46. ^ 同上。
  47. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  48. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁。
  49. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  50. ^ 同上。
  51. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁では、この時、シンビオートはエディではなくキャサディを選んだ、としているが、『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁では、本文と同じ展開が図入りで紹介されている。
  52. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  53. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  54. ^ 同上。
  55. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 7頁。
  56. ^ 同書 6頁。
  57. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  58. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 126頁。
  59. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 6頁。
  60. ^ 『マーベル・キャラクター大事典』 68頁。
  61. ^ 同上。
  62. ^ 『MARVEL SUPER HEROES アメイジング・スパイダーマン』 25頁。
  63. ^ 『スパイダーマン パーフェクト・ガイド』 127頁。
  64. ^ ただしパトリックはほとんど信用していない。