コンテンツにスキップ

バットマン: イヤーワン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。122.208.157.78 (会話) による 2012年1月13日 (金) 05:46個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎概要)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

バットマン > バットマン: イヤーワン

バットマン:イヤーワン』 (Batman:Year One) は、フランク・ミラー原作、デヴィッド・マズッケリ作画による4巻のアメリカン・コミックスである。1987年にDCコミックからバットマンシリーズの一環として出版され、後にグラフィックノベルとして一冊にまとめられた。

日本では、以前に小学館プロダクションから、1996年に舘野恒夫訳によるスーパーマン/バットマン全3巻の内のNo.1(PART1~2)とNo.2(PART3~4)にて邦訳版が初めて出版され、2005年にはジャイブ社のレーベルJIVE AMERICAN COMICSより、秋友克也による邦訳の新装版が出版された。旧版と新装版では翻訳と彩色が異なっている。

2009年12月19日、スーパーマン/バットマンNo.3でCHAPTER1~2までしか邦訳されていなかった『バットマン:イヤーツー』(Batman:Year Two)完全版を収録した『バットマン:イヤーワン/イヤーツー』がヴィレッジブックスから出版された。
イヤーワンは彩色、翻訳共にジャイブ版と同事。イヤーツーは翻訳が舘野恒夫から石川裕人に変更されている。

概要

バットマンとして自警活動を始めたブルース・ウェインが、汚職警官たちとの確執を通じてゴッサムシティの腐敗に立ち向かう警官、ジェームズ・ゴードンと非公式の協力関係を結ぶまでを描く。

バットマンの活躍1年目を描くことで、それまでのバットマンの歴史を仕切り直しした作品。本作によってバットマンは、それまでの政府公認ヒーローから政府非公認のクライムファイター(=犯罪者退治専門のヒーロー)という設定に変わった。さらに徹底したリアル路線が貫かれており、スーパーヴィラン(悪役)は一人も登場せず、ストーリーも単純な勧善懲悪にはなっていない。

あらすじ


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


1."Who I am how I come to be"

同僚を汚職の疑いで告訴したジェームズ・ゴードン警部補がゴッサム・シティに左遷されてくる場面から物語は始まる。時を同じくして13年間外遊していた名家ウェイン家の最後の一人、ブルース・ウェインも帰郷する。身重の妻バーバラを抱えたゴードンはローブ本部長の下でフラス警部と組まされ、否応無しにゴッサムの警官の汚職に向き合う事となる。一方でブルースは犯罪者相手に戦う手段について模索していた。次第にゴッサムの警官の「流儀」について学んでいくゴードンに対し、犯罪者相手の「初仕事」に失敗したブルースは自信をなくしてしまう。彼の脳裏には両親が殺された夜が浮かび上がっていた。そんな時、窓ガラスを破って入ってきた蝙蝠を見て、幼い頃に蝙蝠に襲われた恐怖を思い出したブルースは犯罪者を震え上がらせる手段を思いついたのだった。

2."War is declared"

ゴードンはアパートに人質をとって立て篭もった精神異常者から人質の少女を救ったことにより、ヒーロー警官として新聞で称えられる。一方で、ブルースもバットマンとしての活動を始めていた。ある晩、バットマンはパーティを開いていたローブ本部長とマフィアのボス、カーマイン・ファルコーネたちに揺さぶりをかけたことにより、ついに警察の標的となる。警察の罠を巧みにくぐり抜けてきたバットマンだが、ゴードンと同僚のサラ・エッセンの目前で浮浪者を救ったことで、ブランデン率いるSWATによって廃墟に追い詰められてしまう。

3."Black Dawn"

SWATは廃墟に焼夷弾を打ち込んだ。爆破の影響で殆どの武器を失ったバットマンは吹き矢などのわずかな武器を手に夜を耐え抜き、夜明けと共に、超音波で呼び寄せた蝙蝠の大群に紛れ脱出した。乱暴な警官隊の撃退劇は市民にヒーローの登場を予感させたのだった。その場に居合わせた娼婦セリーナは商売替えを決意する。猫のコスチュームに身を包み、街に繰り出すのである。一方、ゴードンはバットマンの正体としてプレイボーイの御曹司ブルースに目を付けた。そんな中、彼は部下であるサラと関係を持ってしまう。片や借りたスーツの代金まで払っていった蝙蝠男、片や身重の妻を泣かせる不正はびこる街の無力な警官。ゴードンの心は重く沈んでいた。

4."Friend in need"

不倫関係を終わらせ、サラは転属を願い出た。そんな頃、フラスに繋がる麻薬業者スキーバーズをデント検事補が釈放した。怒り狂うゴードンだが裏があった。デントは密かにバットマンと交友を結んでおり、保釈されたスキーバーズを脅し、おとなしく証言するよう仕向ける計画だった。フラスの嫌疑にローブ本部長はサラとの浮気を持ち出しゴードンを牽制(けんせい)する。ゴードンはブルースと面会し、典型的に過ぎる煌びやかな生活にますます疑惑の目を向けていた。彼の「秘密」を暴こうとする自分を考えたとき、ゴードンは妻に自分の「秘密」を打ち明ける。

マフィアのローマンを探るバットマンだが、キャットウーマンが盗みに入ったため、邪魔される。ローマンの狙いがゴードンであることを推測したブルースは、朝方に彼のアパートへ。ローマンの甥はゴードンの赤子を誘拐したのだ。橋の上で追い詰めるゴードン、もみ合う二人、赤ん坊は川に落ちていく。間一髪助けたのは飛び込んだブルースだった。眼鏡を落としたゴードンは自分には何も見えないと言いはり、警察が来る前に立ち去るよう促した。

フラス、ローブ、ローマンら悪党は窮地に陥り、ゴードンは警部に昇進した。雪降る中、ゴードンはビルの屋上で黒いマントの友人を待つのだった。

登場人物