スケアクロウ (バットマン)

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スケアクロウScarecrow)は、アメリカンコミック『バットマン』に登場する悪役の一人。本名ジョナサン・クレーンJonathan Crane)。

人物[編集]

原作コミック[編集]

1941年に初登場するも、リドラーと同様、しばらく忘れ去られたキャラクターであった。だが、『バットマン』がシリアスな作風となった60年代より再登場し、現在ではレギュラーヴィランの一人に納まっている。アメリカの都市伝説スリーピー・ホロウ』から発想され、名前もその登場人物であるイカボッド・クレーンより取られた。
元はゴッサム大学の心理学教授で、恐怖症の研究をしていたが、学生達を使った行き過ぎた人体実験が原因で解雇され、それを逆恨みして犯罪者となった。様々な恐怖症を発症させるガスが武器。カカシScarecrow)を模したコスチュームをまとう。長い手足を生かしてカンフーのような動きで戦うこともあるが、それほど肉体能力は高くない。人を恐怖に追い込む心理的な罠などを得意とする策士である。
彼自身は鳥恐怖症。だが作品によっては、なぜかカラスの「Craw(もしくはNightmare)」を飼っており、おそらく唯一恐怖の対象にならない鳥なのではないかと思われる。
リセットされたバットマン誕生譚『バットマン・イヤーワン』以降、出自が詳細に描写された。虚弱な彼は苛めの対象であり、ずっと復讐心を抱いていた。18歳のとき、カカシのコスチュームを着込み、いじめっ子とガールフレンドを自動車事故に遭わせ、人を怖がらせることに喜びを覚えるようになり、研究者の道を歩む。解雇後、その決定を下した上役を殺し、犯罪者となった。
ジョセフ・ローブ作の『The Long Halloween』では母の日に自分の母を絞め殺したことが明かされた。またローブの作品ではより狂った側面が強調され、マザー・グースなどのわらべ歌を好んで歌う。元精神科医という違った設定も与えられている。
DCコミック社の悪人チーム「インジャスティス・ギャング(Injustice Gang)」の初期メンバー。同社のヒーローチームであるジャスティス・リーグに対抗する悪人チーム「シークレット・ソサエティ・オブ・スーパーヴィランズ(Secret Society of Super Villains)」にも加わったことがある。
バットマンとジャッジ・ドレッド、あるいはデアデビルとのクロスオーバーにも登場。
2004年の『As the Crow Flies』にてペンギンの策略で、スケアビーストScarebeast)なる怪物に変化するようになった。怪力を持つ化け物であり、幻覚ガスを発生させることが出来る。バットマンの活躍で精神安定剤を注射され元に戻るが、完全には戻っていないため、後にも本人の意思と関係なく、度々登場している。
またカカシというモチーフはポピュラーなものなのか、マーベル・コミック社の作品『ゴーストライダー』や『スパイダーマン』に同名のスケアクロウというヴィランが登場する。デザイン上の相違点は、こちらには帽子がないことくらいである。またDCコミック社とマーベル・コミック社のクロスオーバー企画『Marvel VS DC』のトレーディングカード(両社の類似意匠キャラクターの対決が描かれる)において、スケアクロウ対スケアクロウというカードが登場した。

実写映画[編集]

『バットマン ビギンズ』[編集]

マフィアらと裏で手を結ぶ悪徳精神科医ジョナサン・クレインとして登場。犯罪者を精神異常と診断し、自らの勤務するアーカム精神病院に入院させ、司法から遠ざける役割を果たしており、裏では患者を被験体にした非道な人体実験も行っている。
またテロ集団「影の同盟」とも繋がりがあり、対象の人間に恐怖を誘発させる特殊な幻覚剤を含んだ幻覚ガスを秘密裏に製造し、自ら使用する一方で、「ラーズ・アル・グール」の命令でそれをゴッサム・シティ下水道に流し込んでいた。
自分を脅迫しようとしたマフィアのボス、カーマイン・ファルコーニを逆に幻覚ガスを用いて精神異常状態に追い込むシーンにて、初めて後にトレードマークとなるカカシのマスクを着用。腕にガス噴出装置を仕込んでおり、マスクはそれからの防護と、幻覚による恐怖心を煽らせる意味合いを持っており、一度はバットマンを幻覚に苦しませ、退かせている。
しかし、二度目のバットマンとの戦闘で、逆に自らがガスを吸引してしまい、「スケアクロウ」という言葉を繰り返しながら錯乱状態で警察に拘束されていたが、街の暴動と幻覚ガスによる混乱に乗じて脱獄。精神に異常をきたし始めていたクレインは、拘束着にカカシのマスク姿で、警官隊の馬を奪い取り、初めて自らをスケアクロウと名乗る様になる。
レイチェル地方検事補をガスによる幻覚で追い詰めながら襲い、逆にスタンガンで撃退されたが、ゴッサム警察には捕まっておらず、その後の消息は不明。
この結末からも、当時続編での再登場も囁かれており、演じたキリアン・マーフィーも監督からのオファーがあればと応えており、実際に『ダークナイト』の冒頭シーンで登場した。
日本テレビ放映吹き替え版の声優関俊彦。DVD版では遊佐浩二

『ダークナイト』[編集]

映画の冒頭にて登場。前作ラストから警察に捕まることなく、マフィアと麻薬の取引を行なうまでに成り上がっていた。
自らが武器として使用している幻覚ガスを改良して薬物として売りさばいたため、マフィア側の客が悉く精神異常を引き起こしたらしく(本人は「うちのドラッグなら思い切り飛べる(trip)と言ったが、飛んで行った先が楽しいとは言ってない」などと嘯いていた)、マフィア側が商売にならないと文句を言っていたところへバットマンが乱入。一旦パニック状態に陥ったものの、銃を使用し多数で襲ってくるバットマン達が偽者であることに気がつき、前作同様にガスを使用して偽バットマンの一人へ幻覚を見せ撃退する。しかし結局途中で参戦した本物のバットマンに部下、偽バットマン達、マフィア達ともども逮捕されてしまった。前回のスタンガン攻撃で正気に戻ったと思われる。

『ダークナイト ライジング』[編集]

ベインが崩壊させた後のゴッサムシティで裁判官として登場。本作ではマスクは着用せず、ガスも使用しない。
市民軍が捕らえてきた被告人達を死刑追放(交通手段である橋は破壊されている為、追放といっても薄氷の川を渡らせる刑であり、受けた者はどのみち死亡する)かという苛烈な刑で裁く。
なお、同様に囚われたゴードンは追放となり、川を渡らされているところで舞い戻ったバットマンに救われる。その後のスケアクロウ本人の去就は不明。

テレビアニメ[編集]

『バットマン』シリーズ[編集]

原作同様、ゴッサム大学を解雇された恨みをはらすべく、恐怖症ガスを武器に初登場した。一度はバットマンを戦闘不能に追い込むも、自分のガスを吸わされ敗北する。二度目の登場時より、カカシのマスクに髪が追加される。デザイン変更後は首に絞首刑を思わせる縄を巻いた、怪物然とした姿となった。
日本未放映のエピソード「Over The Edge」では、バーバラバットガール)の死を発端に、ゴードン市警本部長がバットマンを娘の敵として追い詰めるという悪夢をバーバラに見せている。正義の味方の行き着く先にある危険を描いた名エピソードである。50年後を描いた『バットマン・ザ・フューチャー』のコミックでは、本部長となったバーバラが後遺症の幻覚再発に悩まされている。
ジャスティス・リーグ』アニメ版にも登場予定だったがオミットされた。
声優は当初はヘンリー・ポリス二世。『The New Batman Adventures』からはジェフリー・コムズが担当。日本語版は納谷六朗

『バットマン ゴッサムナイト』[編集]

ビギンズ』と『ダークナイト』の間に位置する物語で、4話「闇の中で」に登場。服装が『ビギンズ』に登場した時と変わっており、より原作コミックに近い姿となっている。
街の暴動で消息を晦ました後、幻覚ガスを用いて自分の手足となる信者を作り、地下下水道に潜伏していた。人体実験により幼い頃から薬物を投与し続けたキラークロックを操り教会の教皇を誘拐、信者たちの前で処刑しようとするがバットマンに阻止される。
声優はコーリー・バートン