スペースマンボウ

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スペースマンボウ
ジャンル シューティングゲーム
対応機種 MSX2(MSX2+)
携帯電話アプリ
WiiWii Uバーチャルコンソール
プロジェクトEGG
開発元 MSX2:コナミ
発売元 MSX2:コナミ
携帯電話・Wii・Wii U:コナミデジタルエンタテインメント
EGG:D4エンタープライズ
人数 1人
メディア MSX2:2Mbitロムカセット
発売日 MSX2:1989年12月21日
i:2006年9月1日
S!:2007年3月1日
BREW:2008年8月7日
Wii・VC:2009年11月24日
Wii U・VC:2014年2月19日
EGG:2015年7月28日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
その他 携帯電話アプリ版の月額は「コナミネットDX」の他のコンテンツも含めた料金
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スペースマンボウ』は、1989年コナミMSX2/MSX2+用に発売したシューティングゲームである。i-revoでのダウンロード販売およびレンタル、携帯電話向けやWiiWii UバーチャルコンソールプロジェクトEGGでのダウンロード配信も行われている。

概要

ゲームタイトルの雰囲気に反し『パロディウス』シリーズのようなギャグ要素は一切無い横スクロールシューティングゲーム。全8ステージを射撃方向を前方・上下・後方と3段階に切り替え可能なオプションを駆使して戦う。

MSX版『グラディウス』シリーズの展開が一段落した後に発売された。ゲームミュージックはコナミ矩形波倶楽部が担当している。

当初はアーケードゲームである『サンダークロス』のMSX移植版として開発されていたことが後のスタッフのコメントなどで明かされている。『サンダークロス』によく似た仕掛けが随所に現れること、装備、SEなどに名残がある。また、最終ステージの「巨大レーザー」連射場面は『サンダークロスII』に引き継がれている。

初期のタイトルは『エグザート』であったが、タイトルにインパクトを持たせるため魚のマンボウの名称が使用された[1]

ストーリー

星歴189年、銀河辺境星域”アルファード4”で、人類を遙かに超える古代超文明の遺跡が発見された。ところが調査が進むうち、遺跡の防衛システムが突如として目覚めた。

調査団を敵と見なした防衛システムは、調査団の母星、太陽系に向け最終兵器の巨大宇宙船「SUN-FISH(マンボウ)」を発進させてしまう。

マンボウは強力な装甲とバリアーで外敵を寄せつけないばかりか、恒星をも破壊する巨大なビーム砲を備えている。太陽系に近づきつつあるマンボウを食い止める方法はただ一つ、アルファード4地下にあるワープゲートよりマンボウのバリア内に侵入し、マンボウを直接破壊するしかない。

元エース・パイロットで異星考古学者のクリーバー・ミューは、マンボウを阻止するため、アルファード4より発掘された小型宇宙船「マンボウ-J(ジュニア)」で出撃する。

クリーバーは、果たしてマンボウの太陽系破壊を食い止めることができるのだろうか?

作品解説

基本は横スクロールで、自機の攻撃方向は一定。ただし、ステージの途中でスクロール方向が斜め前方、上、下、斜め後方に変わる特徴がある。また高速スクロールステージも存在する。

パワーアップシステムは比較的シンプルで、自機の上と下に固定位置のオプション、地形を這って移動するミサイル、自機のショットが二種類(エネルギー蓄積によるパワーアップあり)、スピードアップなどが存在する。ミスをして装備を失っても復活が容易なので、当時のグラディウスシリーズなどに比べるとゲーム全体としての難易度は比較的低い。ただしゲームの展開で若干ムラはある。

その分、複雑な地形など、グラディウス譲りのステージごとに特化したギミックを楽しむことができる。

MSX2+対応
MSX2の後継機にあたるMSX2+でプレイした際、新たにハードに追加された横スクロール機能に対応することで、MSX2でのドットスクロールでの動作に比べ更なるスムーズなスクロールを実現している。MSX2でもスムーズスクロールは実現している(後述)が、ハードウェアによるマスク機能がないために画面書き換えが丸見えとなっている。
新10倍カートリッジに対応
本作品は通称「新10倍カートリッジ」と呼ばれる、コナミのMSX用ユーティリティソフトウェアに対応している。2スロット機で本作と「新10倍」の両方を挿してゲームを起動することにより、MODIFY(変換)機能を利用してステージセレクトと残り機数の変更が行える。

技術的な詳細

このゲームは、横スクロール機能の無いMSX2で、VDPの画像表示位置を補正する機能を画面書き換えによる8ドット単位スクロールに併用することで、スムーズな横スクロールを実現している。この方法でスクロールさせた場合、一定量(8ドット)のスクロールを行った後には、画面全体をまるまる書き換える必要がある。そのため、ドット単位に色指定の出来る代わりに全てのドットを逐一更新しなければならないビットマップグラフィックモードを避け、MSX2で新規搭載された中では最も制限の多い画面モード(8×8ドット単位のキャラクタで各キャラクタの横8ドットに2色のみ、カラーパレット・多色スプライトが使える。MSX-BASICで言うところのSCREEN4)を使用している。このことによりVRAMの更新量が抑えられ、満足の行く処理速度が得られている。なおスコアなどを表示する固定画面部にはビットマップグラフィックモード(SCREEN5)を使用し、走査線割り込みにより画面を分割して表示している。

MSX用グラディウスシリーズと同様に、キャラクタの一部はバックグラウンドに直接描画し、表示キャラクターの多さを確保しながらスプライト特有の画面のちらつきを軽減している。当時のコナミの技術とセンス(グラディウス2も参照)も相まって、一目見た限りではゲームの画面はその制限を感じさせないグラフィックになっている。また、スプライトダブラを併用することでスプライトの最大表示枚数も擬似的に倍にしている。技術的な面では、単純にVDPで画面表示をずらすとスプライトの表示位置も一緒にずれるため、ずらしたVDPのオフセット分だけ、絶えずスプライトの座標を補正する処理も別途必要になる。

同様の技術を使用し横スクロールを行ったMSX2用のゲームには、ヘルツの「サイコワールド」、「ハイディフォス」(当ゲームの画面更新が30枚/秒なのに対し、これらは60枚/秒である)や、コナミの野球ゲーム「激突ペナントレース2」(画面更新60枚/秒)、ポニーキャニオンの「ファンタジーゾーンII オパオパの涙」などがある。また、スクロール機能のないMSX1でPCG書き換えによってスムーススクロールを実現したタイトルとしては「テセウス」などがある。スクロールではないが「ドラゴンスレイヤー英雄伝説」では、戦闘画面での被ダメージ時の揺れ効果に使われていた。

音楽の面ではコナミが独自開発したサウンドチップSCCROMカートリッジ内に搭載。 サウンドトラックも発売され、その中には、アレンジとして1ポート当たり一台を割り当て、8台のMSXを利用し制作された物が収録されている。

キャラクター

自機や、ゲーム中にはほとんど出てこないパイロットの設定が用意されている。なおMSX2版ではカートリッジを入れ電源を入れたままゲームを始めないで放っておくと、マンボウ-J発進アニメーションデモが始まる。

マンボウ-J
自機。アルファード4から発掘された設計図を元にして作られた強力な戦闘機。小型ながらマンボウとほぼ同じ力を持っている。パワーアップ可能なニードル・ワイド二種類のショット、対地用ミサイル、任意で上下左右にニードルショットを放つオプション(最大二基)、画面内の敵を一掃するブラックホール爆弾といった武器が使用できる。
クリーバー・ミュー
マンボウ-Jのパイロット。異星考古学者であり、元星間連合のエース・パイロット。アルファード4から発掘された古文書を解読し、マンボウ攻略の鍵を見いだす。

パワーアップの方法と種類

パワーアップは編隊や特定の敵を倒すと現れるアイテムカプセルを取ることで各種武装が得られるというもの。

対応するアイテムによるパワーアップという点では、同社の「グラディウス」より「沙羅曼蛇」に近い。また、アイテムの種類は各所のアイテムキャリア毎に固定されているわけではなく、出現順で固定されており、例えば次でミサイルを出すはずのキャリアを撃ち逃しても、その次に登場するキャリアを破壊すればミサイルアイテムが出現する。

アイテムカプセルの出現順は以下のとおり。

スピードアップ - パワーカプセル - ミサイル - オプション - ワイド(もしくはニードル)ショット - ブラックホール爆弾

のループで、スピードアップ・ミサイル・オプションはそれぞれパワーアップレベルが最高になると、次周以降は代わりにパワーカプセルが出現する。

各アイテムの説明は以下の通り。

スピードアップ
「S」と表示されたカプセル。自機の移動速度が上がる。最高6段階。自機が破壊される以外に移動速度を下げる手段は無い。
パワーカプセル
赤色のカプセル。自機のショットの威力が上がる。ストックする毎に画面上部に表示されている16個のパワーレベルゲージが1つずつ点灯していき、自機およびオプションのショットパワーが上昇する。一方で、パワーレベルゲージは時間と共に減少するので、ショットレベルを維持するためにはパワーカプセルを常に回収していく必要がある。
なお、ショットパワーの強さは初期段階(ゲージなし)のVULCANを1とした場合、2段階目(ゲージ1~8)のBIT LASERが2、3段階目(ゲージ9~16)のRING BEAMが4。ワイド系は各段階ともにニードル系の2倍の威力となる。
ミサイル
「M」と表示されたカプセル。下方に地上攻撃用ミサイルを撃つ。ミサイルは鉛直方向に投下されたのち、地形に接触すると地形に沿って進む(上り坂を登る性能はない)。
オプション
「O」と表示されたカプセル。ニードルショットを二連射可能なユニットが装備される(威力はパワーレベルゲージに依存するが、グラフィックはVULCANで固定)。「グラディウス」のように自機の軌跡を追従せず、位置は自機に対して常に固定されている。一個取る毎に一基ずつ装備され、最大二基が装備可能。一基目は自機の上、二基目は下に装備される。トリガー2(またはM・Nキー)を押すごとに「前方」「上下」「後方」に随時攻撃方向が切り替わる。本作では状況に応じたこの攻撃方向の切り替えが重要となる。本作攻略の要。
ワイドショット
「W」と表示されたカプセル。ニードルショット装備時のみ出現。前方三方向に広がるショットを撃つ。パワーレベルに応じてPULSER I・II・IIIの3レベルに強化される。単発の攻撃力はニードルより高いが、三発全てが画面上から消えないと次が発射できないため連射性に劣る。広範囲に攻撃できるため複雑な地形で、また耐久力が高い敵に対しては流れ弾がもれないように密着しての連射(いわゆる張り付き)で威力を発揮する。
ニードルショット
「N」と表示されたカプセル。ワイドショット装備時のみ出現。スタート時に装備されており、前方へ直線的に三連射可能なショットを撃つ。パワーレベルに応じてVULCAN・BIT LASER・RING BEAMの3レベルに強化される。攻撃範囲は狭いが連射性が高いため、ボスなど耐久力が高く集中攻撃が必要な敵に威力を発揮する。本作ではニードルとワイドの随時切替はできないので、地形や場面に応じて効果的なカプセルを取る必要がある。
ブラックホール爆弾
略称BH弾。一般シューティングでいうところのボムに相当する青いカプセルで、取得直後に1発だけ使用できる。発射後は前方へ一定距離を進んだのち静止、その後に炸裂・発動する。この時、地形に当てると発動時間が早まる。発動まで少し時間がかかる点は「グラディウス」の全滅アイテムと異なる。ちなみに炸裂する前のBH弾にも敵や敵弾との当たり判定があって、敵を貫通しながら進む。また、BH弾も弾の1つとカウントされるため、BH弾発射中は自機ショットの連射性が落ち、ワイドは発動終了まで発射不能になる。
なお、例外的にBH弾が無効な敵が存在する。ボス系の敵に対しては大ダメージを与えることができる。

ステージ構成

本作品の「1周」は全8ステージで構成されており、ステージ8をクリアするとエンディングの後、難易度が上がった状態でステージ1よりゲーム再開。オリジナルのMSX2版では、ゲームランクは3周目まで上昇し、敵の耐久力が格段に強化され、弾が増える。

ゲーム開始時の持ち機数は3機。5万点ごとに持ち機数は1機追加される。自機は敵および敵弾、進入不可能な地形との衝突により爆発し1ミスとなる。全ての持ち機を失うとゲームオーバーだが、回数制限なしのコンティニューが可能。

ミスおよびコンティニュー時は取得装備をすべて失った状態で、直前の復帰ポイントより再スタートとなる。さらに、コンティニュー時にはパワーレベルゲージもゲージ2個分減少してしまう。

ステージ1
地上エリア。アルファード4の地表を走る巨大戦車との戦闘がメインとなる。ボスは巨大なロボットアームを振り回す地上兵器・シャタラー。
ステージ2
外壁エリア。地表を覆う外壁層をくぐり惑星内部に侵入。右下方向へのスクロールや縦スクロールなどが登場する序盤の難関。ボスは「コ」の字型をした機械生命体・スタグヘッド。縦一直線に複数発生する落雷と、本体の前後移動とのコンビネーションが凶悪。
ステージ3
空洞エリア。外壁と内壁との間にあった水路から水分が枯渇し、洞穴となった箇所。障害物のフェンスを際限なく作り出す移動砲台「ソリアン」が強敵。ボスはミジンコを模した機械生命体・ルアンモー。
ステージ4
エネルギー変換エリア。巨大な変換器「モニター」が多数配置された中盤の難関。モニターは耐久力が高くブラックホール爆弾の閃光が無効、さらに破壊後には巨大な残骸がそのまま残る。敵を倒す順番や位置のパターン化、自機の進行ルートの把握など、全面を通じて見ても非常に難しいステージ。ボスはザリガニを模した機械生命体・ライガー。
ステージ5
エネルギー炉。いわゆる高速スクロール面で、10基の電磁シャッター「ハオカー」をタイミングよく抜けていく前半と、大量の空中敵「トレイル」を撃破していく後半に区分できる。ボスは動力炉の心臓部・ナーガ。画面上を高速で動き回りつつ破壊可能な火炎弾を8方向にばらまく本作屈指の難敵である。
ステージ6
ダストエリア。要塞内部の廃棄物処理エリア。左下(=斜め後方)へのスクロールがあるのが特徴といえば特徴。通路を塞ぐ「ストーン」は耐久力が非常に高くブラックホール弾の閃光では倒せない。ボスは廃棄物処理ロボット・ゴルディツ。画面下部から登場し、2本のアームをゆっくりと振り回す。
ステージ7
前半はアルファード4最深部の遺跡洞窟エリア。ボスのワープマシンを攻撃して起動することにより、マンボウの展開している巨大バリアーの内部へとワープできる。
ステージ8
多数の隕石が漂う宇宙空間で、マンボウ本体からの巨大レーザーを回避しつつマンボウを捕捉・破壊することが目的となる。マンボウにある程度ダメージを与えることでマンボウの内部に進入可能。心臓部に配置されたコアを撃破し、マンボウを内から破壊することでエンディングを迎える。

制作スタッフ

担当
メインプログラマー T.ADACHI
R.SAGISAKI
キャラクターデザイン H.MAKITANI
T.KINOSHITA
T.EGUCHI
サウンドクリエイター T.SEKITO(関戸剛)
K.UEHARA(上原和彦)
Y.MANNO
PD STAFF
(プランナー & ディレクター?)
N.SATOH
H.SUMIDA
スペシャルサンクス R.SHOGAKI
N.MATSUI

参考文献

  1. ^ SCCメモリアルシリーズ・スナッチャー ジョイントディスク 付属ライナーノーツ p.11

関連作品

外部リンク