FGM-148 ジャベリン
アメリカ陸軍兵と発射しているジャベリン | |
種類 | 対戦車ミサイル |
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製造国 | アメリカ合衆国 |
製造 |
マーティン・マリエッタ、テキサス・インスツルメンツ (現在はロッキード・マーティン、レイセオン) |
性能諸元 | |
ミサイル直径 | 127mm(ミサイル)、142mm(LTA) |
ミサイル全長 | 1.1m(ミサイル)、1.2m(LTA) |
ミサイル重量 |
22.3kg (6.4Kg(CLU) + 4.1kg(LTA) + 11.8Kg(ミサイル)) |
弾頭 | 8.4Kgタンデム成型炸薬弾頭 |
射程 | 75m〜2500m |
推進方式 | 固体ロケットモーター |
誘導方式 | 赤外線画像 (IIR)、自律誘導 |
FGM-148ジャベリン(FGM-148 Javelin)は、アメリカ製の歩兵携行式多目的ミサイル。
概要
主な目標は装甲車両であるが、建築物や野戦築城、さらには低空を飛行するヘリコプターへの攻撃能力も備える。完全な「撃ちっ放し」(ファイア・アンド・フォーゲット)機能、発射前のロックオン・自律誘導能力、バックブラストを抑え室内などからも発射できる能力などを特長とする。ミサイルの弾道は、装甲車両に対して装甲の薄い上部を狙うトップアタックモードと、建築物などに直撃させるためのダイレクトアタックモードの2つを選択できる。トップアタックモードでは高度150m、ダイレクトアタックモードでは高度50mを飛翔する。ミサイルは画像赤外線シーカーと内蔵コンピューターによって事前に捕捉した目標に向かって自律誘導される。メーカー発表によれば、講習直後のオペレーターでも94パーセントの命中率を持つという。
弾頭はタンデム成型炸薬を備えている。これはメイン弾頭の前により小さなサブ弾頭を配置したもので、サブ弾頭により爆発反応装甲などの増加装甲を無力化した後にメイン弾頭が主装甲を貫通するように設計されている。
ジャベリンはCLU(Command Launch Unit)と呼ばれる発射指揮装置の部分と、弾薬の部分(LTA(Launch Tube Assembly)と呼ばれる発射筒体と、発射筒に収められたミサイル本体)から構成されている。総重量は22キログラム。発射されたミサイルは圧縮ガスによって発射筒から押し出され、数m飛翔した後に安定翼が開き、同時にロケットモーターが点火される(コールドローンチ方式)。これによりバックブラストによって射手の位置が露見する可能性を抑え、後方が塞がっている室内などからも安全に発射することができる。ミサイルは完全自律誘導のため、射手は速やかに退避することができる。
運用は一名でも可能であるが、通常は射手と弾薬手の2名で行なう。弾薬手は発射時の周囲警戒も担当する。
開発・配備
1983年より開発構想が検討され、1991年に初の試射が行なわれた。アメリカ軍への配備開始は1996年のことである。
ジャベリンの開発・製造はレイセオン社・ロッキード・マーティン社の合弁企業であるJAVELINによって行われ、これまでに20000基以上のミサイル本体と、3000基以上のCLU(Command Launch Unit、分離可能な発射機と照準機のセットで、これによりジャベリンは安全な場所から目標を狙い離れた場所にある発射機からミサイルを発射するといった運用が可能になる)が納入された。
2002年には、台湾(中華民国)に360基のミサイルと40基の発射機、トレーニング機器、兵站サポート、そしてトレーニングプログラムまでを包括的提供する契約がUS$3900万で締結された。これはミサイル一基あたりにつきUS$10万に相当する。
2003年1月には、英国国防省が軽誘導対戦車兵器(Light Forces Anti-Tank Guided Weapon System、LFATGWS)トライアルにおいてジャベリンを採用することを決定した。2005年から旧式のミランからの転換が進んでいる。
歩兵の携行装備の中でも大変高価な装備であるため、世界の軍隊の中でも実射訓練の多いアメリカ陸軍でも訓練にはシミュレーターを使用する。このシミュレーターにおいて好成績を残した者のみが実機での実射訓練を行える[1]。
2003年のイラク侵攻作戦(イラク戦争)において初めて実戦使用された。
採用国
特徴
- 装甲貫徹力:RHA換算600mm以上
- 所要時間:発射準備30秒以下、再装填20秒以下
- 発射指揮装置(CLU):
- パッシブ目標捕捉・諸元入力
- 内蔵熱源暗視装置 - 4倍率(昼間)、4倍率又は9倍率(夜間)
- バッテリー有効時間 - 4時間
- 価格:$40,000 (ミサイル本体)
$125,000 (CLU)
類似のシステム
登場する作品
- スティーブン・スピルバーグ監督の映画『宇宙戦争』
- ラストに用いられた兵器。カールグスタフと一緒に使用される。
- 敵戦闘車両の破壊が必要なシーンに出現する。本作のテーマを象徴する兵器である。ディスプレイは実物に似せてあるがゲーム中では壁越しにロックオンできてしまう。
- キャンペーン、マルチプレイなどで使用可能。指定場所や敵機に向けて発射可能
- マルチプレイ(工兵アンロック武器)・COOPモード(OPERATION EXODUS)で使用可能。マルチプレイでは他の偵察兵の装備品「SOFLAM」(赤外線照準器)を使用する事でトップアタックモード運用が可能(また、これにより航空機への使用も可能)。
- 発射後、R3スティックで操作可能。非常に威力が高く、レールガンと並んで唯一月光を一撃で破壊できる兵器である。トップアタックモードは使用できずダイレクトアタックモードのみの仕様となっている。ヘリコプターに向けてロックオン・攻撃も可能。
- 実際の訓練と同じく、シミュレータ後に実射訓練を受ける形式。
- 日本版に2008年11月20日に実装された。CoD4同様壁越しに敵兵器を捕捉できるほか、姿勢が限られる、建物に対して攻撃できない、弾道が中途半端で命中しにくいなど実物とは大きく異なる仕様になっている。
脚注
- ^ Lock N' Load -Rockets (ガニー軍曹のミリタリー大百科 ロケット砲)より