アークエンジェル (ガンダムシリーズ)
アークエンジェル (Archangel) は、『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する架空の宇宙戦艦。アークエンジェル級のネームシップ。本項では、同級2番艦ドミニオンについても記述する。
アークエンジェル
アークエンジェル | |
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艦籍番号 | LCAM-01XA |
分類 | 強襲機動特装艦 |
所属 | 地球連合軍第8機動艦隊→脱走艦(義勇軍としてオーブ軍に加勢)→三隻同盟(『SEED』時) 無国籍→オーブ軍第2宇宙艦隊(『DESTINY』時) |
建造 | ヘリオポリス(モルゲンレーテ社) |
全長 | 420m |
装甲材質 | ラミネート装甲 |
推進機関 | レーザー核融合パルス推進[1] |
武装 | 陽電子破城砲「ローエングリン」×2 225cm2連装高エネルギー収束火線砲「ゴットフリートMk.71」×2 110cm単装リニアカノン「バリアントMk.8」×2 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」×16 艦橋後方ミサイル発射管×16(対空防御ミサイル「ヘルダート」専用) 艦尾大型ミサイル発射管×24 (対艦ミサイル「スレッジハマー」) (対空防御ミサイル「コリントスM114」) (大気圏内用ミサイル「ウォンバット」) (榴散弾頭ミサイル) 4連装多目的射出機×2 (アンチビーム爆雷) (フレア弾) 他 対潜用魚雷発射管多数(『DESTINY』時) |
搭乗者 | マリュー・ラミアス(艦長) アーノルド・ノイマン(操舵士) ミリアリア・ハウ 他 |
大西洋連邦軍所属の強襲機動特装艦。オーブ軍イズモ級宇宙戦艦をタイプシップとして、オーブの軍事企業モルゲンレーテ社と共同で開発された。ザフト軍が保有するMSの有効性を認め、それに対抗するべく開発されたG兵器と共にその運用母艦として、オーブの資源衛星ヘリオポリスのドックで極秘裏に建造が行われた。「ローエングリン」に代表される強力な火器群やラミネート装甲の使用、変換率80%の太陽光発電装置、大気圏突入時に艦底部を気化性のジェルで覆うことで艦体の温度上昇を防ぎ、大気圏突入能力を保有する。さらには大気圏内の飛行も可能で、艦中央下部の翼や艦尾エンジン保持部が水中翼として機能し、水上を航行できるなど実験艦的な要素も強い。また、操艦機構もオートメーション化が図られており、少人数での運航が可能となっている。
大西洋連邦とモルゲンレーテ社の最新技術が多数盛り込まれているので他艦に比べて複雑な機構が多く、航行に関わる人員が増えたため、メインブリッジとCIC(戦闘指揮所)にブリッジを分割する構造を採用している。CICでは索敵や火器管制、MSやMAの管制を専門的に扱っており、航行管理を司っているメインブリッジでは補えない部分をカバーしている。これにより指揮管制が円滑に行われるようになり、艦の性能を最大限に引き出せるようになっている。改修後の『DESTINY』時には、ほとんどの席のコンソールから大半の操作が可能となっており、CICの需要が少なくなるほど極端に少ない人員での運行が可能になっている。
宇宙戦艦を基本としている為、気密性が高い構造のため宇宙空間でも運用できる。『SEED』時は単体での大気圏離脱能力を持っておらず、マスドライバーでの打ち上げも出来なかった為、陽電子破城砲のローエングリンとイズモ級のオプション装備であるプラズマブースターを装備することでポジトロニック・インターファライアンス(陽電子への干渉)を起こし、マスドライバーを使用せずに大気圏離脱を可能としている。改修後の『DESTINY』時にはバラストタンクの増設により潜水能力も追加され、ビーム兵器が使用できない水中での攻撃力を補うために魚雷発射管も増設された。また、オプション装備無しでの大気圏離脱が可能となっている。
艦内の壁にはベルトコンベアに似た移動設備があり、宇宙空間を航行中はそこへ手を乗せて艦内を移動できる。搭乗員用として、2段式ベッドが2つある小さめの部屋や普通のベッドが2つある部屋が存在する。『DESTINY』時には潜行・潜伏など閉鎖空間に長時間滞在する必要があったため、娯楽施設として共同浴場「天使湯」が新設され、食堂もきつねうどんなどの新しく美味しいメニューが備わるなど(『SEED』時にはあまり美味しくないメニューしかなかった)、戦闘とは関係ない点でもさまざまな改良が施された。
1番艦「アークエンジェル」の外装は白と赤が基調に塗装されている。略称は「AA」。艦名のアークエンジェルは、天使の階級である「大天使」に由来する。アークエンジェルの特徴である艦首両舷から前方に突き出した脚部状のMSハッチから、ザフト軍には「足つき」と呼ばれた。
優秀な戦果を挙げただけでなく三隻同盟の所属艦として活躍したことからも、地球連合軍やザフト軍へ与えた影響は大きかった模様。地球連合軍では2番艦「ドミニオン」が建造されたほか、『DESTINY』時には後継艦と思われる「ガーティ・ルー級」が開発されている。また、ザフト軍でもセカンド・シリーズ運用艦として外見や機能面に大きく影響を受けた「ミネルバ」が建造されている。
武装
- 陽電子破城砲「ローエングリン」
- 両艦首に1門ずつ装備されている陽電子砲。アークエンジェルに搭載されている武装の中で最も強力であり、右舷が1番、左舷が2番である。その設置場所から、前方の敵に対しての使用が前提となっている。ビームを生み出す陽電子チェンバーの補充に時間を要するため、連射は不可能である。試験装備であるため、劇中初期は「特装砲」と呼ばれていた。また、発射指示は基本的に艦の最高指揮官が行っていた。
- 絶大な威力を誇るものの、放射能が発生することから環境への悪影響が甚大であるため、地上での発射には倫理的制限があった。この問題は、オーブ寄航の際に環境への影響が少ない新型に交換することにより、解決されている。また、その際には修理作業に参加したジャンク屋にも同様の技術が伝わり、母艦リ・ホームに陽電子砲が搭載されるに至っている[2]。ちなみに、威力は落ちるものの、エネルギー問題さえ解決できればモビルスーツでも運用は可能である。
- 225cm連装高エネルギー収束火線砲「ゴットフリートMk.71」
- アークエンジェル主砲であり、艦首両舷に1基ずつ装備されている2連装のビーム砲。右舷が1番砲塔、左舷が2番砲塔であり、通常は格納されているが、使用時にせり上がる沈胴式となっている。180度の砲塔旋回が可能であるが、設置場所の関係から艦下方および後方へは攻撃できない。また、背負い式でなく並列に装備されているため、片舷砲戦では反対舷への射撃は不可能。
- 110cm単装リニアカノン「バリアントMk.8」
- アークエンジェルの副砲であり、艦尾両舷に1基ずつ装備されているリニアガン。右舷が1番、左舷が2番。連射能力も高く精密射撃が可能である。艦側面に配置されており、上下360度旋回することで地表や海面を空中から直接狙撃できるが、短時間に使用しすぎると砲身温度が上がって使用不能になる。海中潜航時には魚雷以外に使用できる唯一の武器である。
- 75mm対空自動バルカン砲塔システム「イーゲルシュテルン」
- 多銃身の対空機関砲を用いた近接防御火器システム。ミサイルやMSを迎撃する近接防御システム (CIWS) である。
- 艦橋後方ミサイル発射管 対空防御ミサイル「ヘルダート」
- 艦橋の後方に16門装備されているごく短射程の艦対空ミサイル発射管であり、近接艦対空ミサイル (SAM) の一種。
- 艦尾大型ミサイル発射管
- 艦尾に多数設置されている全24門の大型ミサイル発射管。外側に左右6門ずつ配置された12門が前方、内側の12門が後方に向けて各種の誘導弾が射出される。
- 艦対艦ミサイル「スレッジハマー」
- 対空防御ミサイル「コリントスM114」
- 大気圏内用ミサイル「ウォンバット」
- 対空榴散弾頭ミサイル
- 多目的射出機
- 両舷に4門ずつ設置されている射出機。アンチビーム爆雷やフレア弾、信号弾などの発射が可能となっている。
- 魚雷発射管
- デスティニ―での追加装備で、バリアントMk.8とともに海中潜航時に使用可能な武装である。
搭載機
- 『DESTINY』時
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- ZGMF-X10A フリーダム
- MBF-02 ストライクルージュ
- MVF-M11C ムラサメ(アンドリュー・バルトフェルド専用機)
- MVF-M11C ムラサメ×10
- FX-550 スカイグラスパー
- ZGMF-X20A ストライクフリーダム(その後、エターナルに移乗した)
- ZGMF-X19A インフィニットジャスティス(その後、エターナルに移乗した)
- ORB-01 アカツキ
- ZGMF-XX09T ドムトルーパー×3
劇中の活躍
- 機動戦士ガンダムSEED
- ヘリオポリスでの完成直後に受けたザフト軍の襲撃によって艦長以下大半の上級士官を失うが、残ったクルーの手により破壊から免れる。G兵器のうち唯一奪取を逃れたストライクを搭載し、ヘリオポリスから脱出した。その後、地球連合軍にMSのデータを渡すために地球へと向かった。
- 地球へ降下した後は、地球連合軍総本部アラスカ基地を目指したが、そこで見せ付けられた地球連合軍の体質や、攻勢したザフト軍のみならず防衛する友軍をもサイクロプスに巻き込んで壊滅させる作戦に不信を抱き、軍籍から離脱して独自行動を取るようになったことで、地球連合軍や大西洋連邦軍からの脱走艦の状態となる。しばらくはオーブに寄港在泊していたが、地球連合軍の侵攻を受けて宇宙へ脱出した。宇宙ではともにオーブを脱出したオーブ残存勢力の戦艦クサナギ、後に合流したクライン派の戦艦エターナルと三隻同盟を結び、以降の行動を共にした。その後にドミニオンと会敵した時には、ムルタ・アズラエルに「不沈艦」と称されている。第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦を戦い抜き、多大な損傷を被るも無事帰還している。三隻同盟は母港を持たないため、帰還先は不明である。
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- 戦後、アカツキ島にあるアスハ家所有の秘密ドックに収容されていた。改修を受けており、少人数でも運行可能なオートメーション化、潜航用のバラストタンク、魚雷などが追加された。また、海底からの発進や潜水航行、ブースターを使用せずに単体での大気圏突破が可能となった。リラクゼーションなどを目的として、露天風呂を模した大浴場「天使湯」も新設されている。
- キラ・ヤマトらの手によってオーブを離脱した後、スカンジナビア王国に匿われていたが、地球連合軍と同盟を結んだオーブ軍の戦闘行為を止めるべくクレタ・ダータネルスでの戦闘に介入し、連合とザフト双方に攻撃を加えた。その後はベルリンでの戦闘にも参戦し、オーブへの帰還を決意するが、ザフト軍の攻撃により多大な損傷を受け、搭載機のフリーダムも失った。
- オーブ帰還後、オーブ侵攻戦に参戦し、戦闘後にはオーブ軍に編入されて第2宇宙艦隊の所属艦(旗艦)となる。宇宙へ上がった後は中立都市コペルニクスに停泊し、エターナルを中心とするクライン派の艦隊と合流した。レクイエム攻防戦ではミネルバと交戦し、エターナルと共にタンホイザーの射線上に捉えられて撃沈の危機に瀕するが、ネオ・ロアノークのアカツキの援護により形勢は逆転する。そして、ミネルバのトリスタンとミサイル発射管を破壊し、戦闘不能に追い込んだ。クルーに少数の負傷者を出すが、大きな損傷を負わずに終戦を迎えている。また、スペシャルエディション完結編「自由の代償」ではストライクフリーダムやインフィニットジャスティスらとエターナルを護衛しながら、プラントに入港する姿が確認されている。
ドミニオン
ドミニオン | |
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艦籍番号 | LCAM-01XB[3] |
分類 | 強襲機動特装艦 |
所属 | 地球連合軍 |
全長 | 420m |
装甲材質 | ラミネート装甲 |
推進機関 | レーザー核融合パルス推進ロケット6発推進 |
武装 | ネームシップに準拠 |
搭乗者 | ナタル・バジルール(艦長) ムルタ・アズラエル 他 |
アークエンジェルのデータを元に地球連合軍が建造したアークエンジェル級の2番艦であり、艦長はナタル・バジルールが務める。塗装は黒を基調としているため、アークエンジェルとは対照的なイメージを与える外観を持つ艦になっている。ブリッジ付近のセンサー強化、MSデッキのレイアウト変更、艦尾両舷の垂直翼などに多少の形状違いが見られる以外はアークエンジェルとほぼ同じ性能を持つ。
地球連合軍の後期GAT-Xシリーズであるカラミティ、フォビドゥン、レイダーを搭載しており、パイロットのオルガ・サブナック、クロト・ブエル、シャニ・アンドラスのほか、オペレーターとしてフレイ・アルスターや、オブザーバーとしてブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエルも乗艦している。
艦名のドミニオンは、天使の階級であり、「アークエンジェル(大天使)」より上位の「主天使」に由来する。
搭載機(ドミニオン)
劇中の活躍(ドミニオン)
月面の地球連合軍基地に配備され、アークエンジェルの追討任務によりL4コロニー群宙域で戦闘を行った。第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦ではアークエンジェルと激戦を繰り広げた果てにそのローエングリンを艦橋部に受け、ナタルやアズラエルと共に爆沈した。
なお、ナタルやアズラエル以外の全クルーは第2次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の終盤にナタルの退艦命令を受けて脱出艇で退艦したが、ドミニオンの爆沈後に来襲したプロヴィデンスの攻撃を受けて脱出艇ごと撃墜され、死亡している。
脚注
- ^ スタッフリレーコラム「ゴンべが種蒔きゃ、カラスが突く。」第1回
- ^ 電撃ホビーマガジン 2006年2月号より[要ページ番号]。
- ^ 『ガンダムの常識 モビルスーツ大百科 機動戦士ガンダムSEED 連合・オーブ篇』 双葉社、179頁。
関連項目