からくり時計

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動作中のからくり時計表示部
ストラスブールのグラン・ディルにあるノートルダム大聖堂内に設置された18世紀の作品。12使徒などをかたどった様々な人形が登場する。

からくり時計(からくりどけい)とは、時計(置時計など)に特殊な表示機能を追加したもので、その多くではからくりなど自動人形などが時報として何らかの人形劇を上演したり、音楽を奏でたりといった機能を持つものを指す。

概要

「からくり」は、元々は時計などの機械装置全般を指した。後にからくり自体は日本で「からくり人形」に代表される古典的なロボット(自動人形やオートマトンオートマタなど)を指す語となり、これが19世紀にヨーロッパに伝えられると、「Karakuri」と呼ばれるようになり、いわゆるオートマタのような精巧な人の動きを真似る人形などもからくりと呼ばれていったようだ。

語源からすれば時計に機械を組み入れること(中に機械要素のない時計は動きようがない)を指しているような「からくり時計」という語だが、「からくり」が機械仕掛けの人形を指すようになると、これを組み入れた時計をからくり時計と呼ぶようになったと推察される。

いわゆる「からくり」は外部からの操作をきっかけとして何らかの動作を行う装置(後述)だが、これを時計と連動させ、所定の時間にからくり仕掛けの動作を行うものが、いわゆるからくり時計とされる。

からくり時計の一端には、鳩時計のように時報を鳩の模型と笛などで表す物が挙げられるが、一般にからくり時計というと、これを更に複雑化して人形劇などを上演して見る者の目を楽しませるものが主である。オーケストラを模したものもある一方、観光地では地域の歴史を表す劇を毎日正午などに上演するものも見られる。これらは、その複雑さや規模にもよって個人向けから時計塔などに組み込まれた公共のものまで、様々なものが存在している。

機能

基本的にこれらからくり時計は、時計機能と仕掛け表示機能の2系統の機械装置を、時報という機能で連結させたものである。時計が表示装置に時報というきっかけを与えると、イベントドリブン(何かのきっかけを与えられると動作を開始する機能のこと)装置である仕掛け表示機能が働く。

時計部分は時報というきっかけを与える訳だが、時計自体の表示機能がないと時計としては役に立たないため、仕掛け表示部分の上などに時計としての時刻表示機能を持つ。高度化されたものでは、時刻表示機能が一時的に移動して仕掛け部分がせり出し、何らかの動作が終わったら時刻表示に戻るなど、一見するとからくり時計に見えないものも存在する。

旧来は機械式時計(アナログ)であったが、後にクォーツ時計が開発され、この電気的な時計が後にデジタル時計などに置き換わっていくようになると、時計部分はデジタル時計で、表示機能部分はアニマトロニクスなど電動式でコンピュータで制御するもの(→シーケンス制御)などの高度化・複雑化したものも登場している。

また、この仕掛け表示機能を完全に映像機器にとって替わらせ、指定時間には所定のスポット映像(広告など)を放映するものもみられるが、こちらは大型映像機器が社会にとってあたりまえとなった地域では、あまり注目されることもない場合も見られる。

設置されている(主な)地域・施設

「サーカスビレッジ」
岐阜メモリアルセンター
岐阜県岐阜市
  • ローテンブルク・オプ・デア・タウバー - 市参事会酒宴場に街に伝わるワイン一気飲みに関するものがある。
  • 新天町 - 福岡県福岡市にある商店街。1981年に設置された。
  • 金公園(こがねこうえん) - 岐阜県岐阜市。1988年6月に設置され、当時の岐阜市の姉妹・友好都市(アメリカ、イタリア、中国、ブラジル)の人形が1日4回踊る。
  • 岐阜メモリアルセンター - 「サーカスビレッジ」。同じく岐阜市。
  • 有楽町センタービル - 「マリオンクロック」。千代田区有楽町1984年に日本初の屋外大型からくり時計として設置。
  • そごう - 「世界の人形時計」(イッツ・ア・スモールワールド時計)。大手百貨店。1985年開店の横浜店(開店当時は横浜そごう)以降既存・新規店舗問わず日本と台湾の多くの店舗へ設置された。からくり時計の機能としては2008年4月15日の閉店時刻(殆どが20時)をもって終了、翌日以降時計と時報チャイムの機能で存続。横浜・神戸・千葉・柏・広島・川口・呉・西神・大宮・徳島の10店舗に設置している。撤退したそごうでは多摩・奈良・八王子柚木・茂原・加古川・福山・小倉・黒崎にも設置していた。千葉などでは設置場所の関係上長方形のものが設置された。
  • 札幌駅 - SL型の時計で、正式名称「SLミネラルサウンドクロック」。演奏時、SLのヘッドライトが点灯する。
  • 芽室駅 - 4月下旬から10月下旬までの間、1日6回人形が棒をたたいて演奏をする。冬の間は音のみの演奏を行い、音のみの演奏も含め、夏冬ともに1日10回の演奏が行われる。
  • 白い恋人パーク[1] - 石屋チョコレートファクトリーの時計塔のほか、パーク全体で、人形(動物も)が踊る。
  • 久留米駅
  • 掛川駅北口
  • 前後駅
  • 日本テレビマイスタ前
  • 高知県高知市デンテツターミナルビル
  • 人吉駅
  • 倉敷駅北口

類似する他の装置

  • 天文時計 - 時計と天体儀を連動させ、天体の運行を表示するもの。
  • 時限爆弾 - こちらは爆弾というイベントドリブン装置を接続してある。使い捨て。

関連項目