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かまど神

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札幌市西野神社の竈神鎮火札

かまど神(かまどがみ)は囲炉裏台所などの火を使う場所に祀られる

日本のかまど神

火の神であると同様に農業家畜家族を守る守護神ともされる[1]

一般にはかまどや炉のそばの神棚幣束神札を祀るが[2]、祀り方の形態は地方によって様々である。東北地方陸前宮城県岩手県)では、竈近くの柱にカマ男、火男、カマジンなどと呼ばれる粘土または木製の醜い面をかけて祀る。信越地方では釜神といって、約1尺の木人形2体が神体であり、鹿児島県では人形風の紙の御幣を祀っている。竈近くの柱や棚に幣束神札を納めて祀ったり、炉の自在鉤五徳を神体とする地方もある[1]

日本の仏教における尊像・三宝荒神は、かまど神として祀られることで知られる。これは、清浄を尊んで不浄を排する神ということから、火の神に繋がったと考えられている[3]。また近畿地方中国地方では、陰陽道の神・土公神がかまど神として祀られ、季節ごとに春はかまど、夏は門、秋は井戸、冬は庭へ移動すると考えられている[3][4]

神道では三宝荒神ではなく、竈三柱神(稀に三本荒神)を祀る。竈三柱神はオキツヒコ(奥津日子神)・オキツヒメ(奥津比売命)・カグツチ(軻遇突智、火産霊)とされる。オキツヒコ・オキツヒメが竈の神で、カグツチ(ホムスビ)が火の神である.

住居空間では竈は座敷などと比べて暗いイメージがあることから、影や裏側の領域、霊界(他界)と現世との境界を構成する場所とし、かまど神を両界の媒介、秩序の更新といった役割を持つ両義的な神とする考え方もある[1]。また、性格の激しい神ともいわれ、この神は粗末に扱うと罰が当たる、かまどに乗ると怒るなど、人に祟りをおよぼすとの伝承もある[3]

中国のかまど神

中国では古来の習慣として、竈神(かまどがみ、そうしん、簡体字: 灶神=ザォシェン、または簡体字: 灶君=ザォジュン)が祭られていた。旧暦12月23日(または年によって24日)は祭竈節(さいそうせつ、チーザォチェ、または竈王節)で、かまどの大掃除をして、かまど神に天帝へ家庭が円満であることを報告してもらった。この日を旧正月(大年)に対して、小年(シャオニェン)とも呼んで、お正月の最終準備を開始する日とした。

大掃除の一環として12月23日にかまども掃除して、竈神を祭る習慣は、日本にもかまどがあった1960年代までは田舎で行なわれていた。

ギリシャ・ローマ神話のかまど神

ギリシア神話ヘスティアーローマ神話ウェスタがかまどの神である。

脚注

  1. ^ a b c 桜井徳太郎編『民間信仰辞典』東京堂出版、1980年、85-86頁頁。ISBN 978-4-490-10137-9 
  2. ^ かまど神の場合、神棚は一般的には「一社造り」で榊立ては一つである。以外にを供えることもある。
  3. ^ a b c 宗教民俗研究所編『ニッポン神さま図鑑』祥伝社〈祥伝社黄金文庫〉、2003年、31-32頁頁。ISBN 978-4-396-31337-1 
  4. ^ 工房釜神 【釜神の伝説 言い伝え 習俗】”. 工房 釜神. 2008年2月5日閲覧。

関連項目