PC-8000シリーズ

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PC-8000シリーズは、日本電気 (NEC) が販売していたパーソナルコンピュータシリーズである。 同社初の完成品PC-8001に始まり、PC-8001mkIIPC-8001mkIISRがある。

キーボードと本体が一体化したデザイン。同社を代表するシリーズのひとつで、数多くのソフトウェアや周辺機器が販売されていた。

上位機種はPC-8800シリーズ

PC-8001[編集]

1979年5月に発表され、9月28日に発売。定価は168,000円。

輸入品を除けば半完成品(セミキット)がほとんどであった当時のマイコンの中で、本格的な完成品として登場し、ハード・ソフトとも高い機能と完成度を誇り、国産パソコンの代表的機種となった。よく本機が国産初の筐体型パソコンと誤解されているが、国産初のパソコンとしてはベーシックマスターが先である。

キーボードと本体が一体化され、最低限必要であるプリンタCMTデータレコーダ)、CRTインタフェースを備える。ただし拡張スロットはなく、FDD等その他機器の増設には専用の増設ボックスPC-8011/8012の購入が必要であった。

当時のNEC社内での開発コードは「PCX-01」で、本体は元々COMPO-BSと同系色のデザインと旧JIS配列のキーボードで考えられていたが、石田晴久の助言により、現行のシックなデザインとVT-100端末仕様のキーボードレイアウトとなった。また搭載BASICもマイクロソフト作成のものとNEC独自作成の二種類が用意されたが、最終的にブランドイメージでマイクロソフト版が採用された。NECがこのマイクロソフト版BASICを採用するにあたっては、当時の西和彦の仲介があり、またマイクロソフトも日本企業への本格的なOEM進出を狙っていたタイミングだったため、NECには非常に安価な戦略的価格で提供されたという[1]

発売当初は搭載メモリ16Kモデルのみの販売であったが、さらに16Kの増設が可能で、増設して購入するユーザが大半であったため、32Kモデルも後に販売された。 なお、拡張ボックスの使用により64Kに拡張してFDDを増設すれば、CP/Mなどの汎用OSを動作させることも可能であった。

「PC」は「パーソナルコンピュータ」の略である。国内で「パーソナルコンピュータ」という言葉が使われたのも、このPC-8001が最初である。当時は「マイクロコンピュータ」の略称である「マイコン」がこれらのコンピュータの通称となっていたが、NECは以降「パーソナルコンピュータ」、略称「パソコン」を商標に据え一般に定着させていく。 1982年度のNHK教育テレビ趣味講座「マイコン入門」で教材に採用されたが、商品名を出すことができないため、銘板をマスクされ「機種X」と呼ばれていた。

仕様[編集]

  • CPU μPD780C-1(Z80-A互換)4MHz(DMA割り込みウェイトがあるため、実際には2.3MHz程度で動作する)
  • ROM 24KB(最大32KB)
  • RAM 16KB(最大32KB)
  • テキスト表示 36/40/72/80桁×20/25行
  • グラフィック表示 160x100ドット デジタル8色
    テキストの簡易グラフィックモード使用。2×4ドット毎に着色可。ただしテキストの属性として簡易グラフィックが実現されており、アトリビュートエリアの制限により、当該テキスト属性が1行内の左端から右端の方向において変化する回数に制限があったため、着色が出来なかったり意図した属性の表示がされない部分が見られる場合がある。
  • BASIC N-BASIC (Microsoft 24K BASIC)(version 1.0として発売。後に文字欠け等を修正した1.1に乗せ換えて発売される。)
  • OS DISK-BASICCP/M
  • インタフェース
    • モニタ(モノクロ、カラー)
      カラーモニタ使用時はモノクロモニタ端子にライトペンを接続可能。
    • CMT (600bps、300bps:隠し設定)
    • プリンタ(セントロニクス
    • シリアルインタフェースRS-232C準拠の機能だがTTLレベルで、かつ筐体を開けてICソケットから引き出す必要があった。尚、PC-8062 RS-232Cケーブルユニットを用いることでレベル変換も行えた。)
  • 拡張インタフェース用バス:拡張ボックスのPC-8011/8012および、5インチFDD I/Fボックス接続用
    • PC-8011拡張 I/Fで拡張可能なもの:RS-232C×2、FDD I/F、GP-IB
      すべてエッジ・コネクタによる出力であるため、専用のケーブル (PC-8095/PC-8098/PC-8096) が別途必要。
    • PC-8012拡張ボックスで拡張可能なもの:FDD I/F、 拡張スロット×7

主な純正周辺機器[編集]

  • PC-8011 拡張ユニット
  • PC-8012 I/Oユニット
  • PC-8023-C ドットマトリクスプリンタ
  • PC-8031/-1W 5インチ1D FDD(2基)
  • PC-8032/-1W 拡張用5インチ2D FDD(2基)
  • PC-8031-2W 5インチ2D FDD(2基)
  • PC-8032-2W 拡張用5インチ2D FDD(2基)
  • PC-8033 FDD I/F
  • PC-8034 DISK-BASIC (1D)
  • PC-8034-2W DISK-BASIC (2D)
  • PC-8041 12"グリーンCRT
  • PC-8043 12"カラーCRT
  • PC-8047 12"アンバーイエローCRT
  • PC-8044 RFモジュレータ
  • PC-8045 ライトペン
  • PC-8062 RS-232C I/F
  • PC-8091 カラーCRTケーブル
  • PC-8092 モノクロCRTケーブル
  • PC-8093 CMTケーブル
  • PCG8100 ユーザ定義キャラクタジェネレータ (HAL研究所より発売)

PC-8001mkII[編集]

1983年3月に発売された、PC-8001の後継機。定価は123,000円。

PC-8001ではオプション品であった、シリアルインターフェース(RS-232C)、5インチFDDインターフェース、拡張スロット(2スロット)を標準搭載させ、640×200ドットのグラフィックプレーンを追加する事で漢字表示を可能とし、オプションで漢字ROM、漢字BASICもサポートした、実用本位の強化に特化しているのが特徴。メインRAMは64KBとなり、CP/Mなどの汎用OSも標準で動作するようになった。反面AV面では、ハイレゾグラフィックがモノクロ(解像度を落としても4色)、サウンドはPC-8001と同様のビープ音のみという寂しいものとなった。キーボードは、TABキーが追加されESCキーの位置が変わっている。

BASICは、N-BASICの24KBのROMに8KBを継ぎ足して拡張したN80-BASICを搭載。主にグラフィック関係の命令が追加されている(N-BASICの未使用予約語CMDを使用)。PC-8001 (N-BASIC) 用のソフトはN80-BASICでも基本的に動作するが、フリーエリアなどの関係で完全な互換性が必要とされる場合には、N-BASICモードに切り替えることもできる。切り替えはリセット時のディップスイッチまたはキー操作による。

また、本体背面にはアタリ規格と同形状の台形型Dsub-9ピンの汎用I/Oポートが設けられたが、ピンアサインをアタリ規格と合わせなかったため、アタリ規格準拠のジョイスティックポートとしては使用できなかった。ホビーユースの価格帯で多くのゲームがリリースされた実績もあるモデルとしては、この実装は先見の明がなかったと言われても仕方のないものであった。

グラフィックモードは、ゲームでは主にスクリーン2(320×200ドット、黒+赤+緑+選択色)が使用され、選択色に青を指定してタイルパターンでデジタル8色を表現する手法が多用された(ただし白を鮮明に表示させたい場合は青の代わりに白が指定された)。またカラーを必要としないボード系ゲーム(麻雀など)では、スクリーン0/1(640×200ドット、黒+指定色)が使用された。スクリーン3(320×200ドット、青+マゼンダ+シアン+選択色)は殆ど使用されることがなかったが、ポートピア連続殺人事件などで使用された。

この頃、各社から同じような価格・スペックの8ビットPCが続々と発売されたが、それらの機種ではホビーユースでは不要なインターフェース部分をオプション扱いにしたり省略させる代わりにグラフィックやサウンド機能の充実を図った。それに対し本機ではインターフェースの拡張を重視させたため、AV面の拡張が中途半端なものとなり、AV面だけで比較すると他の機種に比べ大きく見劣りする物となった。その結果、本機は前モデルのPC-8001用の豊富な資源を安価で拡張できるというメリットがあったものの、ホビーユース(特にゲームの供給)では競合他機種に大きく水をあけられるものとなった。さらに、上位機種のPC-8800シリーズがPC-8801mkIIでホビーユースについて強化される一方、下位機種のPC-6000シリーズもPC-6001mkII/6601で大幅に機能拡張され、本機の位置付けは微妙なものとなってしまった。

仕様[編集]

  • CPU μPD780C-1 4MHz
  • RAM 64KB + 16KB(グラフィックVRAM)
  • テキスト表示 40桁×20行 - 80桁×25行
  • グラフィック表示(N80モード) 640×200ドット 2色、640×200ドット 8色(キャラクタ単位)、320×200ドット 4色(デジタルRGB8色のうち、黒・赤・緑/青・紫・水色のどちらかの組み合わせと任意の1色)
  • BASIC N80-BASIC、N-BASIC
  • OS N80-DISK-BASIC、N80漢字BASIC、DISK-BASIC、CP/M
  • インタフェース
    • モニタ(モノクロ、カラー)
    • CMT (600bps、1200bps:隠し設定)
    • セントロニクス
    • RS-232C
    • 5インチ2D FDD

主な純正周辺機器[編集]

  • PC-8001mkII-01 漢字ROM
  • PC-80S31 5インチ2D FDD(2基) 後にPC-80S31Kとしてモデルチェンジ
  • PC-80S32 拡張用5インチ2D FDD(2基)
  • PC-8037-2W N80-DISK-BASIC (2D)

PC-8800シリーズの8インチFDD(PC-8881等)も使用可能。

PC-8001mkIISR[編集]

1985年1月に発売された、PC-8001mkIIの後継機。定価は108,000円。

グラフィック機能はさらに強化され、PC-8801mkII同様の640×200 8色に加えて320×200 8色を2画面重ね合わせ出来るモードを持ち、PC-8801mkIISRよりゲームが作りやすい面もあった。 また、他のSRシリーズ同様、FM音源を搭載し、サウンド機能も飛躍的に向上した。

強化されたグラフィック・サウンド機能をサポートするN80SR-BASICに加えて、互換性のためN80-BASICおよびN-BASICモードを搭載。 ただし、CMTインターフェイスICが変更されたことにより、PC-8001mkII用のソフトウェアで1200bpsで作成されているもの[2]は読み込むことが出来なかったため、互換性の面では満足出来るものではなかった。

拡張スロット数は1つ減少し、漢字ROM専用スロットとなり、PC-8801mkII用キーボード接続端子が追加されている。

すでに市場の主流はPC-8800シリーズに移っており、本機はPC-8801mkIISRの引き立て役といった色合いが強かったが、PC-8800シリーズにはないカラーでの2画面グラフィック機能を生かして、パックランド(他機種では存在しない)やハイパーオリンピック'84(他機種ではX1のみ)等といった良質なソフトが少ないが発売されていた。 NECのPCの基礎を築いたPC-8000シリーズは本機で最後となったが、PC-8800シリーズはその後も多数の機種が発売された。

仕様[編集]

  • CPU μPD780C-1 4MHz
  • RAM 64KB + 48KB(グラフィックVRAM)
  • テキスト表示 40桁×20行 - 80桁×25行
  • グラフィック表示(N80SRモード) 640×200ドット 8色1面または2色3面、320×200ドット 8色2面または2色6面
  • BASIC N80SR-BASIC[3]、N80-BASIC、N-BASIC
  • OS N80SR-DISK-BASIC、N80-DISK-BASIC、N80漢字BASIC、DISK-BASIC、CP/M
  • インタフェース
    • モニタ(モノクロ、カラー)
    • CMT (600bps)
    • セントロニクス
    • RS-232C
    • 5インチ2D FDD

脚注[編集]

  1. ^ 半導体シニア協会ニューズレター「Encore」第45号「日本PC事始」
  2. ^ ENIXのJUMPアップアラレちゃんやドアドア電波新聞社パックマンギャラクシアン等。なお、パックマン等一部のソフトはSR専用でも発売された。
  3. ^ その他、N80SR拡張BASIC(テープ版)が存在する。本体に付属。N80SR-BASICでCOPY(画面のハードコピー)、PAINT(タイリングペイント)、ROLL(グラフィック画面の4方向スクロール)の3命令が使用出来るようになる。これらの命令はN80SR-DISK-BASICでは実装されている。

参考文献[編集]

  • アスキー書籍編集部・編『みんながコレで燃えた! NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001 永久保存版』,株式会社アスキー,2,800円+税,(2005/3/15),224ページ

外部リンク[編集]