鶴見川口駅

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鶴見川口駅
つるみかわぐち
Tsurumikawaguchi
浅野 (2.4 km)
地図
所在地 神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目
北緯35度29分15秒 東経139度41分6秒 / 北緯35.48750度 東経139.68500度 / 35.48750; 139.68500座標: 北緯35度29分15秒 東経139度41分6秒 / 北緯35.48750度 東経139.68500度 / 35.48750; 139.68500
所属事業者 日本国有鉄道
所属路線 鶴見線(貨物支線)
キロ程 2.4 km(浅野起点)
電報略号 ツハ
駅構造 地上駅
開業年月日 1935年昭和10年)12月1日[1]
廃止年月日 1982年(昭和57年)11月15日[1]
備考 貨物駅
テンプレートを表示

鶴見川口駅(つるみかわぐちえき)は、かつて神奈川県横浜市鶴見区末広町1丁目に存在した日本国有鉄道(国鉄)鶴見線貨物支線の貨物駅である。電報略号は、ツハ。

1982年昭和57年)に浅野駅に統合される形で廃止されたが、1986年(昭和61年)まで同駅構内扱いとして存続していた。

歴史[編集]

県営による埋立地として造成された末広町に、鶴見線を建設した私鉄である鶴見臨港鉄道1935年昭和10年)12月1日に貨物支線を延ばしたことにより、鶴見川口駅が開業した。当初は弁天橋駅から分岐していた貨物支線であった。しかし当時は周辺に工場の進出はなく、将来的な需要を見越しての建設であったと思われる。

1943年(昭和18年)7月1日に鶴見臨港鉄道の鉄道事業が国有化され、鉄道省(国鉄)の鶴見線の駅となった。またこのときに、貨物支線の分岐点は浅野駅に変更された。その後時期は不明であるが、浅野駅からまっすぐ鶴見川口駅へ進入する配線であったのが、一旦鶴見小野駅付近まで進んで、そこで折り返して鶴見川口駅へ進入する形態に変更された。

同年、当駅から分岐する初めての専用線として、東京瓦斯化学工業横浜工場への線が開通した。同社は1945年(昭和20年)に東京瓦斯と合併し東京瓦斯横浜工場となった。当初は缶入りでベンゾールトルオールなどを出荷しており、1958年(昭和33年)頃からは系列会社の関東タール製品が所有するタンク車による輸送となった。1973年(昭和48年)からは、東京瓦斯所有のタム9600形液化天然ガス (LNG) 専用タンク車が、輸入されたLNGを当駅から日立市まで輸送するようになった。これは、輸入したLNGをタンカーから根岸に陸揚げし、そこからタンクローリーで当駅構内に運び込んで、さらにタンク車に中継する輸送であった。1975年(昭和50年)頃にはベンゼンなどの輸送は終了したが、LNG輸送は1986年(昭和61年)頃まで継続された。

2番目の専用線として、鶴見曹達の工場への専用線が1956年(昭和31年)頃に開通した。この専用線では苛性ソーダ液化塩素などの化学薬品類を、自社所有の私有タンク車により受け入れ、あるいは出荷していた。また1965年(昭和40年)頃にはこの専用線の途中から分岐して東芝のタービン工場への専用線が使用されていたが、短期間で終了した。鶴見曹達専用線も廃止頃まで使用されていた。

1971年(昭和46年)には旭硝子京浜工場への専用線が開通した。これは原料のドロマイト東武鉄道会沢線の第三会沢駅からタキ21000形で搬入するものであった。

1982年(昭和57年)11月15日に独立した駅としては廃止となったが、その後も浅野駅の構内の扱いで3社の専用線の貨物扱いを継続した。しかしこれも1986年(昭和61年)11月1日に廃止となった。

年表[編集]

  • 1935年昭和10年)12月1日:鶴見臨港鉄道の駅として開業[1]
  • 1943年(昭和18年)
    • 7月1日:国有化、鉄道省(後の日本国有鉄道)鶴見線の駅となる[1]
    • 東京瓦斯化学工業横浜工場(1945年(昭和20年)に東京瓦斯と合併し東京瓦斯横浜工場)への専用線開通。
    • この頃、鶴見小野駅付近で折り返す配線に変更
  • 1956年(昭和31年)頃:鶴見曹達専用線開通。
  • 1965年(昭和40年)頃:東芝のタービン工場への専用線が短期間のみ使用される。
  • 1971年(昭和46年):旭硝子京浜工場への専用線開通。
  • 1973年(昭和48年):東京瓦斯のタム9600形によるLNG輸送が開始される。
  • 1975年(昭和50年):東京瓦斯のベンゼン等の輸送が終了する。
  • 1982年(昭和57年)11月15日:廃止、浅野駅構内扱いとなる[1]
  • 1986年(昭和61年)11月1日:浅野駅構内扱いとしても廃止。専用線全廃。

現在の駅周辺[編集]

跡地[編集]

弁天橋駅付近は路線が残り、鶴見小野駅付近は歩道に転用されている。

その他[編集]

隣の駅[編集]

日本国有鉄道
鶴見線貨物支線
浅野駅 - 鶴見川口駅

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 38号 青梅線・鶴見線・南武線・五日市線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年4月11日、16-17頁。 

参考文献[編集]

  • 渡辺一策『鶴見線貨物回顧』(初版)ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 124〉、2009年12月1日。ISBN 978-4-7770-5271-4 

関連項目[編集]