豆炭

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石炭やベントナイトが主原料の伝統的な豆炭
バーベキューなどに使われる木炭由来の豆炭

豆炭(まめたん)は、各種石炭に消臭材などを加えて燃焼時の臭いを抑え、扱い易い「」状に成形した固形燃料である。また近年は木炭が原料のバーベキュー用Charcoal briquetteも豆炭という名称で流通している。

概要[編集]

欧州のCoal briquette(成形石炭)を元に、日本の家庭用燃料として扱い易く改良開発されて生まれたものが豆炭である。形状は、中央に厚みと丸みのある豆状の正方形で、辺長は5cm程度であり硬く重い。通常は十数種類の石炭をブレンドして製造されるが、木炭コーライト(軟質のコークスであり、石炭の低温乾留で得られる半成コークス)などが用いられている場合もある。これらを粉末にし、消石灰ピッチベントナイトなどを混ぜ合わせ、豆状に成型し、乾燥炉で焼成して作られる。圧縮して成形するプレス部分以外は成分配合を含め製造ラインの多くが練炭と共通の部分が多い。

豆炭を使う「豆炭炬燵」は、電力が要らず、安定した暖を長時間得ることが出来ることから、松江城を巡る「松江堀川遊覧船」など、静かなを巡る遊覧船炬燵で使われている例も多く、人気を博している。

なお、蒸気機関車大井川鉄道)など、石炭でボイラーを沸かす蒸気機関では工業用の豆炭が現在も使われている場合がある。この豆炭には消臭の役割を担う成分は添加されず、ボイラー燃焼と燃料搬入を効率化させるために利用されている。家庭用燃料の豆炭とは違い、形状はそれほど整っていない[1]。日本では工業用も「豆炭」という名称で呼ばれているが諸外国のCoal briquetteと同じものである。

近年の100円ショップホームセンターでは、欧米で普及しているCharcoal briquetteが「豆炭」という名称で販売されていることがある。これは日本の伝統的な豆炭とは異なり、木炭粉を主原料として成型されている。木炭粉を固めたものなので、石炭由来のものより軽く、表面は柔らかい。また燃焼時間は2時間程度でありオガ炭と似た燃焼をする。燃えかすは通常の木炭のものと似た灰が残る。ただ、日本の木炭と違い、木酢成分が抜けきっていないので、熾き火でも食材に木酢液のような煙臭が付くことがある。

歴史[編集]

登場は1920年と、練炭よりも古く、かつては火鉢七輪コンロで木炭のように使われ、半世紀近く生活必需品として重宝されていたが、現在は豆炭式炬燵や、豆炭あんかの燃料としての需要がほとんどである。木炭より長時間安定して燃焼する性質から、近年はダッチオーブンで上蓋の上に載せて加熱させる固形燃料の役割としても用いられて来ている。

  • 1920年(大正9年) - 川澄政が発明
  • 1921年(大正10年)10月31日 - 川澄煉炭株式会社 設立・販売開始(ミスジ豆炭)
  • 1922年(大正11年)9月 - 株式会社十全商会 設立・販売開始(十全豆炭)
  • 1934年(昭和9年)4月 - 品川豆炭株式会社 設立・販売開始(品川豆炭)
  • 1955年(昭和30年)4月 - 三鱗無煙炭株式会社 製造・販売開始(ミツウロコ豆炭)

燃焼時間[編集]

燃焼開始から数時間を経た豆炭。練炭と似た燃臭と燃焼過程を辿る
  • 七輪の場合は3時間ほど、練炭コンロの場合は4〜5時間ほど、火鉢の中に入れた場合は約8時間もつ。豆炭あんかや、豆炭こたつの場合はほぼ1日もつ。

問題点[編集]

  • 着火剤付きでないものは火がつきにくい。着火剤付きの豆炭は簡単に着火出来るが割高である。
  • 同じ商品でも店舗によって極端に値段が異なる。倍以上差がある場合もあるので価格を良く検索検討した方が好ましい。
  • 木炭と比較し、七輪など開放された環境での燃焼では、練炭と似た石炭の燃焼臭がする。かつては木炭と同様の扱いで、焼き魚にも使われていたが、現代の水準で見れば、焼きもの料理や屋内での使用には向かない(なお、豆炭こたつや豆炭あんかでは周りがロックウールと触媒に包まれているため臭いはほとんど問題にならない)。
  • 燃焼時は一酸化炭素が常時発生している。このため、時々、一酸化炭素中毒事故がおきている(豆炭こたつの場合は、適切に用いればこたつの燃焼機に内蔵された触媒によって一酸化炭素の発生がかなり抑えられている)。
  • 燃焼後の灰には微量ではあるが石炭由来の各種有害物質や重金属などが残っているので、庭や畑などに捨てる事は避ける。自治体に相談のうえ、ビニール袋などに詰めて残灰がこぼれないようにして不燃ゴミとして処分してもらうのが適切である。

酸性雨対策[編集]

中華人民共和国の一部では今も調理用の燃料として用いられている。以前は豆炭の材料となる石炭の硫黄成分の問題により、硫黄酸化物など酸性雨の原因物質を大量に発生させるなどの問題点があった。このため、中国政府と日本のボランティアにより消石灰や籾殻などを混ぜる独自の豆炭の普及活動が行われ、酸性雨問題の軽減に役立っている。

脚注[編集]

  1. ^ 黒いダイヤ 渡邊組の日々

関連項目[編集]