「痴漢冤罪」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2009年2月}}
{{出典の明記|date=2009年2月}}
'''痴漢冤罪'''(ちかんえんざい)とは、[[痴漢]]をしていない者が、痴漢行為者として疑いをかけられる[[冤罪]]の一種である。また、それによって[[警察]][[司法]]機関から不当な処遇・処分を受けたり、[[社会的制裁]]を受けたりすることを含む場合がある。
'''痴漢冤罪'''(ちかんえんざい)とは、[[痴漢]]をしていない者が、痴漢行為者として疑いをかけられる[[冤罪]]。また、それによって警察や司法機関から不当な処遇・処分を受けたり、[[社会的制裁]]を受けたりすることを含む場合がある。


== 概要 ==
== 概要 ==
{{独自研究|section=1|date=2017年4月}}
{{独自研究|section=1|date=2017年4月}}
近年では社会的に、痴漢犯罪を撲滅しようという動きが高まり、1999年以降痴漢の送検件数が急増した。一方で、痴漢犯罪の取締り強化に伴い、痴漢行為をしていない者が[[告発]]され、無実の罪を着せられる[[冤罪]]事件も発生するようになった。この問題は、多くの男性が冤罪被害に遭う可能性のある事件として、[[1990年代]]末から[[マスメディア]]などで[[社会問題]]として頻繁に取り上げられるようになった<ref>[https://web.archive.org/web/20090417050825/http://www.tokyonp.co.jp/article/national/news/CK2009041502000057.html 【関連】『痴漢』逆転無罪 『決めつけ』捜査批判 3年の訴え実る] [[東京新聞]] 2009年4月17日時点でのアーカイブ。 2009年4月15日朝刊</ref>。これは痴漢被害者のほとんどが女性のためだが、痴漢被害者は男女を問わない<ref>[http://www.huffingtonpost.jp/spork/post_7249_b_5068288.html 男性も痴漢から保護対象に この春、全都道府県で改正条例施行] - Spork!、2014年4月5日、2016年6月26日閲覧。</ref>ため、女性が冤罪被害に遭う可能性もある。
近年では社会的に、痴漢犯罪を撲滅しようという動きが高まり、1999年以降痴漢の送検件数が急増した。一方で、痴漢犯罪の取締り強化に伴い、痴漢行為をしていない者が告発され、無実の罪を着せられる冤罪事件も発生するようになった。この問題は、多くの男性が冤罪被害に遭う可能性のある事件として、1990年代末からマスメディアなどで社会問題として頻繁に取り上げられるようになった<ref>{{Cite news|title=【関連】『痴漢』逆転無罪 『決めつけ』捜査批判 3年の訴え実る|newspaper=東京新聞|date=2009年4月15日朝刊|url=http://www.tokyonp.co.jp/article/national/news/CK2009041502000057.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090417050825/http://www.tokyonp.co.jp/article/national/news/CK2009041502000057.html|archivedate=2009-04-17}}</ref>。これは痴漢被害者のほとんどが女性のためだが、痴漢被害者は男女を問わない<ref>{{Cite news|title=男性も痴漢から保護対象に この春、全都道府県で改正条例施行|newspaper=ハフィントン・ポスト|date=2014-04-05|url=http://www.huffingtonpost.jp/spork/post_7249_b_5068288.html|accessdate=2016-06-26}}</ref>ため、女性が冤罪被害に遭う可能性もある。


{{要出典範囲|date=2017年4月|典型的には、[[鉄道]]・[[バス (交通機関)|バス]]などの[[公共交通機関]]の車内で、[[痴漢]]被害に遭った女性またはそう主張する女性が、近傍に居合わせた無関係な[[男性]][[犯罪者]]として[[告発]]するような事件を指す。例えば女性の後に男性が2人並んで立っていて、一方が女性に対し触れるなどの痴漢行為をした場合に、女性がもう一方の無関係な男性の手を誤って掴んでしまい、その男性が疑われるというケースなどが考えられる。
{{要出典範囲|date=2017年4月|典型的には、[[鉄道]]・[[バス (交通機関)|バス]]などの[[公共交通機関]]の車内で、痴漢被害に遭った女性またはそう主張する女性が、近傍に居合わせた無関係な男性を犯罪者として告発するような事件を指す。例えば女性の後に男性が2人並んで立っていて、一方が女性に対し触れるなどの痴漢行為をした場合に、女性がもう一方の無関係な男性の手を誤って掴んでしまい、その男性が疑われるというケースなどが考えられる。


痴漢冤罪が発生しやすい背景の1つは、満員電車内での痴漢行為が誤認を起こしやすい状況下の犯罪だということである。実際に痴漢に遭った場合でも、混雑からその実行者を誤認し、無関係な人間を訴えてしまう危険がある。また、痴漢犯罪は客観的な物的証拠が残りにくく、痴漢被害者の証言に頼りがちであることも挙げられる。
痴漢冤罪が発生しやすい背景の1つは、満員電車内での痴漢行為が誤認を起こしやすい状況下の犯罪だということである。実際に痴漢に遭った場合でも、混雑からその実行者を誤認し、無関係な人間を訴えてしまう危険がある。また、痴漢犯罪は客観的な物的証拠が残りにくく、痴漢被害者の証言に頼りがちであることも挙げられる。
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なお、1997年10月に痴漢で逮捕され、冤罪を争って名前と顔を公開してメディアで何度も取り上げられた男性が、痴漢に関して最高裁で2002年9月に有罪判決が確定し<ref>[http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/830/057830_hanrei.pdf 最高裁判決平成14年9月26日]最高裁判所裁判集刑事282号237頁</ref>、なおも判決の不当を訴えて活動していたが、2003年7月に[[盗撮]]容疑で逮捕される事件もあった<ref>http://www.rikkyo.ne.jp/web/araki/chikanenzai/konkai-ben.htm</ref>。
なお、1997年10月に痴漢で逮捕され、冤罪を争って名前と顔を公開してメディアで何度も取り上げられた男性が、痴漢に関して最高裁で2002年9月に有罪判決が確定し<ref>[http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/830/057830_hanrei.pdf 最高裁判決平成14年9月26日] 最高裁判所裁判集刑事282号237頁(PDF)</ref>、なおも判決の不当を訴えて活動していたが、2003年7月に[[盗撮]]容疑で逮捕される事件もあった<ref>[http://www.rikkyo.ne.jp/web/araki/chikanenzai/konkai-ben.htm]{{出典無効|date=2017年4月|title=個人サイト?}}</ref>。


== 問題点 ==
== 問題点 ==
{{出典の明記|date=2017年4月|section=1}}
=== 冤罪被害によくあるもの ===
=== 冤罪被害によくあるもの ===
; 社会復帰の困難性
; 社会復帰の困難性
: 痴漢冤罪事件の[[無罪]]判決が確定してもなお、[[社会的ダメージ|社会的信頼を失い]]、誣告者に対する[[民事訴訟|損害賠償請求]]を起こしても大概の案件は敗訴するのが現状である。勝訴しても精神的苦痛による慰謝料が通るかどうかの程度で、仮に取れたとしてもごく少額であり、裁判費用([[弁護士]][[司法書士]]費用)で大赤字となってしまう。早期に冤罪が確定しても「痴漢と疑われる人」など、社会的地位/信頼性、私生活などを失いかねない被害を受ける<ref name="mainichi20160826">[http://mainichi.jp/articles/20160823/ddn/041/040/008000c 無罪判決 「痴漢現行犯」に問われた男性 大阪府警が誤認逮捕 地裁支部「証拠不十分」] 毎日新聞 2016年4月26日</ref>。また、逮捕時のトラウマから、冤罪被害を恐れて[[公共交通機関]]を利用できなくなるなどの心理的打撃も発生することがある<ref name="mainichi20160826" />。
: 痴漢冤罪事件の[[無罪]]判決が確定してもなお社会的信頼を失い、誣告者に対する損害賠償請求を起こしても大概の案件は敗訴するのが現状である。勝訴しても精神的苦痛による慰謝料が通るかどうかの程度で、仮に取れたとしてもごく少額であり、裁判費用(弁護士・司法書士費用)を多くは取り返すこは出来。早期に冤罪が確定しても「痴漢と疑われる人」など、社会的地位/信頼性、私生活などを失いかねない被害を受ける<ref name="mainichi20160826">{{Cite news|title=無罪判決 「痴漢現行犯」に問われた男性 大阪府警が誤認逮捕 地裁支部「証拠不十分」|newspaper=毎日新聞|date=2016-04-26|url=http://mainichi.jp/articles/20160823/ddn/041/040/008000c}}{{リンク切れ|date=2017年4月}}</ref>。また、逮捕時のトラウマから、冤罪被害を恐れて[[公共交通機関]]を利用できなくなるなどの心理的打撃も発生することがある<ref name="mainichi20160826" />。
: これらの問題は逮捕された時点であたかも犯罪者であるかのように扱う報道機関の影響も考えられる。一例として、痴漢の容疑で[[実名報道]]された[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の重役が自殺している{{Refnest|group="注釈"|ただし、このケースでは痴漢被害者が、被疑者の顔を覚えてしまうほど過去に同様の手口で複数回の被害があり、間違いはないと主張している<ref name="gendai34645"/>。}}<ref name="gendai34645"/>。
: これらの問題は逮捕された時点であたかも犯罪者であるかのように扱う報道機関の影響も考えられる。一例として、痴漢の容疑で[[実名報道]]された[[西日本旅客鉄道|JR西日本]]の重役が自殺している{{Refnest|group="注釈"|ただし、このケースでは痴漢被害者が、被疑者の顔を覚えてしまうほど過去に同様の手口で複数回の被害があり、間違いはないと主張している<ref name="gendai34645"/>。}}<ref name="gendai34645"/>。
: 一方で、加害者ではない者を告発した者は、勘違い等で済まされることが多く、社会的や私生活に受ける被害は小さい。ただし[[兵庫県|兵庫県内]]では、痴漢被害に遭ったとされる当時高校生だった女子大学生が、冤罪になった相手(被誣告者)から「[[お礼参り]]」として暴行された末に殺害された上、河川敷に遺棄された例もある。[[神戸地方裁判所]][[裁判員制度|裁判員裁判]])は「復讐や仕返しにしてはやり過ぎだ」と断罪し、犯人に対し[[懲役]]25年の判決を宣告した。
: 一方で、加害者ではない者を告発した者は、勘違い等で済まされることが多く、社会的や私生活に受ける被害は小さい。{{要出典範囲|ただし兵庫県内では、痴漢被害に遭ったとされる当時高校生だった女子大学生が、冤罪になった相手(被誣告者)から「お礼参り」として暴行された末に殺害された上、河川敷に遺棄された例もある。神戸地方裁判所(裁判員裁判)は「復讐や仕返しにしてはやり過ぎだ」と断罪し、犯人に対し懲役25年の判決を宣告した|date=2017年4月}}
; 長期勾留
; 長期勾留
: 痴漢行為の冤罪を主張し否認を続けた場合、警察・検察により数ヵ月から1年以上長期間にわたって[[勾留]]され{{Refnest|group="注釈"|勾留されている間、行政から一切の就業補償はなされない。}}、容疑を認めるまで解放されない。そのため容疑者としての勾留であっても周囲には勾留=逮捕=有罪確定と誤認される可能性がある。
: 痴漢行為の冤罪を主張し否認を続けた場合、警察・検察により数ヵ月から1年以上長期間にわたって勾留され{{Refnest|group="注釈"|勾留されている間、行政から一切の就業補償はなされない。}}、容疑を認めるまで解放されない。そのため容疑者としての勾留であっても周囲には勾留=逮捕=有罪確定と誤認される可能性がある。
: 最終的に冤罪であると認められた場合でも、裁判の判決まで1年から数年を要する。それを怖れ、痴漢をした事実がなくても、警察からの早期解放を目的に罪を認める場合がある。この場合、[[前科]]が付き、数万から数十万円の[[罰金刑]]を支払うことになるが、前科は一定期間すれば記録には残らない。また、再犯を犯さない限り犯罪の事実は社会に公表されることはない。
: 最終的に冤罪であると認められた場合でも、裁判の判決まで1年から数年を要する。それを怖れ、痴漢をした事実がなくても、警察からの早期解放を目的に罪を認める場合がある。この場合、前科が付き、数万から数十万円の罰金刑を支払うことになるが、前科は一定期間すれば記録には残らない。また、再犯を犯さない限り犯罪の事実は社会に公表されることはない。
: これに対し、冤罪だと主張した場合は、実名報道されるケースが多い。この不利益により、冤罪被害者本人に限らず、家族が重い鬱病になった事例や、離婚に追い込まれた事例もある。痴漢冤罪の被害者が家計を主に支える人間である場合、世帯の収入が激減することも大きな問題である([[代用刑事施設|代用監獄]]も参照)。
: これに対し、冤罪だと主張した場合は、実名報道されるケースが多い。この不利益により、冤罪被害者本人に限らず、家族が重い鬱病になった事例や、離婚に追い込まれた事例もある。痴漢冤罪の被害者が家計を主に支える人間である場合、世帯の収入が激減することも大きな問題である(代用監獄も参照)。
; 虚偽申告
; 虚偽申告
: [[警察庁長官]]は、[[記者会見]]で「極めて少数だが、痴漢被害を偽装する女性が存在する」と認めている<ref>[https://web.archive.org/web/20090419114022/http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200904160291.html 「痴漢事件捜査、多角的に検討」 無罪判決で警察庁長官] asahi.com 2009年4月19日時点でのアーカイブ。2009年4月16日付。</ref>。
: 警察庁長官は、記者会見で「極めて少数だが、痴漢被害を偽装する女性が存在する」と認めている<ref>{{Cite news|title=「痴漢事件捜査、多角的に検討」 無罪判決で警察庁長官|newspaper=朝日新聞|date=2009-04-16|url=http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200904160291.html|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090419114022/http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200904160291.html|archivedate=2009-04-19}}</ref>。
: 中には[[男性]]に多額の[[示談金]]を要求するケースもあり、痴漢告発の常習者であった事案もある<ref name="fuji">[http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_01.html 夕刊フジ特捜班 痴漢冤罪の恐怖] 2007年2月24日</ref><ref name="net">[http://www.rikkyo.ne.jp/univ/araki/chikanenzai/ 痴漢えん罪ネットワーク 2007年2月24日]</ref>。ただ、誣告者が刑事責任を問われるのは前述のとおり勘違いなどで済まされることが多々あり、ほぼ皆無である。
: 中には男性に多額の示談金を要求するケースもあり、痴漢告発の常習者であった事案もある<ref>{{Cite news|title=痴漢冤罪の恐怖 あなたも犯人に…(1)|newspaper=ZAKZAK|date=2007-02-24|url=http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_01.html}}</ref><ref>[http://www.rikkyo.ne.jp/univ/araki/chikanenzai/] 痴漢えん罪ネットワーク 2007年2月24日{{出典無効|date=2017年4月|title=個人サイト?}}<</ref>。ただ、誣告者が刑事責任を問われるのは前述のとおり勘違いなどで済まされることが多々あり、ほぼ皆無である。
: 希な例ではあるが、[[大阪市営地下鉄御堂筋線]]車内で交際相手とつるみ、偶然居合わせた乗客を痴漢扱いして[[大阪府警察|警察]]に誣告した[[女性]][[大阪地方裁判所]][[執行猶予]]付き有罪判決を受けた例がある。これを[[教唆犯|使嗾(しそう)]]した交際相手の[[男性]]は、同地裁にて懲役5年6ヶ月の実刑判決を宣告された。ただ、この事件は実行犯の女性が[[自首]]したことで発覚したものである。
: 希な例ではあるが、大阪市営地下鉄御堂筋線車内で交際相手とつるみ、偶然居合わせた乗客を痴漢扱いして警察に誣告した女性が大阪地方裁判所で執行猶予付き有罪判決を受けた例がある。これを使嗾した交際相手の男性は、同地裁にて懲役5年6ヶ月の実刑判決を宣告された。ただ、この事件は実行犯の女性が自首したことで発覚したものである{{要出典|date=2017年4月}}

; 検挙のための検挙
; 検挙のための検挙
: 痴漢被害者が、痴漢加害者が誰か正確に認識できず、告訴をためらっていた場合でも『警察が責任を持つ』『後戻りはできない』と、警察官が被害者に告訴を強要する場合もある<ref name="fuji2">[http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_03.html 夕刊フジ特捜班 痴漢冤罪の恐怖]
: 痴漢被害者が、痴漢加害者が誰か正確に認識できず、告訴をためらっていた場合でも『警察が責任を持つ』『後戻りはできない』と、警察官が被害者に告訴を強要する場合もある<ref>[http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_03.html 夕刊フジ特捜班 痴漢冤罪の恐怖 あなたも犯人に…(3)] ZAKZAK</ref>。
</ref>。
: 判決の理由として「原告の(被害体験)供述は臨場感がある」といった判決理由も多い。警察・検察が、容疑者に有利な証拠を出さない場合もある。このように、取り締まる側が通報者に過度に協力的な態勢は、自らの業務意義を間違った形で、肯定するための手段に陥りがちである。
: 判決の理由として「原告の(被害体験)供述は臨場感がある」といった判決理由も多い。警察・検察が、容疑者に有利な証拠を出さない場合もある。このように、取り締まる側が通報者に過度に協力的な態勢は、自らの業務意義を間違った形で、肯定するための手段に陥りがちである。
; 裁判費用
: [[弁護士]]費用などがかかる。

=== 痴漢冤罪に顕著なもの ===
=== 痴漢冤罪に顕著なもの ===
; 誤認による冤罪
; 誤認による冤罪
: 混雑している車両で起こるため、痴漢自体はあったとしても、加害者として無関係の乗客を間違えて訴えてしまうことがある。
: 混雑している車両で起こるため、痴漢自体はあったとしても、加害者として無関係の乗客を間違えて訴えてしまうことがある。

; 推定無罪の原則
; 推定無罪の原則
: 本来、刑事裁判における犯罪の証明には、捜査機関が「被告人が犯罪をした証拠」を提出する必要がある。しかし、痴漢の場合は物的証拠がほとんど残らないという犯罪の性質上、被害を受けた者の「この人が痴漢をした」との証言(犯人識別供述)と被疑者の自白程度しか証拠がないことが多く、その証言ないし自白が信用されるものと認定されれば、具体的な物証がなくとも実際に犯罪をなしたと見なされる傾向にある。日本は他の[[近代]][[法治国家]]と同様に[[推定無罪|推定無罪の原則]]を採っているが、痴漢を含む性犯罪に関しては、容疑者がいわゆる「[[悪魔の証明]]」をしない限りは被害者の訴えのみで有罪が確定するケースが大半である。
: 本来、刑事裁判における犯罪の証明には、捜査機関が「被告人が犯罪をした証拠」を提出する必要がある。しかし、痴漢の場合は物的証拠がほとんど残らないという犯罪の性質上、被害を受けた者の「この人が痴漢をした」との証言(犯人識別供述)と被疑者の自白程度しか証拠がないことが多く、その証言ないし自白が信用されるものと認定されれば、具体的な物証がなくとも実際に犯罪をなしたと見なされる傾向にある。日本は他の近代法治国家と同様に推定無罪の原則を採っているが、痴漢を含む性犯罪に関しては、容疑者がいわゆる「悪魔の証明」をしない限りは被害者の訴えのみで有罪が確定するケースが大半である。
: しかしながら、痴漢など性犯罪に限らず、被害者の証言とそれに伴う状況証拠の検証のみで有罪が確定することは一般的である。例えば「Aさんに殴られた」という軽微な[[暴行]]事件についても被害者の訴え以外に証拠を集めることは困難であり、被害者の証言をもとに検証するしかない。そのため、司法の問題点を指摘する意見や、治安を守る上での限界という意見もある。
: しかしながら、痴漢など性犯罪に限らず、被害者の証言とそれに伴う状況証拠の検証のみで有罪が確定することは一般的である。例えば「Aさんに殴られた」という軽微な暴行事件についても被害者の訴え以外に証拠を集めることは困難であり、被害者の証言をもとに検証するしかない。そのため、司法の問題点を指摘する意見や、治安を守る上での限界という意見もある。

; 悪魔の証明
: 上記のように推定無罪の原則が適用されにくいため、痴漢冤罪を防ぐには、被告人が「痴漢をしていない証拠」を示し、100%揃える必要がある。これは[[悪魔の証明]]と呼ばれるものであり、痴漢をしていないことを証明することは極めて困難である。このような構造になった原因として、もともと日本では軽微な性犯罪であると見なされていた痴漢に対する制裁が軽く、弱い立場の被害者が泣き寝入りすることも多かったため、これを是正するために警察や裁判所が被害者を守ることに重点を置いた対応をするようになったことを挙げる意見がある{{要出典|date=2014年9月}}。
: 上記のように推定無罪の原則が適用されにくいため、痴漢冤罪を防ぐには、被告人が「痴漢をしていない証拠」を示し、100%揃える必要がある。これは[[悪魔の証明]]と呼ばれるものであり、痴漢をしていないことを証明することは極めて困難である。このような構造になった原因として、もともと日本では軽微な性犯罪であると見なされていた痴漢に対する制裁が軽く、弱い立場の被害者が泣き寝入りすることも多かったため、これを是正するために警察や裁判所が被害者を守ることに重点を置いた対応をするようになったことを挙げる意見がある{{要出典|date=2014年9月}}。
: 実際、起訴されれば無罪になる確率が0.02%であり、1審で有罪になると、新証拠が出されないと無罪になりにくい<ref>[http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/131107_1.html 奇跡体験!アンビリバボー 痴漢えん罪事件壮絶868日]</ref>。ただし、一般に起訴後の無罪率は0.03%であり、痴漢犯罪において顕著に無罪率が低いということはない。また、起訴されたうちの何割が実際に無罪であったかは不明であるため、「冤罪率=無罪の人が有罪になる確率」は不明である{{Refnest|group="注釈"|例えば、無罪率が0.02%であっても、そもそも起訴事件中で実際に無罪であるものが0.02%しかなく、これらが無罪判決となっているのであれば、冤罪率は0%である。}}。
: 実際、起訴されれば無罪になる確率が0.02%であり、1審で有罪になると、新証拠が出されないと無罪になりにくい<ref name="unb131107_1">[http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/131107_1.html 奇跡体験!アンビリバボー 痴漢えん罪事件壮絶868日] フジテレビ 2013年11月7日放送</ref>。ただし、一般に起訴後の無罪率は0.03%であり、痴漢犯罪において顕著に無罪率が低いということはない。また、起訴されたうちの何割が実際に無罪であったかは不明であるため、「冤罪率=無罪の人が有罪になる確率」は不明である{{Refnest|group="注釈"|例えば、無罪率が0.02%であっても、そもそも起訴事件中で実際に無罪であるものが0.02%しかなく、これらが無罪判決となっているのであれば、冤罪率は0%である。}}。

; 現行犯逮捕への不理解
; 現行犯逮捕への不理解
: 痴漢容疑者が、既に[[私人逮捕]]されていることに気づかず駅事務所について行ってしまった場合、[[現行犯逮捕]]に同意した(自身の氏名や居住地・身分を明らかにせず容疑を認めた)とみなされるため、容疑者自身の立場を法律的に悪くしている<ref>[http://www.fujitv.co.jp/unb/contents/131107_1.html 奇跡体験!アンビリバボー 痴漢えん罪事件壮絶868日]</ref>。
: 痴漢容疑者が、既に私人逮捕されていることに気づかず駅事務所について行ってしまった場合、現行犯逮捕に同意した(自身の氏名や居住地・身分を明らかにせず容疑を認めた)とみなされるため、容疑者自身の立場を法律的に悪くしている<ref name="unb131107_1" />。
: なお、痴漢を目撃した場合、あるいは被害者が痴漢の事実を訴えている場合には、周囲にいる人には、被疑者が身分を明らかにせず、かつ逃亡の恐れがあると認められるときに限り、被疑者の身柄を現行犯逮捕することができる。ただし、目撃者が被害者一人だけの場合、違法逮捕になる恐れもあり、十分な状況の把握が必要になる。
: なお、痴漢を目撃した場合、あるいは被害者が痴漢の事実を訴えている場合には、周囲にいる人には、被疑者が身分を明らかにせず、かつ逃亡の恐れがあると認められるときに限り、被疑者の身柄を現行犯逮捕することができる。ただし、目撃者が被害者一人だけの場合、違法逮捕になる恐れもあり、十分な状況の把握が必要になる。


== 痴漢冤罪をめぐる変化 ==
== 痴漢冤罪をめぐる変化 ==
=== 司法の変化 ===
=== 司法の変化 ===
痴漢の場合、物的証拠がほとんど残らないため、痴漢被害者の訴えが他の訴訟に比して重要視される傾向にあった。しかし、被害者の保護が行き過ぎると冤罪の訴えの多発を招く。そのため、痴漢冤罪に対する世論の高まりとともに、痴漢被害を主張する者の衣服の[[指紋]]の採取、容疑者の指に付着した衣服の繊維や被害者の体液や皮膚の組織などの[[DNA鑑定]]等、より先進的かつ客観的な物的証拠が求められるようになり、これらの物的証拠は、起訴段階もしくは審理において重要視されるようになりつつある<ref>[http://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/seianki/seianki20090625.pdf 平成21年6月25日付警察庁通達]</ref>。ただし、列車が揺れた際に偶然手が触れたといったケースの場合、意図的ではなくても物的証拠が残ってしまう可能性もある。ただし、いまだに被害者本人と交際相手の証言のみでも有罪になる場合がほとんどであり、司法は痴漢冤罪に関して未だ厳しいのが現状である。
痴漢の場合、物的証拠がほとんど残らないため、痴漢被害者の訴えが他の訴訟に比して重要視される傾向にあった。しかし、被害者の保護が行き過ぎると冤罪の訴えの多発を招く。そのため、痴漢冤罪に対する世論の高まりとともに、痴漢被害を主張する者の衣服の指紋の採取、容疑者の指に付着した衣服の繊維や被害者の体液や皮膚の組織などのDNA鑑定等、より先進的かつ客観的な物的証拠が求められるようになり、これらの物的証拠は、起訴段階もしくは審理において重要視されるようになりつつある<ref>[http://www.npa.go.jp/pdc/notification/seian/seianki/seianki20090625.pdf 平成21年6月25日付警察庁通達](PDF)</ref>。ただし、列車が揺れた際に偶然手が触れたといったケースの場合、意図的ではなくても物的証拠が残ってしまう可能性もある。ただし、いまだに被害者本人と交際相手の証言のみでも有罪になる場合がほとんどであり、司法は痴漢冤罪に関して未だ厳しいのが現状である。

=== 社会の変化 ===
=== 社会の変化 ===
{{要出典範囲|date=2017年3月|痴漢冤罪による無罪判決がマスコミなどで頻繁かつ大々的に取り上げられるようになった結果、企業・組織の側でも従業員が逮捕されても初犯に限り、即座に懲戒免職としない傾向が見られるようになった。失職する場合本人が留まりづらく自ら退職する場合が多かったが、近年では人格的に信用されている個人の場合、社員仲間が被疑者を支援し、その家族を支える事例も見られる。また、都市部においては痴漢冤罪対策として、男性を中心に[[モータリゼーション|自家用車(オートバイ・原付バイク・自転車を含む)通勤]]をする人あるいは座席指定制の[[有料特急]][[新幹線通勤]]を含む)や[[ホームライナー]]を利用する人も増えている}}。
{{要出典範囲|date=2017年3月|痴漢冤罪による無罪判決がマスコミなどで頻繁かつ大々的に取り上げられるようになった結果、企業・組織の側でも従業員が逮捕されても初犯に限り、即座に懲戒免職としない傾向が見られるようになった。失職する場合本人が留まりづらく自ら退職する場合が多かったが、近年では人格的に信用されている個人の場合、社員仲間が被疑者を支援し、その家族を支える事例も見られる。また、都市部においては痴漢冤罪対策として、男性を中心に自家用車(オートバイ・原付バイク・自転車を含む)通勤をする人あるいは座席指定制の有料特急(新幹線通勤を含む)やホームライナーを利用する人も増えている}}。


== 主な痴漢冤罪事件 ==
以下は個別の記事がある痴漢冤罪事件である。
*[[防衛医大教授痴漢冤罪事件]]
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http://ja.wikipedia.org/wiki/Wikipedia:削除依頼/冤罪事件及び冤罪と疑われている主な事件
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こちらと同様の理由で非表示とした。
こちらと同様の理由で非表示とした。
=== 一例 ===

* 2008年1月17日、電車内で、専門学校生の女性の胸を服の上から右ひじで触ったということで、滋賀県警鉄道警察隊員は現行犯で男性を逮捕、男性は一貫して無罪を主張したが、大津地裁は有罪判決を下した<ref>ポルノ・売春問題研究会:[http://www.app-jp.org/modules/news/?action_user_read=true&storyid=521&topicid=16&start=120 痴漢 : 痴漢でJR車掌に有罪 大津地裁] ポルノ・売春問題研究会(元記事:産経新聞) 2008年8月21日13時55分配信</ref>。
そして、下記に述べる事件のように依然として被害者とされる相手の供述のみで、起訴、有罪(場合によっては実刑)とされる場合も多い。
* 2008年12月8日朝、電車内で女性に痴漢行為をしたとされた男性は、捜査段階から容疑を否認しており、女性の衣服からも被告の服の繊維は検出されず、目撃証拠は被害者女性とその交際男性の供述のみであったが、名古屋高裁は2010年11月24日、罰金50万円の有罪判決を言い渡した<ref>{{Cite web|url=http://blog.livedoor.jp/yoshitaka1215/archives/1969989.html|title=痴漢 愛知県職員に逆転有罪判決|publisher=ニュースウェブ|accessdate=2011-01-25}}{{出典無効|date=2017年4月|title=個人ブログによる転載}}</ref>。

* 2013年4月、大阪・高槻警察署が、少女のスカートをめくった痴漢の疑いで、事件と無関係の男性を逮捕した。警官が付近でジョギングをしていた男性に事情を聴くと「何もやっていない」と関与を否定したが、少女と母親が「犯人に間違いない」と話したため、現行犯逮捕した。しかし、実際には母親が犯人を見ていないことがわかり、付近の防犯カメラには、別の男が映っていたこともあり男性は、35分後に釈放された<ref>{{Cite news|title=事件と無関係の男性を痴漢容疑で誤認逮捕 大阪・高槻警察署|newspaper=FNN|date=8月9日14時49分|url=http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130809-00000536-fnn-soci}}{{リンク切れ|date=2013年11月}}</ref>。
[[2008年]][[1月17日]]には電車内で、専門学校生の女性の胸を服の上から右ひじで触ったということで、滋賀県警鉄道警察隊員は現行犯で男性を逮捕、男性は一貫して無罪を主張したが、大津地裁は有罪判決を下した<ref>ポルノ・売春問題研究会:
=== 確定した痴漢冤罪事件 ===
[http://www.app-jp.org/modules/news/?action_user_read=true&storyid=521&topicid=16&start=120 痴漢 : 痴漢でJR車掌に有罪 大津地裁]。産經新聞 2008年8月21日13時55分配信</ref>。
* 2008年2月1日午後8時半頃、大阪市営地下鉄御堂筋線の動物園前-天王寺間を走行していた電車内で、ドア付近に立っていた男性会社員が、近くにいた女から「お尻触ったでしょ」と声をかけられた、男性会社員が否定すると、声をかけた女はうずくまって泣き出し、近くにいた甲南大学4年の男(その後、虚偽告訴の疑いで逮捕および退学処分)も、「触りましたね」と詰め寄った。この男性会社員は大阪府迷惑防止条例違反(痴漢の)疑いで大阪府警察により現行犯逮捕されたが、その後の調べで証人の証言が食い違い、女と交際相手の男が示談金目当てに男性会社員を痴漢としてでっち上げたことが判明している<ref>{{Cite news|title=「男性車両作って!」痴漢冤罪にサラリーマン悲鳴|newspaper=ZAKZAK|date=2008-03-21|url=http://www.zakzak.co.jp/top/2008_03/t2008032120_all.html|archiveurl=http://web.archive.org/web/20080323133403/http://www.zakzak.co.jp/top/2008_03/t2008032120_all.html|archivedate=2008-03-23}}</ref>。この事件をきっかけに、大阪市交通局には男性専用車両や男女別車両の要望が相次ぎ、当時の市長や在阪の大手私鉄は、要望が多ければ検討するという見解を示すに至った。なお、実行犯の女は大阪地方裁判所にて執行猶予付き有罪判決を受け確定し、主犯の大学生の男も同地裁で実刑判決を受けた。その後、会社員男性は実行犯の女より謝罪を受けたものの、2人に対し民事訴訟を起こしたかどうかは明らかにされていない。

* 2008年、大学教員がJR総武線車内で痴漢をしたとして東京都迷惑防止条例違反で逮捕され、一審の東京地方裁判所で罰金刑の有罪判決。しかし控訴審で東京高等裁判所は、「被害者供述は裁判官の誘導に基づくもので信用性に欠ける」として2013年7月に逆転無罪判決を言い渡した<ref>{{Cite news|title=「裁判官が誘導」と逆転無罪 痴漢で起訴の大学教員|newspaper=共同通信|date=2009-04-16|url=http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072501001446.html}}{{リンク切れ|date=2017年4月}}</ref>。
[[2008年]][[12月8日]]朝、電車内で女性に痴漢行為をしたとされた男性は、捜査段階から容疑を否認しており、女性の衣服からも被告の服の繊維は検出されず、目撃証拠は被害者女性とその交際男性の供述のみであったが、名古屋高裁は2010年11月24日、罰金50万円の有罪判決を言い渡した<ref>{{Cite web |url=http://blog.livedoor.jp/yoshitaka1215/archives/1969989.html|title=痴漢 愛知県職員に逆転有罪判決 |author= |publisher=ニュースウェブ |accessdate=2011年1月25日 }}</ref>。
* 2006年4月、防衛医科大学校教授が小田急線の成城学園前駅から下北沢駅の乗車期間中、車内で女子高校生に痴漢行為をしたとして強制わいせつ罪に問われ、30日間に渡り勾留された。一審二審で実刑とされたが、2009年4月の最高裁第三小法廷において「被害者の証言は不自然で、信用性に疑いがある」として、逆転無罪が確定した。被害者の女子高校生は痴漢被害を受けても車内では逃れようとせず、また一旦下車したあとも再び同教授のそばに乗るなどの不自然な証言をしていた。ただし有罪と見た裁判官は5人中2人おり、堀籠幸男裁判官は、「犯人との争いや乗客の関心の的となることに対する気後れ、羞恥心などから我慢していた被害者が、我慢の限界に達して反撃に出ることは十分にありえる」「この時間帯が多数の乗客が押し入るように乗り込んでくることへの認識に欠ける」として、「一旦下車したあとも再び同教授のそばに乗った」ことを論拠に被害者の証言を退ける意見に反論した。判決は「客観証拠が得られにくい満員電車内の痴漢事件では、特に慎重な判断が求められる」と今後同種の事件に少なからず影響を与えるだろう、と判断を示した。痴漢事件で最高裁が逆転無罪の判決を確定させたのは初めてである。なお、同教授は無罪確定後に復職が認められたが、この間は3年もかかった<ref>{{Cite news|title=最高裁無罪判決:防衛医大教授に復職|newspaper=毎日新聞|date=2009-04-27|url=http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090427k0000e040079000c.html|accessdate=2009-02-01|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090430102032/http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090427k0000e040079000c.html|archivedate=2009-04-30}}</ref>。{{main|防衛医大教授痴漢冤罪事件}}

* 2011年5月6日午前0時40分頃、神戸市須磨区の路上で、私服で痴漢の警戒中だった兵庫県須磨警察署の女性警察官の胸を右手で触ったとして、競艇選手・森下祐丞が現行犯逮捕された。しかし神戸地裁は女性警察官の証言について「事実を曲げて証言している可能性がある」として信用性を否定して同年11月15日に森下に無罪判決を言い渡し、11月30日に確定した。女性警察官は「被告が約5メートル手前から手を上げて向かってきた。身がすくんで立ち止まると手のひらが右胸を覆う感触を覚えた」と証言していたが、裁判官は「護身術を身につけた巡査が、身がすくんで反応がないまま触られたのは不自然。逮捕して引き返せなくなった可能性がある」と指摘した<ref>{{Cite news|title=痴漢は冤罪だった!“被害者”女性警官の証言を全面否定し無罪判決|newspaper=産経新聞|date=2011-12-10|url=http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111210/waf11121007000000-n1.htm|accessdate=2011-12-13|archiveurl=https://web.archive.org/web/20111210035356/http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111210/waf11121007000000-n1.htm|archivedate=2011-12-10}}</ref>。{{main|森下祐丞#痴漢冤罪事件}}
[[2013年]]4月、大阪・高槻警察署が、少女のスカートをめくった痴漢の疑いで、事件と無関係の男性を逮捕した。警官が付近でジョギングをしていた男性に事情を聴くと「何もやっていない」と関与を否定したが、少女と母親が「犯人に間違いない」と話したため、現行犯逮捕した。しかし、実際には母親が犯人を見ていないことがわかり、付近の防犯カメラには、別の男が映っていたこともあり男性は、35分後に釈放された<ref>[http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130809-00000536-fnn-soci 事件と無関係の男性を痴漢容疑で誤認逮捕 大阪・高槻警察署]。フジテレビ系(FNN)
* 2011年12月22日夜、東京都三鷹市内を走行中の路線バスに乗車していた中学校教諭の男性が、車内で女子高校生の尻をスカートの上から触ったとして逮捕された。男性はバス車内で左手で吊り革につかまり、右手で携帯電話のメールを打っていたため、身体の前に提げたリュックサックが当たっただけだとして一審で一貫して無罪を主張した。しかし、東京地裁立川支部は被害者の証言を重視し、「車載カメラに映っていない時間帯は左手の動きが不明であり、揺れるバスの車内で右手で携帯電話を操作しながら左手で痴漢をすることは困難とは言えない」として、2013年5月8日に罰金40万円の有罪判決を言い渡した。男性は控訴し、2014年7月15日の東京高裁において「被害者の供述を全面的に信用したのは誤り」とし、メールの送信記録や車載カメラの映像から「右手は携帯電話を操作し、左手は吊り革をつかんでいたと判断するのが妥当で、被害者はリュックサックが触れたのを勘違いした疑いがある」として逆転無罪を言い渡し<ref>{{Cite news|title=これでなぜ一審有罪?「痴漢冤罪」は本当に怖い 「両手塞がれ、お尻触るの困難」と逆転無罪|newspaper=J-CASTニュース|date=2014-07-16|url=http://www.j-cast.com/2014/07/16210715.html}}</ref><ref>{{Cite news|title=バス痴漢巡り中学教諭が逆転無罪 東京高裁判決|newspaper=日本経済新聞|date=2014-07-16|url=http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG15H0G_V10C14A7CC1000/}}{{リンク切れ|date=2017年4月}}</ref>、その後上告されず無罪が確定した<ref>[http://blogs.yahoo.co.jp/kumakuni05/34660163.html 無罪確定] 隈本ゼミ調査報告 2014年7月30日</ref>。
8月9日(金)14時49分配信{{リンク切れ|date=2013年11月}}</ref>。
=== 痴漢冤罪の疑いのある事件 ===

* 1999年9月、帰宅途中の男性はJR中央線の車内で周囲の迷惑を顧みずに大声で携帯電話を使用していた若い女に「携帯をやめなさい」と注意した。女は「わかったわよ」と言い放って携帯を切った。その後に男性が国立駅で下車し南口のロータリーを自宅に向かって歩いていたところ、密かに尾行していた女が駅前の交番で「あの人に痴漢された」とうそを言ったため、男性は警察官に痴漢の現行犯で逮捕された。男性が犯行を一貫して否認したため警察は男性を21日間も勾留したが、被害を訴えた女は検察への出頭に対し3度も現れなかったため、裁判が不可能となり、証拠不十分で不起訴処分となった。女性の証言には矛盾点が多くある。当時車内は7割程度の混雑で痴漢行為のしづらい状況。男性が股間を腰に押し付けてきたと訴えた女は身長170cm、当時7cmのヒールを履いており180cmほどだった。一方、男性の身長は164cmでかなり無理があるうえ、被害を訴えた女と当時通話していた男性は、女が痴漢に対して「何やってんのよ」と怒鳴ったとの証言を否定し、男性が携帯使用を注意する声しか聞こえなかった趣旨を証言した。その後、男性は被害を訴えた女に1100万円の損害賠償を請求。東京地裁では「携帯電話の使用を注意されるようなことで虚構の痴漢被害を申告するとは、通常想定できない」という理由で請求を棄却。高裁も同様の判決だったが、最高裁で被告の女が「ここまでうそを言うことにあきれています。痴漢をしたのはこの人で間違いありません、わたしはうそをついていません」と反論したものの高裁に差し戻された。2009年11月26日差し戻し控訴審が東京高裁で行われ大橋寛明裁判長は「女性の証言には疑問があり痴漢行為があったと認めることは困難」として痴漢行為を認定した1審判決は誤りだったと認める一方、賠償請求は退けた<ref>{{Cite web|url=http://shadow9.seesaa.net/article/133979171.html|title=差し戻し控訴審判決|accessdate=2011-01-29|archiveurl=https://web.archive.org/web/20091130025049/http://shadow9.seesaa.net/article/133979171.html|archivedate=2009-11-30}}{{出典無効|date=2017年4月|title=個人ブログによる転載}}</ref>。
== 確定した痴漢冤罪事件 ==
* 2005年3月18日、西武池袋線の車内で白いハーフコートを着た男性に痴漢されたと訴え、被害者が痴漢行為を行ったとして男性に私人逮捕された。しかし、当時被害者の服装は女性が訴えた服装とは違う服装であったが、検察によって起訴された。この事件を扱ったテレビ番組は、捜査状況から警察は失態を犯し、繊維などの付着等で判断する科学的捜査が行えず、有罪と立証するための科学的根拠が一切なかったと結論付けている<ref>テレビ朝日 スーパーモーニング</ref>。また当時被害者は難病の強皮症を患っており裁判でも主治医が「強皮症の患者は手を下に下げることは拷問に等しく、そのような状態では100%痴漢行為を行うことはできない」と証言したが、裁判では「痴漢行為は不可能ではない」と判断されて有罪判決が言い渡され、被害者は控訴、上告したが服装の相違点についても判決では「服装が一致していなくても犯人であることは否定できない」としていずれも訴えを棄却、刑が確定し2010年に収監された。しかし、強皮症によって痴漢行為が一切不可能であることを主張した主治医の意見が証拠として見直され再審請求がおこなわれることとなった。再審が行われれば刑が確定した痴漢冤罪事件では初めてのケースとなる{{要高次出典|date=2017年4月}}。
* [[2008年]]([[平成]]20年)[[2月1日]]午後8時半頃、[[大阪市営地下鉄御堂筋線]]の動物園前-天王寺間を走行していた電車内で、ドア付近に立っていた男性会社員(当時58歳)が、近くにいた女(当時31歳)から「お尻触ったでしょ」と声をかけられた、男性会社員が否定すると、声をかけた女はうずくまって泣き出し、近くにいた甲南大学4年の男(当時24歳)(その後、虚偽告訴の疑いで逮捕および退学処分)も、「触りましたね」と詰め寄った。この男性会社員は大阪府迷惑防止条例違反(痴漢の)疑いで大阪府警察により現行犯逮捕されたが、その後の調べで証人の証言が食い違い、女と交際相手の男が示談金目当てに男性会社員を痴漢としてでっち上げたことが判明している<ref name="zakzak20080321">[http://web.archive.org/web/20080323133403/http://www.zakzak.co.jp/top/2008_03/t2008032120_all.html ZAKZAK 「男性車両作って!」痴漢冤罪にサラリーマン悲鳴]、2008年3月23日時点でのアーカイブ。 2008年3月21日。</ref>。この事件をきっかけに、[[大阪市交通局]]には[[男性専用車両]]や男女別車両の要望が相次ぎ、時の市長・[[平松邦夫]]や在阪の大手私鉄は、要望が多ければ検討するという見解を示すに至った。なお、実行犯の女は[[大阪地方裁判所]]にて[[執行猶予|執行猶予付き有罪判決]]を受け確定し、主犯の大学生の男も同地裁で[[実刑|実刑判決]]を受けた。その後、会社員男性は実行犯の女より謝罪を受けたものの、2人に対し[[民事訴訟]]を起こしたかどうかは明らかにされていない。
* 2008年12月8日朝、電車内で女性に痴漢行為をしたとして、愛知県迷惑防止条例違反の罪に問われ一審で無罪だった同県労働福祉課の職員の判決公判で、名古屋高裁は2010年11月24日、罰金50万円の逆転有罪判決を言い渡した。職員は名鉄名古屋本線の国府宮―名古屋間を走行中の電車内で、女性会社員の両足の間に背後から右足を入れて動かし、太もも付近にすり付けたなどとして現行犯逮捕、起訴されたが職員は捜査段階から容疑を否認していた。被告人質問で「電車内はかなり混んでおり、脚が当たったかもしれないが、痴漢はしていない」と主張していた。この事件では女性の衣服から被告の服の繊維は検出されず、証拠は女性と痴漢行為を目撃したとされる交際男性の供述のみであったため、判決の行方が注目されていた<ref>{{Cite web|url=http://blog.livedoor.jp/yoshitaka1215/archives/1969989.html|title=痴漢 愛知県職員に逆転有罪判決|publisher=ニュースウェブ|accessdate=2011-01-25}}{{出典無効|date=2017年4月|title=個人ブログによる転載}}</ref>。

* 2009年12月10日深夜、JR新宿駅で私大職員の男性が突然、酔った若者2人に階段から突き落とされたうえ殴る、蹴るの暴行を受けた。茶髪の若者が馬乗りになって暴行を加える姿を見た利用客が駅員に通報。若者と同じグループの女が「私大職員が腹を触った」と主張したため、私大職員は痴漢容疑で逮捕された。頭を打つなど重傷を負ったまま翌朝5時まで厳しい取調べを受けたうえ、事情聴取に応じる確約書まで書かされた私大職員は、釈放された直後に電車に飛び込み死亡した。この事件では女子大生は被害届を出さず帰宅。私大職員は被疑者死亡のまま痴漢容疑で書類送検された。暴行を加えた若者に対しては取調べもなく、情報も非公開とされている<ref>[http://harada1210.blogspot.com/ 新宿署違法捜査憤死事件 2011年1月25日閲覧</ref>。私大職員を痴漢犯人と決め付ける取調べの様子は私大職員が持っていたボイスレコーダーに全て記録されており、警察の対応に対して非難が集まった<ref>{{Cite web|url=http://www.cyzo.com/2010/12/post_6078.html|title=痴漢冤罪で命を絶った青年が録音していた警察の非道|publisher=日刊サイゾー|accessdate=2011-01-26|date=2010-12-06}}</ref>。虚偽告訴の疑いもあり、亡くなった私大職員の遺族が、2011年に新宿署に対して国家賠償請求訴訟を起こし、現在係争中である<ref>{{Cite web|url=http://www.ll.em-net.ne.jp/~deguchi/news/2013/0507.html|title=【新宿駅痴漢冤罪】国賠支援のお願い|publisher=犯罪被害者家族の会 Poena |accessdate=2013-05-07|date=2013-05-07}}記事名に被害者の実名が使われているため、一部省略した。</ref>。
*やはり2008年、某国立大学の准教授(当時43歳)がJR総武線車内で痴漢をしたとして東京都迷惑防止条例違反で逮捕され、一審の東京地方裁判所で罰金刑の有罪判決。しかし控訴審で東京高等裁判所は、「被害者供述は裁判官の誘導に基づくもので信用性に欠ける」として2013年7月、逆転無罪判決<ref>[http://www.47news.jp/CN/201307/CN2013072501001446.html 「裁判官が誘導」と逆転無罪 痴漢で起訴の大学教員] 共同通信 2009年4月16日</ref>。

* [[2009年]](平成21年) - [[2006年]](平成18年)4月、[[防衛医科大学校]][[教授]]が小田急線の成城学園前駅から下北沢駅の乗車期間中、車内で女子高校生に痴漢行為をしたとして強制わいせつ罪に問われ、30日間に渡り勾留された。一審二審で実刑とされたが、2009年4月、最高裁第三小法廷([[田原睦夫]]裁判長)は「被害者の証言は不自然で、信用性に疑いがある」として、逆転無罪が確定した。被害者の女子高校生は痴漢被害を受けても車内では逃れようとせず、また一旦下車したあとも再び同教授のそばに乗るなどの不自然な証言をしていた。ただし有罪と見た裁判官は5人中2人おり、堀籠幸男裁判官は、「犯人との争いや乗客の関心の的となることに対する気後れ、羞恥心などから我慢していた被害者が、我慢の限界に達して反撃に出ることは十分にありえる」「この時間帯が多数の乗客が押し入るように乗り込んでくることへの認識に欠ける」として、「一旦下車したあとも再び同教授のそばに乗った」ことを論拠に被害者の証言を退ける意見に反論した。判決は「客観証拠が得られにくい満員電車内の痴漢事件では、特に慎重な判断が求められる」と今後同種の事件に少なからず影響を与えるだろう、と判断を示した。痴漢事件で最高裁が逆転無罪の判決を確定させたのは初めてである。なお、同教授は無罪確定後に復職が認められたものの、そのキャリアに約3年もの空白を作られることになってしまった<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20090430102032/http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090427k0000e040079000c.html |title=最高裁無罪判決:防衛医大教授に復職 |date=2009-04-27= |newspaper=毎日新聞 |accessdate=2009-02-01}}
リンクは2009年4月30日時点でのアーカイブ。</ref>。[[防衛医大教授痴漢冤罪事件]]

* [[2011年]](平成23年)[[5月6日]]午前0時40分頃、神戸市須磨区の路上で、私服で痴漢の警戒中だった兵庫県[[須磨警察署]]の当時25歳の[[女性警察官]]([[巡査]])の胸を右手で触ったとして、競艇選手・[[森下祐丞]](当時26歳)が現行犯逮捕された。しかし神戸地裁は、巡査の証言について「事実を曲げて証言している可能性がある」として信用性を否定し、同年11月15日、森下に無罪判決を言い渡し、11月30日に確定した。巡査は「被告が約5メートル手前から手を上げて向かってきた。身がすくんで立ち止まると手のひらが右胸を覆う感触を覚えた」と証言していたが、裁判官は「護身術を身につけた巡査が、身がすくんで反応がないまま触られたのは不自然。逮捕して引き返せなくなった可能性がある」と指摘した<ref> {{Cite news |url=https://web.archive.org/web/20111210035356/http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/111210/waf11121007000000-n1.htm |title=痴漢は冤罪だった!“被害者”女性警官の証言を全面否定し無罪判決 |date=2011-12-10 |newspaper=産経新聞 |accessdate=2011-12-13}} リンクは2011年12月10日時点でのアーカイブ。</ref>。

* 2011年(平成23年)[[12月22日]]夜、東京都[[三鷹市]]内を走行中の路線バスに乗車していた中学校教諭の男性(当時27歳)が、車内で女子高校生の尻をスカートの上から触ったとして逮捕された。男性はバス車内で左手で吊り革につかまり、右手で携帯電話のメールを打っていたため、身体の前に提げたリュックサックが当たっただけだとして一審で一貫して無罪を主張した。しかし、東京地裁立川支部は被害者の証言を重視し、「車載カメラに映っていない時間帯は左手の動きが不明であり、揺れるバスの車内で右手で携帯電話を操作しながら左手で痴漢をすることは困難とは言えない」として、2013年5月8日に罰金40万円の有罪判決を言い渡した。男性は控訴し、2014年(平成26年)[[7月15日]]、東京高裁は「被害者の供述を全面的に信用したのは誤り」とし、メールの送信記録や車載カメラの映像から「右手は携帯電話を操作し、左手は吊り革をつかんでいたと判断するのが妥当で、被害者はリュックサックが触れたのを勘違いした疑いがある」として逆転無罪を言い渡し<ref>[http://www.j-cast.com/2014/07/16210715.html これでなぜ一審有罪?「痴漢冤罪」は本当に怖い 「両手塞がれ、お尻触るの困難」と逆転無罪] J-CASTニュース 2014年7月16日</ref><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG15H0G_V10C14A7CC1000/ バス痴漢巡り中学教諭が逆転無罪 東京高裁判決] 日本経済新聞 2014年7月16日</ref>、その後上告されず無罪が確定した<ref>[http://blogs.yahoo.co.jp/kumakuni05/34660163.html 無罪確定] 隈本ゼミ調査報告 2014年7月30日</ref>。

== 痴漢冤罪の疑いのある事件 ==
* [[1999年]]9月、帰宅途中の沖田光男(本人が実名を公表)は、JR中央線の車内で周囲の迷惑を顧みずに大声で携帯電話を使用していた若い女に「携帯をやめなさい」と注意した。女は「わかったわよ」と言い放って携帯を切った。その後に沖田が国立駅で下車し南口のロータリーを自宅に向かって歩いていたところ、密かに尾行していた女が駅前の交番で「あの人に痴漢された」とウソを言ったため、沖田は警察官に痴漢の現行犯で逮捕された。沖田が犯行を一貫して否認したため警察は沖田を21日間も勾留したが、被害を訴えた女が検察への出頭を3度もすっぽかしたため、裁判が不可能となり、証拠不十分で不起訴処分となった。女性の証言には矛盾点が多くある。当時車内は7割程度の混雑で痴漢行為のしづらい状況。沖田が股間を腰に押し付けてきたと訴えた女は身長170cm、当時7cmのヒールを履いており180cmほど。一方、沖田の身長は164cmでかなり無理があるうえ、被害を訴えた女と当時通話していた男性は、女が痴漢に対して「何やってんのよ」と怒鳴ったとの証言を否定し、「沖田さんが携帯使用を注意する声しか聞こえなかった」と証言した。その後、沖田は被害を訴えた女に1100万円の損害賠償を請求。東京地裁では「'''携帯電話の使用を注意されるようなことで虚構の痴漢被害を申告するとは、通常想定できない'''」という理由で請求を棄却。高裁も同様の判決だったが、最高裁で被告の女が「ここまでうそを言うことにあきれています。痴漢をしたのはこの人で間違いありません、わたしはうそをついていません」と反論したものの高裁に差し戻された。2009年11月26日差し戻し控訴審が東京高裁で行われ大橋寛明裁判長は「女性の証言には疑問があり痴漢行為があったと認めることは困難」として痴漢行為を認定した1審判決は誤りだったと認める一方、賠償請求は退けた<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20091130025049/http://shadow9.seesaa.net/article/133979171.html|title=差し戻し控訴審判決 |author= |publisher= |accessdate=2011年1月29日 }} リンクは2009年11月30日時点でのアーカイブ。</ref>。

* [[2005年]][[3月18日]]、[[西武池袋線]]の車内で白いハーフコートを着た男性に痴漢されたと訴え、A(現在受刑者のため氏名は伏せる)が痴漢行為を行ったとして男性Bに[[私人逮捕]]された。しかし、当時のAの服装は女性が訴えた服装とは違う服装であったが、検察によって起訴された。この事件を扱ったテレビ番組は、捜査状況から警察は失態を犯し、繊維などの付着等で判断する科学的捜査が行えず、有罪と立証するための科学的根拠が一切なかったと結論付けている<ref>テレビ朝日
スーパーモーニングより</ref>。また当時Aは難病の[[強皮症]]を患っており裁判でも主治医が「強皮症の患者は手を下に下げることは[[拷問]]に等しく、そのような状態では100%痴漢行為を行うことはできない」と証言したが、裁判では「痴漢行為は不可能ではない」と判断され、有罪判決が下る。Aは[[控訴]]、[[上告]]したが服装の相違点についても判決では「服装が一致していなくても犯人であることは否定できない」としていずれも訴えを棄却、刑が確定し2010年[[収監]]された。しかし、強皮症によって痴漢行為が一切不可能であることを主張した主治医の意見が証拠として見直され再審請求がおこなわれることとなった。再審が行われれば刑が確定した痴漢冤罪事件では初めてのケースとなる。

* [[2008年]][[12月8日]]の朝、電車内で女性に痴漢行為をしたとして、愛知県迷惑防止条例違反の罪に問われ一審で無罪だった同県労働福祉課の職員(当時52歳)の判決公判で、名古屋高裁は2010年11月24日、罰金50万円の逆転有罪判決を言い渡した。職員は名鉄名古屋本線の国府宮―名古屋間を走行中の電車内で、女性会社員(当時28歳)の両足の間に背後から右足を入れて動かし、太もも付近にすり付けたなどとして現行犯逮捕、起訴されたが職員は捜査段階から容疑を否認していた。被告人質問で「電車内はかなり混んでおり、脚が当たったかもしれないが、痴漢はしていない」と主張していた。この事件では女性の衣服から被告の服の繊維は検出されず、証拠は女性と痴漢行為を目撃したとされる交際男性の供述のみであったため、判決の行方が注目されていた<ref>{{Cite web |url=http://blog.livedoor.jp/yoshitaka1215/archives/1969989.html|title=痴漢 愛知県職員に逆転有罪判決 |author= |publisher=ニュースウェブ |accessdate=2011年1月25日 }}</ref>。

* [[2009年]][[12月10日]]深夜、JR新宿駅で私大職員の男性(当時25歳)が突然、酔った若者2人に階段から突き落とされたうえ殴る、蹴るの暴行を受けた。茶髪の若者が馬乗りになって暴行を加える姿を見た利用客が駅員に通報。若者と同じグループの女が「私大職員が腹を触った」と主張したため、私大職員は痴漢容疑で逮捕された。頭を打つなど重傷を負ったまま翌朝5時まで厳しい取調べを受けたうえ、事情聴取に応じる確約書まで書かされた私大職員は、釈放された直後に電車に飛び込み死亡した。この事件では女子大生は被害届を出さず帰宅。私大職員は被疑者死亡のまま痴漢容疑で書類送検された。暴行を加えた若者に対しては取調べもなく、情報も非公開とされている<ref>{{Cite web |url=http://harada1210.blogspot.com/|title=新宿駅痴漢暴行事件 |author= |publisher= |accessdate=2011年1月25日 }}</ref>。私大職員を痴漢犯人と決め付ける取調べの様子は私大職員が持っていたボイスレコーダーに全て記録されており、警察の対応に対して非難が集まった<ref>{{Cite web |url=http://www.cyzo.com/2010/12/post_6078.html|title=痴漢冤罪で命を絶った青年が録音していた警察の非道 |author= |publisher=日刊サイゾー |accessdate=2011年1月26日 }}</ref>。虚偽告訴の疑いもあり、亡くなった私大職員の遺族が、2011年に新宿署に対して国家賠償請求訴訟を起こし、現在係争中である<ref>{{Cite web |url=http://www.ll.em-net.ne.jp/~deguchi/news/2013/0507.html|title=【新宿駅痴漢冤罪】国賠支援のお願い-○○さんへの違法捜査に対する国家賠償請求訴訟 |author= |publisher=犯罪被害者家族の会 Poena |accessdate=2013年5月7日 }} リンク名に被害者の実名が使われているため、その部分を伏字とする。</ref>。
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== 痴漢冤罪に対する有識者の見解 ==
== 痴漢冤罪に対する有識者の見解 ==
ジャーナリストで現参議院議員の[[有田芳生]]は、金銭目的の「痴漢被害捏造犯」の存在に言及しており、また「痴漢冤罪に巻き込まれたくない」という理由で「家に帰るときは電車を使わず、なるべく[[日本のタクシー|タクシー]]で帰宅している」と本人の[[ブログ]]で発言している<ref>{{Cite news|title=有田芳生の『酔醒漫録』: 周防正行監督の痴漢冤罪映画|author=|newspaper=|date=2006-08-28|url=http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2006/08/post_ce81.html|accessdate=2014-09-11}}</ref>。
ジャーナリストで現参議院議員の有田芳生は、金銭目的の「痴漢被害捏造犯」の存在に言及しており、また「痴漢冤罪に巻き込まれたくない」という理由で「家に帰るときは電車を使わず、なるべくタクシーで帰宅している」と本人の[[ブログ]]で発言している<ref>{{Cite news|title=周防正行監督の痴漢冤罪映画|author=有田芳生|url=http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2006/08/post_ce81.html|accessdate=2014-09-11|date=2006-08-28}}{{リンク切れ|date=2017年4月}}</ref>。


作家の[[阿川弘之]]は、自らが痴漢冤罪の被害に遭いかけたという経験から、「男性専用車両」の導入を提唱している。同様に、利用客の男性などからの「男性専用車両」を切望する声も少なくない<ref>東京新聞2007年5月12日朝刊</ref>。
作家の阿川弘之は、自らが痴漢冤罪の被害に遭いかけたという経験から、「男性専用車両」の導入を提唱している。同様に、利用客の男性などからの「男性専用車両」を切望する声も少なくない<ref>東京新聞 2007年5月12日朝刊</ref>。


同様に性平等主義者の女性、及び[[女性専用車両]]に乗らなかったせいで、周囲の男性から軽い暴力を受けた女性からの「男性専用車両」を切望する声も少なくない。
同様に性平等主義者の女性、及び女性専用車両に乗らなかったせいで、周囲の男性から軽い暴力を受けた女性からの「男性専用車両」を切望する声も少なくない。


[[日本テレビ]][[行列のできる法律相談所]]』では、2008年(平成20年)4名中2名の[[弁護士]]走って逃げるのが最善と回答し<ref>{{Cite news|title=行列の出来る法律相談所|author=|newspaper=|date=2008-04-27|url=http://www.ntv.co.jp/horitsu/20080427/1-a.html|accessdate=2014-09-11}}</ref>、2016年(平成28年)には4名中3名の弁護士が現場から立ち去るべきと回答した<ref>{{Cite news|title=行列の出来る法律相談所||author=|newspaper=|date=2016-03-20|url=http://www.ntv.co.jp/horitsu/20160320/1-a.html|accessdate=2016-03-21}}</ref>。
日本テレビ『行列のできる法律相談所』では、2008年に4名中2名の弁護士が走って逃げるのが最善と回答し<ref>{{Cite web|url=http://www.ntv.co.jp/horitsu/20080427/1-a.html|title=行列の出来る法律相談所|publisher=日本テレビ|date=2008-04-27|accessdate=2014-09-11}}</ref>、2016年には4名中3名の弁護士が現場から立ち去るべきと回答した<ref>{{Cite web|url=http://www.ntv.co.jp/horitsu/20160320/1-a.html|title=行列の出来る法律相談所|publisher=日本テレビ|accessdate=2016-03-21|date=2016-03-20}}</ref>。


元裁判官で現在は弁護士である[[井上薫 (弁護士)|井上薫]]、[[インタビュー]]で「逃げてしまった方が一面では有効かも知れない」と述べている<ref>[http://www.j-cast.com/2009/02/01034490.html?p=all 電車の中で「痴漢です」! 叫ばれたらどうしたらいいのか 弁護士・井上薫さんに聞く] J-CASTニュース
元裁判官で現在は弁護士である井上薫もインタビューで「逃げてしまった方が一面では有効かも知れない」と述べている<ref>{{Cite news|title=電車の中で「痴漢です」! 叫ばれたらどうしたらいいのか 弁護士・井上薫さんに聞く|newspaper=J-CASTニュース|date=2009-02-01|url=http://www.j-cast.com/2009/02/01034490.html?p=all}}</ref>。
2009年2月1日</ref>。


実際に起こった事件に関しては、鉄道関係者は「疑いをかけられた時点で、逮捕を逃れること不可能に近い」「走って逃げても取り押さえられたらお終い」とコメントしている<ref name="gendai34645">[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34645 「警察発表」だけで報じる新聞・テレビ「痴漢報道」——JR西日本の重役はなぜ死ななければならなかったのか] 現代ビジネス(2016年3月31日閲覧)</ref>。
実際に起こった事件に関しては、鉄道関係者は「疑いをかけられた時点で、逮捕を逃れること不可能に近い」「走って逃げても取り押さえられたらお終い」とコメントしている<ref name="gendai34645">{{Cite web|url=http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34645|title=「警察発表」だけで報じる新聞・テレビ「痴漢報道」——JR西日本の重役はなぜ死ななければならなかったのか|publisher=現代ビジネス|accessdate=2016-03-31|date=2013-01-24}}</ref>。
=== メディアの報道 ===

2008年2月には大阪市営地下鉄御堂筋線で痴漢の疑いをかけて示談金をだまし取ろうとした「痴漢でっち上げ詐欺事件」が発生し、翌年4月の裁判で有罪の判決を受けたが、裁判翌日の朝日新聞の社説は「痴漢冤罪を防ぐよりも女性専用車を更に拡大すべきだ。」との趣旨の社説を載せた<ref>朝日新聞 2009年4月17日社説</ref>。
===メディアの報道===
2008年2月には大阪市営地下鉄御堂筋線で痴漢の疑いをかけて示談金をだまし取ろうとした「痴漢でっち上げ詐欺事件」が発生し、翌年4月の裁判で有罪の判決を受けたが、裁判翌日の[[朝日新聞]]の社説は「痴漢冤罪を防ぐよりも女性専用車を更に拡大すべきだ。」との趣旨の社説を載せた<ref>2009年4月17日付朝日新聞社説</ref>。

また大手マスコミが報道していない痴漢冤罪については、2009年の新宿駅で当時25歳の青年が無実にもかかわらず痴漢の疑いをかけられその後自殺するという悲劇も「[[My News Japan]]」<ref>[http://www.mynewsjapan.com/reports/1538 原田信助はなぜ命を絶ったか―2 自殺した痴漢冤罪青年による110番通報の謎 目撃者、続々現れる] My News Japan 2011年12月29日(2016年12月31日閲覧)</ref> や「[[紙の爆弾]]」<ref>[http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000433 『月刊『紙の爆弾』2016年5月号』] 2016年12月31日閲覧</ref>で報じられている。


また大手マスコミが報道していない痴漢冤罪については、2009年の新宿駅で被害者の青年が無実にもかかわらず痴漢の疑いをかけられその後自殺する事例も「My News Japan」<ref>{{Cite news|title=自殺した痴漢冤罪青年による110番通報の謎 目撃者、続々現れる|newspaper=My News Japan|date=2011-12-29|url=http://www.mynewsjapan.com/reports/1538|accessdate=2016-12-31}}記事名に被害者の実名が使われているため、一部省略した。</ref> や「紙の爆弾」<ref>{{Cite web|url=http://www.rokusaisha.com/kikan.php?bookid=000433|title=『月刊『紙の爆弾』2016年5月号』|publisher=鹿砦社|accessdate=2016-12-31}}</ref>で報じられている。
<!-- 上記コメントアウトになっている主な痴漢冤罪事件節にてこの事例が掲載されているが… -->
== 痴漢冤罪事件を扱った作品 ==
== 痴漢冤罪事件を扱った作品 ==
{{{作品の内容を記述するときは、どのような背景で、どのような事例を、どのように収束させるか、以上3点主体のみで記入をお願いします。<br />Wikipedia日本語版ではネタバレは認容されていますが、内容のクライマックスがどうなっているかまで書く必要はありません!}}}
痴漢冤罪を主題としたものと、副次的に痴漢冤罪を扱っているもの。
本節では、痴漢冤罪を主題とした作品と、副次的に痴漢冤罪を扱っている作品を記載する。

=== 主題とした作品 ===
=== 主題とした作品 ===
==== 映画 ====
==== 映画 ====
* 『[[それでもボクはやってない]]』
*『[[それでもボクはやってない]]』
<!-- ** 主人公は警察に『罰金を払えば釈放してやる』と勧められたが拒否し、さらに弁護士に『有罪率99.9%』などと痴漢冤罪裁判の現状を知らされたが、それでも否認し、検察に起訴され、泥沼の裁判を争うことを決意する。-->
==== テレビドラマ ====
==== テレビドラマ ====
* 『[[誰かが嘘をついている]]』
*『[[誰かが嘘をついている]]』
*『[[土曜ワイド劇場]][[京都のテミス女裁判官]]・美人判事を襲う夫殺しの罠!チカン裁判不連続殺人事件』
<!-- ** ごく普通のサラリーマン・佐藤敏昭は会社へ出勤する途中、降りた駅で女子高生に袖をつかまれ、痴漢をしたとして警察に勾留されてしまう。敏昭には全く身に覚えのないことであり、無実を訴え続けたが、それとは裏腹に彼の社会的地位や家庭は崩壊していくストーリーである。-->
* 『[[土曜ワイド劇場]][[京都のテミス女裁判官]]・美人判事を襲う夫殺しの罠!チカン裁判不連続殺人事件』
<!-- ** 妻と1人の娘を持つ夫が電車内で痴漢の濡れ衣を着せられ、高額な示談金要求され(ゆすり目的)、追い討ちをかけられた妻が1人の娘を残して自殺を図り、でっち上げされたことに気がついた夫が痴漢冤罪を仕立て上げた女性2人に対して復讐殺人の道を選んだ(殺害されたのは女性1人のみであり、もう1人の女性は殺害されなかったが、この事件が女裁判官の夫の死に関わっていた事から、最終的のこの女性は女裁判官の個人的な制裁を受けた)。-->
==== 小説 ====
==== 小説 ====
* 『[[懲戒の部屋]]』 [[筒井康隆]] [[1968年]]発表
*[[筒井康隆]]『[[懲戒の部屋]]』1968年発表
**満員電車で痴漢に間違われたサラリーマンが手酷い懲罰を受けるストーリー。同作は短編集『アルファルファ作戦([[早川書房]]より刊行。のち[[中公文庫]])』に収録されていたが、2002年に同作を表題作とする短編集『懲戒の部屋 〜自薦ホラー傑作集1〜([[新潮文庫]])』に収録された<ref>初出:『[[小説現代]]』1968年6月号</ref>。なお、同作は[[1997年]]に劇団『BIG FACE』により舞台化されている<ref>「筒井ワールド 4」 BIG FACE 1997年2月5日 - 11日 両国シアターX(カイ)
**同作は短編集『アルファルファ作戦([[早川書房]]より刊行。のち[[中公文庫]])』に収録されていたが、2002年に同作を表題作とする短編集『懲戒の部屋 〜自薦ホラー傑作集1〜([[新潮文庫]])』に収録された<ref>初出:『[[小説現代]]』1968年6月号</ref>。なお、同作は[[1997年]]に劇団『BIG FACE』により舞台化されている<ref>「筒井ワールド 4」 BIG FACE 1997年2月5日 - 11日 両国シアターX(カイ)
「座敷ぼっこ」「こぶ天才」「'''懲戒の部屋'''」「最高級有機質肥料」 脚本、演出:伊沢弘 監修:川和孝 出演:千田隼生 佐藤昇 吉宮君子
「座敷ぼっこ」「こぶ天才」「懲戒の部屋」「最高級有機質肥料」 脚本、演出:伊沢弘 監修:川和孝 出演:千田隼生 佐藤昇 吉宮君子
名倉右喬 津川友美 他[http://www.d2.dion.ne.jp/~bigface2/221w4.html]</ref>。
名倉右喬 津川友美 他[http://www.d2.dion.ne.jp/~bigface2/221w4.html]</ref>。
* 『[[残り火]]』 [[小杉健治]] [[2012年]]発表
* 『[[残り火]]』 [[小杉健治]] [[2012年]]発表

==== 実用書 ====
==== 実用書 ====
*『痴漢に間違われたらこうなります!』 Satoki・著 弁護士 坂根真也・監修
*Satoki・著 弁護士 坂根真也・監修『痴漢に間違われたらこうなります!』 
**2014年現在、痴漢冤罪に巻き込まれた場合の刑事手続きを解説した本。法律書としても読めると同時に、現行法の中で痴漢冤罪の被害を最小限に食い止める方法も紹介している。

==== 音楽・歌謡 ====
==== 音楽・歌謡 ====
* 『[[おっとCHIKAN!]]』 歌:[[おニャン子クラブ]]
*『[[おっとCHIKAN!]]』歌:[[おニャン子クラブ]]
*『痴漢電車』[[角松敏生]]
** 1986年発売の歌謡曲。まじめそうな男子学生を痴漢に仕立て上げ、満員電車に乗っているストレスを解消しようという内容。作詞は男性の[[秋元康]]。
* 『痴漢電車』 [[角松敏生]]
** 2000年発売のアルバム「[[存在の証明]]」に収録。痴漢冤罪をテーマにした歌詞。

=== エピソードの1つとして扱った作品 ===
=== エピソードの1つとして扱った作品 ===
==== テレビドラマ ====
==== テレビドラマ ====
* 『[[弁護士のくず#テレビドラマ|弁護士のくず]]』第6話
*『[[弁護士のくず#テレビドラマ|弁護士のくず]]』第6話
*『[[黒の女教師]]』第3話
<!-- ** 主人公コンビの担当することになった容疑者は、電車の中で突然痴漢を訴えられ、証人もいることから逮捕される。彼は示談を断り、法廷での対決を訴えた。社会的名誉も家庭での信頼も失いながら、それでも「やっていないものはやっていない」と主張する容疑者。証人の証言をもとにしたシミュレーションの結果に不審を感じた主人公コンビは、被害者と証人が嘘をついているのではないかと睨む。-->
* 『[[黒の女教師]]』第3
*『[[そこをなんとか]]』第6
* 『[[そこをなんとか]]』第6
*『[[花村大介]]』第4
* 『[[花村大介]]』第4話
*『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』第4話
*『[[Woman (テレビドラマ)|Woman]]』第4話

==== テレビ番組 ====
==== テレビ番組 ====
* 『[[奇跡体験!アンビリバボー]]』 2013年11月7日放送分
*『[[奇跡体験!アンビリバボー]]』 2013年11月7日放送分
*『[[行列のできる法律相談所]]』 2016年3月20日放送分
<!-- ** 実話を基にした、痴漢冤罪の被害者となった男性が無実を勝ち取るまでのエピソードが放送された。-->
* 『[[行列のできる法律相談所]]』 2016年3月20日放送分
<!-- ** パンサーの4人組が痴漢冤罪にまきこまれそうになったエピソードが放送された。-->

==== 漫画 ====
==== 漫画 ====
* 『[[カバチタレ!]]』
*『[[カバチタレ!]]』
*『[[ミナミの帝王]]』原作:[[天王寺大]] 作画:[[郷力也]]
<!-- ** 痴漢をでっち上げて金を巻き上げる女子高生に濡れ衣を着せられて、罰金を払い釈放された男性に対し、主人公は、相手側に金を払って告訴を取り下げてもらう方法を勧めている。なお、作中では、この男性は準強制わいせつ罪で罰金を科されているが、実際、準強制わいせつ罪は強制わいせつ罪と同じく6か月以上10年以下の懲役になり、罰金刑は存在しない(刑法ではない迷惑防止条例違反には罰金刑がある)<ref>準強制わいせつ罪は親告罪であり、被害者からの告訴なしでは裁判ができない(同作6巻より)。なお、'''迷惑防止条例違反は親告罪ではない'''ため、被害者が告訴を取り下げても処罰される可能性はあるが、事実上、処罰されることはほとんどない</ref><ref>特にこの冤罪を訴える男性の場合、彼女に[[性病]]を移した罪([[傷害罪]])が前科に残っており、前科が2度もあると有罪になる可能性がきわめて高いため絶対に裁判に持ちかけないようにした(同作6巻より)</ref>。このように本作は、濡れ衣を着せられる羽目になっても、泥沼の裁判で争うことは否定的に描いている。-->
*『[[出るトコ出ましょ!]]』
* 『[[ミナミの帝王]]』 原作:[[天王寺大]] 作画:[[郷力也]]
*『[[弁護士のくず]]』
<!-- ** 『カバチタレ!』と同じく、示談金目当ての女子高生親子(母親は名うての女詐欺師)に濡れ衣を着せられた男性が無実を訴え、泥沼の裁判で争う話がある。作中、被告人の弁護士によって女子高生の虚偽証言や女子高生親子が示談金目当てに行った冤罪であることが明らかにしたが、一審では敗訴。男性は控訴した(控訴審は行われたが作中では歓声のみ描かれておりどのような判決が下りたかは不明)。しかし、男性は会社を解雇され、社会的信用は大幅にダウン。家族が保釈金のためトイチの利息で金を借りるが、団結し裁判に立ち向かうストーリーとなっている<ref>[[竹内力]]主演の同作の[[Vシネマ]]シリーズでもこの話は映像化されている。</ref>。-->
*『[[さよなら絶望先生]]』([[久米田康治]]著)第84話「古事つけ記」
* 『[[出るトコ出ましょ!]]』
<!-- ** ニュースキャスターが痴漢で逮捕され、被害者が主人公のクラスメイトであることが明らかになる。マスコミ報道で、そのクラスメイトが以前にも痴漢を突き出して示談金を得ていたことが興味本位で報じられる。クラスメイトは、以前いじめグループに命じられて痴漢被害をでっち上げたことを告白するが、現在は反省しており、今度の事件は本当に痴漢にあったのであり、信じてほしいと主人公に訴える。一方、主人公がアルバイトする事務所の弁護士は、ニュースキャスターの刑事弁護を引き受けるものの、通勤用定期の不自然な点に気づく。-->
* 『[[弁護士のくず]]』
* 『[[さよなら絶望先生]]』([[久米田康治]]著)第84話「古事つけ記」
<!-- ** 主人公の糸色望は痴漢冤罪を恐れるあまり、電車に乗るや両手を手錠で釣り革の金具に繋ぐ。発車後、女性が「やめてください!」と叫ぶ声が聞こえ、すかさず「自分がやった」と名乗り出る。しかし、痴漢そのものが無かった(自暴自棄になった男性がケータイを水に浸そうとし、それを日塔奈美(糸色の教え子の女子高生)が「やめて~」と叫んだだけだった。刑事が糸色に「なぜ虚偽の申告をした?」と尋ねると、「やってなくても否認したら長期に渡って拘束され、社会的信用もなくなる。やってなくても自白したらすぐに帰れる」と答え、痴漢冤罪の怖さを訴えた。なお、この回は『[[それでもボクはやってない]]』を捻って「それでもボクはやりました!」と叫んだり、[[フィギュア萌え族]]に触れたり、と偏見の恐ろしさに触れている。-->
*『[[怨み屋本舗]]』([[栗原正尚]]著)第3巻第13話『満員電車の罠』
*『[[怨み屋本舗]]』([[栗原正尚]]著)第3巻第13話『満員電車の罠』
<!-- **年配男性が痴漢冤罪被害に遭い会社をクビになり、挙句妻と娘も男性の無実を信じてくれず家から追い出された。男性は怨み屋・'''宝条
栞'''('''ほうじょう しおり''')に自分の無実を証明して欲しいと依頼。栞は依頼金200万円で引き受ける。栞たちが調査した結果、男性を痴漢扱いした姉妹は余談金目当てで数多くの男性たちを痴漢に仕立て上げていた常習犯であることが判明する(姉妹の父親もそれを知っていたが『[[援助交際]]やるよりマシ』と黙認)。最終的に栞が姉妹の父親を痴漢に仕立て上げたり姉妹の痴漢でっち上げ行為が世間に発覚する様に仕向け社会的抹消に成功。事件解決後、栞はでっち上げを仕掛けた姉妹とその家族を相手取って損害賠償請求訴訟を起こすことを勧め、「これで家に帰れるわね」と男性に言う<ref>同作は[[テレビ東京]]系列でドラマ化されたが、この話は映像化されていない。</ref>。-->


== 脚注 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
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* 秋山賢三、荒木伸怡、庭山英雄、生駒巖(共編著)『痴漢冤罪の弁護』現代人文社、2004年12月、ISBN 4877982337
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* 池上正樹『痴漢「冤罪裁判」 男にバンザイ通勤させる気か!』(小学館文庫)、小学館、2000年11月、ISBN 4094048014
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* 植草一秀事件を検証する会(編著)『植草事件の真実 ひとりの人生を抹殺しようとするこれだけの力』ナビ出版、2007年2月、ISBN 4931569161
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* 小澤実『左手の証明 記者が追いかけた痴漢冤罪事件868日の真実』ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2007年6月、ISBN 4901491660
* 小澤実『左手の証明 記者が追いかけた痴漢冤罪事件868日の真実』ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2007年6月、ISBN 4901491660
* 小泉知樹『彼女は嘘をついている』文藝春秋、2006年12月、ISBN 4163687009
* 小泉知樹『彼女は嘘をついている』文藝春秋、2006年12月、ISBN 4163687009
* [[周防正行]] 『それでもボクはやってない 日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり』 [[幻冬舎]]、2007年1月、ISBN 4344012739
* 周防正行『それでもボクはやってない 日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり』 幻冬舎、2007年1月、ISBN 4344012739
* 鈴木健夫 『ぼくは痴漢じゃない! 冤罪事件643日の記録』(新潮文庫)、[[新潮社]]、2004年6月、ISBN 4101012210
* 鈴木健夫『ぼくは痴漢じゃない! 冤罪事件643日の記録』(新潮文庫)、新潮社、2004年6月、ISBN 4101012210
* 痴漢えん罪被害者ネットワーク(編)『Stop!痴漢えん罪 13人の無実の叫び』現代人文社、2002年11月、ISBN 4877981136
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* 長崎事件弁護団(編)『なぜ痴漢えん罪は起こるのか 検証・長崎事件』現代人文社、2001年12月、ISBN 4877980725
* 長崎事件弁護団(編)『なぜ痴漢えん罪は起こるのか 検証・長崎事件』現代人文社、2001年12月、ISBN 4877980725
* 夏木栄司『でっちあげ 痴漢冤罪の発生メカニズム』角川書店、2000年11月、ISBN 404883648X
* 夏木栄司『でっちあげ 痴漢冤罪の発生メカニズム』角川書店、2000年11月、ISBN 404883648X
* 前川優[http://www.kinyobi.co.jp/news/?p=303 「推定有罪 すべてはここから始まった -ある痴漢えん罪事件の記録と記憶」](ブログ「[[週刊金曜日]]からのおしらせ」第19回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」優秀賞 2008年12月12日)
* 前川優推定有罪 すべてはここから始まった -ある痴漢えん罪事件の記録と記憶(ブログ「[[週刊金曜日]]からのおしらせ」第19回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」優秀賞 2008年12月12日)
* 矢田部孝司、矢田部あつ子(共著)『お父さんはやってない』太田出版、2006年12月、ISBN 4778310462
* 矢田部孝司、矢田部あつ子(共著)『お父さんはやってない』太田出版、2006年12月、ISBN 4778310462


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
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* [[冤罪]]
* [[冤罪]]
* [[誤認逮捕]]
* [[誤認逮捕]]
* [[推定無罪]]
* [[御殿場事件]]
* [[高橋健一 (お笑い芸人)|高橋健一]] -お笑いコンビ[[キングオブコメディ]]のメンバー。[[2007年]]電車内の痴漢容疑で逮捕されるが、同年末に不起訴となり釈放され翌[[2008年]]に活動再開。
* [[須藤典明]] - 裁判官。刑事裁判で無罪を言い渡され、痴漢冤罪を証明した原告男性の、慰謝料を求める民事での訴えを(原告男性が痴漢行為を行ったと認定し)退けた。

== 外部リンク ==
* [http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_01.html 痴漢冤罪の恐怖(夕刊フジ特捜班「追跡」)]


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2017年4月6日 (木) 00:20時点における版

痴漢冤罪(ちかんえんざい)とは、痴漢をしていない者が、痴漢行為者として疑いをかけられる冤罪。また、それによって警察や司法機関から不当な処遇・処分を受けたり、社会的制裁を受けたりすることを含む場合がある。

概要

近年では社会的に、痴漢犯罪を撲滅しようという動きが高まり、1999年以降痴漢の送検件数が急増した。一方で、痴漢犯罪の取締り強化に伴い、痴漢行為をしていない者が告発され、無実の罪を着せられる冤罪事件も発生するようになった。この問題は、多くの男性が冤罪被害に遭う可能性のある事件として、1990年代末からマスメディアなどで社会問題として頻繁に取り上げられるようになった[1]。これは痴漢被害者のほとんどが女性のためだが、痴漢被害者は男女を問わない[2]ため、女性が冤罪被害に遭う可能性もある。

典型的には、鉄道バスなどの公共交通機関の車内で、痴漢被害に遭った女性またはそう主張する女性が、近傍に居合わせた無関係な男性を犯罪者として告発するような事件を指す。例えば女性の後に男性が2人並んで立っていて、一方が女性に対し触れるなどの痴漢行為をした場合に、女性がもう一方の無関係な男性の手を誤って掴んでしまい、その男性が疑われるというケースなどが考えられる。

痴漢冤罪が発生しやすい背景の1つは、満員電車内での痴漢行為が誤認を起こしやすい状況下の犯罪だということである。実際に痴漢に遭った場合でも、混雑からその実行者を誤認し、無関係な人間を訴えてしまう危険がある。また、痴漢犯罪は客観的な物的証拠が残りにくく、痴漢被害者の証言に頼りがちであることも挙げられる。

痴漢冤罪の発生を防ぐためにも、加害者とされている人物が本当に加害者であるかどうかについては、慎重な精査が求められる。また逆に、物的証拠が残り難いという痴漢犯罪の性質上、加害者ではないと主張する人物が本当に加害者ではないのかについても、慎重な精査が求められる[要出典]


なお、1997年10月に痴漢で逮捕され、冤罪を争って名前と顔を公開してメディアで何度も取り上げられた男性が、痴漢に関して最高裁で2002年9月に有罪判決が確定し[3]、なおも判決の不当を訴えて活動していたが、2003年7月に盗撮容疑で逮捕される事件もあった[4]

問題点

冤罪被害によくあるもの

社会復帰の困難性
痴漢冤罪事件の無罪判決が確定してもなお社会的信頼を失い、誣告者に対する損害賠償請求を起こしても大概の案件は敗訴するのが現状である。勝訴しても精神的苦痛による慰謝料が通るかどうかの程度で、仮に取れたとしてもごく少額であり、裁判費用(弁護士・司法書士費用)を多くは取り返すことは出来ない。早期に冤罪が確定しても「痴漢と疑われる人」など、社会的地位/信頼性、私生活などを失いかねない被害を受ける[5]。また、逮捕時のトラウマから、冤罪被害を恐れて公共交通機関を利用できなくなるなどの心理的打撃も発生することがある[5]
これらの問題は逮捕された時点であたかも犯罪者であるかのように扱う報道機関の影響も考えられる。一例として、痴漢の容疑で実名報道されたJR西日本の重役が自殺している[注釈 1][6]
一方で、加害者ではない者を告発した者は、勘違い等で済まされることが多く、社会的や私生活に受ける被害は小さい。ただし兵庫県内では、痴漢被害に遭ったとされる当時高校生だった女子大学生が、冤罪になった相手(被誣告者)から「お礼参り」として暴行された末に殺害された上、河川敷に遺棄された例もある。神戸地方裁判所(裁判員裁判)は「復讐や仕返しにしてはやり過ぎだ」と断罪し、犯人に対し懲役25年の判決を宣告した[要出典]
長期勾留
痴漢行為の冤罪を主張し否認を続けた場合、警察・検察により数ヵ月から1年以上長期間にわたって勾留され[注釈 2]、容疑を認めるまで解放されない。そのため容疑者としての勾留であっても周囲には勾留=逮捕=有罪確定と誤認される可能性がある。
最終的に冤罪であると認められた場合でも、裁判の判決まで1年から数年を要する。それを怖れ、痴漢をした事実がなくても、警察からの早期解放を目的に罪を認める場合がある。この場合、前科が付き、数万から数十万円の罰金刑を支払うことになるが、前科は一定期間すれば記録には残らない。また、再犯を犯さない限り犯罪の事実は社会に公表されることはない。
これに対し、冤罪だと主張した場合は、実名報道されるケースが多い。この不利益により、冤罪被害者本人に限らず、家族が重い鬱病になった事例や、離婚に追い込まれた事例もある。痴漢冤罪の被害者が家計を主に支える人間である場合、世帯の収入が激減することも大きな問題である(代用監獄も参照)。
虚偽申告
警察庁長官は、記者会見で「極めて少数だが、痴漢被害を偽装する女性が存在する」と認めている[7]
中には男性に多額の示談金を要求するケースもあり、痴漢告発の常習者であった事案もある[8][9]。ただ、誣告者が刑事責任を問われるのは前述のとおり勘違いなどで済まされることが多々あり、ほぼ皆無である。
希な例ではあるが、大阪市営地下鉄御堂筋線車内で交際相手とつるみ、偶然居合わせた乗客を痴漢扱いして警察に誣告した女性が大阪地方裁判所で執行猶予付き有罪判決を受けた例がある。これを使嗾した交際相手の男性は、同地裁にて懲役5年6ヶ月の実刑判決を宣告された。ただ、この事件は実行犯の女性が自首したことで発覚したものである[要出典]
検挙のための検挙
痴漢被害者が、痴漢加害者が誰か正確に認識できず、告訴をためらっていた場合でも『警察が責任を持つ』『後戻りはできない』と、警察官が被害者に告訴を強要する場合もある[10]
判決の理由として「原告の(被害体験)供述は臨場感がある」といった判決理由も多い。警察・検察が、容疑者に有利な証拠を出さない場合もある。このように、取り締まる側が通報者に過度に協力的な態勢は、自らの業務意義を間違った形で、肯定するための手段に陥りがちである。

痴漢冤罪に顕著なもの

誤認による冤罪
混雑している車両で起こるため、痴漢自体はあったとしても、加害者として無関係の乗客を間違えて訴えてしまうことがある。
推定無罪の原則
本来、刑事裁判における犯罪の証明には、捜査機関が「被告人が犯罪をした証拠」を提出する必要がある。しかし、痴漢の場合は物的証拠がほとんど残らないという犯罪の性質上、被害を受けた者の「この人が痴漢をした」との証言(犯人識別供述)と被疑者の自白程度しか証拠がないことが多く、その証言ないし自白が信用されるものと認定されれば、具体的な物証がなくとも実際に犯罪をなしたと見なされる傾向にある。日本は他の近代法治国家と同様に推定無罪の原則を採っているが、痴漢を含む性犯罪に関しては、容疑者がいわゆる「悪魔の証明」をしない限りは被害者の訴えのみで有罪が確定するケースが大半である。
しかしながら、痴漢など性犯罪に限らず、被害者の証言とそれに伴う状況証拠の検証のみで有罪が確定することは一般的である。例えば「Aさんに殴られた」という軽微な暴行事件についても被害者の訴え以外に証拠を集めることは困難であり、被害者の証言をもとに検証するしかない。そのため、司法の問題点を指摘する意見や、治安を守る上での限界という意見もある。
上記のように推定無罪の原則が適用されにくいため、痴漢冤罪を防ぐには、被告人が「痴漢をしていない証拠」を示し、100%揃える必要がある。これは悪魔の証明と呼ばれるものであり、痴漢をしていないことを証明することは極めて困難である。このような構造になった原因として、もともと日本では軽微な性犯罪であると見なされていた痴漢に対する制裁が軽く、弱い立場の被害者が泣き寝入りすることも多かったため、これを是正するために警察や裁判所が被害者を守ることに重点を置いた対応をするようになったことを挙げる意見がある[要出典]
実際、起訴されれば無罪になる確率が0.02%であり、1審で有罪になると、新証拠が出されないと無罪になりにくい[11]。ただし、一般に起訴後の無罪率は0.03%であり、痴漢犯罪において顕著に無罪率が低いということはない。また、起訴されたうちの何割が実際に無罪であったかは不明であるため、「冤罪率=無罪の人が有罪になる確率」は不明である[注釈 3]
現行犯逮捕への不理解
痴漢容疑者が、既に私人逮捕されていることに気づかず駅事務所について行ってしまった場合、現行犯逮捕に同意した(自身の氏名や居住地・身分を明らかにせず容疑を認めた)とみなされるため、容疑者自身の立場を法律的に悪くしている[11]
なお、痴漢を目撃した場合、あるいは被害者が痴漢の事実を訴えている場合には、周囲にいる人には、被疑者が身分を明らかにせず、かつ逃亡の恐れがあると認められるときに限り、被疑者の身柄を現行犯逮捕することができる。ただし、目撃者が被害者一人だけの場合、違法逮捕になる恐れもあり、十分な状況の把握が必要になる。

痴漢冤罪をめぐる変化

司法の変化

痴漢の場合、物的証拠がほとんど残らないため、痴漢被害者の訴えが他の訴訟に比して重要視される傾向にあった。しかし、被害者の保護が行き過ぎると冤罪の訴えの多発を招く。そのため、痴漢冤罪に対する世論の高まりとともに、痴漢被害を主張する者の衣服の指紋の採取、容疑者の指に付着した衣服の繊維や被害者の体液や皮膚の組織などのDNA鑑定等、より先進的かつ客観的な物的証拠が求められるようになり、これらの物的証拠は、起訴段階もしくは審理において重要視されるようになりつつある[12]。ただし、列車が揺れた際に偶然手が触れたといったケースの場合、意図的ではなくても物的証拠が残ってしまう可能性もある。ただし、いまだに被害者本人と交際相手の証言のみでも有罪になる場合がほとんどであり、司法は痴漢冤罪に関して未だ厳しいのが現状である。

社会の変化

痴漢冤罪による無罪判決がマスコミなどで頻繁かつ大々的に取り上げられるようになった結果、企業・組織の側でも従業員が逮捕されても初犯に限り、即座に懲戒免職としない傾向が見られるようになった。失職する場合本人が留まりづらく自ら退職する場合が多かったが、近年では人格的に信用されている個人の場合、社員仲間が被疑者を支援し、その家族を支える事例も見られる。また、都市部においては痴漢冤罪対策として、男性を中心に自家用車(オートバイ・原付バイク・自転車を含む)通勤をする人あるいは座席指定制の有料特急(新幹線通勤を含む)やホームライナーを利用する人も増えている[要出典]

主な痴漢冤罪事件

以下は個別の記事がある痴漢冤罪事件である。

痴漢冤罪に対する有識者の見解

ジャーナリストで現参議院議員の有田芳生は、金銭目的の「痴漢被害捏造犯」の存在に言及しており、また「痴漢冤罪に巻き込まれたくない」という理由で「家に帰るときは電車を使わず、なるべくタクシーで帰宅している」と本人のブログで発言している[13]

作家の阿川弘之は、自らが痴漢冤罪の被害に遭いかけたという経験から、「男性専用車両」の導入を提唱している。同様に、利用客の男性などからの「男性専用車両」を切望する声も少なくない[14]

同様に性平等主義者の女性、及び女性専用車両に乗らなかったせいで、周囲の男性から軽い暴力を受けた女性からの「男性専用車両」を切望する声も少なくない。

日本テレビ『行列のできる法律相談所』では、2008年に4名中2名の弁護士が走って逃げるのが最善と回答し[15]、2016年には4名中3名の弁護士が現場から立ち去るべきと回答した[16]

元裁判官で現在は弁護士である井上薫もインタビューで「逃げてしまった方が一面では有効かも知れない」と述べている[17]

実際に起こった事件に関しては、鉄道関係者は「疑いをかけられた時点で、逮捕を逃れること不可能に近い」「走って逃げても取り押さえられたらお終い」とコメントしている[6]

メディアの報道

2008年2月には大阪市営地下鉄御堂筋線で痴漢の疑いをかけて示談金をだまし取ろうとした「痴漢でっち上げ詐欺事件」が発生し、翌年4月の裁判で有罪の判決を受けたが、裁判翌日の朝日新聞の社説は「痴漢冤罪を防ぐよりも女性専用車を更に拡大すべきだ。」との趣旨の社説を載せた[18]

また大手マスコミが報道していない痴漢冤罪については、2009年の新宿駅で被害者の青年が無実にもかかわらず痴漢の疑いをかけられその後自殺する事例も「My News Japan」[19] や「紙の爆弾」[20]で報じられている。

痴漢冤罪事件を扱った作品

{{{作品の内容を記述するときは、どのような背景で、どのような事例を、どのように収束させるか、以上3点主体のみで記入をお願いします。
Wikipedia日本語版ではネタバレは認容されていますが、内容のクライマックスがどうなっているかまで書く必要はありません!}}} 本節では、痴漢冤罪を主題とした作品と、副次的に痴漢冤罪を扱っている作品を記載する。

主題とした作品

映画

テレビドラマ

小説

実用書

  • Satoki・著 弁護士 坂根真也・監修『痴漢に間違われたらこうなります!』 

音楽・歌謡

エピソードの1つとして扱った作品

テレビドラマ

テレビ番組

漫画

脚注

注釈

  1. ^ ただし、このケースでは痴漢被害者が、被疑者の顔を覚えてしまうほど過去に同様の手口で複数回の被害があり、間違いはないと主張している[6]
  2. ^ 勾留されている間、行政から一切の就業補償はなされない。
  3. ^ 例えば、無罪率が0.02%であっても、そもそも起訴事件中で実際に無罪であるものが0.02%しかなく、これらが無罪判決となっているのであれば、冤罪率は0%である。

出典

  1. ^ “【関連】『痴漢』逆転無罪 『決めつけ』捜査批判 3年の訴え実る”. 東京新聞. (2009年4月15日朝刊). オリジナルの2009年4月17日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090417050825/http://www.tokyonp.co.jp/article/national/news/CK2009041502000057.html 
  2. ^ “男性も痴漢から保護対象に この春、全都道府県で改正条例施行”. ハフィントン・ポスト. (2014年4月5日). http://www.huffingtonpost.jp/spork/post_7249_b_5068288.html 2016年6月26日閲覧。 
  3. ^ 最高裁判決平成14年9月26日 最高裁判所裁判集刑事282号237頁(PDF)
  4. ^ [1][出典無効]
  5. ^ a b “無罪判決 「痴漢現行犯」に問われた男性 大阪府警が誤認逮捕 地裁支部「証拠不十分」”. 毎日新聞. (2016年4月26日). http://mainichi.jp/articles/20160823/ddn/041/040/008000c [リンク切れ]
  6. ^ a b c 「警察発表」だけで報じる新聞・テレビ「痴漢報道」——JR西日本の重役はなぜ死ななければならなかったのか”. 現代ビジネス (2013年1月24日). 2016年3月31日閲覧。
  7. ^ “「痴漢事件捜査、多角的に検討」 無罪判決で警察庁長官”. 朝日新聞. (2009年4月16日). オリジナルの2009年4月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090419114022/http://www.asahi.com/national/update/0416/TKY200904160291.html 
  8. ^ “痴漢冤罪の恐怖 あなたも犯人に…(1)”. ZAKZAK. (2007年2月24日). http://www.zakzak.co.jp/tsui-sat/tsuiseki/contents/2002_04-09/020914_01.html 
  9. ^ [2] 痴漢えん罪ネットワーク 2007年2月24日[出典無効]<
  10. ^ 夕刊フジ特捜班 痴漢冤罪の恐怖 あなたも犯人に…(3) ZAKZAK
  11. ^ a b 奇跡体験!アンビリバボー 痴漢えん罪事件壮絶868日 フジテレビ 2013年11月7日放送
  12. ^ 平成21年6月25日付警察庁通達(PDF)
  13. ^ 有田芳生 (2006年8月28日). “周防正行監督の痴漢冤罪映画”. http://saeaki.blog.ocn.ne.jp/arita/2006/08/post_ce81.html 2014年9月11日閲覧。 [リンク切れ]
  14. ^ 東京新聞 2007年5月12日朝刊
  15. ^ 行列の出来る法律相談所”. 日本テレビ (2008年4月27日). 2014年9月11日閲覧。
  16. ^ 行列の出来る法律相談所”. 日本テレビ (2016年3月20日). 2016年3月21日閲覧。
  17. ^ “電車の中で「痴漢です」! 叫ばれたらどうしたらいいのか 弁護士・井上薫さんに聞く”. J-CASTニュース. (2009年2月1日). http://www.j-cast.com/2009/02/01034490.html?p=all 
  18. ^ 朝日新聞 2009年4月17日社説
  19. ^ “自殺した痴漢冤罪青年による110番通報の謎 目撃者、続々現れる”. My News Japan. (2011年12月29日). http://www.mynewsjapan.com/reports/1538 2016年12月31日閲覧。 記事名に被害者の実名が使われているため、一部省略した。
  20. ^ 『月刊『紙の爆弾』2016年5月号』”. 鹿砦社. 2016年12月31日閲覧。
  21. ^ 初出:『小説現代』1968年6月号
  22. ^ 「筒井ワールド 4」 BIG FACE 1997年2月5日 - 11日 両国シアターX(カイ) 「座敷ぼっこ」「こぶ天才」「懲戒の部屋」「最高級有機質肥料」 脚本、演出:伊沢弘 監修:川和孝 出演:千田隼生 佐藤昇 吉宮君子 名倉右喬 津川友美 他[3]

参考文献

  • 秋山賢三、荒木伸怡、庭山英雄、生駒巖(共編著)『痴漢冤罪の弁護』現代人文社、2004年12月、ISBN 4877982337
  • 池上正樹『痴漢「冤罪裁判」 男にバンザイ通勤させる気か!』(小学館文庫)、小学館、2000年11月、ISBN 4094048014
  • 植草一秀事件を検証する会(編著)『植草事件の真実 ひとりの人生を抹殺しようとするこれだけの力』ナビ出版、2007年2月、ISBN 4931569161
  • 小澤実『左手の証明 記者が追いかけた痴漢冤罪事件868日の真実』ナナ・コーポレート・コミュニケーション、2007年6月、ISBN 4901491660
  • 小泉知樹『彼女は嘘をついている』文藝春秋、2006年12月、ISBN 4163687009
  • 周防正行『それでもボクはやってない 日本の刑事裁判、まだまだ疑問あり』 幻冬舎、2007年1月、ISBN 4344012739
  • 鈴木健夫『ぼくは痴漢じゃない! 冤罪事件643日の記録』(新潮文庫)、新潮社、2004年6月、ISBN 4101012210
  • 痴漢えん罪被害者ネットワーク(編)『Stop!痴漢えん罪 13人の無実の叫び』現代人文社、2002年11月、ISBN 4877981136
  • 長崎事件弁護団(編)『なぜ痴漢えん罪は起こるのか 検証・長崎事件』現代人文社、2001年12月、ISBN 4877980725
  • 夏木栄司『でっちあげ 痴漢冤罪の発生メカニズム』角川書店、2000年11月、ISBN 404883648X
  • 前川優『推定有罪 すべてはここから始まった -ある痴漢えん罪事件の記録と記憶』(ブログ「週刊金曜日からのおしらせ」第19回「週刊金曜日ルポルタージュ大賞」優秀賞 2008年12月12日)
  • 矢田部孝司、矢田部あつ子(共著)『お父さんはやってない』太田出版、2006年12月、ISBN 4778310462

関連項目