埼玉西武ライオンズ・レディース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
埼玉西武ライオンズ・レディース
会社名 一般社団法人埼玉レディースベースボール
創設 2020年
今シーズン
現在進行のスポーツイベント2024年の埼玉西武ライオンズ・レディース
所属リーグ
ヴィーナスリーグ(関東女子硬式野球連盟)
歴代チーム名
埼玉西武ライオンズ・レディース(2020年 - )
本拠地
埼玉県川越市(2020年 - 同年7月)
埼玉県加須市(2020年7月 - )
獲得タイトル
日本一(以下 2大会の優勝:計 1 回)

太字は優勝 (1回)、斜体は準優勝 (2回)
全日本女子硬式クラブ野球選手権大会(出場:4回)
 20202023

全日本女子硬式野球選手権大会(出場:3回)
 2023


2大全国大会以外 (定期開催のみ)
栃木さくらカップ(出場:3回)
 2021202220232024


球団組織
GM 新谷博
監督 田口紗帆
会長 松木貴
キャプテン 英菜々子
テンプレートを表示
一般社団法人埼玉レディースベースボール
種類 一般社団法人
本社所在地 日本の旗 日本
347-0007
埼玉県加須市下三俣590番地
加須市民運動公園[1]
業種 サービス業
法人番号 8030005020000
事業内容 チーム運営および選手育成、野球振興活動など
テンプレートを表示

埼玉西武ライオンズ・レディース(さいたませいぶライオンズ・レデイース)は、埼玉西武ライオンズ公認する女子硬式野球クラブチーム[2]、運営法人は埼玉レディースベースボールである。

日本野球機構(NPB)の加盟球団が公認する初めての女子硬式野球クラブチームで、一般財団法人全日本女子野球連盟ヴィーナスリーグに加盟。2020年4月1日から埼玉県川越市尚美学園大学を拠点に活動を開始[2]。同年7月16日からは同県加須市[3]本拠地にしている。

概要[編集]

埼玉県所沢市ベルーナドームを本拠地として使用している埼玉西武ライオンズの支援と公認によって誕生したチームで、2020年1月16日に発足を発表。同球団のOB(元投手)で、現役からの引退後に女子野球日本代表の投手コーチを歴任した新谷博(尚美学園大学女子硬式野球部監督)が、初代の監督に就任した[4]

NPB球団のチーム名を冠した初めての女子野球チームで、選手や首脳陣は、埼玉西武ライオンズと同じデザインのユニフォームや帽子を着用。同球団から野球用具の提供や「ライオンズアカデミー」専属コーチ(同球団OB)の派遣(臨時コーチ扱い)を受ける[5]ほか、ベルーナドームと同じ敷地にある球団所有のトレーニングセンターを練習に使用することが認められている。

ただし法人およびチームは、西武球団から金銭面での支援を受けないクラブチームとして運営するため、所属選手にはチームとは別の仕事に就くことを求めている[4]。このため(2022年2月時点で)、各自収入のみで生活費(身体のケアに使う費用や食費など)や遠征費、長期でキャンプや自主トレを行う際には有給休暇を使い、移動手段や宿泊先などのマネジメントも選手自身が協力して行う必要があるなど、女子野球界全体の重要な課題である[6][7]。現在は選手らの広報活動により、スポンサー企業がついたり用具寄贈などの支援を受けて活動している。

なお、4部制で構成されているヴィーナスリーグには、2020年シーズンから2部に参加。尚美学園大学は当チームの発足時点で1部に所属しているため、初代監督の新谷は、発足後も同大学の監督を兼務する[5]。ただし、実際には日本国内で年頭から新型コロナウイルスへの感染が拡大している影響でリーグ戦が中止されたため、リーグ戦の代替大会にのみ参加。リーグへの本格的な参入は、2021年シーズン以降に持ち越された[8]

2020年7月に、埼玉県加須市と連携協定を締結[9]。同年10月に開催された全日本女子硬式クラブ野球選手権大会で、初出場ながら優勝した[10]

2021年1月から、ベースボールスクールを開校。複数の元・プロ野球選手が専属のコーチに加わったほか、ヴィーナスリーグに加盟している大学(尚美学園大学など)の卒業生を選手として迎え入れている。

発足までの経緯[編集]

日本国内では、2010年に活動を開始した日本女子プロ野球機構(JWBL)や、2013年からNPBと全日本軟式野球連盟が共同で開催している「NPBガールズトーナメント」の影響もあって、女子野球の競技人口が高校生を中心に増加の一途をたどっている[4]。特に関東は、関東女子硬式野球連盟が主催するヴィーナスリーグ(NPBに加盟する読売ジャイアンツや、同球団と関係の深い報知新聞社が後援社に名を連ねている[5])を中心に女子野球が盛んな地域となっている。その一方、JWBLでは2019年のシーズン終了後に契約形態の変更などを巡って全所属選手71人中半数以上の36人が退団するという騒動が勃発(翌2020年にも同じく半数以上が退団、その後2021年を最後にリーグは無期限休止となった)。大学や社会人のレベルでも、急増する高校生以下の女子選手の進路先となり得るチームの不足が課題となっていた。

女子のアマチュア野球を統括する全日本女子野球連盟では、以上の状況を踏まえて、社会人レベルの女子アマチュア硬式野球への協力を西武球団に要請[4]。同球団でもかねてから女子野球への貢献策を検討していたため、「トップレベルの女子選手が活躍できる環境の整備に協力していくことは、女子野球の発展のみならず、(男子を含めた)野球人口の減少の歯止めに寄与できるのではないか」という考えの下に支援を決定した[2]

なお、NPBのセントラル・リーグに加盟する阪神タイガースや読売ジャイアンツでも、このような動きを背景にそれぞれ2021年度から「阪神タイガース Women」、2022年度から「読売ジャイアンツ女子チーム」という名称で女子硬式野球のクラブチームを立ち上げている[11]

ちなみに、初年度(2020年度)の所属選手(21名)には、2019年までJWBL加盟のチームに所属した後にトライアウトで合格した選手3名が含まれている。

チームの陣容[編集]

2024年体制[12]

GM・監督・コーチ[編集]

背番号 役職 名前 経歴 備考
50 新谷博 GM 西武ライオンズおよび
北海道日本ハムファイターズ投手
初代監督
尚美学園大学女子硬式野球部の監督を兼任
55 田口紗帆 監督 埼玉アストライア内野手 第三代監督
53 幸田正広 コーチ ヤクルトスワローズ内野手
58 石平英一 コーチ 高田工業高→駒沢大→NTT東日本 第二代監督
多胡肇 トレーナー
梅林遼太 トレーナー
堀口春 トレーナー
加藤萌音 マネージャー 設立から23年まで選手

所属選手[編集]

  • 氏名が太字の選手は、新谷と共に発足発表へ参加。
  • ◎の選手は、セレクションを経て初年度(2020年度)から参加。

投手[編集]

背番号 名前 備考
1 磯崎由加里 元JWBL埼玉アストライア,
24年入団, 侍J[13]
3 伊藤優雅
11 館彩花
16 小林美玲
18 里綾実 元JWBL愛知ディオーネ
22 三浦光希

捕手[編集]

背番号 名前 備考
21 英菜々子 主将

内野手[編集]

背番号 名前 備考
2 中村朱里
4 小坂未羽 24年入団[14]
5 小櫃莉央 24年入団, 西武LJr./侍J[15]
6 出口彩香
7 山崎まり 元JWBL埼玉アストライア
14 有馬雅妃 24年入団, 隼人主将[16]
24 村上奈名
31 豊巻翔子
33 岩見香枝 元JWBL愛知ディオーネ
35 川中もも
64 中川実栞
66 北田茉莉 24年入団, 日体軟式/選抜[17]
86 池内遥香

外野手[編集]

背番号 名前 備考
9 村田凪佐 24年入団, 侍J[18]
12 田上亜純
15 米谷奈月 24年入団, 侍J[19]
17 高田爽矢
19 千葉愛希
20 石垣麻雅乃 24年入団, 侍J[20]
88 清水優花

応援団[編集]

チームや連盟が公認する応援団は現在ないが、ファンによる歌唱応援や、2024年からはファン優志による応援団が設立されている(加須炎獅子会[21])。また、埼玉西武ライオンズの応援団が大会時の遠征をする場合がある(例:第19回全日本選手権・博多激獅会[22]など)。鳴り物応援は、球場規定や大会主催者による許可が必要である。

スポンサー[編集]

企業・団体名 備考
オフィシャルスポンサー
キリン
環境管理センター
Em’s Works
株式会社アルバ
住起産業株式会社
東京グランドホテル
湖池屋
秋葉建機株式会社
KEN Career Consultant
有限会社増田総業
マスコー運輸有限会社
有限会社富士自動車
株式会社大熊電気工事
MiTホールディングス
ウム・ヴェルト株式会社
フェニックス観光株式会社
株式会社ユニオン
ディクスホールディングス株式会社

各年一覧[編集]

各年の埼玉西武ライオンズ・レディース
2020年代 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024
各年のヴィーナスリーグおよび関連大会
2020年代 2021 | 2022 | 2023 | 2024

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 加須市民運動公園”. 加須市 (2022年4月1日). 2024年4月22日閲覧。
  2. ^ a b c 12球団初!プロ野球チーム名を冠にした埼玉西武ライオンズ公認の女子野球チーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」が4月に誕生!”. 埼玉西武ライオンズ (2020年1月16日). 2020年1月18日閲覧。
  3. ^ 埼玉西武ライオンズ・レディースが加須市を本拠地として活動” (2022年7月16日). 2023年5月26日閲覧。
  4. ^ a b c d 埼玉西武ライオンズ・レディース誕生 4.1活動予定 女子野球クラブ初のNPB冠名”. スポーツニッポン (2020年1月17日). 2020年1月19日閲覧。
  5. ^ a b c 【女子野球】新谷監督「野球をしている子、これからの子の夢に」ライオンズ・レディース誕生”. スポーツ報知 (2020年1月17日). 2020年1月20日閲覧。
  6. ^ 【女子野球選手の悩み】里綾実、六角彩子の悩み大暴露!!【野球だけやりたい‼︎】 - サイソンKAZUYA @SAISON_KAZUYA - YouTube
  7. ^ 【大暴露】大事なのは賞金ではなく、女子野球を知って貰うことです!! - サイソンKAZUYA @SAISON_KAZUYA - YouTube
  8. ^ 【女子野球】ヴィーナスリーグの今季開催が中止、代替大会を開催へ”. スポーツ報知 (2020年6月29日). 2020年6月29日閲覧。
  9. ^ 西武レディース 埼玉県加須市と連携協定締結式 新谷監督「新しい流れを」”. スポーツニッポン (2020年7月17日). 2020年12月3日閲覧。
  10. ^ 埼玉西武ライオンズ・レディースが初出場初優勝 女子硬式クラブの頂点に”. FullCount (2020年10月31日). 2020年12月3日閲覧。
  11. ^ a b 「女の子の憧れのチームに」創設から6か月で関西制覇、阪神Womenの“野望””. Full-Count(フルカウント) ― 野球ニュース・速報・コラム ―. 株式会社Creative2 (2021年8月1日). 2021年8月13日閲覧。
  12. ^ 2024年度入退団 埼玉西武ライオンズ・レディースX
  13. ^ 磯崎 由加里 全世代侍ジャパン選手リスト”. 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年12月14日閲覧。
  14. ^ 女子硬式野球部 活動報告”. 平成国際大学 (2023年12月7日). 2023年12月14日閲覧。
  15. ^ 小櫃 莉央 全世代侍ジャパン選手リスト”. 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年12月14日閲覧。
  16. ^ コミュ力高い女子王者 斎藤佑樹さん「男女でヒント共有しては?」”. 朝日新聞デジタル (2023年4月25日). 2023年12月14日閲覧。
  17. ^ 【女子野球】初の軟式大学東西選抜戦を開催へ”. スポーツ報知 (2023年10月12日). 2023年10月12日閲覧。
  18. ^ 村田 凪佐 全世代侍ジャパン選手リスト”. 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年12月14日閲覧。
  19. ^ 米谷 奈月 全世代侍ジャパン選手リスト”. 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年12月14日閲覧。
  20. ^ 石垣 麻弥乃 全世代侍ジャパン選手リスト”. 侍ジャパンオフィシャルサイト. 2023年12月14日閲覧。
  21. ^ 加須炎獅子会 Instagram @kazo_enjishi_ssll
  22. ^ 伊予銀行杯 第19回全日本女子硬式野球選手権大会 準決勝 平成国際大学 vs 埼玉西武ライオンズレディース (2023/10/10、MADONNA JAPAN TV) - YouTube

外部リンク[編集]