伊藤竜馬

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伊藤竜馬
Tatsuma Ito
2019年全仏オープンでの伊藤竜馬
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 同・三重県員弁郡北勢町(現・いなべ市
生年月日 (1988-05-18) 1988年5月18日(35歳)
身長 180cm
体重 75kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2006年
引退年 2024年
ツアー通算 0勝
シングルス 0勝
ダブルス 0勝
生涯獲得賞金 1,792,085 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 2回戦(2012・13・20)
全仏 1回戦(2012・15)
全英 1回戦(2012・14)
全米 2回戦(2014)
4大大会最高成績・ダブルス
全米 1回戦(2012)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 60位(2012年10月22日)
ダブルス 312位(2014年6月9日)
獲得メダル
男子 テニス
アジア競技大会
2010 広州 シングルス
2010 広州 団体
東アジア競技大会
2009 香港 シングルス
2009 香港 ダブルス
2024年4月2日現在

伊藤 竜馬(いとう たつま、1988年5月18日 - )は、三重県員弁郡北勢町(現いなべ市)出身の男子プロテニス選手。北日本物産所属。身長180cm。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。ATPランキング自己最高位はシングルス60位、ダブルス312位。

選手経歴[編集]

ジュニア時代[編集]

9歳からテニスを始め、全日本ジュニアテニス選手権12歳以下シングルスベスト4、全国中学生ジュニアシングルスで準優勝の成績を挙げるなど、早くから有望ジュニアの一人として知られていた。高校はテニスの強豪高として知られる長尾谷高等学校に進学。在学中にはトヨタジュニアシングルス、ジャパン・オープン・テニス選手権ジュニア部門シングルスなどで優勝。全日本ジュニアテニス選手権18歳以下シングルス、全国高等学校総合体育大会テニス競技大会シングルス、世界スーパージュニアテニス選手権大会ダブルスでそれぞれ準優勝を挙げるなど国内トップレベルのジュニアに成長。在学中の2006年にプロ転向。

2007年 フューチャーズ初優勝[編集]

2007年には早くもツアー下部大会のフューチャーズ大会シングルス優勝、第8シードで出場した全日本テニス選手権シングルス部門でも前年度シングルス部門優勝者である岩渕聡を6-7(6), 6-2, 7-5の逆転で下すなどの活躍でベスト4進出の成績を残した。

2008年 ATPツアー参戦[編集]

2008年は更なる躍進の年となり、フューチャーズ4大会で優勝。9月のジャパン・オープン・テニス選手権で主催者推薦でATPツアー大会本戦初出場。第4シードで出場した全日本テニス選手権ではシングルス部門準決勝で守屋宏紀を6-4, 6-4のストレートで下し決勝進出。決勝で今大会第一シードの添田豪と対戦。7-6(2), 3-6, 4-6のスコアで惜敗するも準優勝の成績を残す。今大会ではダブルス部門においても同じミキプルーンの權伍喜と組んで出場。こちらも準優勝となった。以上の活躍によりランキングも年初の511位から年末には313位まで大きく上昇させた。

2009年 チャレンジャー初の決勝進出[編集]

2009年全日本室内テニス選手権で準決勝進出の成績を残すなど好調さを維持しており、同年4月にはランキングも200位台に上昇。6月にはウィンブルドン選手権の前哨戦として知られるエイゴン国際予選に出場。予選決勝で当時ATPシングルスランク96位のヴィンセント・スペーディアを 6-7(3), 7-5, 6-3のフルセットで下し、初の自力でのATPツアー大会本戦出場を果たす。11月にはダンロップ・チャレンジャーで初めてチャレンジャー大会の決勝に進出。決勝ではウラジミール・イグナティクに6-7(7), 6-7(3)のストレートで敗れ準優勝となったが、これらの活躍により年度末シングルスランクも年初の314位から210位に上昇。自身初の日本人選手トップに立った。

2010年 チャレンジャー初優勝[編集]

広州アジア大会では男子シングルスと団体で銅メダルを獲得した。

2011年 グランドスラム初出場[編集]

4大大会全米オープンで初出場。1回戦で第25シードのフェリシアーノ・ロペスに2-6, 4-6, 4-6で敗れた。楽天ジャパン・オープンでは1回戦でドゥディ・セラに6-4, 3-6, 6-3で勝利した。2回戦でバーナード・トミックに7-6(4), 1-6, 5-7で敗れた。

2012年 トップ100入り[編集]

全豪オープンでは1回戦はポティート・スタラーチェに6-3, 4-6, 6-3, 6-4で4大大会初勝利。その後3月の全日本室内テニス選手権で優勝し3月19日付の世界ランキングでトップ100入り、更に5月のプサン・オープン・チャレンジャーでも優勝している。全仏オープンでは1回戦で第4シードのアンディ・マリーに1-6, 5-7, 0-6で敗れた。6月のユニセフ・オープンでは2回戦でユルゲン・メルツァーを6-2, 6-2で破り自身初のツアーベスト8に進出した[1]

6月26日、ロンドンオリンピックへの出場が決定。このオリンピックには錦織圭添田豪の出場も決まっており、日本男子選手が3人同時に出場するのは1924年パリオリンピック以来88年ぶりとなった。シングルス1回戦でミロシュ・ラオニッチと対戦し、3-6, 4-6で敗退した。

10月の楽天ジャパン・オープンの1回戦で世界ランク12位のニコラス・アルマグロに対し、7-6, 7-6のストレート勝ちを収めた。10月22日付のランキングで自己最高の60位を記録した。

2013年 全日本テニス選手権初優勝[編集]

全日本テニス選手権決勝で西岡良仁を6-3, 6-3で破り大会8度目の出場で初優勝を果たした[2]楽天ジャパン・オープンでは1回戦でフェリシアーノ・ロペスに6-4, 5-7, 3-6で敗れた。

2014年 対世界ランクトップ10初勝利[編集]

2014年8月、全米オープン1回戦で世界ランク51位のスティーブ・ジョンソンと対戦し、相手の途中棄権により同大会初勝利をあげた。2回戦はフェリシアーノ・ロペスに敗れた。9月の楽天ジャパン・オープンでは、1回戦で第1シード・世界ランク4位のスタン・ワウリンカを7-5, 6-2のストレートで降した。2回戦ではベンヤミン・ベッカーに3-6, 3-6で敗れた。

2015年 ATPツアーベスト8[編集]

全豪オープンでは1回戦で第32シードのマルティン・クリザンに、全仏オープン1回戦で第28シードのファビオ・フォニーニに、ウィンブルドン選手権では予選2回戦で守屋宏紀に敗れた。その後のテニス殿堂選手権では1回戦でノア・ルービンに2回戦で第7シードのスティーブ・ジョンソンに勝利し準々決勝進出。準々決勝ではジョン=パトリック・スミスに敗れた。その2週後のコロンビア・オープンでは1回戦でマシュー・エブデンに、2回戦でアレハンドロ・ゴメスに勝利し、2大会連続のベスト8進出。準々決勝では第2シードのバーナード・トミックに敗れた。

2016年 マスターズ初勝利[編集]

全豪オープンでは予選を突破し、2年連続本戦出場。1回戦でラデク・ステパネクに4-6, 3-6, 7-6(5), 2-6で敗れた。2月のデルレイビーチ・オープンで予選を通過し、本戦出場を果たすと、1回戦でデニス・ノビコフに勝利し、今季初勝利を挙げる。マイアミ・オープンでは予選を通過し、本戦では1回戦でニコラ・マユに勝利し、マスターズ1000初勝利を飾る。

2020年 グランドスラム2回戦進出[編集]

全豪オープンでは1回戦でプラジュネシュ・グネスワラン英語版を6-4, 6-2, 7-5のストレートで破り、2014年以来、約6年ぶりにグランドスラムで初戦を突破した。2回戦で第2シードのノバク・ジョコビッチに1-6, 4-6, 2-6のストレートで敗れた。年間最終ランキングは186位。

2024年 引退[編集]

3月4日には世界ランキング634位となっていた。望月慎太郎のコーチも務めながら選手活動もしていたが、4月1日、今季を最後に現役引退を表明した。最後の目標として2013年と2018年に2度の優勝経験がある三菱電機ビルソリューションズ 全日本テニス選手権で上位に進出することを掲げて、トレーニングに励んでいた。

成績[編集]

4大大会シングルス[編集]

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 通算成績
全豪オープン LQ LQ LQ 2R 2R LQ 1R 1R LQ LQ 1R 2R 3–6
全仏オープン A A LQ 1R LQ LQ 1R LQ LQ A LQ 0–2
ウィンブルドン A LQ LQ 1R LQ 1R LQ A LQ LQ LQ 0–2
全米オープン LQ LQ 1R 1R LQ 2R LQ A LQ LQ LQ 1–3

大会最高成績[編集]

大会 成績
ATPファイナルズ A 出場なし
インディアンウェルズ 1R 2013
マイアミ 2R 2016
モンテカルロ Q1 2014
マドリード A 出場なし
ローマ A 出場なし
カナダ A 出場なし
シンシナティ Q1 2014
上海 1R 2013
パリ A 出場なし
オリンピック 1R 2012
デビスカップ QF 2014
ATPカップ A 出場なし

ATPチャレンジャーツアー・ITFワールドテニスツアー決勝[編集]

シングルス[編集]

ATPチャレンジャー (6-12)[3]
結果 No. 年月日 大会 サーフェス 対戦相手 試合結果
準優勝 1. 2009年11月29日 日本の旗 豊田 カーペット (室内) ベラルーシの旗 ウラジミール・イグナティク 6–7(7–9), 6–7(3–7)
優勝 1. 2010年8月15日 ブラジルの旗 ブラジリア ハード 南アフリカ共和国の旗 イザク・ファン・デル・メルウェ 6–4, 6–4
優勝 2. 2010年11月28日 日本の旗 豊田 カーペット (室内) 日本の旗 杉田祐一 6–4, 6–2
優勝 3. 2011年4月10日 ブラジルの旗 レシフェ ハード ブラジルの旗 チアゴ・フェルナンデス w/o
準優勝 2. 2011年5月15日 大韓民国の旗 釜山 ハード イスラエルの旗 ドゥディ・セラ 2–6, 7–6(7–5), 3–6
優勝 4. 2011年11月27日 日本の旗 豊田 カーペット (室内) ドイツの旗 ゼバスティアン・リーシック 6–4, 6–2
優勝 5. 2012年3月11日 日本の旗 京都 カーペット (室内) チュニジアの旗 マレク・ジャジリ 6–7(5–7), 6–1, 6–2
準優勝 3. 2012年4月29日 中華民国の旗 高雄 ハード 日本の旗 添田豪 3–6, 0–6
優勝 6. 2012年5月13日 大韓民国の旗 釜山 ハード オーストラリアの旗 ジョン・ミルマン 6–4, 6–3
準優勝 4. 2013年10月27日 オーストラリアの旗 メルボルン ハード オーストラリアの旗 マシュー・エブデン 3-6, 7-5, 3-6
準優勝 5. 2014年2月9日 オーストラリアの旗 アデレード ハード アメリカ合衆国の旗 ブラッドリー・クラーン 3-6, 6-7(9-11)
準優勝 6. 2014年3月9日 日本の旗 京都 ハード (室内) オーストリアの旗 マルティン・フィッシャー 6-3, 5-7, 4-6
準優勝 7. 2014年5月11日 大韓民国の旗 金泉 ハード ルクセンブルクの旗 ジル・ミュラー 6-7(5-7), 7-5, 4-6
準優勝 8. 2014年9月14日 トルコの旗 イスタンブール ハード フランスの旗 アドリアン・マナリノ 0-6, 0-2 途中棄権
準優勝 9. 2014年11月23日 日本の旗 豊田 カーペット (室内) 日本の旗 添田豪 4-6, 5-7
準優勝 10. 2015年2月1日 香港の旗 香港 ハード イギリスの旗 カイル・エドマンド 1-6, 2-6
準優勝 11. 2016年11月20日 日本の旗 豊田 カーペット (室内) オーストラリアの旗 ジェームズ・ダックワース 5-7, 6-4, 1-6
準優勝 12. 2017年4月23日 中華民国の旗 台北 カーペット (室内) 中華民国の旗 ルー・イェンスン 1-6, 6-7(4-7)

※2017年全仏オープン終了時点

ダブルス[編集]

ATPチャレンジャー (0–1)
結果 No. 年月日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 試合結果
準優勝 1. 2009年3月14日 日本の旗 京都 カーペット (室内) 日本の旗 鈴木貴男 パキスタンの旗 アイサム=ウル=ハク・クレシ
オーストリアの旗 マルティン・スラーナル
7–6(9–7), 6–7(3–7), [6–10]

対世界ランクトップ10勝利[編集]

対戦相手 ランク 大会 サーフェス ラウンド スコア
スイスの旗 スタン・ワウリンカ 4 2014年楽天ジャパンオープン ハード 1回戦 7-5, 6-2

デビスカップ[編集]

ステージ オーダー 対戦国 対戦相手  スコア
2011年 アジア・オセアニア1部・2回戦 シングルス1  ウズベキスタン ムラド・イノヤトフ 4-6, 4-6, 4-6
ワールドグループ・プレーオフ ダブルス (杉田祐一)  インド マヘシュ・ブパシ
ロハン・ボパンナ
5-7, 6-3, 3-6, 6-7(4-7)
2012年 ワールドグループ・1回戦 ダブルス (杉田祐一)  クロアチア イワン・ドディグ
イボ・カルロビッチ
4-6, 4-6, 6-3, 3-6
2013年 アジア・オセアニア1部・1回戦 シングルス1  インドネシア クリストファー・ルンカット 6-2, 6-2, 6-4
ダブルス (内山靖崇) クリストファー・ルンカット
エルバート・シー
6-4, 5-7, 2-6, 7-5, 6-2
アジア・オセアニア1部・2回戦 シングルス1  韓国 チョン・ソキョン 6-1, 6-4, 6-4
シングルス5 チョ・ミンヒョク 6-3, 6-3, 6-0
2014年 ワールドグループ・準々決勝 シングルス1  チェコ ラデク・ステパネク 7-6(7-5), 6-7(5-7), 1-6, 5-7
ダブルス (内山靖崇) ラデク・ステパネク
ルカシュ・ロソル
4-6, 4-6, 4-6
2015年 ワールドグループ・1回戦 シングルス1  カナダ ミロシュ・ラオニッチ 6-2, 6-1, 6-2

脚注[編集]

外部リンク[編集]