伊藤忠通

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伊藤 忠通(いとう ただみち)
生誕 1953年(70 - 71歳)
大阪府東大阪市
国籍 日本の旗 日本
研究機関 奈良県立大学
研究分野 財政学
母校 関西学院大学経済学部
関西大学大学院経済学研究科
学位 経済学修士(博士後期課程単位取得)
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伊藤 忠通(いとう ただみち、1953年昭和28年〉 - )は、日本経済学者奈良県立大学学長・副理事長ラーニング・コモンズを深化させた[1]少人数対話型「学習コモンズ制」導入や公立大学法人化などの改革を指揮した[2]。専門は地方財政論。

略歴・人物[編集]

大阪府東大阪市出身。大阪府立清水谷高等学校卒業、1977年昭和52年)3月関西学院大学経済学部卒業。1982年関西大学大学院経済学研究科博士課程修了[3]経済学修士(博士後期課程単位取得)[4]

沖縄国際大学専任講師を経て、1989年平成元年)助教授1990年奈良県立商科大学(現・奈良県立大学)助教授に。教授を経て2010年平成22年)奈良県立大学の学長に就任。2015年理事長に(学長と兼務のまま)就任した[5]

「生きた知識」教育、独自の「学習コモンズ制」[編集]

2013年、県立大の公立大学法人化(地方独立行政法人化)に向け、伊藤は「ゼミ重視の少人数教育を導入」[6]して「奈良県内全体をキャンパスととらえ、学生が地域へ出て研究する」[7]構想を発表。その一環として「学生の目線で、インターネットを活用した情報発信や旅行プランの企画などができ」る課外活動のため、奈良市観光協会と協定を締結[8]するなど改革案を次々と打ち出した。この改革路線を評価され、県立大は文部科学省から「地(知)の拠点大学」に選ばれた。

2014年4月、少人数教育の構想を具現化させ、県立大の独自の「学習コモンズ制」として開始させた。「さらなる教育の質の向上と優れた地域人材の養成」を目指し、「学び方だけでなく、教え方をも変える」[1]コモンズ制は、「観光創造コモンズ」「都市文化コモンズ」「コミュニティデザインコモンズ」「地域経済コモンズ」の4領域に分かれて、フィールドワーク必修の実践型で学ばせる。このため、教授陣に、アニメらき☆すた」ファンと鷲宮神社の関係など「アニメ聖地巡礼」を研究している岡本健[9]准教授として採用するなど、コンテンツツーリズム(観光社会学)も学生が自ら学び取り「生きた知識」となるよう設計[10]、「国際社会にも対応できる地域人材の育成」を目指している[11]

また、「地域に貢献できる人材を養成」する大学として、同じコンセプトを持つ大学、福井大学や同じ公立大の宮城大学などと連携を推進。地元奈良県の自治体との連携も進め、例えば生駒市関西文化学術研究都市エリアの開発では、伊藤は専門の地方財政論をもとに、公民が連携して「奈良先端科学技術大学院大学を中心とした“イノベーションを創出”するまちづくり」を提案。都市部での農業振興と、居住地・ものづくり施設誘致と、開発エリアを南北に分ける計画を提案している[12]

そのほか、地域貢献活動の一環として、奈良市総合計画審議会や宇陀市総合計画審議会、奈良県国土利用計画審議会の会長、関西広域連合協議会や総務省行政評価懇談会の委員など、各所で委員を多数を務めている。

著書[編集]

共著[編集]

共訳[編集]

  • 『公共経済学入門 政治家、所有権および交換』(A.ギフォードJr.、G.J.サントニ著、新評論1984年
  • 『福祉国家の国際比較研究 LIS10ヶ国の税・社会保障移転システム』(デボラ・ミッチェル著、啓文社1993年

脚注[編集]

  1. ^ a b 奈良県立大学 伊藤忠通学長インタビュー : 世界の大学めぐり
  2. ^ 産経新聞2013年平成25年)1月31日朝刊 奈良県立大の改革構想 少人数教育や法人化も
  3. ^ 朝日新聞1998年3月2日朝刊 インタビュー 奈良県立商科大助教授 伊藤忠通さん
  4. ^ 伊藤忠通学長(副理事長) | 奈良県立大学プロフィール等一覧
  5. ^ 3学長プロフィール - ~ 3公立大学の連携コンセプト - 奈良県立大学
  6. ^ 産経新聞2013年1月31日朝刊 奈良県立大の改革構想 少人数教育や法人化も
  7. ^ 産経新聞2013年2月5日朝刊 奈良県立大改革推進本部会議で提案 魅力的な建築や眺めのいい学食
  8. ^ 産経新聞2013年4月18日朝刊 県立大と奈良市観光協会協定 観光振興などで協力
  9. ^ 「聖地巡礼」テーマに 奈良県立大准教授が新著産経新聞産経ニュース2019年1月9日
  10. ^ パネルディスカッション 概要 テーマ「奈良県立大学附属高校が目指す探究的学びについて考える~未来社会を切り拓く人材の育成~
  11. ^ 奈良県立大学 大学案内 学長メッセージ
  12. ^ 産経新聞2017年9月14日朝刊 生駒市、学研高山第2工区まちづくり検討案発表

外部リンク[編集]