フューチャー・イズ・ワイルド

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フューチャー・イズ・ワイルド』(The Future is Wild)は、2003年イギリスで製作されたテレビ番組、及びそれに基づいた書籍。通称「F.I.W」[1]。『アフターマン』のドゥーガル・ディクソンが中心となり、何十人もの科学者へのインタビューに基づいて未来の地球でどんな進化が起こり、どんな生物が現れるかを予想し、それらをコンピュータグラフィックスによる画像で表現した。

この作品は日本でも大きな人気を得ている。書籍の日本語版は2004年1月に発行された。ほぼ同時期にテレビ版もNHK教育の『地球ドラマチック』枠内で『オドロキ!これが未来の生き物だ』の題で3回シリーズに編集して放送され、後に原題にてDVD化して発売された。また、ディスカバリーチャンネルにおいても「The Future is Wild」のタイトルで放映された。2005年には新江ノ島水族館で特別展や原作者を招いてのイベントなどが開かれたほか、登場する生物のフィギュア化もなされている。2015年3月30日より『フューチャー・イズ・ワイルド(改訂版)』が発売され、新型の生物が加わっている。

スタッフ[編集]

原作
プロデューサー
プロジェクトに関わった科学者

概要[編集]

基本的には『アフターマン』と同様、人類をはじめとする現在の生物がほぼ絶滅することによって生態的地位(ニッチ)の空白が生じ、生き残った生物がそれを埋める方向に進化して新しい種族が現れるというものだが、全体は3つの年代に分れており、後の時代になるほど現在の生物相からかけ離れた姿になっていく。

各年代について4つ(全部で12)の特徴的な地域を取り上げ、そこの生態系を描いている。テレビ版は全13回で、第1回を「後の各回についての簡単な概略 (Welcome to the Future)」とし、1話ごとに1つの生態系を紹介している。

日本語によるNHKの番組及びDVDでは各年代毎の3巻構成となっている。

  • 「500万年後~氷の世界~」
  • 「1億年後~灼熱の世界~」
  • 「2億年後~超巨大大陸の出現~」
「進化する地球」[編集]

プレートテクトニクス進化について述べ、地球生物の誕生から人類の時代に至るまでの歴史の中に見られるいくつかのパターンを説明している。これらのパターンは人類絶滅後においても繰り返されることになる。

テレビ版では、地球を離れた人類が遺した衛星の視点(NHK教育にて放映時)、あるいは、地球を離れた人類が、故郷に送り込んだ探査機の視点(ディスカバリーチャンネルにて放映時)で捉えている。

「500万年後の世界」[編集]

地球は氷河期のピークを迎えており、海水が凍って海面が低下している。北半球ではパリまで、南半球ではブエノスアイレスまでの広い範囲が氷床に覆われている。ヨーロッパの大部分は極寒のツンドラである。アフリカヨーロッパとぶつかって地中海が閉鎖される。そのため地中海は干上がり、塩水湖の点在する巨大な塩の平原となる。アマゾンの熱帯雨林は乾燥した草原となる。北アメリカは寒冷な砂漠となる[2]。多様化した脊椎動物が生息。

以下、描かれている地域と生物を列挙する(カッコ内はテレビ版のタイトル)。生物の詳細はフューチャー・イズ・ワイルドの生物一覧を参照

北ヨーロッパ氷原[編集]

現在では、北ヨーロッパは街にあふれていたものだった。ところが500万年後の北ヨーロッパは寒い場所になっている。木も枯れていてとても少なく、荒地が雪や氷ばかりで覆われ、周りの海も凍りつくほど冷たい。

  • シャグラット - 氷河期を生きる巨大齧歯類
  • スノーストーカー - 巨大な犬歯を持つ大型イタチ
  • ガネットホエール - クジラ並みに大きくなった鳥類
  • 改訂版から登場する未来生物たち

地中海盆地[編集]

かつて、地中海の岸辺は、人たちで賑わうリゾート地だった。500万年後になると、地中海の水は全くなくなり、塩だけが白く残り、塩水湖が流れる。岩場には枯れた木が生える。岩場などには草が生えている。

  • クリプタイル - フリルを広げて獲物を捕らえるトカゲ
  • スクローファ - 岩場に棲む長い鼻を持つイノシシ
  • グライケン - 岩場に潜んで狩りをするイタチ科の肉食哺乳類
  • 改訂版から登場する未来生物たち

アマゾン草原[編集]

現在のアマゾンは、ジメジメした熱帯雨林だった。500万年後になると、熱帯雨林は姿を消し、乾いた草原だけが広がり、巨大な川が流れる。木が枯れてなくなった代わりに、草の大地だけが広がっている。

  • バブカリ - 陸上性の地上最後のサル
  • カラキラー - 飛べない巨大猛禽類
  • ラトルバック - 背中に硬い鱗を供えた四足歩行の齧歯類
  • 改訂版から登場する未来生物たち

北アメリカ砂漠[編集]

現在の北アメリカはたくさんの作物がとれる、豊かな土地だった。だが、500万年後になると、乾燥した冷たい砂漠に変わり、巨大な山脈が聳えている。

  • デザートラトルバック - ラトルバックの亜種
  • スピンク - モグラのような生活を選んだ鳥類
  • デスグリーナー - 昼間を飛び回る巨大コウモリ
  • 改訂版から登場する未来生物たち[3]

やがて氷河時代も終わり、地球は2000年かけてゆっくりと温暖化していく。寒冷な気候に適応していた生物の多くは滅び、新たな進化が始まる。

「1億年後の世界」[編集]

火山活動によって二酸化炭素の濃度が上がり、地球は巨大な温室と化している。大陸のほとんどが浅い海に浸かり、その周辺は淡海水の沼地となる。南極大陸熱帯へ移動し、再び3億年前と同様に木々が生い茂る。オーストラリアアジアと衝突し、平均海抜10000mと、今のヒマラヤより高い巨大台地を作り上げる[4]。異形の動物が生息。

大浅海[編集]

日光が明るく差し込む少し浅い海。この海の中はたくさんの生き物たちの生活の場である。海底には紅葉と呼ばれる海の植物が生えている。

  • リーフグライダー - 泳ぐ巨大ウミウシ
  • オーシャンファントム - 海を漂うクジラ並みの巨大クラゲ
  • スピンドルトルーパー - 巨大なウミグモ
  • 改訂版から登場する未来生物たち

ベンガル沼地[編集]

ベンガルの名前の由来にもなった、沼地が流れる蒸し暑い森林地帯。積もった泥の間を濁らせた川が流れている。土には栄養分が含まれていて、植物が良く成長する。花瓶の形のしたユリ科の植物の根元から、水が湧き出ている。

  • ルークフィッシュ - 枯れ木に化ける巨大電気魚
  • スワンパス - 水陸両棲のタコ
  • トラトン - ゾウ並みの巨大な
  • 改訂版から登場する未来生物たち

南極森林[編集]

現在、南極は氷の海だった。1億年後になると、海と氷はもうなくなり、暑い熱帯雨林が広がっている。主に木には花が咲いている。

  • ローチカッター - ジャングルを飛び回る極彩色の鳥
  • スピットファイアバード - 鼻から毒を吹きかける鳥
  • スピットファイアバードモドキ - スピットファイアバードによく似ているが無毒な鳥
  • ファルコンフライ - 獰猛な巨大ジガバチ
  • スピットファイアビートル - に化けて鳥を捕食する甲虫
  • 改訂版から登場する未来生物たち

グレートプラトー[編集]

高い山脈に囲まれた岩肌の続く高原地帯。草が生える大地が大きく広がり、木のような形をした茎が生えている。冬になると寒い雪が降る。岩肌に巣穴が開いており、種子が置かれている。巣穴のことを「家畜」と呼ばれたこともあった。

  • グレートブルーウインドランナー - 2対の翼を持つ巨大な鳥
  • シルバースパイダー - 社会性をもつ大きな蜘蛛
  • ポグル - 家畜となった地球最後の哺乳類
  • 改訂版から登場する未来生物たち[5]

火山活動はさらに激しさを増し、地球は火山灰の雲と酸性雨に包まれる。地球史上何度目かの大量絶滅が起きるが、それでも生物の進化は続いていく。次の時代に続いて生息する脊椎動物は魚類だけになる。

「2億年後の世界」[編集]

全ての大陸は互いにぶつかり合い、融合して一つの超大陸「第二パンゲア[6]」となる。超大陸の中央には広大な砂漠が広がり、そこに住む生物は地下深くの帯水層を利用できるものに限られる。地球海から超大陸に向かって吹く風は、南部では海岸の山脈に遮られ、内陸部に雨が降ることは殆どない。一方、北西部の平地には雨が降り続け、針葉樹の森に覆われている。2億年後には哺乳類鳥類爬虫類両生類が生息しておらず、魚類無脊椎動物だけが繁栄している。

中央砂漠[編集]

最も大きな砂漠。第2パンゲアはとても広いので、雨が殆ど降らない。地下洞窟には巨大な水辺が広がっている。中央に広がるのが、名前の由来である。

  • テラバイツ - 高度な分業体制をもつ社会性のシロアリ
  • ガーデンワーム - 藻類と共生する多毛類
  • グルームワーム - 水辺で硫黄細菌を食べるミミズに似た多毛類
  • スリックリボン - 水中に棲む捕食性多毛類
  • 改訂版から登場する未来生物たち

地球海[編集]

果てしなく大きな。現在の海と同様、海岸を沿うように聳える岩場と繋がっており、そこは生き物たちの繁殖地となる。海底と岩場には藻類も生えている。

  • シルバースイマー - 魚大のネオテニー甲殻類
  • オーシャンフリッシュ - 鳥のように空中を飛び回る魚
  • レインボースクイド - 体色を自由自在に変える巨大イカ
  • シャークオパス - 生体発光を持つサメ
  • 改訂版から登場する未来生物たち

レインシャドー砂漠[編集]

中央砂漠とは別の砂漠。海では嵐が発生し、山脈が聳える砂漠に変わった。中央砂漠同様、雨が降らないため、「レインシャドー」の名がついた荒地になっている。植物も生えている。

  • バンブルビートル - 寿命が24時間しかない昆虫
  • グリムワーム - バンブルビートルの幼虫
  • デザートホッパー - ジャンプをするカタツムリの子孫
  • デスボトルプラント - 動物を殺して食べる捕食植物
  • 改訂版から登場する未来生物たち

北部森林[編集]

北西に広がる巨大な森林。雨が絶えず降る。肥えた土地が続く一帯には、活気あふれる森が生まれ、生命の宝庫である。植物も主に生えている。

  • フォレストフリッシュ - 木々の間を飛んで囀る魚
  • メガスクイド - 森をのし歩く体重8tの巨大陸生イカ
  • スリザーサッカー - 樹の枝に貼りついた粘菌の塊
  • スクイボン - 知性を備えた陸生イカ
  • 改訂版から登場する未来生物たち

第2パンゲアはいずれ分裂する。生物はその変化にも対応し、また新たな種を生み出していくだろう。

[編集]

  • 『フューチャー・イズ・ワイルド~驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界~』
ダイヤモンド社ISBN 4-478-86045-9
著:ドゥーガル・ディクソンジョン・アダムス、訳:土屋晶子、監修:松井孝典
  • 『フューチャー・イズ・ワイルド完全図解~驚異の進化を遂げた2億年後の未来生物たち~』
ダイヤモンド社ISBN 4-478-86049-1
著:クレアー・パイ、訳:土屋晶子、監修:疋田努
  • 『マンガ版 フューチャー・イズ・ワイルド~驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界~』
双葉社ISBN 978-4-575-29971-7
著:ドゥーガル・ディクソンジョン・アダムス、作画:小川隆章

漫画アクション」(双葉社)刊にて2015年3月30日から改訂版が発売された。全12巻。

脚注[編集]

  1. ^ フューチャー・イズ・ワイルド日本語版公式サイト
  2. ^ フューチャー・イズ・ワイルド日本語版公式サイト・500万年後の世界
  3. ^ フューチャー・イズ・ワイルド日本語版公式サイト・未来生物
  4. ^ フューチャー・イズ・ワイルド日本語版公式サイト・1億年後の世界
  5. ^ フューチャー・イズ・ワイルド日本語版公式サイト・未来生物
  6. ^ 未来の超大陸についてはアメイジア大陸パンゲア・ウルティマ大陸といったモデルが提示されている。「第二パンゲア」はロイ・リヴァモアの考案したノヴォパンゲア大陸がベースになっており、アメイジアに近いがオーストラリア大陸と南極大陸はより北に移動している。なお、書籍版では両アメリカ大陸が東に移動するというパンゲア・ウルティマに準じた記述がある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

日本語