太陽系外惑星

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太陽系外惑星(たいようけいがいわくせい、: Extrasolar planet)とは、太陽系にとっての系外惑星、つまり、太陽系の外にある惑星である。

多くは(太陽以外の)恒星の周りを公転するが、白色矮星中性子星パルサー)、褐色矮星などを回るものも見つかっており、他にもさまざまな星を回るものが想定される。自由浮遊惑星(いかなる天体も回らない惑星大の天体)を惑星に含めるかどうかは議論があるが、発見法が異なることなどから、系外惑星についての話題の中では自由浮遊惑星は別扱いすることが多い。

観測能力の限界から実際に発見されずにきたが、1990年代以降、多くの系外惑星が実際に発見されている。

太陽系外惑星の2011年07月10日までの年別の発見数。青は視線速度法、緑はトランジット法、黄色は位置天文学法、赤は直接観測、オレンジは重力レンズ法、紫はパルサー・タイミング法による。

目次

[編集] 探査の歴史

太陽系以外にも惑星が存在するのではないかという考えは探査の始まる以前よりあり、16世紀にはジョルダーノ・ブルーノが、太陽も恒星のひとつであり、他の恒星も太陽系のような世界があるという説を唱えたが、これは科学的というよりは彼の信仰、宗教的世界観によるところが大きい。20世紀には太陽以外の恒星も惑星を持っているだろうということは常識として考えられるようになったが、長らく実証されず、専らフィクションの世界でのことだった。

探査の試みがなされるようになるのは、1940年代からである。1960年代にはバーナード星に惑星があるとされ、きわめて有力視されたが、この報告は現在では否定されている。

現在認められている初の発見例とされているのは、1993年に発見されたPSR B1257+12というパルサーをめぐる3つの惑星である。ポーランドの天文家、アレクサンデル・ヴォルシュチャンによって発見された。

1995年10月6日ジュネーブ天文台ミシェル・マイヨールディディエル・クエロッツにより、ペガスス座51番星 (51 Pegasi) という恒星に木星クラスの質量を持った惑星の存在が確認された。主系列星ではこれが初めての系外惑星とされている。最初に発見された系外惑星は、中心の恒星から0.05天文単位で水星軌道よりも遙かに内側に入り込んだ木星型惑星という異様な惑星であり、太陽系と類似した配置であろうというそれまでの常識を打ち砕いた。この種の惑星は、太陽に極めて近いことから「ホット・ジュピター」(熱い木星)と呼ばれ、これを機に続々と同種の系外惑星が発見されている。これは後述のように、主に惑星の重力によって恒星がふらつくことを利用して観測しているため、恒星に及ぼす重力が強く、ふらつきの周期が短い惑星、つまり木星級の大きさで恒星のすぐ近くを回る惑星でなければ、地球から観測することは非常に困難ということによる。観測精度の向上と長期にわたる観測データの蓄積により、この状況は改善されていくと思われる。

[編集] 様々な太陽系外惑星

2012年2月14日までに609の惑星系(パルサー含む、内100惑星系に複数の惑星を含む)に760の惑星が発見されている[1]。そのほとんどはホット・ジュピターエキセントリック・プラネットであり、太陽系の木星や土星のような、主星から離れた位置で真円に近い軌道を回っている惑星の発見は現時点では少ない。

また、2011年2月11日現在、ケプラーにより、1200個ほどの惑星候補が見つかっている[2]。このリリースによると、地球サイズが68個、スーバーアースが662個、海王星サイズが165個、木星サイズが19個、それ以上の物が54個となっている。

恒星の惑星については、当初は木星質量の数分の一以下の天体は検出できなかったが、その後海王星サイズの惑星も検出できるようになり、現在は、地球サイズの惑星が見つかり始めている。これらのうち恒星の近くを回るものはホット・ネプチューンと呼ばれる。地球サイズの惑星はまだ発見されていないが、候補は発見されている。これまでに発見された恒星の惑星のうち、最も質量が小さいのはグリーゼ581e(地球の2倍程度)で、スーパーアース(巨大地球型惑星)ではないかと考えられている。パルサーPSR B1257+12の惑星はこれより小さく、最も内側のPSR B1257+12aはの2倍程度の質量しかない(冥王星の5分の1程度の質量を持つ彗星小惑星らしきものもあると言われている)。

大きい方では、質量が木星の10倍もあるような超巨大惑星も見つかっている。これより大きな天体としては褐色矮星があるが、質量分布からは惑星と褐色矮星の間に明確な溝が認められる。

2009年6月10日には、いて座V4046星という連星の周囲に原始惑星系円盤が存在することが、サブミリ波電波干渉計 (SMA) の観測でとらえられたと発表があった[3]。この連星系の恒星同士の間隔は598万3920km(約0.04天文単位)で、これは太陽から水星までの10分の1にすぎない。恒星の多くは連星となっているが、このように近接した連星系には惑星は出来ないと考えられていた(これ以前に惑星が発見された連星系の間隔は、20から数百天文単位ある)。

2009年11月、国立天文台マサチューセッツ工科大学を中心とする日本アメリカ合衆国の研究チームが、はくちょう座の方向にある地球から約1千光年離れた太陽系外惑星で、世界で初めて中心の恒星(中心星)の自転とは逆向きに公転する逆行惑星HAT-P-7b」を発見した。このHAT-P-7bは、約2日の周期で中心星の自転と逆向きに公転していることがわかっている。それまで小惑星や衛星においては逆行小惑星逆行衛星が発見されており、惑星についても理論的には存在が予言されていた。この発見は太陽系外惑星の起源や進化の解明に役立つと期待されている[4]

2010年11月には、ドイツ、マックスプランク天文学研究所のJohny Setiawan氏らのチームにより、初めて銀河系外の恒星の周りを回る惑星HIP 13044bが発見された。

[編集] 太陽系外惑星の種類

太陽系内に存在するものについては、それぞれの項目を参照(木星型惑星天王星型惑星地球型惑星)。また、本項目では、概要のみを記載している。

[編集] 軌道によるもの

エキセントリック・プラネット(Eccentric planet)
軌道離心率が大きいタイプの惑星。明確な定義ではないが、離心率0.1という目安が挙げられている。
逆行惑星(Retrograde planet)
惑星は通常、恒星の自転と同じ方向に公転しているが、これが逆の方向、すなわち中心の恒星の自転と逆の方向に公転しているもの。WASP-17bやHAT-P-7bなどがこれに該当する[5]
ゴルディロックス惑星(Goldilocks planet)
ハビタブルゾーン内にあると考えられる物のうち、生命の発生だけでなく進化も起こりうると考えられるている物。

[編集] 中心星の状態によるもの

周連星惑星 (Circumbinary planet)
連星の周りを回っているもの。連星の共重心を回っている物と、連星を構成する恒星を回っているものがある。
パルサー惑星(Pulsar planet)
通常の恒星ではなく、パルサーの周りを回っているもの。

[編集] 軌道と大きさによるもの

ホット・ジュピター(Hot Jupiter)
木星と同程度またはそれ以上の大きさで、軌道が恒星のきわめて近い位置(おおむね0.1天文単位以下)を公転している。
ホット・ネプチューン(Hot Neptune)
ホット・ジュピターよりも小さく、海王星位の物をこう表現する事がある。

[編集] 大きさ、密度によるもの

スーパーアース(Super Earth)
明確な定義は無いが、地球の数倍から数十倍の質量を持つ岩石で出来た惑星とされている。
パフィー・プラネット(puffy planets)
ホット・ジュピターの一種だが、密度が極めて小さい物をこう表現することがある。

[編集] 地表の状態によるもの

直接観察できる物ではないので、全て軌道、サイズ等から地表の状態を推測したものである。

海洋惑星(Ocean planet)
氷と岩石で構成されている惑星が恒星の熱により氷が溶け出し、深さ数百kmにおよぶ液体の層が出来ていると推測されているもの。
スーパーイオ(Super Io)
木星の衛星であるイオと同様に、恒星の重力を受けて、潮汐加熱が発生していると考えられる軌道上にある惑星。あまりに高温のため、表面が溶けた溶岩で覆われていると考えられている[6]

[編集] 仮説上の惑星

太陽系外惑星としてまだ候補が観測されていないもの。

炭素惑星(Carbon planet)
主に炭素化合物で形成されているもの。
クトニア惑星 (Chthonian planet)
ガス惑星の表層(水素ヘリウムで構成されている)が中心星の熱により吹き飛ばされたもの。
ホット・ジュピターの未来の姿と想像されている。
コア無し惑星(Coreless planet)
地球型惑星の一種で、金属のコアが無くマントルのみで出来ているもの。
ヘリウム惑星(helium planet)
ヘリウムが主成分の白色矮星重力崩壊を起こした際に形成されると考えられているもの。

[編集] 太陽系外惑星の観測方法

[編集] 直接観測

フォーマルハウトの惑星b。2004年と2006年の位置を比較

直接観測は、文字通り望遠鏡で系外惑星を直接観測することである。実際には中心となる恒星と惑星の距離が非常に近く、また恒星に比べ惑星が非常に暗いため、惑星からの光を恒星の光と分離することは非常に困難であった。しかし画像処理技術の進歩により、2008年には系外惑星の直接観測が可能になった。また、過去に撮影された画像から新たな惑星が見つかる可能性も高まっている。

恒星ではないが、褐色矮星である2M1207という天体には、55AU(あるいはそれ以上)の距離に惑星サイズの天体が発見されており、2M1207の伴星ではないかと言われている。この天体は赤外線で直接観測されている。

2005年3月22日、ハーバード・スミソニアン天体物理センターと、NASAのゴダード宇宙飛行センターの研究者らが、こと座にあるTrES-1と、ペガスス座にあるHD 209458bの2つの系外惑星の直接観測に成功した、と報道された。これは、惑星が恒星の裏側にあるときとそれ以外の差を取り、惑星の赤外線輻射を恒星光から分離するという方法であり、厳密な意味での直接観測ではない。

2005年4月ヨーロッパ南天天文台で、おおかみ座にあるおおかみ座GQ星 (GQ Lupi) という恒星にある惑星候補天体の撮影に成功した。この惑星候補天体の質量は木星の1倍から42倍と見積もられており、褐色矮星の可能性もある。したがってこの観測も、現時点では惑星の直接観測とはいえない。

2007年5月、スピッツァー宇宙望遠鏡によってこぎつね座にあるHD 189733の惑星 (HD 189733 b) の表面の温度分布図が作成された。これは直接観測ではないが、系外惑星の表面の場所による状態の違いを初めて検出したものである。

2008年9月15日ハワイジェミニ天文台より、太陽系から500光年離れたさそり座近辺の恒星1RXS J160929.1-210524にある惑星の撮影に成功したと発表があった。別の目的で撮影した物に偶然、惑星が写っていた。撮影できた詳しい要因は現在調査中だが、まだ誕生して間もない恒星と惑星のため、惑星の表面温度が高く発光している点と、距離が大きくはなれている事(約330AU)が要因として考えられている。

さらに同年11月にはハッブル宇宙望遠鏡みなみのうお座1等星フォーマルハウトで惑星の可視光撮影に成功と発表された。過去に撮影された画像を比較することで宙域を移動する光点がみつかり、軌道計算の結果、フォーマルハウトの周囲を公転する天体(フォーマルハウトb)と確認された。また恒星を取り巻くダストリングの分布などから天体の最高質量が木星の3倍以下であることも判明し、史上初めて名実ともに直接観測で確認された太陽系外惑星となった。 この惑星は主星から115AUの遠距離を872年かけて公転している。また惑星の反射が距離やフォーマルハウトの光度と比較して明るすぎるため、土星のような巨大なによって光が拡散していると推定されている。

以後、次々と直接観測の報告がされるようになった。

2008年に発見されたHR 8799の3つの惑星の一つは、2002年すばる望遠鏡で撮影されていたことが2009年に判明した。日本の望遠鏡で太陽系外惑星を直接観測したのはこれが初めてである。

[編集] 位置天文学法

伴星の公転によって主星がふらつく様子。

位置天文学法 (Astrometry) は、木星のような巨大な惑星によって恒星がふらつく様子を位置天文学的手法により精密観測し、それによって惑星の存在を確かめる方法である。連星の不可視伴星の発見に用いられるのと同じ手法である。1943年以降の初期の系外惑星探査に用いられたが、当時はまだ観測精度が低かったため、大きな成果をあげることはなかった。

2009年、太陽系から約20光年の距離にあるわし座の恒星「VB 10」に、位置天文学法によって初めての系外惑星が発見された。Pravdoらはパロマー山天文台の5mヘール望遠鏡で、12年間にわたり30個の恒星を断続的に観測し続けた。発見された惑星は木星質量の6倍もある巨大なガス惑星で、「VB 10b」と名付けられた。主星であるVB 10は太陽質量の12分の1ほどしかないM型赤色矮星で、VB 10bとの質量比は15倍ほどしかない。しかしながら、直径についてはほとんど同じだと考えられている[7]

[編集] 視線速度法

視線速度法は、ドップラー偏移法とも呼ばれ、惑星によって恒星が視線方向にふらついた時に起こるドップラー効果によるスペクトル変化を調べることで系外惑星を探す方法である。基本的には分光連星を発見する手法と同じものである。ベレロフォン (51 Pegasi b) をはじめ、多くの惑星がこの方法によって発見されており、2009年の時点で、もっとも多くの系外惑星の検出に使用された観測方法である。

恒星のふらつきを捉える点では位置天文学法と同じだが、恒星の位置ではなく速度の変化を計測する点が異なる。このため惑星が恒星の近くを周回しているほど見つけやすいという特徴がある。また、恒星のふらつきのうち視線方向の成分のみを観測するため、惑星の下限質量しか分からないという特有の問題がある。惑星の真の質量を知るには他の観測方法や力学シミュレーションと組み合わせる必要がある。

[編集] 食検出法

食検出法の原理

食検出法トランジット法とも呼ばれ、惑星が恒星の前を横切る時の明るさの変化によって惑星を探す方法である。星食食変光星の観測と同じ原理である。地球から見て惑星が恒星面を通過する割合はあまり大きくないため、実在する惑星に対しこの方法によって発見できる惑星の割合は小さいものの、比較的安価な機材でも観測可能であり、アマチュアにも手が届くという利点がある。

ドップラー偏移法など、他の手段で発見された惑星をトランジット法で確認するということも行われている。恒星のふらつきを捉える方法では、惑星の公転面と視線方向のなす角度が分からないため、質量は考えうる最小の値しか求めることができない。しかし恒星面通過が観測された惑星は視線方向とのなす角が分かるため、惑星の質量を厳密に求めることができる。また異なる手段で惑星を検出することにより、その惑星の存在がより確かなことになるという意味でも、意義深い。

惑星が恒星面を通過する際に恒星の光の一部が惑星の大気を通過するため、惑星大気の成分を探る方法としても期待されている。実際この方法によりオシリス (HD 209458b) という惑星の大気に酸素炭素が存在していることが確認された。

人工衛星による観測も行なわれている。2006年12月27日欧州宇宙機関は太陽系外惑星探査衛星COROTを打ち上げた。食検出法を用いた地球の数倍までの地球型惑星の発見が目的である。

また、アメリカ航空宇宙局も同様の衛星であるケプラー2009年3月6日に打ち上げた。3年半にわたって10万個の恒星を観測する予定である。

[編集] 重力レンズ効果を用いる方法

重力レンズ効果とは、遠くの天体から発せられた光が手前にある天体の重力により集められ、実際より明るく見えることである。手前にある天体が惑星を持つ場合と持たない場合では、遠くの天体の光度変化が異なることが理論的に予測されている。この現象を利用して系外惑星を発見することが可能であり、PLANOGLEMOAのチームがOGLE-2005-BLG-390Lbを発見している。

[編集] パルサー・タイミング法

パルサーとは、周期的にパルス状の電磁波を出す天体である。パルスの原因はパルサーの自転によるものと考えられている。パルサーに惑星が存在する場合、パルスに周期的なズレが観測される。このズレから惑星を間接的に観測する方法がパルサー・タイミング法である。公式な記録上、最初に発見された系外惑星であるPSR B1257+12の惑星系などは、この方法で発見された。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

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